2012年1月31日 (火)

生産が増産に転じた一方、失業率は上昇するも悲観の必要なし

昨日付けの日経新聞「今週の予定」では実に適確にも今日は「統計発表集中日」と表現されていました。その通り、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が発表されています。いずれも昨年12月の統計です。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、12月4%上昇 「タイ洪水の影響解消」
経済産業省が31日発表した2011年12月の鉱工業生産指数(05年=100、季節調整済み)速報値は93.6と、前月に比べて4.0%上昇した。2カ月ぶりのプラス。タイ洪水による部品不足などが解消したことで、自動車や電機の生産が回復した。1月以降も増産の見通しだが、円高や欧州危機などによる外需落ち込み懸念もある。
生産指数は市場の事前予測の中央値(2.9%の上昇)を上回った。経産省は「タイ洪水が国内の生産活動に与える影響は、ほぼ解消した」としている。
12月の生産回復を主導したのは輸送機械工業。北米向けの普通乗用車などが堅調で12.3%と2カ月ぶりに上昇した。情報通信機械工業は5カ月ぶりに伸び、34.8%プラスだった。タイ洪水で深刻な影響を受けていたデジタルカメラの部品供給が復旧したほか、カーナビゲーションでは国内での代替生産が進んだという。
11年通年の生産指数(05年=100、原指数)は91.1と前年に比べ3.5%低下だった。昨年は東日本大震災が起きた3月に過去最大となる15.5%のマイナスを記録し、タイ洪水があった11月も2.7%の減産だった。ただ、部品や素材のサプライチェーン(供給網)を復旧する動きは早く、震災後の4月にはプラスに転じた。同日発表した1月の製造工業生産予測調査によると、1月は2.5%、2月は1.2%の上昇を見込む。ただ2月には輸送機械工業などでマイナスを見込む。経産省は基調判断を「横ばい傾向」に据え置いた。
失業率4.6%に悪化、求人倍率は改善 12月
総務省が31日発表した2011年12月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント悪化し4.6%となった。厚生労働省が同日発表した12月の有効求人倍率(同)は0.71倍で、前月比0.02ポイント改善した。雇用情勢は東日本大震災後に持ち直す傾向にあるが、円高や海外経済の減速で改善に向けて一進一退の動きが続いている。
完全失業者数は299万人で前月よりも3万人(1%)増加した。自発的に離職した人は4万人増の102万人だった。就業者は全体で3万人減の6246万人でほぼ横ばいだった。「復興需要などで新規求人が増え、職探しを再開する人が増えている」(厚労省)という。
11年平均の被災3県を除く完全失業率は4.5%となり、前年比で0.5ポイント改善した。完全失業者数は33万人減の284万人。企業業績は持ち直しつつあり、勤め先の都合などによる「非自発的な離職者」が減った。年平均の有効求人倍率は0.65倍と前年比0.13ポイント上昇し、2年連続で改善した。

次に、いつもの鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年を100とする鉱工業生産指数そのもの、下のパネルは輸送機械を除く資本財と耐久消費財の出荷指数です。いずれも季節調整済みの系列で、影を付けた部分は景気後退期です。

鉱工業生産の推移

生産と出荷は11月統計に現れたタイ洪水の影響を脱して、リバウンドの要素も無視できないものの大きく上昇しました。さらに、引用した記事にもある通り、製造工業生産予測調査では1-2月も連続で増産を続けると見込まれています。昨年は震災やタイ洪水などの供給制約が顕在化しましたが、今年は需要面が生産を決定する通常の動きに戻りそうです。取りあえずは、生産動向については欧州経済のソブリン危機と円相場に注目なのかもしれません。

在庫循環図

ついでながら、昨年1年間は振り返らなかったんですが、鉱工業生産指数の出荷と在庫を使った在庫循環図は上の通りです。日銀では縦軸と横軸を反対にして反時計回りを使いますが、私は政府に勤務する官庁エコノミストなので時計回りの在庫循環図です。昨年10-12月期には出荷が前年同期比マイナスになりましたので、第4象限に入っています。色のやや薄い黄緑の矢印です。2010年中の動きは供給制約に起因していますので、第1象限に戻る可能性もありますし、需要が減速すればこのまま在庫循環が第3象限に進む可能性も否定できません。

雇用統計の推移

最後に、雇用統計の動きは上のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列で、影を付けた部分は景気後退期です。なお、失業率は震災の影響で3-8月は被災地を除いた統計となっています。失業率が0.1%ポイント上昇していますが、自己都合退職が増加しており、引用した記事にもある通り、職探しを再開する人が増加している動きが背景にあり、必ずしも悲観すべきではないと受け止めています。有効求人倍率は緩やかながら着実に上昇を続けています。全体として雇用情勢は極めて緩やかながら改善を示していると私は受け止めています。生産が増産を維持できれば雇用も改善を続けると私は楽観しています。

このブログでは取り上げませんでしたが、今日は家計調査も公表され、2月13日の10-12月期GDP速報に必要な統計がほぼ出そろいました。外需に足を引っ張られてマイナス成長、というのが大方のエコノミストの見方ですが、経常収支が出た後にでも日を改めて焦点を当てたいと思います。

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2012年1月30日 (月)

そろそろ花粉症の季節が始まるか?

平成24年スギ花粉前線予測 (第2報)

先週金曜日の1月27日に環境省から「平成24年春の花粉飛散予測(第2報)」が発表されています。飛散開始時期を指す「スギ花粉前線予測」は上の地図の通りで、東京では2月中旬と予想されています。また、都道府県別スギ・ヒノキ花粉の飛散ピーク時期予測を見ると、一都三県の首都圏では3月上中旬、特に3月上旬がピークと予想されています。なお、ピークとは1日あたりの花粉の飛散が30個/cm2以上と定義されています。ただし、今年については、東京では前シーズン比32%、例年比63%と予想されており、全国的に見ても花粉の飛散数はやや少ないと言えます。何とかこの季節を乗り切りたいものです。
実は、私もこの週末に出歩いた際に風が強いと感じたところ、目と鼻に明らかに変調を来たし、鼻水と目の痒みに悩まされ始めました。今日になって早々に行きつけの耳鼻科に駆け込んで処方箋を出してもらい、抗アレルギー剤や目薬を買い込みました。

将来推計人口

なお、本日、国立社会保障・人口問題研究所から「日本の将来推計人口」が発表されています。上のグラフは出生率も死亡率も中位推計を取った年齢3階級別の人口の推移です。人口減少は0-14歳階級と労働年齢人口である15-64歳階級で生じ、65歳以上階級では2042年まで増加を続けます。今世紀半ばには日本の人口は1億人を割り込む結果が示されています。年金抜本改革の試算については政府と民主党が公表しないと決定しましたが、今後の議論でひとつのポイントとなるかもしれません。マーケットでは政府に何らかの催促をする可能性があります。たった1本ですが、そういった内容のニューズレターを受け取りました。すなわち、引退世代向けの社会保障給付に切り込まなければ、穴の開いたバケツに水を貯めようとする努力のごとく、マーケットに冷や水をぶっかけかねないくらいに高い消費税率を覚悟しなければならないかもしれません。

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2012年1月29日 (日)

やっぱりお正月は太るのか?

少し旧聞に属するトピックですが、ネットリサーチ大手のメディア・インタラクティブから「お正月太りに関する意識調査」が発表されています。私自身もそうですが、大雑把に夏は体重が減って、冬は減るというサイクルがあり、冬に体重増加を来たす中でも、特に、お正月はひとつのエポックであることは間違いありません。対象者は女性だけで、男性は除かれているんですが、結果は私にも当てはまる部分も少なくなく、女性の方がより敏感であることは認めるものの、女性だけの問題ではないと考えますので、簡単にリポートを見ておきたいと思います。

お正月太りをしましたか?

まず、正月で太ったかどうかの質問に対する回答は上のグラフの通りです。「痩せた」という回答がほとんどない一方で、「太った」と「変わらない」がかなり拮抗しています。逆から見ると、正月は「太った」の比率がびっくりするくらいに多いと言えます。私の生活実感だけでなく、モニターの統計的な裏付けのある事実であったと言えます。

お正月に太ったきっかけは?

次に、太った原因に関する質問の対する回答が上のグラフの通りです。複数回答で聞いています。「食べ過ぎ」が圧倒的な比率を占めており、90%を超えています。次の「飲み過ぎ」の比率が低いのは女性的な特徴かも知れません。男性であればもう少し比率が高い可能性があると私は受け止めています。その後の回答には運動不足系の選択肢が続いており、お正月だけでなく冬の季節一般に当てはまる可能性も否定できません。

この質問の後、正月に限定せずに、過去にチャレンジしたことのあるダイエット方法に関する質問が続きます。圧倒的な比率を占める「食事制限」(70.7%)のほか、「筋力トレーニング・スッチ運動」が27.2%、「サプリメント」が25.8%と続いてます。この上位3項目に共通するのは「始めやすい」点であるとリポートでは分析しています。

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2012年1月28日 (土)

湊かなえ『境遇』(双葉社) を読む

湊かなえ『境遇』(双葉社)


湊かなえ『境遇』(双葉社) を読みました。作者のお得意とする30代半ばの女性によるモノローグを中心に据えたミステリです。まず、出版社のサイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

本の紹介
デビュー作の絵本がベストセラーとなった陽子と、新聞記者の晴美は親友同士。共に幼いころ親に捨てられた過去を持つ。ある日、「真実を公表しなければ、息子の命はない」という脅迫状とともに、陽子の息子が誘拐された。「真実」とは何か……。それに辿り着いたとき、ふたりの歩んできた境遇=人生が浮き彫りになっていく。人は生まれた環境で、その後の人生が決まるのではなく、自分で切り拓いていけるもの。人と人との"絆"や"繋がり"を考えさせられるヒューマンミステリー。今冬放送予定の、ABC創立60周年記念スペシャルドラマ原作。

引用した「本の紹介」の最後のセンテンスに見られるように、昨年12月3日放送のABC朝日放送60周年記念スペシャルドラマとして映像化されています。残念ながら、私は見ませんでした。放映の時点で、我が家の子供達はすでにこの本を読んでいましたし、期末試験前でしたので興味はなく、逆に、私はまだ読んでいませんでしたのでドラマは見ませんでした。
この作者の作品は『告白』からほぼすべて読んでいるつもりなんですが、この作品はとりわけリアリティが低いような気がします。モノローグ一辺倒から直接話法の会話を取り入れるなど、かなり新たな領域を試みていると評価できますが、親友の洋子と晴美の生立ちやその後の人生、洋子の夫の高倉議員のキャラなど、ムリがあるように見受けたのは私だけではないような気がします。特に、ムリが大きいのがラストの謎解きであり、「驚愕のラスト」といっていいのかもしれませんが、「反則」と感じる読者もいるかもしれません。

特に、オススメはしません。5点満点で3ツ星か2ツ星半くらいでしょうか。図書館の待ち行列がどれくらいかは承知しませんが、少し待って図書館で借りるのでも十分だという気がします。

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2012年1月27日 (金)

商業販売統計と消費者物価から見る我が国の消費の現状

本日、経済産業省から商業動態統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ発表されました。いずれも12月の統計ですが、消費者物価の東京都区部のみ今年1月の統計です。商業動態統計のうち小売は季節調整していない前年同月比でも、季節調整済みの前月比でもプラスを記録しました。自動車販売の寄与が大きくなっています。他方、消費者物価は相変わらずマイナスが続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の小売業販売額2.5%増 経産省
経済産業省が27日発表した2011年12月の商業販売統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.5%増の13兆490億円で、2カ月ぶりの増加だった。業種別にみると、10年9月の自動車の買い替え補助制度終了に伴う反動減が一巡し、自動車小売業が同14.9%増えた。
大型小売店販売額は同0.5%増の2兆903億円。5カ月ぶりに増加に転じた。百貨店は同0.6%増と54カ月ぶり、スーパーも同0.5%増で5カ月ぶりの増加。気温低下で冬物衣料が好調だったことが寄与した。
コンビニエンスストアの販売額は同7.4%増の7806億円だった。
同時に発表した2011年の小売業販売額は前年比1.2%減の134兆430億円で、2年ぶりの減少。自動車小売業は、前年の買い替え補助制度の終了に伴う反動減で同13.5%減。機械器具小売業も前年の家電エコポイント特需の反動で同13.4%減となり、いずれも比較可能な1980年以来最大の減少率を記録した。
消費者物価、3年連続下落 11年マイナス0.3%
震災の影響は限定的

総務省が27日発表した2011年の消費者物価指数(CPI、10年=100)は値動きが激しい生鮮食品を除くベースで99.8となり、前年比0.3%下落した。マイナス幅は前年の1.0%から縮まったが、3年連続で前年を下回った。ガソリン代や電気料金など燃料費が上昇した一方、薄型テレビをはじめ家電の値崩れが全体の物価を押し下げた。
生鮮食品を含む指数も0.3%の下落。食料とエネルギーを除いた基調的な指数は1.0%の下落だった。いずれも3年連続のマイナスで、デフレ圧力の根強さが浮き彫りになった。
物価下落の主因は耐久財。薄型テレビは昨年7月の地上デジタル放送への移行に伴う特需後の販売不振が響き、3割下がった。昨年3月の家電エコポイント制度終了も価格下落に拍車をかけ、電気冷蔵庫は26%下落、エアコンは12%下落となった。東日本大震災後の自粛ムードで宿泊料は2%の下落となった。
一方、エネルギー価格は上昇した。原油などの国際市況の高止まりでガソリン価格は10%上昇。電気代とガス代も3%上昇した。
総務省が同日発表した11年12月の全国CPIは、生鮮食品を除くベースで前年同月比0.1%下落した。マイナスは3カ月連続。今年1月の東京都区部(中旬速報値)は0.4%下落した。
景気の回復力が弱い中で先行きについては「電力料金の大幅値上げなどがなければ12年も下落する」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)との見方が多い。

次に、商業度販売統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも赤い折れ線が小売業、青が卸売業なんですが、上のパネルは季節調整していない原系列の前年同月比変化率、下は2005年=100とする季節調整済みの指数系列です。いつもの通り、影を付けた部分は景気後退期です。12月の小売業は季節調整していない前年同月比、季節調整済みの前月比ともにプラスを記録しました。

商業販売統計の推移

小売販売は自動車がけん引しています。12月の前年同月比で見て、+2.5%増のうちの約半分が自動車販売の寄与に基づいています。また、12月の季節なりの寒さにより冬物衣料品販売もプラスに寄与しています。業態別に見ても、百貨店やスーパーの販売増は衣料品の寄与による部分が大きいと受け止めています。逆に、減少しているのは家電エコポイント3品であるテレビ、エアコン、冷蔵庫です。震災後に大きく落ち込んだ消費も、この年末年始でかなり元に戻った気がします。
なお、よく知られている通り、家電エコポイントとは対照的に自動車のエコカー補助金は復活しました。みずほ総研のリポート「エコカー補助金復活の効果を考える視点」で論じられているように、潜在需要の顕在化や波及効果の大きさをもって正当化する見方が出来ないわけでもないですが、特定の財の販売促進を目指す不公平な補助金を長期に渡って継続する政策は疑問が残ります。リーマン・ショックから始まって、震災でさらに落ち込んだ我が国の消費も、そろそろ、政策効果も剥落して従来のトレンドに戻りつつあることから、市場を歪める補助金を早期に廃止する論点を提示しておきたいと思います。

消費者物価上昇率の推移

消費者物価は特に大きな変化は見られません。全国のコアCPIの前年同月比上昇率がプラスを記録したのは昨年2011年の7-9月期の3か月だけでした。その後はマイナスが続き、食料とエネルギーを除くコアコアCPIはプラスに転じそうな気配すらありません。2011年平均でマイナスとなりましたので年金が削減されることになります。また、米国の連邦準備制度理事会 (FED) が2%のインフレ目標を打ち出しましたが、従来からリフレ派が主張している通り、日銀のインフレの目安の1%は低過ぎます。今後の金融政策動向が気にかかるところです。

都市高速道路料金 (東京都区部) の推移

物価に関して細かい論点ですが、今年1月から首都高速で距離別料金制が導入されました。私自身は自動車を運転しないので首都高速を走ることもなく、ほとんど関心はなかったんですが、お正月のテレビなどでさかんにコマーシャルが流れていたことは記憶にあります。利用状況によっては利用料金が引き下げられるように聞こえ、それはそれで事実なんでしょうが、消費者物価のモデル式を用いると上のグラフのように、首都高速の料金は大きく上昇となる結果が示されています。メディアなどでも、ほとんど誰も注目していない観点のような気がしますので、参考まで取り上げておきます。

映画興行収入の推移

最後に、消費と関連して、昨日、映画製作者連盟から2011年の映画産業統計が発表され、興行収入、スクリーン数、入場者数などが明らかにされています。サービス消費の観点からは、上のグラフ通り、興行収入をプロットしてみました。震災の影響などで前年比▲20%近く落ち込んでいます。なお、昨年の邦画興行収入第1位はジブリの「コクリコ坂から」、洋画の第1位は「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part 2」でした。私はどちらも見たと自慢しておきます。

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2012年1月26日 (木)

昨日から始まったダボス会議の今年のテーマは何か?

World Economic Forum logo

昨日1月25日から、スイスのダボスにおいて世界経済フォーラム World Economic Forum が主催する年次総会、いわゆるダボス会議が始まっています。日曜日の29日まで5日間の会期の予定です。すでに発表されているアジェンダでは、今年のテーマは "The Great Transformation: Shaping New Models" となっています。大いなる変革と新たなモデルの構築、といったところでしょうか。初日のオープニング・セッションでは、もっとも注目されるトピックのひとつであるユーロ圏諸国の財政再建と信用不安についてドイツのメルケル首相がスピーチを行い、我が国の震災復興もアジェンダに上っていることから、俳優の渡辺謙さんが被災地への支援を呼びかけたりしています。
昨年は当時の菅総理大臣が出席したりしましたが、今年は我が国における注目度はやや下がっているのかもしれません。私は出席のかなわぬ身として、ついついリポートなどの出版物に目が行ってしまいますが、特に、この年次総会に向けて発行されるいくつかのリポートの中で、私がもっとも注目しているのは Global Risks 2012 - Seventh Edition ですので、今夜は簡単にこのリスク・リポートを取り上げたいと思います。まず、p.4 Figure 1: Five Global Risk Categories - Landscapes において、経済リスク、環境リスク、地政学リスク、社会リスク、技術リスクの5分野のがビジュアライズされており、その中から、p.36 Figure 26: Economic Risks の各論セクションに掲載されている経済リスクに注目すると以下の通りです。

Figure 26: Economic Risks

縦軸がインパクトの大きさ、横軸が蓋然性ですから、大雑把に右上にプロットしてあるリスクは注意が必要だということになります。蓋然性の高いリスクとしては、財政不均衡リスクと所得不平等リスク、蓋然性はこの2つより小さいもののインパクトの大きいものとして金融のシステミック・リスクがすぐに目につくと思います。もちろん、経済リスクのほかに、環境リスクでは温室効果ガスの排出リスク、地政学リスクではテロのリスク、社会リスクでは水の供給リスク、技術リスクではサイバー攻撃リスクなどが上げられています。特に、このブログで経済リスクを注目するのは、エコノミストの視点ということもありますが、5分野のリスクを一括して見ることの出来るリポートの p.5 Figure 2: Global Risks Landscape 2012 において、もっとも蓋然性が高いリスクとして財政不均衡リスクと所得不平等リスクが並んでおり、同時に、もっともインパクトの大きいリスクとして金融のシステミック・リスクがプロットされているからです。昨日取り上げた国際通貨基金 (IMF) の「改定世界経済見通し」ほかのリポートで最も注目されていたポイントでもあり、今年、ユーロ圏諸国ではこの財政不均衡リスクと金融のシステミック・リスクの2つのリスクが同時に顕在化する可能性もゼロではないと考えられます。ダボス会議の性格上、各国の政府や中央銀行などの執行機関に対して何らかの拘束力のある取決めを決定する場ではありませんが、リスク回避のための議論が深まることを期待しています。

最後に、繰返しになりますが、今年のダボス会議では、欧州の財政再建と信用不安とともに我が国の震災復興もアジェンダに上っており、リポートの pp.29-35 には Section 3 Special Report: The Great East Japan Earthquake と題する特別セクションが含まれています。。リスクの特徴として、unprecedented geographical destruction と critical system failure と global governance failure の3つの視点から分析されています。

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2012年1月25日 (水)

国際通貨基金 (IMF) の「改定世界経済見通し」World Economic Outlook Update はいかに下方修正されたか?

昨日、国際通貨基金 (IMF) から「改定世界経済見通し」World Economic Outlook Update が発表されています。副題は極めて適切にも Global Recovery Stalls, Downside Risks Intensify とされています。世界経済は失速し、下振れリスクが強まる、といったところでしょうか。なお、いつものことながら、pdf ファイルで全文リポートがアップされていますし、さらに、10ページ足らずのリポートですので、要約ではなく、日本語の全文リポートもあります。まず、IMF のサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。表の画像をクリックすると、より詳細な見通し総括表が参照できます。すなわち、全文リポート p.2 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections の1ページだけの pdf ファイルが別タブで開くように設定してあります。

Latest IMF projections

我が日本は、昨年2011年に▲0.9%とマイナス成長を記録した後、2012年+1.7%、2013年+1.6%と、潜在成長率近傍のプラス成長に復帰すると見込まれていますが、上の表から明らかな通り、昨年9月時点の見通しから2012年▲0.6%ポイント、2013年▲0.4%ポイントの下方修正となっています。ユーロ圏諸国よりは下方修正の幅は小さいものの、先進国平均とほぼ同水準の下方修正となっています。先進国だけでなく、中国やインドをはじめ、多くの新興国や途上国でも見通しが下方修正されており、貿易と直接投資の両面を通じて、世界経済全体の減速が見込まれています。言うまでもなく、この世界経済の減速や見通しの下方改定はユーロ圏諸国に起因する部分が大きくなっています。全文リポート p.1 のサマリー部分で、簡潔に、"This is largely because the euro area economy is now expected to go into a mild recession in 2012 as a result of the rise in sovereign yields, the effects of bank deleveraging on the real economy, and the impact of additional fiscal consolidation." と表現されています。すなわち、国債金利の上昇、銀行のレバレッジ解消、財政再建の推進の結果として、本年中にユーロ圏諸国は緩やかな景気後退に入ると見込まれています。

Figure 4. WEO Downside Scenario

困ったことに、経済見通しが昨年9月から下方修正されただけでなく、さらなる下振れリスクも指摘されています。下振れシナリオについて、全文リポート p.5 Figure 4. WEO Downside Scenario のグラフを引用すると上の通りです。この下振れリスクもこれまたユーロ圏経済に起因し、全文リポート p.5 で、"The most immediate risk is intensification of the adverse feedback loops between sovereign and bank funding pressures in the euro area" と指摘されています。すなわち、ユーロ圏諸国における政府と銀行の資金調達圧力の間で負のフィードバック・ループが拡大する可能性です。このため、標準的なシナリオからGDPが世界経済全体で約▲2%、ユーロ圏諸国に限れば▲4%ほど下振れするリスクがダウンサイドのシナリオとして提示されています。これらに対する政策対応として、IMF では以下の4点を強調しています。第1点の財政調整は政府の、第2点の流動性供給は中央銀行の、第3点の銀行のレバレッジ解消は民間金融セクターの、それぞれの課題となっており、最後の第4点の金融調整はみんなで取り組むほかないんだろうと思います。

  • Fiscal adjustment
  • Liquidity
  • Bank deleveraging
  • Financial adjustment

なお、誠についでながら、IMF は「改定世界経済見通し」とともに、昨日、Fiscal Monitor Update も公表しており、全文リポート p.3 において、日本政府の財政政策に関する評価があり、最初に、震災からの復興需要があるとはいえ、"the only large advanced economy to implement a fiscal expansion in 2012" と、やや厳しい出だしで始まり、最後に、"the government is to submit a tax reform bill, including its proposal for doubling the consumption tax rate to 10 percent by 2015, but this will not be sufficient in itself to put the debt ratio on a downward path." と、2015年までに消費税率を10%に引き上げる法案は債務残高比率を引き下げるには不十分と酷評しています。

基礎的財政収支と公債残高の推移

この財政見通しに関連して、昨夜は見当たらなかった内閣府のサイトに「経済財政の中長期試算」がアップされました。p.5 の基礎的財政収支と公債残高の推移を引用すると上のグラフの通りです。一番下のパネルが公債残高のGDP比なんですが、IMF のご指摘の通り、消費税率引上げと成長シナリオを組み込んだ赤い折れ線グラフでも、一向に債務残高比率は低下しないように見えます。政権交代後の2010年6月に、財政健全化に関しては慎重シナリオを基本とする旨が閣議決定されていますが、その慎重シナリオの青い折れ線グラフでは公債残高のGDP比は、消費税率引上げを盛り込んでもなお上昇を続けます。しかも、この試算には復旧・復興対策の経費及び財源は含まれていません。このグラフを見る限り、日本の財政は発散のパスに入ったと見なすエコノミストがいても不思議ではありません。

貿易統計の推移

最後に、IMF の「世界経済見通し」ともやや関連して、本日、財務省から貿易統計が発表されています。輸出入と貿易収支のグラフは上の通りとなっており、12月は輸出5兆6237億円、輸入5兆8288億円、差引き貿易収支が2051億円の赤字と3か月連続の貿易赤字となりました。さらに、2011年は通年でも、震災に起因する供給制約、原発停止に伴う燃料輸入増、円高の3要因で31年振りに2兆4927億円の貿易赤字を計上しました。財政のサステイナビリティと TPP に関する議論に何らかの影響を及ぼす可能性は否定できません。

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2012年1月24日 (火)

住宅を取得するとどんな消費が伸びるのか?

かなり旧聞に属する情報ですが、先々週の1月12日に住宅金融支援機構から「住宅取得に係る消費実態調査」が発表されています。リポートのその名の通り、住宅取得に際してどのような消費が伸びるかをアンケート調査しています。なお、前回調査が2003年ですから、ずいぶんと間が空いていますので、前回との比較は意味もないと考えます。今夜のところは2011年調査の結果について簡単に見ておきたいと思います。

1世帯当たりの平均耐久消費財購入額

まず、上のグラフは住宅取得に際して、耐久消費財の購入額を1世帯当たり万円単位でプロットしています。新築系が中古よりも購入額が多く、また、建売やマンションよりも一戸建て世帯の購入額が多いのは、いずれも所得の大きさに依存しているのであろうと私は解釈しています。ただし、前者の中古より新築で購入額が大きいのは、この場合は住宅に備付けのものがすでにある可能性も否定できません。

新規購入品目新規購入世帯比率
カーテン76.8%
照明器具60.9%
ルームエアコン53.2%
テレビ51.9%
応接セット45.2%
じゅうたん・カーペット44.2%
時計43.5%
ふとん41.6%
食堂セット40.0%
ベッド・ソファーベッド35.6%
パソコン33.3%
電気掃除機30.1%
電話機29.5%
電気冷蔵機29.2%
電気洗濯機28.4%

次に、何を購入したのかについて、購入世帯割合が高い品目を上位15品目まで取ると上の表の通りです。家具や家電製品が高い比率で購入されているんですが、実は、購入世帯当たりの購入額では乗用車(新車)と太陽光発電システムが、それぞれ、購入世帯比率は14.2%と8.5%しかないにもかかわらず、購入金額では2,418.2千円、1,773.1千円と、この2品目だけ購入世帯当たりの購入額が100万円を超えます。住宅取得の際に思い切って大物消費が実行されるということなのかもしれません。

太陽光発電システムの新規購入世帯比率

この大物消費の中で、最近、よくコマーシャルを見かける太陽光発電に着目したのが上のグラフです。住宅購入の際の太陽光発電の導入率を示していますが、実に、高所得層と目される「一戸建て(新築)」の購入者は6世帯に1世帯の割合で太陽光発電を導入しています。原発が次々と停止して行く中で、電力まで各世帯の自己責任で調達せねばならないのであれば、ますます格差が広がりかねないと私は心配しています。

最後に、政府経済見通しである「平成24年度の経済見通しと財政運営基本的態」とともに、経済財政の中長期試算が今日の閣議にかけられたハズなんですが、前者の見通しは資料がアップされている一方、私の興味の対象である後者のリポートは、今夜7時半の時点でまだ内閣府のサイトに見当たりません。情報が利用可能となった時点で、日を改めて簡単に取り上げるべく予定したいと思います。

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2012年1月23日 (月)

生年別による社会保障の世代間不均衡はどれほど大きいか?

先週の金曜日1月20日に内閣府の経済社会総合研究所から「社会保障を通じた世代別の受益と負担」というディスカッション・ペーパーが出ています。著者は社会保障研究が専門で、いろいろな発言をしている学習院大学の鈴木亘教授ほかとなっていて、要するに、タイトル通り、年金、医療、介護の3分野にわたる社会保障モデルを構築し、世代別に受益と負担の構造をモデルに基づいて長期試算しています。まず、内閣府のサイトからペーパーの要約を引用すると以下の通りです。

(要約)
年金、医療、介護の3分野に関する社会保障モデルを構築した上で、社会保障の長期推計を行い、さらに生年別の受益と負担の構造を検討した。
本研究で構築したモデルは、鈴木(2006)を発展させたものであるが、年金モデルでは、厚生労働省が平成21年財政検証に際して公開した計算手法とデータおよび将来の経済前提を取り込み、医療モデル、介護モデルでは現行制度と最新データを反映させた。各モデルとも政府による推計結果(年金は2105年まで、医療、介護は2025年まで)をほぼ再現している。医療、介護では長期推計を試みており、医療給付費及び介護給付費の対名目GDP比率は、2010年から2100年にかけて、いずれも2倍近くの規模に拡大する。
現役期に保険料を負担し引退後にサービスを受益するという構造は、年金、医療、介護の3制度に共通しているが、受益と負担の関係は世代ごとに異なる。社会保障からの純受益が生涯収入に占める割合として定義される生涯純受給率を生年別にみると、1950年生れ1.0%、1960年生れ▲5.3%、1970年生れ▲7.8%、1980年生れ▲9.8%、1990年生れ▲11.5%、2000年生れ▲12.4%、2010年生れ▲13.0%と生年が下るにつれて支払い超過の傾向にある。このように、社会保障を通じた世代間不均衡は無視できない大きさとなっている。

本ペーパーの社会保障モデルは、当然ながら、年金モデル、医療モデル、介護モデルに分けられています。ごく簡単にいうと、第1に、年金モデルは、被保険者数の推計、基礎率・基礎数の設定、支払保険・年金給付費の推計、年金財政の収支計算の4パートから成り、人口推計を参照しながら、厚生年金、国民年金ほかの公的年金の制度別の被保険者数を推計し、保険料、加入月数を推計した上で、年金給付額を加入実績に基づいて推計し、年次別の全体収支を算出しており、第2に、医療モデルは、前提条件パート、人口パート、支出パート、収入パート、収支パート、生涯収支パートの6つの主要な計算パートから構成され、物価上昇率、賃金上昇率などの経済条件に加えて、医療費単価や将来推計人口なども考慮し、生年別の生涯にわたる受益と負担を医療保険タイプごとに推計し、第3に、介護モデルでは、将来推計人口をもとに施設入所および在宅受給者の人数推計を実施した上で、これに1人当たり単価を乗じることから将来費用を、さらに、将来の保険料率を推計し、さらに世代別の受益と負担を推計しています。これだけで理解できる人はとっても頭がいいといえますが、私も専門分野外ですので、必ずしも十分に理解しているとも、説明できるとも思えません。詳細はペーパーをご覧ください。

図5.1 年金・医療・介護全体における生涯純受給率

ということで、推計結果は上のグラフの通りであり、ペーパーの p.42 「図5.1 年金・医療・介護全体における生涯純受給率」を引用しています。結論は上に引用した(要約)の最後に下線を引いておいた通り、「社会保障を通じた世代間不均衡は無視できない大きさとなっている。」ということになります。なお、純受給率とは受給率から負担率を引いた差であり、マイナスは負担超過を示しています。コーホート別に見て、1955年生まれ以降は純受給はマイナス、すなわち、負担が受給を超過しています。さらに、この先2015年生まれのコーホートまで含めて、生年が後になり年齢が低いコーホートほど純受給率のマイナスが大きくなり、明確に、年齢の低いコーホートの負担が高齢コーホートの受給に移転される姿が描き出されています。
純受給率の分母は生涯賃金ですから、1985年以降生まれくらい、すなわち、20歳代半ばくらいまでの若年層は、何もしないでも10%超の生涯所得を社会保障負担として徴収されることになるわけです。基礎年金の国庫負担分は算入していないと明記してありますから、税金のほかに10%超の社会保障の純負担を強いられるわけで、5%ポイントほどの消費税率引上げに関する議論が霞んで見えるほどの負担率といえます。しかも、その上、グラフでも明らかな通り、純負担の大きな部分は年金から生じているわけですが、年金の大改革が決定された2004年時点では、現在の20歳代半ば以前の年齢層は選挙権すら持たなかった、ということになります。ほとんど何の議論もさせてもらえずに、もちろん、政策決定の基礎となる選挙権も与えられず、選挙権を有する年齢層から有無をいわせずに欠席裁判で将来負担を背負い込まされた、という感じなのかもしれません。サンデル教授にならって考えると、この世代間不公平は正義に外れるんではないかと見る人も少なくないでしょうし、エコノミスト的に考えると、ここまで将来世代に無理な負担を強いる現行の社会保障制度のサステイナビリティに疑問を感じる向きがあっても不思議ではない、ということになります。

何度か繰り返した主張ですが、これらの世代間不公平はシルバー・デモクラシーに起因することは明らかなものの、エコノミストを含めて科学的な論拠を示して議論することにより、日本国民は最終的に正しい結論に達する、と私は信じています。このペーパーは政府の推計をほぼ再現しており、逆にいえば、政府でもこのペーパーと同程度の結果を得ているわけです。社会保障の世代間不均衡については、いろんな情報を明らかにして議論を尽くす必要があります。

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2012年1月22日 (日)

チック・コリアのソロ・ピアノを聞いてオリジナルとスタンダードの違いについて考える

Chick Corea Solo Piano Originals & Standards

冷たい雨の日に家で音楽を聞いています。もっぱらジャズ・ピアノです。
今現在で私がもっとも評価するジャズ・ピアニストはチック・コリアとキース・ジャレットなんですが、前者のチック・コリアの2枚のソロ・ピアノのCDがあります。いずれも2000年に出されたんだと思います。Part One が Originals で Part Two が Standards と題されています。収録曲は以下の通りです。

  • Part One Originals
    1. Brasilia
    2. Yellow Nimbus
    3. Prelude #4, opus 11
    4. Prelude #2, opus 11
    5. Children's Song #6
    6. Children's Song #10
    7. Armando's Rhumba
    8. April Snow
    9. The Chase
    10. The Falcon
    11. Swedish Landscape
    12. Spain
    13. Children's Song #12
  • Part Two Standards
    1. Monk's Dream
    2. But Beautiful
    3. Blue Monk
    4. Ask Me Now
    5. Thinking of You
    6. Yesterdays
    7. Dusk in Sandi
    8. It Could Happen to You
    9. 'Round Midnight
    10. So in Love
    11. How Deep Is the Ocean
    12. Oblivion
    13. Brazil

どう考えても、慎み深くもチック・コリアがオリジナルの12曲目に入れている「スペイン」なんぞは、確かにチック・コリアの作曲になる作品ですが、すでにスタンダードになっているような気がしました。例えば、平原綾香さんの My Classics 2 には8曲目に「アランフエス協奏曲」から「スペイン」へのメドレーがあり、「スペイン」には歌詞をつけずに、見事なスキャットを披露しています。この曲なんかは「クラシック」というにはまだ時間が経っていないような気もしますが、十分に「スタンダード」なんではないかと思ってしまいました。
どうでもいいことですが、外国語のカタカナ表記で私の気にしている点をジャズに関連して2点だけ取り上げると、先にも書きましたが、私は「アランフエス協奏曲」と表記し、「エ」を小さな字にしないのが正しいと考えています。スペイン語では "Concierto de Aranjuez" ですから、分かる人には分かると思います。また、英語の "report" を私は日本語で「リポート」と表記するんですが、多数派は「レポート」ではないかと考えています。これは明らかに、ジョー・ザヴィヌルとウェイン・ショーターの双頭コンボであった "Weather Report" を日本語で「ウェザー・リポート」と広く表記することの影響だと思います。このジャズ・グループを日本語で「ウェザー・レポート」と表記しているのは、少なくとも私は見かけたことがありません。

後の方は話が逸れてしまいましたが、一応、「音楽鑑賞の日記」に分類しておきます。

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