2017年10月18日 (水)

日本経済研究センターによる温暖化ガス削減試算やいかに?

10月13日付けで、日本経済研究センターから「第4次産業革命の中の日本」と題して、温暖化ガス削減に関する試算が明らかにされています。試算結果のグラフを日本経済研究センターのサイトから引用すると以下の通りです。

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化石燃料価格が2050年度までに足元の6倍程度の1バレル当たり275ドルまで上昇すると、7割以上の削減も可能になる一方で、インフレ見合いの2%程度の上昇率で実質横ばいで推移すると、7割削減を目標とすると最低でも総額12兆円程度の環境税=炭素税が必要になる、と試算しています。2025年度以降にCCSによる二酸化炭素の回収・貯留が可能となるという前提ではありますが、第4次産業革命といわれる経済の情報化を進めるイノベーションを加速すれば、環境と経済、すなわち、地球温暖化防止と豊かな社会の実現の両立は十分に可能であると結論しています。

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2017年10月17日 (火)

CS第3戦は能見投手が初回にKOされて万事休す!!

  RHE
D e N A300300000 6100
阪  神000001000 180

クライマックス・シリーズ第3戦は初回に能見投手が崩れてKOされ万事休すでした。打線はウィーランド投手のカーブが最後まで打てませんでした。
ここ一番の勝負強さに欠ける阪神の実力が如実に現れた一戦となりました。どうせ勝っても広島にはかなうはずのないCSファーストステージでしたが、悔しい思いは選手とベンチとファンで共有された気がします。来シーズンこそ戦力を立て直して優勝目指して、打倒広島を胸にがんばって欲しいと思います。ファンのみなさまも、1年間の応援おつかれさまでした。

来季は優勝目指して、
がんばれタイガース!

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東京商工リサーチ「全国社長の出身大学」調査結果やいかに?

昨夜に続いて、旧聞に属する話題かもしれませんが、東京商工リサーチから10月10日付けで「全国社長の出身大学」調査の結果が明らかにされています。114万人超の卒業生を擁する日本大学が調査開始から7年連続でトップを守った一方で、都道府県別に詳しく見ると違った特徴もありました。すなわち、東日本が日本大学を中心になど東京や首都圏に所在する大学への一極集中が目立った一方で、西日本は地元や域内の大学が上位を占める場合も見受けられ、東西で異なる傾向が出ています。ということで、下のテーブルの画像は東京商工リサーチのサイトから引用しています。我が母校の京都大学は、どうしても卒業生数が不足しますので、とてもではないです、トップテンには入りません。

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なお、引用はしませんが、東京商工リサーチのサイトでは都道府県別の社長の最多出身大学のトップだけがテーブルに取りまとめられているんですが、西日本では国立大学をはじめとする地元大学が活躍しています。福岡県では福岡大学がトップですし、何と、中国地方5県、すなわち、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県ではそれぞれの県名を冠したを国立大学がトップとなっています。どうでもいいことながら、我が郷里の京都府では全国9位の同志社大学がトップだったりします。

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2017年10月16日 (月)

帝国データバンク「人口減少に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、帝国データバンクから10月6日付けで「人口減少に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。詳細なpdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 人口減少が与える影響について、「日本全体」では企業の90.2%、「自社の属する業界」では88.2%、「自社」では78.4%が「マイナスの影響がある」と認識
  2. 自社の経営における人口減少への捉え方について、「経営課題だが、それほど重要ではない」が39.2%、「重要な経営課題である」と考える企業は27.5%となり、3社に2社が経営課題として捉えている。他方、「経営課題ではない」は21.6%にとどまる
  3. 人口減少への対応策、「労働力人口の減少に対応した商品・サービスの開発・拡充」がトップ。次いで、「国内の店舗網・販売先等の拡大充実」が続く
  4. 人口減少への対応策を実施する際の阻害要因は、「人材確保」(72.5%)が突出して高く、以下、「販路拡大」(25.5%)、「他企業との連携」(21.6%)「外部の技術力の獲得」(19.6%)、「企画提案力の獲得」(17.6%)、「技術開発・研究開発」(13.7%)が続く

ということで、私の目から見て、どうして、あるいは、どのような観点から、人口減少が日本経済に問題なのか、という企業の意識は明らかにされていませんし、回答企業がわずかに51社ですので誤差がとてつもなく大きそうな気もしますが、それなりに興味深い調査ですので簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから 人口減少による影響 について、日本全体と業界と自社のそれぞれについて問うた結果です。プラスの影響は流石にゼロですし、圧倒的にマイナスの影響が指摘されているんですが、それでも、自社へのマイナスの影響は業界よりも小さく、業界のマイナスの影響は日本経済全体よりも小さい、と企業が考えている結果が明らかにされていると私は受け止めています。要するに、ヨソは大変だけど、我が社はそれほどでもない、ということなのかもしれません。

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次に、上のテーブルはリポートから 対応策実施の阻害要因 を引用しています。あくまで、対応策実施の阻害要因ですから、マイナスの影響とは異なるんですが、何がマイナスの影響の原因かが透けて見えるような気もします。というのは、圧倒的に人材確保が上げられており、2番めの販路拡大の3倍近い数字を示してます。すなわち、人口減少の問題は供給サイドであって、需要サイドではない、と企業が考えているような気がしてなりません。

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2017年10月15日 (日)

CS第2戦は雨中の大乱戦で7回に桑原投手が大きく崩れて横浜が逆王手!

  RHE
D e N A002020603 13211
阪  神021001200 6101

クライマックス・シリーズは勝利の方程式の桑原投手が7回に大きく崩れて、雨中の大乱戦で横浜が逆王手をかけました。執念のスクイズも実りませんでした。
かなり無理を押しての強行試合だった気がしますが、泥だらけになりながらの野球ですし、その上、メチャクチャに長い試合だったですから、高校野球でもここまでしないような気もします。負けて逆王手をかけられましたが、ケガがなくてよかった気もします。先発秋山投手をさっさと引っ込めたのは正解かもしれません。

第3戦は、
がんばれタイガース!

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映画「ドリーム」を見に行く!

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金曜日の雨から始まって、この週末はお天気がよくないような天気予報でしたので、この週末は室内競技を志向して、実は今日ではないんですが、NASAを舞台にして3人の黒人女性が活躍する映画「ドリーム」を見に行きました。とてもいい映画でした。
米国における黒人への人種差別を扱った映画としては、まさにモロの「ロング・ウォーク・ホーム」を見たことがあります。1955年のアラバマ州でのローザ・パークス事件とその後のバスのボイコットをテーマにしていました。ローザ・パークスにウーピー・ゴールドバーグが扮し、白人の女主人で黒人を支持するシシー・スペイセクがオスカーの助演女優賞を取ったと記憶しています。しかし、「ドリーム」ではモロの公民権運動ではなく、スプートニク・ショック後の米国の宇宙開発を支えるNASAに働く黒人女性3人が、自らの能力と度胸で周囲のサポートも得つつ差別を乗り越えていくところが感動的でした。特に、彼女たちは人種差別とともに、男女間の性差別もあったわけですし、アラフォーの黒人女性であるキャサリンが白人男性ばかりの職場や会議に乗り込んで、一瞬みんなが静まり返る、という場面が何回かありました。人工衛星の発射軌道や着水地点を計算するキャサリン、黒人女性の計算者集団を率い、後に彼女らとともにフォートランを勉強してIBM電算機を操るドロシー、白人に混じって勉強してNASA初めての黒人女性エンジニアとなるメアリー、そして、やや敵役っぽいドロシーの上司のミチェル、キャサリンの同僚のポール、逆に、彼女らを支えるハリソン本部長、加えて、実際に宇宙船に乗り込むジョン・グレン大佐がナイスガイです。いかにも、我々が想像する典型的な米国人であり、明るく前向きで、キャサリンの計算に全幅の信用を置きます。もちろん、NASAでのお仕事ばかりではなく、3人の女の子を残して亭主に先立たれたキャサリンの再婚のロマンスも進みます。舞台となる1961年にはすでにNASAにはトイレの有色人種と白人の差別はなかったとか、いろいろな批判も聞き及びますが、まあ、映画ですから多少の誇張やフィクションは混じります。それにしても、私は今年あまり映画を見ていないんですが、大当たりのとてもいい映画です。多くの方にオススメします。

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2017年10月14日 (土)

4番のホームランを完封リレーで守り切りCS先勝していきなり王手!

  RHE
D e N A000000000 041
阪  神00000200x 280

予想通りの先発で始まった投手戦のクライマックス・シリーズでしたが、4番福留選手のホームランを完封リレーで守り切って王手をかけました。
いかにもタイガースらしい勝ち方だった気がします。投手戦で始まったクライマックス・シリーズですが、6回に福留選手のツーランで先制し、中3日で先発したメッセンジャー投手から継投に入って、阪神自慢のリリーフ陣で完封リレーを完成させました。よく日程を把握していなかったので、8回からのテレビ観戦でした。第2戦はしっかり観戦したいと思います。

明日は雨かもしれませんが、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書から小説までいろいろ読んで計7冊!

今週の読書は、なかなかにして重厚な経済学及び国際政治学の古典的な名著をはじめとして、以下の通り計7冊です。がんばって読んでしまいました。

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まず、オリバー E. ウィリアムソン『ガバナンスの機構』(ミネルヴァ書房) です。著者はノーベル経済学賞を授与された世界でもトップクラスの経済学者であり、専門分野はコース教授らと同じ取引費用の経済学です。本書は、 『市場と企業組織』と『資本主義の経済制度』に続く3部作の3冊目の完結編であり、英語の原題は The Mechanism of Governance であり、邦訳書のタイトルはほぼ直訳です。原書は1998年の出版ですから、20年近くを経て邦訳されたことになります。本書の冒頭でも指摘されている通り、取引費用の経済学は広い意味での制度学派に属しており、その意味で、同じくノーベル経済学賞を受賞した経済史のノース教授らとも共通する部分があります。そして、いわゆる主流派の経済学の合理性では説明できないながら、広く経済活動で観察される事実を説明することを眼目としています。少なくとも、経済史における不均等な経済発展は主流派の超のつくような合理性を前提とすれば、まったく理解不能である点は明らかでしょう。その昔は、合理的な主流派経済学で説明できないような経済的活動については、独占とか、本書では指摘されていませんが、外部経済などに起因する例外的な現象であるとされていましたが、現在では、今年のノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授の専門分野である行動経済学や実験経済学にも見られるように、個人の合理性には限界があり、この限定合理性の元での現象であるとか、ウィリアムソン教授やコース教授の取引費用の観点から、一見して非合理的な経済活動も合理性あるとする見方が広がって来ています。ということで、本書では取引費用から始まって、ガバナンスについて論じているのはタイトルから容易に理解されるところです。しかしながら、本書のレベルは相当に高く、おそらく、大学院レベルのテキストであり、大学院のレベルにもよりますが、大学院博士後期課程で取り上げられても不思議ではないレベルです。それなりのお値段でボリュームもあり、そう多くはありませんが、モデルの展開に数式を用いている部分もあります。書店で手に取って立ち読みした後で、買うか買わないかを決めるべきですが、読まなくても書棚に飾っておく、という考え方も成り立ちそうな気がします。だたし、最終第14章はそれほど必要とも思いませんでした。

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次に、フィリップ・コトラー/ヘルマワン・カルタジャヤ/イワン・セティアワン『コトラーのマーケティング 4.0』(朝日新聞出版) です。著者のうちのコトラー教授はノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院の研究者であり、私でも知っているほどのマーケティング論の権威です。英語の原題は Marketing 4.0 であり、邦訳のタイトルはほぼそのままです。今年2017年の出版です。私は専門外なので知らなかったんですが、コトラー教授によれば、マーケティング1.0は製造者の生産主導のマーケティングであり、2.0は顧客中心、3.0は人間中心とマーケティングが進歩して来て、本書で論じられる4.0はデジタル経済におけるマーケティングです。ただし、本書でも明記されている通り、従来からの伝統的なマーケティングが消滅するわけではなく、併存するという考えのようです。もちろん、インターネットの発達とそれへのアクセスの拡大、さらに、情報を受け取るだけでなく発信する消費者の割合の飛躍的増大からマーケティング4.0への進歩が跡付けられています。といっても、私の想像ですが、おそらく、グーテンベルクの活版印刷が登場した際も、あるいは、ラジオやテレビが普及した際も、それをマーケティングと呼ぶかどうかはともかくとして、こういった新たなメディアの登場や普及によりマーケティングが大きく変化したんではないかという気がします。基本的に、経済学では市場とは情報に基づいて商品やサービスが取引される場であると理解されており、その意味で、市場で利用可能な情報が多ければ多いほど市場は効率的になるような気がします。ただ、それに関して2点だけ本書を離れて私の感想を書き留めれば、まず、本書では注目されていないフェイク・ニュースの問題があります。消費者のレビューにこれを当てはめれば、日本語でいうところの「やらせ」になり、いくつか問題が生じたことは記憶に新しいところです。こういったフェイクな情報とマーケティングの関係はどうなっているのでしょうか。フェイクな情報は市場の中で自然と淘汰されるのか、そうでないのか。私はとても気にかかります。こういったコトラー教授なんかの権威筋のマーケティング論の本を読むにつけ、今年のノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授らの行動経済学や行動経済学における意思決定論は、おそらく、企業が市場でしのぎを削っているマーケティングにはかなわないような気がします。理論的な実験経済学や行動経済学よりも、理論化はされていないかもしれませんが、市場の場で鍛えられた実践的なマーケティングの方が、よっぽど的確に選択や意思決定を明らかにしているような気がします。いかがでしょうか。

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次に、フランソワ・シェネ『不当な債務』(作品社) です。著者はフランスのパリ第13大学の研究者であり、同時に、社会活動にも積極的に取り組み、近年では反資本主義新党NPAの活動に携わり、トービン税の実現を求める社会運動団体ATTACの学術顧問も務めているそうです。フランス語の原題は Les Dettes Illégitimes であり、邦訳のタイトルはほぼそのままです。2011年の出版です。ということで、私の目から見て、フランス国内で主流のマルクス主義経済学的な観点である蓄積論からの債務へのアプローチであり、同時に、ケインズ経済学的な観点も取り入れて、マイクロな経済主体の経済活動をマクロ経済への拡張ないしアグリゲートする際の合成の誤謬についても債務問題に適応しています。特に、この観点を日本経済に当てはめる場合、資本蓄積が先進諸国の中でももっともブルータル、というか、プリミティブに実行されており、かなりあからさまな賃金引き下げ、あるいは、よりソフィスティケートされた形である非正規雇用の拡大という形で、先進国の中でも特に労働分配率の低下が激しく、その分が実に合理的に資本蓄積に回されているわけです。最近時点での企業活動の活発さと家計部門の消費の落ち込みを対比させるまでもありません。その上で、かつての高度成長期から現在まで、債務構造が大きく変化してきているわけです。別の経済学的な用語を用いると貯蓄投資バランスということになりますが、高度成長期や、そこまでさかのぼらないまでも、バブル経済前で日本経済が健全だったころは、家計が貯蓄超過主体であり、家計の貯蓄を企業の投資の回していたわけですが、現在では、「無借金経営」の名の下に、企業はむしろ貯蓄超過主体となっており、一昔前でいえば月賦、現在ではローンを組んで、あるいは、クレジットカードによる支払いで、家計が債務を負った形での消費が進んでいるわけです。教育すら奨学金という過大な債務を学生に負わせる形になって、卒業後の雇用に歪みを生じていることは明らかです。加えて、政府債務についても、銀行やその他の金融機関、あるいは、民間企業を救済するための債務を生じている場合が多いのも事実です。こういった債務をいかにして解消するか、貯蓄と債務のあり方について、資本蓄積の過程から分析しています。かなり抽象度が高くて難しいです。私は一応、京都大学経済学部の学生だったころに『資本論』全3巻を読んでいますが、それでも、理解がはかどらない部分が少なくありませんでした。

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次に、秋元千明『戦略の地政学』(ウェッジ) です。著者は長らくNHKをホームグラウンドとして活動してきたジャーナリストです。アカデミックなバックグラウンドは明確ではありませんが、実際の外交や安全保障に関する情報には強いのかもしれません。本書では、最初の方で歴史的な戦略論、すなわち、マッキンダーのランドパワーとシーパワーの特徴やハートランドの重要性の強調、さらに、スパイクマンのリムランドからハートランドを取り囲む戦略論、マハンのシーパワー重視の戦略論、ナチスの戦略論を支えたハウスホファーなどなど、まったく専門外の私でも少しくらいなら聞いたことがあると感じさせるような導入を経て、最近の世界情勢を地政学的な観点から著者なりに解釈を試みようとしています。その基本的な考え方は、日本はシーパワーの国であり、その点から米英と連合を組み、特に、米国と同盟関係にあるのは安全保障の観点からは理由のあることである、ということについては、本書の著者以外も合意できる点かもしれません。その上で、第8章冒頭にあるように、著者は現在の安倍政権を安全保障に関する考え方が地政学に立脚しているとして大いに評価しています。吉田ドクトリンとして米国に安全保障政策を委ねて、日本は経済復興に重点を置く、という戦後の基本路線を敷いた吉田総理以来の地政学的な基本を共有していると指摘しています。その上で、やや外交辞令にようにも聞こえますが、米国をハブにしつつ、大昔のように日英同盟も模索するような視点も見られます。ただ、本書では明確に指摘していませんが、民主党政権下で米国との同盟重視から中国に方向を変更しようと模索した挙句、結局、虻蜂取らずというか、中国も袖にしてメチャクチャな反日暴動や日中対立の激化を招いた経験から、羹に懲りて膾を吹くような態度は判らないでもないものの、米国が世界の警察官を降りる現状では視点を大きく変えて、米国との同盟をチャラにする仮定での我が国の安全保障政策も、あるいは、そろそろ考える段階に達したのかもしれません。もちろん、その場合は、米国に指揮権を委ねている自衛隊の軍事行動の自律性というものも考慮する必要があります。私は専門外のシロートですので簡単にいってのけてしまうんですが、難しい問題なのかもしれません。

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次に、佐藤究『Ank: a mirroring ape』(講談社) です。私はこの作者の作品読んだのは、前作の江戸川乱歩賞受賞作『QJKJQ』が初めてで、この作品が2作目なんですが、当然の進歩がうかがえて、この作品の方が面白く読めました。前作はデニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』の焼き直しのような気がして、どうも、オリジナリティが感じられなかったものの、本作は、おそらく、パニック小説に分類されて、高嶋哲夫の作品などと並べて評価されるような気がしますが、作品の出来としてはともかく、オリジナリティにあふれていたような気がします。以下、ネタバレを含みます。未読の方は自己責任でお願いします。ということで、要するに、アフリカで保護されたチンパンジーが「京都ムーンウォッチャーズ・プロジェクト」、通称KMWPなる霊長類の研究所、これは我が母校の京大の霊長類研究所とは違って、天才的なAIの研究家で大富豪となったシンガポール人によって設立された民間の研究機関ですが、そのKMWPに収容され、ふとしたきっかけで警告音を発してしまい、その警告音がヒトを含む霊長類を同種の生物の殺戮へと向かわせる、というものです。ただ、主人公の霊長類研究者とキーパーソンの1人であるシャガという若者など、鏡像認識の特殊な要因により軽微な影響もしくはほとんど影響を受けないヒトもおり、主人公がそのチンパンジーを始末する、というものです。警告音に対する遺伝子的な対応の違い、鏡像認識と警告音によって引き起こされるパニック現象との関係、さらに、シンガポール人大富豪がAI研究を手終いして霊長類研究に乗り換えた理由、などなど、とてもプロットがよく考えられている上に、タイトルとなっているankと名付けられたチンパンジーの警告音が引き起こすパニックの描写がとても印象的かつリアルで、さすがに作者の筆力をうかがわせる作品です。舞台を京都に設定したのも、霊長類研究とパニックが生じた際の人口や街の規模、さらには、外国人観光客の存在などの観点から、とても適切だった気がします。ただ、難点をいえば、現在から約10年後の2026年10月に舞台が設定されているんですが、AIとか霊長類研究とかの、かなりの程度に最新の科学研究を盛り込みながら、ソマートフォンとか、SNSとか、動画のアップロードとか、現状の技術水準からまったく進歩していないような気もします。このあたりは作者の科学的な素養にもよりますし、限界かもしれませんが、ここまで進歩内なら現時点の2017年でいいんじゃないの、という気もします。でもいずれにせよ、この作者の次の作品が楽しみです。

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最後に、サミュエル・ハンチントン『文明の衝突』上下(集英社文庫) です。著者は米国を代表する国際政治学者だった研究者であり、2008年に亡くなっています。英語の原題は The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order であり、邦訳タイトルは必ずしも正確ではなく、原題の前半部分だけを抜き出している印象です。英語の原点も邦訳もいずれも1998年の出版です。何を思ったか、集英社文庫から今年2017年8月に文庫版として出版されましたので、私は初めて読んでみました。よく知られた通り、第2章で文明を8つにカテゴライズしています。すなわち、中華文明、日本文明、ヒンドゥー文明、イスラム文明、西欧文明、東方正教会文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明です。その上で、これらの文明と文明が接する断層線=フォルト・ラインでの紛争が激化しやすいと指摘しています。さらに、1998年の出版ですから冷戦はとっくに終わっており、以前は脅威とされていた共産主義勢力の次に出現した新たな世界秩序において、もっとも深刻な脅威は主要文明の相互作用によって引き起こされる文明の衝突である、と結論しています。このあたりまでは、あまりにも有名な本ですので、読まなくても知っている人も少なくないような気がします。もちろん、西欧文明=西洋文明中心の分析なんですが、エコノミストとしては西洋文明が覇権を握ったバックグラウンドとしての産業革命をまったく無視しているのが最大の難点のひとつだろうと感じています。専門外であるエコノミストの私ごときがこの個人ブログという貧弱なメディアで語るのはこれくらいにして、あとは、もっと著名な評論やサイトがいっぱいありますから、google ででも検索することをオススメします。何よりも、実際に読んでみるのが一番のような気もします。

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2017年10月13日 (金)

ダイヤモンド・オンラインによる「全国自治体30代未婚率ランキング」やいかに?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、10月10日付けでダイヤモンド・オンラインから「全国自治体30代未婚率ランキング」が明らかにされています。上位の各自治体は上の画像の通りです。
未婚率が高いケースにはいくつかのパターンがあるということで、ダイヤモンド・オンラインのサイトから要約すると、第1には何かにつけて「ヨメ捜し」が話題になる農家はじめ第1次産業の従事者が多い街ということで、上のテーブルでは7位の三浦市、8位の常陸太田市、9位の八街市、10位の稲敷市、11位の山武市などで、いずれも農業従事者が10%近いと指摘されています。そして第2に京都市の東山区・中京区・上京区、札幌市中央区、名古屋市中区、福岡市中央区など政令市の中心部にある都市であり、就職で周辺の街、時には県境を超えて多くの20歳代前半の女性が移り住むことにより、30歳代の未婚女性の数が男性を上回って男女の比率がアンバランスになっています。
最近の合計特殊出生率は最低だった2005年の1.26より徐々に回復傾向にあるとはいえ、まだまだ低い状態が続いており、少子化に歯止めをかけるためには20歳代から30歳代の男女が子供を産むのに不安を持たない環境が重要です。現在の総選挙でも、いろんな対策が各政党の公約に盛り込まれているところ、果たしてどうなりますことやら?

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2017年10月12日 (木)

企業物価(PPI)上昇率は順調にプラス幅を拡大!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+3.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 8年11カ月ぶり伸び率
日銀が12日発表した9月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は99.0で前年同月比で3.0%上昇した。上昇は9カ月連続となる。上昇率は8月の2.9%から拡大し、消費増税の影響を除くと08年10月(4.5%)以来8年11カ月ぶりの大きさとなった。世界経済の回復を背景にした原油や銅など国際商品市況の持ち直しを受けて石油・石炭製品や電力・都市ガス・水道の価格が上昇した。
前月比では0.2%の上昇だった。石油・石炭製品のほか、銅の国際価格が上昇した影響で銅地金や通信用メタルケーブルといった非鉄金属製品も値上がりした。
円ベースでの輸出物価は前年比で9.4%上昇し、13年12月(12.7%)以来の高い伸びとなった。前月比では1.1%上昇と2カ月ぶりにプラスに転じた。米南部を襲ったハリケーンの影響による供給懸念からポリウレタンの原料など化学製品が値上がりした。輸入物価は前年比13.5%上昇し、伸び率は13年12月(17.8%)以来の大きさとなった。前月比では1.8%の上昇だった。原油価格の上昇が影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは374品目、下落したのは268品目だった。上昇と下落の品目差は106品目と8月の確報値(109品目)から3品目減った。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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PPIのヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率がプラスに転じたのが今年2017年1月統計でしたが、2017年1月の+0.5%から急速にプラス幅を拡大し、10か月足らずで+3.0%に達しています。季節調整していない原系列の指数ですが、国内物価指数の前月比も昨年2016年9月からプラスに転じ、直近9月まで13か月連続で前月比プラスを記録しています。基本的には、国際商品市況における商品価格の上昇、特に、石油価格の上昇による物価押し上げ効果があるわけですが、逆に、こういった商品市況の上昇の背景には新興国を含む世界経済の回復や拡大、昨日取り上げた国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」の用語を借りれば upswing があるわけで、我が国も含めて世界経済全体でデフレを克服して成長軌道を取り戻すパスに乗っていると考えてもいいのかもしれません。

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«IMF「世界経済見通し」World Economic Outlook 見通し編を読む!