2017年7月26日 (水)

9回の反撃及ばず横浜に連敗して3位転落!

  RHE
横  浜030010020 6110
阪  神000010211 591

昨夜は投手陣の好投に援護なく、今夜は得点しても投手陣が崩れ、いずれにせよ、投打がかみ合わず横浜に連敗して3位転落でした。
今夜は9回の反撃で盛り上がりましたし、確かに、ロジャース選手の加入で得点力アップは実感したんですが、当面の敵である横浜との勝負どころに弱くて負け続けては、どうにもなりません。先発小野投手の2回の3失点が重かった気もします。

まだまだ続く消化試合も、
がんばれタイガース!

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企業向けサービス物価(SPPI)は6月統計でも引き続き堅調にプラス圏内で推移!

本日、日銀から6月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPI上昇率は+0.8%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.7%と、前月からほとんど変化なく、引き続き、+1%を少し下回るプラス圏内で推移しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 はがきの値上げで
日銀が26日に発表した6月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.8%上昇した。前年比での上昇は48カ月連続。上昇率は5カ月連続で横ばいで、前月比では0.1%下落した。はがきの値上げを受けて運輸・郵便価格が上昇し、指数全体を押し上げた。
はがきは日本郵便が6月1日に郵便料金を52円から62円に10円値上げした影響が出た。値上げの背景には人手不足による人件費の上昇や郵便物の減少がある。
一方で、宿泊サービス価格は上昇幅を縮小した。インバウンド(訪日外国人)需要は好調だが、全国的なホテルの建設ラッシュや近畿地方での民泊利用の増加といった供給要因が価格を押し下げた。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象の147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは81品目、下落は30品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は51品目で、5月の確報値(48品目)から3品目拡大した。
日銀によると「人手不足による人件費の上昇を価格に転嫁する動きが今後も出てくるかを注視したい」(調査統計局)という。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフからは判りにくいかもしれませんが、ヘッドラインのSPPIの前年同月比上昇率は今年2017年2月から直近統計の6月まで、ほぼ半年近くに渡って+0.8%を続けています。日銀の物価目標が生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)で+2%ですから、これに比較してかなり上昇率が足りないような印象を受けるんですが、エコノミストの間ではそうは考えられていません。SPPI上昇率の+0.8%というのはかなり高い、というのが私を含めた多くのエコノミストの受け止めではないかと思います。すなわち、原辞の2010年基準のSPPIが利用可能なのはバブル経済直前の1985年からなのですが、消費税率が引き上げられた1997年度や2014年度を例外とすれば、ヘッドラインのSPPI上昇率が+0.8%を超えていたのはバブル経済崩壊直後の1993年3月までさかのぼらねばなりません。ですから、ここ数か月のヘッドラインSPPI上昇率はほぼ四半世紀振りの高さであるといっても過言ではありません。この+1%を少し下回るSPPI上昇率に対して、企業物価(PPI)のヘッドラインである国内物価は現状では約+2%なわけで、CPI換算ではまだ時間がかかるとはいえ、日銀物価目標に着実に近づいているというのが、私の感想です。先行きについては、サービス物価ですから、国際商品市況における石油価格よりもひょっとしたら為替の影響の方が大きいかもしれませんが、国内の人手不足を背景に、引き続き堅調に推移すると私は見込んでいます。先の7月の「展望リポート」で物価目標達成が先送りされましたが、少なくとも方向としては、物価を目標とした現在の日銀金融政策は間違っているわけではない、と考えるべきです。

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2017年7月25日 (火)

わずか2安打で先発岩貞投手を援護できず横浜に完敗!

  RHE
横  浜000000100 141
阪  神000000000 020

打線が援護できず、岩貞投手が筒香選手の一発に沈み横浜に完敗でした。
スコアからは投手戦といえますし、実際にそうだったんですが、実際には点差以上の差があったように感じました。これで、横浜と同率2位となりました。もはや、当面の敵は広島ではなく横浜か?

まだまだ続く消化試合も、
がんばれタイガース!

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日経BP社「第18回環境ブランド調査」の結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、7月13日付けで日経BP社から「第18回環境ブランド調査」の結果が明らかにされています。主要560企業ブランドにつき、全国の消費者2万300人から環境ブランド指数を構成する4つの指標「環境情報接触度」、「環境コミュニケーション」、「環境イメージ」、「環境評価」の結果を得て指数化しています。昨年トップのトヨタ自動車から、今年はサントリーは首位を奪回しています。なお、サントリーは2011~15年まで5年連続でトップでした。100位までのランキングは以下の通りです。

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私の直観的な理解ながら、上位には食料や飲料、自動車、総合小売り業などが入っているようです。消費者を対象にしたアンケート調査結果ですから、当然ながら、BtoBの企業はいていません。高炉を持っているような製鉄会社、エチレン・プラントを主力とするような化学会社などです。そういったところこそ環境に対する負荷、特にCO2排出などが大きそうな気がするんですが、いかがなものでしょうか。それとも、環境ブランドとしては下位に沈んでいるんでしょうか?

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2017年7月24日 (月)

IMF「世界経済見通し改定」やいかに?

本日、クアラルンプール時間の午前11時に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update, July 2017 が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は今年2017年が+3.5%、来年2018年が+3.6%とともに4月時点から据え置かれています。

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まず、IMFのサイトから世界経済の成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。4月の「世界経済見通し」World Economic Outlook から大きな変更はありませんが、米国の成長率は2017年+2.3%から+2.1%に、2018年+2.5%から+2.1%に、それぞれ下方修正されています。どうしてかというと、財政政策が先に想定していたほど拡張的ではない "fiscal policy will be less expansionary than previously assumed" ということだそうです。他方、国別の数字は上げませんが、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどの多くのユーロ圏諸国の成長率は2017年の成長予測が上方修正されています。2017年1-3月期の成長率が予想以上に良好で、想定よりも強い国内需要のモメンタムが示されていると指摘されています。私のややひねくれた見方を示せば、フランス大統領選挙でのEU支持派の勝利という政治的な動向も影響しているんではないか、という気がしています。そして、我が日本については、2017年の成長見通しがやはり+0.1%ポイント上方修正されて+1.3%と見込まれており、来年2018年は4月時点の見通しから変わらず+0.6%で据え置かれています。なお、2018年の成長率見通しが2017年から大きく縮小するのは、2017年の成長率が過去にさかのぼった統計の見直し "a comprehensive revision of the national accounts" によるものであると、4月の「世界経済見通し」に明記されている通りです。ですから、ゼロ・パーセント台半ばが我が国の成長率の実力というか、潜在成長率であると考えるべきです。中国などの新興国についても4月時点から大きな変更はありません。
最後に、先行きリスクについては、短期的なリスクは概ね均衡状態にある一方で、中期的には依然として下振れリスクに傾いている "Short-term risks are broadly balanced, but medium-term risks are still skewed to the downside." と指摘しています。また、私の解釈としては、主として米国の金融引き締めの影響についてだろうと思うんですが、世界的な金融引き締めが予期していたよりも急速に行われたり、先進国・地域が保護主義へとシフトしたりした場合は、新興国市場からの資本流出が再び加速することになる "a shift toward protectionism in advanced economies could reignite capital outflow pressures from emerging market" リスクも指摘しています。

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2017年7月23日 (日)

先発メッセンジャー投手の豪打と好投でヤクルトに完勝!

  RHE
阪  神001000400 5100
ヤクルト000000000 061

先発メッセンジャー投手の先制ホームランと好投でヤクルトに完勝でした。
中盤までは、相変わらず打てない打線だったんですが、7回ラッキーセブンに中谷選手のホームランが飛び出し、梅野捕手のセーフティ・スクイズもお見事で、さらに、上本選手のダメ押しスリーベースも快心の当たりだったように見受けられました。投手陣は8回まで零封のメッセンジャー投手をクローザーのドリス投手がつないで、東京ヤクルトに完封勝ちでした。

まだまだ続く消化試合も、
がんばれタイガース!

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2017年7月22日 (土)

わずかに4安打でヤクルトの連敗脱出を大いにアシスト!

  RHE
阪  神020000000 240
ヤクルト22000200x 671

序盤から能見投手が失点を重ね、ヤクルトの連敗脱出をアシストしてしまいました。
相変わらず、バントも出来ず、得点機に弱い打線、さらに、能見投手はそろそろ限界ですかね。ここまで勝てないともう復活はないかもしれません。それにつけても、早くも7月にして消化試合ですからのんびりしたもんです。

明日のナイターものんびりと、
がんばれタイガース!

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今週の読書はかなり経済書があって計6冊!

今週の読書は経済書もタップリと計6冊。以下の通りです。

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まず、藤井聡『プライマリー・バランス亡国論』(育鵬社) です。著者は都市社会工学専攻の京都大学教授ですが、現在は内閣官房参与として、ご専門の防災・減災ニューディール担当だけでなく、幅広く公共政策に関して現在の安倍内閣をサポートしているようです。本書ではタイトル通り、財政政策から幅広く経済ア制作一般について取り上げ、特に、基礎的財政収支=プライマリー・バランス(PB)を2020年度に黒字化との財政政策目標について、この目標は2010年の民主党政権の菅内閣のころのものであり、過度に財政を黒字化することから日本経済にはマイナスであり、もちろん、デフレ脱却にも逆行し、財政再建の目標と相反して、財政赤字を増加させかねないと主張しています。リフレ派のエコノミストである私の考えともかなりの程度に一致しており、実際に、民主党政権下で与野党合意した10%への消費税率引き上げについては、第2段階目の10%への引き上げが何度か先送りされたものの、第1段階での2014年4月時点での8%への引き上げで大きなダメージがあり、まだ消費が消費税引き上げ前の状態に戻っていないのも事実です。もちろん、放漫財政に堕することは避けねばならないとしても、現時点で、日銀の異次元緩和の下で量的緩和のために国債が大量に日銀に市場で買い上げられている状況では、我が国政府債務のサステイナビリティには特に問題もなく、過剰に消費税率を引き上げてまで財政再建に取り組むのは行き過ぎであり、従って、フローとしてのプライマリー・バランスの黒字化ではなく、ストックとしての政府債務残高のGDP比を安定させることをもって政府目標とすべき、というのは本書の主張です。ついでに、企業や政府の債務によって経済が成長する、とも主張されています。まったく私のその通りだと考えます。私の基本的な経済政策スタンスとして、ほぼほぼ100%本書の趣旨に賛同する、という前提の下で、いくつか指摘しておきたい点があります。というのは、第1に、1947年の第1回経済白書で「家計も企業も政府も赤字」という有名な表現がありますが、マクロ経済学的に家計部門、企業部門、政府部門、海外部門の4セクターの貯蓄投資バランスを純計するとゼロになります。データの制約がなければ、世界各国の貿易収支の純計がゼロになるのと同じ理屈です。ですから、政府や企業が債務を発生させて投資を行い、経済を成長させるためには何らかの貯蓄の原資が必要になります。第2に、私もその昔に大学の教員で出向していた際に、財政の持続可能性に関する紀要論文を取りまとめ、政府の目標とすべきはフローの財政バランス化、あるいは、ストックの政府債務残高か、と考えを巡らせましたが、やはり、ストックの政府債務残高の方が内生性が高く、すなわち、政府が政策変数として操作できるのはフローの財政バランスであって、その結果としてストックの政府債務残高が内生的に決まる、としか考えようがありませんでした。まあ、金融政策では、通常の場合、オペレーションを操作して金利を目標にするわけですから、本書のように内生性が高くても政府債務残高を目標にすべきという議論は十分に成り立ちますが、まずは、毎年の予算における財政バランスに目が行くのもあり得ることだという気はします。

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次に、田代毅『日本経済 最後の戦略』(日本経済新聞出版) です。著者はよく判らないんですが、経産研の研究者ということのようです。博士号の学位は取得していないのでポスドクでもなさそうですし、大学の教員でもないようです。よく判りません。とはいうものの、本書の主張もかなり幅広いものの、現在の政府の経済政策を多くの点でサポートしている分析を展開しています。特に、浜田教授がシムズ論文に触発されて、デフレ脱却における財政政策の役割を主張し始めていますが、本書の著者は明確に物価水準の財政理論 (Fiscal Theory of Price Level, FTPL)を支持しています。ただ、私も本書のタイトルにひかれて読み始めましたが、実は、日本経済の現在のパフォーマンスの低さは政府債務の累積から生じていると、私の目からは論証希薄でアプリオリに前提した上で、いかに債務の負担を軽減するか、というお話に終始しているようです。債務以外の成長論や金融財政政策以外の幅広い経済政策を取り上げているわけではありません。逆に、債務の重責からの脱却についてはとても幅広く考察を巡らせています。例えば、金融抑圧、資産課税、民営化などの政府資産売却、デフォルトや債務再編、インフレなど、普段あまりメディアや学界などでは議論されない選択肢があることを提示しています。官庁エコノミストとしては、実際の政策としては、手を付けにくい選択肢であるといわざるを得ません。また、ほぼ政府債務だけを成長の阻害要因としていますので、それ以外の人口動態とか通商政策などには目が向けられていません。ですから、第6章の財政余地の使い道などについても明確ではなく、子育てや少子化対策、あるいは、家族の支援などの高齢者への社会保障ではない社会保障、あるいは、インフラ整備などへの使途が考えられるんですが、そのあたりの分析は物足りないものがあります。また、債務危機に関してギリシアが何度か取り上げられていますが、私は内国通貨で発行されている国債については、日本の場合はサステイナビリティにはほとんど問題ない、と認識していますので、やや的外れな印象もありました。ただ、経済成長と財政再建はトレードオフではないと主張し、タブーを恐れず、あらゆる政策手段・目標を総動員して長期停滞から脱出すべく、クルーグマン教授の用語でいえば「脱出速度」を上げ、同時に、債務問題を解決するための手立てを探るという知的な取り組みはなかなかのものがあります。債務整理以外の問題が何も取り上げられていないのはやや物足りませんし、結論がややありきたりかもしれませんが、それなりにあらゆる選択をを考慮する頭の体操にはよさそうな気がします。繰り返しになりますが、官庁エコノミストには議論すらムリそうな主張も数多く含まれています。

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次に、 谷口明丈・須藤功[編]『現代アメリカ経済史』(有斐閣) です。アメリカ経済史学会のメンバー17人が序章と終章を除く17章のチャプターごとに執筆した本です。タイトルそのまんまなんですが、副題は『「問題大国」の出現』とされています。17章をズラズラと並べるわけにもいきませんから、4部構成となっていて、第1部 経済と経済政策、第2部 金融市場と金融政策、第3部 企業と経営、第4部 社会保障・労働と経済思想、となっているんですが、最後の第17章のように、苦しい配置になっているチャプターもあります。年代の範囲は1929年の大恐慌やニュー・ディールあたりから、2008年のリーマン・ショックまでをカバーしています。ハッキリいって、チャプターごとに精粗まちまちで、マルクス『資本論』やレーニン『帝国主義論』が参考文献に出るようなチャプターもあれば、歴史かどうか疑わしい、例えば、第17章などもあります。チャプターごとに読者の方でも参考になったり、興味を持てたりするかしないか、いろいろとありなんだろうと思いますので、私のようにそれなりの時間をかけて通して読むというよりも、ひょっとしたら、興味あるチャプターを拾い読みするべきなのかもしれません。なお、私の場合、第1部では反トラスト政策の変遷が興味ありましたが、スタンダード・オイルの成立などを考えると、1929年からではなく1880年ころから追って欲しかった気もします。第2部の金融は概ね出来がよかったです。第3部はともかく、第4部は経済史のカテゴリーに収まり切らない気もしましたが、現在の米国の経済的な格差を考えると、もっと注目していい分野かもしれません。伝統的なマルクス主義的経済史の考えによれば、原始共産制から始まって、古典古代の奴隷制、中世の農奴制、そして、近代以降のブルジョワ資本主義から、革命があるとすれば、社会主義や共産主義に歴史は進むんでしょうが、米国の場合は、おそらく、近代資本主義からいきなり始まるんではないかという気がします。最後に、経済史の範疇ではありませんが、教育についてはもっと掘り下げた歴史的な分析が欲しい気がします。500ページを超えるボリュームで、さすがの私も読み切るのにかなり時間がかかってしまいました。ただ、悲しいながら、ノートを取りながらていねいに読むタイプの学術書ではありません。これも、ハッキリいって、学術書としての出来はそれほどオススメ出来ません。

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次に、小林由美『超一極集中社会アメリカの暴走』(新潮社) です。著者はよく判らないながら、金融機関でエコノミストをしていたようです。もう定年近い私よりもさらに年長の方のようです。10年ほど前に『超・格差社会アメリカの真実』というタイトルの本も出版されているようですから、米国における格差について長らく着目されているようです。ただ、経済学的な鋭い分析はありませんので、一般読者には判りやすい可能性がある一方で、例えば、エコノミストの目から見たりすれば、ややデータに基づく検証が少なくて情緒的な印象が残るかもしれません。出だしが、「0.1%」対「99.9%」ですから、ウォール街を占拠せよのオキュパイ運動の1%をさらに情緒的に細かくした印象を私は持ちました。こういった経済学的ではなく、単なる表現上の強調には私は感心しません。現在の米国で所得や富が一極集中しているのは、エコノミストでなくてもかなり多くの人々がすでに知っている、というか、少なくとも日本人でも知識としてはあるわけですから、本書のようにその実態を伝えないのであれば、著者のようにメディアから知ることのできる一般論を羅列するのではなく、ジャーナリスト的にもっと取材に基づく確固たる事実を、たとえバイアスがあったとしても、もっと個別の事実を集めるべきだったような気がします。昨年お米国大統領選挙で、あるいは、民主党の予備選挙でサンダース候補があそこまで食い下がった要因、そして、何よりもトランプ米国大統領が当選した背景など、格差とどのような関係にあり、本書のチャプターのタイトルを用いれば、ウォールストリートの強欲資本主義、あるいは、シリコンバレーの技術革新、などなどとどのような関係を見極めるべきか、知りたいところです。私自身は本書の著者の主張と相通ずるところがあり、現在の米国の混乱や不安定、典型的にはトランプ大統領誕生を支えた移民に対する排斥感情など、こういった考えは現在までの政治の怠慢、ないし、不作為から生じており、政治がキチンと向き合えば、そして、政府が適切な政策を採用すれば、完全なる解決とまではいわないにしても、それなりの緩和措置は可能なハズだと、本書の後半の底流をなしていますし、私もそう考えています。しかし、現時点では、英国がEU脱退を国民投票で決めたり、米国にトランプ大統領が誕生した一方で、フランスのマカロン大統領の当選のように、ポピュリズム一色で反民主主義的な傾向が一直線に進むわけではありません。米国だけを見ていれば、本書のように「メガトレンド」と感じてしまうのかもしれませんが、まだまだ先進国の中にも捨てたものじゃない国は残っています。

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次に、野中郁次郎『知的機動力の本質』(中央公論新社) です。著者は、旧日本軍の敗因を分析したベストセラーである『失敗の本質』の著者の1人であり、一橋大学の名誉教授です。本書は中公新書で出版された『アメリカ海兵隊』の続編だそうですが、私は余りにも専門外なので読んでいません。ということで、タイトルがとても魅力的だったので借りて読みましたが、要するに、米国海兵隊の提灯持ちをしているだけのような気がします。米国海兵隊のどこが知的であり、どこが機動的なのかはまったく理解できませんでしたし、当然、知的であったり、機動的であったりする要因も見当たりませんでした。まあ、米国海兵隊が世界水準からみても最強の軍隊のひとつである点は、専門外の私でもほのかに理解できる気がしますし、その強さについて歴史的な観点も含めた分析も有益かもしれませんが、これが我が国の企業経営に役立つ、米国海兵隊が我が国企業のロールモデルになる、とは私のようなシロートからは考えられません。せいぜいが、精神論的な役割くらいではないでしょうか。まずもって、私が奇異に感じるのは米国海兵隊というのは戦闘や武力行使を行う集団であって、政治や外交の一部としての戦争を行う集団ではない、と私は考えています。シビリアン・コントロールを持ち出すまでもなく、クレマンソーではないですが、「戦争は将軍に委ねるにはあまりに重大な問題だ」ということであり、戦争を遂行するのはあくまで政治家であり、戦争の中の戦闘行為を行うのが軍隊である、と私は考えています。そういった観点は本書にはまったく見られません。逆に、とぼけたことに、消防士がいるから火事があるのではないとうそぶいていますが、戦争は軍隊があるから誘発される場合があり、なぜなら、戦争は単なる戦闘行為ではなく、武力をもって行う政治や外交の延長だからです。繰り返しですが、米国海兵隊が最強の軍隊のひとつである認めるにやぶさかではないものの、知的であるのは戦闘行為の基になる戦争を遂行する政治や外交レベルが知的なのだからであり、機動的なのは先進工業国である米国の製造業が軍隊を機動的に運送する手段を提供するからです。いずれも米国海兵隊に付属する特徴かもしれませんが、本書のように米国海兵隊を政治や外交、あるいは、国内産業から切り離して論ずるのは意味がないと私は考えています。昨日金曜日夜の時点でアマゾンの書評も意見が分かれており、星5ツが2人、途中がなくて、星1ツが1人です。私は星1ツの書評に同意する部分が多いような気がします。

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最後に、荒居蘭ほか『ショートショートの宝箱』(光文社文庫) です。30のショートショートが収録されています。作者もほぼほぼシロートに近い駆け出し作家から、それなりに名の知れた小説家まで、とても幅広く、もちろん、作品の傾向も星新一もどきのSF、あるいは、ホラー、ちゃんと完結していないもののミステリ、さらに、青春や家族や恋愛やといったフツーの小説のテーマまで、極めてバラエティ豊かに収録しています。たぶん、涙が止まらないといった泣けるお話はなかったように思いますが、心温まるストーリー、思わず吹き出すような滑稽さ、ほっこりしたり、ジーンと来たり、やや意外な結末に驚いたり、1話5分ほどで読み切れるボリュームですから、深く感情移入することはできない可能性もありますが、ごく日常の時間潰しにはもってこいです。電車で読んだり、待合わせや病院の待ち時間に楽しんだり、夜寝る前のひとときなど、私のような活字中毒の人間が細切れの時間を有効に活用するためにあるような本だという気がします。スマホではなく、読書で時間潰しする人向けです。また、私はごく平板に読み切ってしまいましたが、お気に入りの作品を探すのもひとつの手かもしれません。

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2017年7月21日 (金)

NTTデータ経営研究所「AI/ロボットによる"業務代替"に対する意識調査」の結果やいかに?

昨日、7月20日にNTTデータ経営研究所から「AI/ロボットによる"業務代替"に対する意識調査」の結果が明らかにされています。2045年ともされるシンギュラリティに向かって、とても興味あるテーマです。オックスフォード大学や野村総研でもいくつか研究成果が明らかにされていて、このブログでも取り上げたことを記憶しています。まず、NTTデータ経営研究所のサイトから【調査結果 概要】を6点引用すると以下の通りです。

【調査結果 概要】
  • 「仕事はまるごと消えない。テクノロジー代替は3割程度で、7割の仕事が"手元に残る"」、「将来的に自分の仕事を代替するのは、テクノロジーよりもむしろ"自分以外の人間"」と考える傾向
  • 「コミュニケーションや創意工夫が必要な仕事は、引き続き人間が行うだろう」、一方で、「手順とルールが決められた業務は自動化されるだろう」と考える傾向
  • テクノロジーによる業務代替。過半数が"ポジティブ"
  • 「業務へのシステム、AI、ロボット等による人間の仕事の代替について、どのように感じますか」
    →「非常に楽しみであり効果に期待している」「期待をもっている」などのポジティブな回答が59%
  • AI・ロボット化に対して具体的な準備を行っているのは9%
  • さらにその中から、「環境変化に強い、上位7.7%の人物像」が判明。このグループは異動や転職等の環境変化にも適応する傾向、また、所属する職場での貢献実感が高く自己肯定感が強い

もう少しコンパクトに取りまとめて欲しい気もしますが、まあ、判りやすくはあります。上に引用した通り、結果はかなり楽観的で、ポジティブなようです。ということで、とても興味深いテーマですから、グラフをいくつか引用しつつ論点を絞って簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 図表2-2. 自業務の、テクノロジー代替余地に関する認識 を引用すると上の通りです。最初に引用した【調査結果 概要】にもあった通り、「仕事はまるごと消えない。テクノロジー代替は3割程度で、7割の仕事が"手元に残る"」ということなんだろうと思います。このブログの2016年1月7日付けで取り上げたところですが、野村総研がオックスフォード大学グループの手法により日本で試算したところ、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能、との結果を得ていますので、この50%近い数字に比較すれば、ポジティブというか、根拠なく楽観的な気もします。また、図表の引用はしませんが、もう少し具体的な業務内容に関してテクノロジーでの代替可能性を考えると、第1に、手順とルールが決められた業務は自動化されるだろう、第2に、人とのコミュニケーションが発生する業務は、引き続き人が行うだろう、第3に、創造的な仕事も、引き続き人が行うだろう、といった調査結果が示されています。

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次に、リポートから AI/ロボット等の自動化テクノロジーに関する感情 に関して、いくつかの図表をまとめて引用すると上の通りです。全体の結果として、ポジティブな「期待派」とネガティブな「抵抗派」の円グラフとともに、棒グラフで性別・年収別・年齢別の期待派と抵抗派の内訳を示しています。全体では期待派の方が多いところ、性別では男性が期待派が多いにもかかわらず、女性では抵抗派の方が多くなっています。年収別では高所得の方が期待派が多い一方で、低所得では抵抗派が目立ちます。ただし、年齢別には大きな差は見られません。なお、グラフは引用していませんが、正社員では期待派が多い一方で、派遣社員・契約社員では抵抗派の方が多くなっていたりします。
最後に、グラフは引用しませんが、この調査結果でもっとも楽観的と考えられるのは、AI/ロボット等のテクノロジーによる自動化により、削減された労働時間をいかに有効に活用するかについての回答で、「プライベートを充実させる」や「早く帰宅する」という趣旨の回答を答えた人は全体の74.2%に上ります。さらに、AI/ロボット等のテクノロジーによる自動化に対する対策については、9%のみが対応している一方で、91%は対策は取っていません。まあ、そうなんでしょうね。

本日、内閣府から「財政経済白書」が公表されています。かつては、このブログでもがんばって当日中に取り上げたこともあるんですが、最近時点では取り逃している場合が多くなっています。新聞やテレビなどの大手メディアでも注目している人気の白書ですから、このブログでは今年も遠慮しておきたいと思います。

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2017年7月20日 (木)

2か月振りに黒字を記録した貿易統計における輸出の先行きやいかに?

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.9%増の5兆8514億円、輸入額は+17.8%増の6兆547億円、差引き貿易収支は▲2034億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の貿易収支、2カ月ぶり黒字 4399億円 1~6月は3期連続黒字
財務省が20日発表した6月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4399億円の黒字だった。貿易黒字となるのは2カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値は4880億円の黒字だった。半導体製造装置や自動車などの輸出が好調に推移したが、石炭などをはじめとした輸入額の伸びが上回り前年同月の黒字幅(6864億円)は下回った。
輸出額は前年同月比9.7%増の6兆6075億円と7カ月連続で増加した。6月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=110.91円と前年同月に比べ円安だったことに加え、数量ベースでも堅調に推移した。
韓国向けのIC製造装置が好調だったほか、米国向けの自動車や台湾向けの鉄鋼板製品の伸びなども目立った。地域別では対米国が7.1%増、対欧州連合(EU)が9.6%増、対アジアが13.6%増といずれも増加した。
輸入額は15.5%増の6兆1676億円となった。資源価格が前年同月から上昇しているのに伴い、石炭や液化天然ガス(LNG)、原粗油の輸入額が増加した。石炭は主要な輸入先であるオーストラリアをサイクロンが襲った影響などで価格が高くなっているうえ、数量ベースでも19.8%増加した。
併せて発表した2017年1~6月の貿易収支は1兆444億円の黒字だった。半期ベースで3期連続の黒字となったが、資源関連の輸入額の増加によって前年同期と比べ黒字幅は4割縮小した。輸出額は前年同期比9.5%増の37兆7872億円、輸入額は12.2%増の36兆7428億円となった。輸出について、財務省は昨年発生した熊本地震からの反動増も「少なからず出ているのではないか」とみている。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、貿易収支については、季節調整していない原系列の統計では、4月黒字、5月赤字、6月黒字となった一方で、季節調整済みの系列では4~6月の3か月とも黒字ながらも、一貫して黒字幅は縮小を続けました。ひとつには国際商品市況における石油などの資源価格の動向に起因する輸入額の増加が要因なんですが、少なくとも、我が国の輸入価格指数に見る原油価格については、昨年2016年1~3月期にほぼ底を打って上昇に転じた後、今年2017年1~3月期に上昇局面を終えて、その後は小幅な動きになっています。大雑把に直近時点で高止まりしているカンジですが、ここ2~3か月はそれなりに安定して推移していると評価できます。それにしても、輸入物価が上昇しているんですから、我が国から見て交易条件が悪化しているわけです。また、引用した記事にもある通り、昨年4月の熊本地震からの反動による輸入増も一定のボリュームがあったようです。先月と同じように、鉱物性燃料の6月の輸入額について前年同月比を計算すると+31.1%であり、5月の+40%超よりやや伸び率は鈍化したものの、このブログでも私が何度か主張した通り、輸入については「要るモノは要る」というのが私の考えであり、特に、そのモノが鉱物性燃料であれば輸入せざるを得ないわけですから、我が国のマクロ経済には何ら問題なはいと考えています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。中国や欧州をはじめとする海外経済の順調な回復・拡大に応じて、我が国の輸出数量も拡大を示しています。上のグラフのうちの一番上のパネルを見ても、最近数か月では輸出額の伸びのうち、青い価格の寄与よりも赤い数量の寄与の方が大きくなっているのが見て取れます。下の2つのパネルからも、先進国や中国のOECD先行指数の上昇に伴った我が国からの輸出の拡大が示されています。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2017年度+1.5~+1.8
<+1.8>
+0.5~+1.3
<+1.1>
 4月時点の見通し+1.4~+1.6
<+1.6>
+0.6~+1.6
<+1.4>
 2018年度+1.1~+1.5
<+1.4>
+0.8~+1.6
<+1.5>
 4月時点の見通し+1.1~+1.3
<+1.3>
+0.8~+1.9
<+1.7>
 2019年度+0.7~+0.8
<+0.7>
+1.4~+2.5
<+2.3>
+0.9~+2.0
<+1.8>
 4月時点の見通し+0.6~+0.7
<+0.7>
+1.4~+2.5
<+2.4>
+0.9~+2.0
<+1.9>

最後に、貿易統計を離れて、上のテーブルは日銀金融政策決定会合で示された「展望リポート」から政策委員の大勢見通しを引用しています。日銀のインフレ目標である「2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い」(p.4)と、目標達成時期は後送りされました。

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