2017年3月26日 (日)

オリックスとの最後のオープン戦を終え、今週はいよいよペナント開幕!

  HE
阪神000101000 261
オリックス12010000x 480

オープン戦最終戦はオリックスとの対戦で、先発能見投手の立ち上がりが不安定で失点し、結局負けました。でも、私は初めて糸井選手がヒットを打つところを見ました。
今週金曜日の広島でのペナント開幕を前に期待が盛り上がります

今シーズンは優勝目指して、
がんばれタイガース!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月25日 (土)

今週の読書はまたまた少しオーバーペースで経済書など計8冊!

今週はついつい借り過ぎて読み過ぎました。話題の働き方改革の中で、同一労働同一賃金を正面から取り上げた経済書、WBCで侍ジャパンが準決勝で敗退した一方で、プロ野球の開幕も近づき、背番号にまつわるノンフィクション、さらに、やや物足りなかったものの、話題の作家による小説などなど、以下の通りの計8冊です。

photo

まず、山田久『同一労働同一賃金の衝撃』(日本経済新聞出版社) です。著者は住友系の民間シンクタンクである日本総研のチーフエコノミストであり、雇用や労働分野に強いと見なされています。本書では、その昔からスローガンとなっている「同一労働同一賃金」に関して、その実現はそう簡単なことではなく、雇用や労働のさらにさかのぼること社会政策まで含めた対応が必要と論じています。まず、エコノミストとして、当然ながら、生産性に応じた賃金が支払われるのがもっとも合理的であり経済社会においても効率性を維持できるんですが、日本に限らず実はそうなっていません。私が大学で日本経済論を教えていた時でも、本書でいうところの我が国のコア労働力が服している終身雇用制では、ピッタリ半々ではないものの、前半期は生産性より低い賃金が、逆に、後半期では生産性より高い賃金が、それぞれ支払われる、ということになっていました。生涯パターンに応じた生活給的な側面があるからです。本書では明示的に指摘されていませんが、我が気宇に労働市場の最大の問題はこの終身雇用にあります。もちろん、ホントに死ぬまでの終身雇用ではありませんので、正しくは長期雇用ということになりますが、我が国労働市場でも戦前まではまったくこのような慣行はなく、戦後の高度成長期の人手不足の下で、企業の人材囲い込みが始まり、汎用的な生産性を高めるOffJTではなく、OJTを重視し退職金を高額にし転職コストを高騰させるようなシステムが徐々に出来上がったわけです。その中で、男性正社員が無限定に会社に奉仕して、エコノミック・アニマルとか、モーレツ社員と呼ばれて、先進国でもまれな長時間労働に従事する反面、過程では女性が専業主婦として家事や子育てに専念する、というシステムが出来上がってしまいました。それが現在では働く人のダイバーシティが進み、さらに、長期停滞の中でコストカットの対象に労賃が目の敵にされて非正規雇用が増加し、ここまで格差が広がった時点では正規と非正規のよく似た労働については同じ賃金を支払うという原則が再浮上したと考えるべきです。ですから、欧州のような公平の観点だけではなく、日本では転職がまだ長期雇用的な慣行の下でコストが大きいわけですので、単に賃金だけでなくキャリアパスも含めて、どのような人生設計の下で働くか、雇用されるか、という点こそ重視されるべきではないでしょうか。ですから、賃金だけを労働実態に応じて同一にするのは、キャリアパスの観点がが無視されている限りは、私には片手落ちとしか考えられません。私の目から見て、そういった観点からは、本書はとてもいい議論を展開していると思います。オススメです。

photo

次に、ジョン・プレンダー『金融危機はまた起こる』(白水社) です。著者はファイナンシャル・タイムズでよく見かけるコラムニスト、ジャーナリストです。英語の原題は Capitalism というある意味で壮大なタイトルであり、2015年に出版されています。内容としては、資本主義の本質に迫ろうと試みているのはそうなのかもしれませんが、わずかこの程度のボリュームではそんなことは不可能なわけで、基本的な題材は2007-09年くらいまでのサブプライム・バブルとその崩壊に端を発する金融危機に取っており、最終章では資本主義の本質は不均衡だと結論しています。ただし、本書でもよく引用されるシュンペーターの時代との違いは将来像として社会主義・共産主義という選択足がなくなった点です。他方、著者はあえて避けていますが、均衡からの乖離を含めて資本主義の不均衡が、正と負のどちらのフィードバックを持ったモメンタムなのかは考えておく必要があります。繰り返しになりますが、著者はこの観点に気づいていないか避けているかどちらかであり、もしも、均衡から乖離して正のフィードバックを持つのであれば資本主義は立ち行きませんが、負のフィードバックであれば政策対応は必要ないともいえます。いずれにせよ、邦訳版の編集者がタイトルに選び、著者も本書の中で論じているように、金融危機はまた起こるでしょうし、問題は起こるか起こらないかではなく、どの時点でどれくらいの規模で発生するか、なんでしょうね。私もそう思います。ただ、最後に、金融危機をカギカッコ付きで「言い当てた」エコノミストの著者などからいくつか引用していますが、とても疑わしいと私は受け止めています。サブプライム・バブルとその崩壊だけを予言するのは、どちらかといえば、必然や偶然の要素よりも平凡なエコノミストが一貫して同じ向きの発言をしていれば可能なわけで、上向きと下向きのどちらも的中できなければ、いつものバイアスで予言しているだけのオオカミ少年、と見なされる恐れもあることは考慮すべきです。ついでながら、古今の西洋向けばかりで「東西」ではありませんが、著名なエコノミストに限らず教養人の文献が引用されているのも本書の魅力に数える人がいるかもしれません。著者が博覧強記なのか、それとも、ネット検索がうまいのか、どちらかだという気がします。私の目から見ても、ケインズとマルクスが並んで引用されている本は決して多くなさそうな気もします。

photo

次に、大内伸哉『AI時代の働き方と法』(弘文堂) です。著者は神戸大学の労働法学者であり、一応、タイトルや本書の冒頭でも人工知能(AI)に関連する労働法の考察に並々ならぬ意欲を見せていて、AIそのものに関してはどこからか引き写してきた解説はあるんですが、AIに関する労働法の整備に関しては羊頭狗肉であって、何ら中身はありません。私はそれなりの関心があったので、その点は期待外れでしたが、まあ宣伝文句ですからこんなもんでしょう。そして、その中身は現在の労働法制は正規社員の身分保障が強すぎて時代遅れ、の一点張りでした。トホホというカンジで、ほとんど何の論証もなく「時代遅れ」の一点張りで押し通しています。確かに、終身雇用、年功賃金、企業内組合の日本的な雇用慣行は高度成長期に人手不足が深刻化し、人材を囲い込むために発達した制度であり、高度成長期の人手不足に適合的な制度であるという意味で「時代遅れ」というのは、ある意味で、その通りです。ただ、第5章の特に終わりあたりで著者も意識的にぼかしていますが、企業の経済合理的な選択と集中のためには、雇用者の流動化も有効なんですが、企業そのものも流動化するという極めて有効な手段があります。米国の雇用は日本に比べてと絵も流動的なんですが、企業そのものも連邦破産法11章、いわゆるチャプター11によりかなり柔軟な対応が可能となっています。著者は労働法学者であって会社法学者ではないようですから、企業はあくまで going-concern であって、経済合理性の追求のために労働者にしわ寄せが来るのをいかに労働法という次元でさばくか、に関心があるのでしょうが、エコノミストの目から見れば、生産要素の柔軟で流動的な配置転換という意味では、資本も労働も同じ生産要素です。極めて単純化した見方ながら、経済合理性の追求のためには、労働者は会社の言いなりになるしかない、だから、正社員の身分保障は緩和すべき、というのは一方のイデオローグであり、他方、労働者の経済的厚生水準の維持強化のために企業活動に制約を加えることも必要、特に金融活動の規制は金融危機回避のために必要性が高い、というのも別のイデオローグかもしれません。

photo

次に、ジュリア・ショウ『脳はなぜ都合よく記憶するのか』(講談社) です。著者はロンドンの大学をホームグラウンドとする記憶研究者、というか、過誤記憶の研究者です。精神科の医者なのか、心理学の専門家なのかは私には不明です。英語の原題は The Memory Illusion であり、2016年の出版です。過誤記憶の研究者として犯罪事件の事実解明に加わっているそうですから、過誤記憶研究者は人権派弁護士と並んでカギカッコ付きの「犯罪者の味方」と見なされる場合もありそうな気がします。どうして記憶が間違っているのかは、いくつかの原因があるようですが、そのひとつに優越感情による認知の歪みがあります。要するに、自分が他者よりエラいと思っているので、過誤記憶を持ってしまうわけです。ですから、犯罪に近い状況では交通事故の状況の見方が、関係者間で大きく異なることもあり得るわけです。ただし、さすがに、現役の総理大臣夫人から100万円の寄付があったかどうかは、記憶に間違えようがない気がするんですが、いかがなもんでしょうか。そして、記憶に間違いがあって、議院証言法上の証人として国会で事実と異なる自分の過誤記憶を披露してしまえば、まあ、偽証罪に問われたりするわけです。この2冊前の本の感想文で、博覧強記とネット検索の補完性というか、代替性というか、についてやや揶揄するようなことを書きましたが、実は、私自身は自分自身の脳に収納しておく記憶容量にまったく自信がありませんので、出来る限り外部記憶装置に収納しておくようにしています。この読書感想文もその一環です。決して自慢でも何でもなく、これだけの読書量があれば、すべてを記憶しておくことはまったく不可能です。外部のサーバに出来る限り読んだ後に感想文を残しておくことにしています。最後に、本書では、フロイトの精神医学や心理学はまったくのエセ科学と喝破したり、睡眠学習の非現実性を明らかにしたりと、とても私の考えに近い著者の見方に好感が持てます。もっとも、そうでない人はそうでないかもしれません。

photo

次に、佐々木健一『神は背番号に宿る』(新潮社) です。著者はNHKの関連会社を振り出しに映像ジャーナリズムで活躍しており、本書はNHKの関連企画の取材を基にしているようです。なお、単に「背番号」というだけでは、多くの球技で採用されているシステムですが、上の表紙画像に見られる通り、野球、特にプロ野球に特化して背番号にまつわるエピソードを集めています。まず、何といっても、私が読もうと思ったきっかけは、最初に取り上げられている選手が江夏投手だからです。誌かもその次が村山投手です。江夏投手の背番号28については、本書でも触れらている通り、小川洋子『博士の愛した数式』で有名になった完全数です。約数を全部足し合わせると元の数になるという意味だそうです。江夏というのは、昨年逮捕された清原といっしょで、晩年に薬物で逮捕され有罪判決を受けましたので、その分、少年野球などからは距離を置いて見られていますが、本書でも指摘されている通り、すでに刑期を終えて出所し社会的な制裁を受けていますので、そろそろ過去のお話しにしてしまうのも一案でしょう。いくつかの名門球団で、いわゆる永久欠番とされた背番号の由来、あるいは、逆に、あれほど活躍したにもかかわらず永久欠番とならなかった背番号、例えば、今は2年連続トリプル・スリーの山田選手が引き継いでいるヤクルトの1番を背負っていた若松選手のケース、などを判りやすく興味深く展開しています。およそ、私なんぞのまったく知らない選手のエピソードまで含めて、いろんな背番号にまつわる話題を提供しています。プロ野球ファン、特に江夏投手を知る阪神ファンは必読かもしれません。

photo

次に、マリア・グッダヴェイジ『戦場に行く犬』(晶文社) です。著者は米国西海岸在住でジャーナリストの経験が長く、現在では愛犬家のブログ投稿サイトの運営などをしています。2012年の出版であり、英語の原題は Soldier Dogs です。私は本来こういった軍事関係は決して評価せず、逆に回避する傾向があり、例えば、小さいころからガンプラを与えてきた上の倅が中学に入って模型部に入って部活をする際も、プラモデルの中に頻出する軍艦や戦闘機や戦車などの兵器関係は「おとうさんは嫌いである」と宣言した記憶があります。ちなみに、倅が同じ趣旨の発言を部活でしたところ、「ガンダムって兵器じゃないの?」といわれたらしいですが、まあ別のお話しでしょう。ということで、兵器や軍事に否定的な感情しか持たない私がどうして本書を読んだのかというと、実は、歴史的に見て我が家では飼い犬だけが太平洋戦争の戦場に駆り出されているからです。すなわち、私の父親は昭和ヒトケタの1930年生まれで、終戦の1945年までに徴兵年齢に達せず、その私の父の父親である祖父は年齢が行っていて招集されず、結局、飼っていた犬だけが軍隊に引っ張られて「戦死」したらしいです。犬種について私はよく知りませんし、どこで何をしてどうして「戦死」したのかは、軍事作戦上の機密事項でもないんでしょうが、明らかではありません。さらに、このブログの読書感想文では取り上げませんでしたが、昨年、出版から2年近く遅れて『アメリカ最強の特殊戦闘部隊が「国家の敵」を倒すまで』を読み、それはウサマ・ビンラディンの追跡と奇襲を跡付けたノンフィクションで、本書にも何度も出て来ますが、カイロという軍用犬が登場します。米国ではとても有名な軍用犬で、当時のオバマ大統領がこの部隊をねぎらいに出向いた際に、"I want to meet that dog." 「あの犬に会わせてくれ」と言ったらしいです。軍用犬ではなく警察犬などでも同じようなストーリーは有り余るほど存在するんでしょう。さらに、私は軍事作戦についてはまったくシロートですし、一時流行した言い方をすれば、私自身は明らかにイヌ派ではなく、ネコ派なんですが、本書では人間と犬の絆について、そして、その昔には「犬畜生」という言葉もありましたが、犬という動物の評価について、考えさせられるものがありました。私は違いますが、愛犬家の中にはとても高く評価する人もいそうな本です。

photo

次に、真山仁『バラ色の未来』(光文社) です。作者は売れっ子のエンタメ作家であり、本書は、ズバリ、統合リゾート(IR)法案にからんで、利権渦巻く政治の世界を舞台にしています。すなわち、青森県の寒村の町長がホームレスとして東京で死を迎えるところから物語は始まり、その町長が誘致しようとしたマカオのカジノを経営する中国人女性、コンサルとして暗躍する広告代理店の男性、もちろん、総理大臣とそのファーストレディまでカジノに思惑を抱いて利権に漁ります。それを社会の木鐸として事実関係、特に、利権の構図とカジノの影の側面を明らかにしようとする名門新聞社の編集局次長まで上り詰めた女性記者と、同じ新聞社の幹部ながら時の政権のブレーンとして政権の暗部を報道するのを防止しようとする専務編集局長、などなど、羅列すれば複雑そうに見えますが、それはそれなりに単純な人間関係の中でストーリーは進みます。ただ、後半から失望する読者が多そうな気がします。第1に、カジノの負の側面を政治家の利権と国民のギャンブル依存症だけで済ませようとする作者のお手軽プロットです。反社会的組織の暗躍やその組織による薬物汚染をはじめ、いくらでもカジノ反対論の根拠はあるのに依存症だけで済ませようというのは手抜きに過ぎます。依存症であれば、本書で作者も何人かの登場人物に発言させているように、本人の問題とも言い逃れできます。第2に、ラストがお粗末です。メディアの記者が何を記事にして、社内政治の流れで何を記事に出来ないか、しかも、編集にはかかわらないはずの社主まで登場させた割りには、メディアの対応がお粗末としか言いようがありません。せっかく、話題のIRやカジノを題材にしながら、作者の力量不足、取材不足としか考えられません。この作品くらいの出来であれば、この作者は諦めて別の作者の手に委ねるのも文学界全体としてはよかった可能性すらあります。誠に、残念。

photo

最後に、赤川次郎『招待状』(光文社文庫) です。著者はよく知られた売れっ子のミステリ作家であり、三毛猫ホームズのシリーズなどは私も愛読しています。本書は通常の単行本と文庫本とで同時に発行されたんですが、私が読んだのは上の表紙画像の文庫本でした。中身は、ファンクラブ会誌「三毛猫ホームズの事件簿」で毎号書き下ろされているショートショートです。お題は読者から寄せられています。「再出発」から始まって、「シンデレラの誤算」、「父の日の時間割」、「封印された贈り物」、「幽霊の忘れ物」、「テレビの中の恋人」などなど、27のストーリーを収録しています。この作者本来のミステリーはもちろん、サスペンス、ファンタジー、ラブストーリーなどですが、さすがに、ショートショートの短い文章ですので、ひねりのある結末は少なく、基本的にストレートな内容に仕上がっています。この作者の作品らしく、ユーモアたっぷりで、表現は悪いかもしれませんが、時間潰しに最適です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月24日 (金)

米国への移民は米国の労働力人口にどれほど貢献しているのか?

とても旧聞に属する話題ですが、私が時折チェックしている米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから3月8日付けで Fact Tank として、Immigration projected to drive growth in U.S. working-age population through at least 2035 と題するリポートが明らかにされています。通常の世論調査 = Opinion Pollではなく、Fact Tank と題されていて、違いについては私もそれほど理解ははかどらないんですが、2035年までの米国の労働力人口における移民などの構成を分析しています。グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo

まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Immigrants and their U.S.-born children expected to drive growth in U.S. working-age population を引用しています。日本では労働力人口は15-64歳なんですが、米国では25-64歳と少し違いはあるものの、上のグラフのいずれのパネルでも、グレーが米国生まれの両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口、濃い黄土色が移民の労働力人口、薄い黄土色が移民の両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口となっています。移民と米国生まれの両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口がどこに属するのかは明らかではありません。なお、我が国では団塊の世代と呼ばれるベビーブーマーは極めて狭い範囲で1946-48年生まれ位を指す場合が多いんですが、米国のベビーブーマーは戦後生まれで1965年くらいまでに誕生した世代を指します。ということで、ピュー・リサーチの推計によれば、2015年時点で173.2百万人の米国労働力人口は2035年には183.2百万人に達すると見込まれています。しかし、この米国労働力人口の増加は移民や移民の両親の下に生まれた米国生まれの労働力人口を含めた数字であり、米国のベビーブーマーの加齢に従って、グレーの米国生まれの下に生まれた米国生まれの労働力人口は2015年くらいを境に減少に転ずると予想されています。また、グラフは引用しませんが、この後には、2035年時点で米国労働力人口は移民を含めるかどうかで17.6百万人の差が出ると試算した結果をプロットしたグラフを置いています。ということで、リポートの最後のパラの最初のセンテンスで、"Immigrants also play a large role in future U.S. population growth." と結論しています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月23日 (木)

東洋経済オンラインによる「非正社員の多い」トップ500社やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、東洋経済オンラインにて先週木曜日の3月16日付けで、「非正社員の多い」トップ500社が明らかにされています。トップはダントツぶっちぎりでイオンとなっています。以下、50位までのランキングのテーブルを東洋経済オンラインのサイトから引用すると以下の通りです。

photo

大手の自動車や電機メーカーのように、比率は高くないものの従業員数が多いので、非正社員も多いというパターンが散見されますが、やっぱり、大雑把な印象では世間一般でいわれているように、メーカーよりは小売り・外食・介護などが多いような印象です。なお、どうでもいいことながら、17番目のファーストリテイリングはユニクロなどの持ち株会社だと思うんですが、意外と非正社員比率が高くないように私は受け止めています。雇用に関する本を読み進んでいるので、少し関心が高まって取り上げてみました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月22日 (水)

貿易統計は世界経済の回復とともに我が国輸出の増拡大基調を確認!

本日、財務省から2月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+11.3%増の6兆3465億円、輸入額は+1.2%増の5兆5331億円、差引き貿易収支は8134億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の貿易収支、2カ月ぶり黒字 10年3月以来の水準
財務省が22日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8133億8900万円の黒字だった。貿易黒字は2カ月ぶりで、2010年3月以来の水準。QUICKがまとめた市場予想の中央値は8591億円の黒字だった。中国の旧正月(春節)休暇が前年より早く1月中に始まった影響で輸入需要の一部が前倒しになった半面、輸出には反動増が発生し対中国貿易が60カ月ぶりの黒字となった。
輸出額は前年同月比11.3%増の6兆3465億円と3カ月連続で増加。2月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は113.40円と前年同月に比べ3.4%の円高だったが、輸出数量全体の伸びや対中国輸出の好調が寄与し、増加幅は15年1月(16.9%)以来の大きさとなった。
中国向けギアボックスなどの自動車部品や香港向けICといった半導体など電子部品の伸びが目立った。地域別では中国向けが28.2%増、米国向けが0.4%増となった。欧州連合(EU)向けも3.3%増と5カ月ぶりに増加した。
輸入額は1.2%増の5兆5331億1100万円となった。資源価格の回復に伴いアラブ首長国連邦(UAE)からの原粗油、オーストラリアからの石炭などが伸びた。ただ、中国からの衣類やアイルランドからの医薬品の輸入が減り、増加幅は限られた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

photo

貿易黒字の幅については、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば+8591億円の黒字でしたので、ほぼジャストミートした感じです。ただし、これも引用した記事にある通り、中華圏の春節が昨年から1か月ズレて1月に始まった影響によるものであり、要するに、輸出拡大が貿易黒字に寄与しているわけです。昨年2月はうるう年でしたので、その1日多いうるう年効果を上回る春節効果は偉大であると改めて感じました。どうでもいいことかもしれませんが、季節調整済みの系列でも主節効果で歪みが生じている気がします。なお、今後も貿易収支の黒字基調は大きな変化ないと多くのエコノミストは予想しているものの、その黒字幅は縮小する可能性が強いと私は考えています。

photo

>輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。2月の輸出については、中華圏の春節効果である点は前のパラに記した通りですが、上のグラフの真ん中のパネルや一番下のパネルに見られる通り、先進国はもとより、中国をはじめとする新興国でも景気は底入れして回復に向かっており、世界経済の拡大とともに我が国の輸出への需要が高まりを見せ始めています。ただし、米国の通商政策及び為替政策のリスクは依然として私には不明です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月21日 (火)

マンションサプリ調査による東京メトロで最も資産性が高い沿線やいかに?

とても旧聞に属する話題ながら、3月7日付けでマンションサプリから「東京メトロで最も資産性が高い沿線」に関する調査結果が明らかにされています。関連データは相場情報サイト「マンションマーケット」のデータを用いているようです。

photo

結果は上のテーブルの通りです。間隔10年間ということで、2007年と直近の2017年を比較しています。東京メトロ9路線のすべてにおいて、この10年間で平均m²あたりのマンション価格は下落しているんですが、最も下落率が小さかったのが千代田線沿線で、逆に大きく下落したのが銀座線、ということになっています。大雑把に見て、格差がhす苦笑yし収束が進んでいるように見えなくもありません。それにしても、東京メトロ沿線ではマンション1m²あたりで100万円近くするんですね。改めて驚いてしまいました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月20日 (月)

世論調査結果「特殊詐欺に関する世論調査」に見る根拠の不明な自信は何を招くか?

ちょうど1週間前の先週月曜日3月13日に内閣府政府広報室から「特殊詐欺に関する世論調査」の結果が公表されています。その昔に、「オレオレ詐欺」などと呼ばれていた詐欺に関する世論調査です。年齢別に見て、やや疑義のある結果でしたので簡単に取り上げておきたいと思います。

photo

上のグラフは、年齢別に見て、特殊詐欺に対する意識、すなわち、自分が被害にあうかどうかについての問いに対する回答結果の比率です。見れば明らかな通り、「自分は被害にあわないと思う」が年齢が高くなるに従って増加しています。なかなか根拠が疑わしい結果ではないかと思いますが、さらに、被害にあわない根拠を問うと、さらに根拠が薄弱そうに見えます。

photo

ということで、上のグラフは、被害にあわないと思う理由のうち、「だまされない自信があるから(家族の声やうそを見分けられる自信がある)」と回答した比率を年齢別にプロットしています。これまた、年齢が高くなるに従って「だまされない自信がある」とする比率が上昇しています。

どういった根拠で、このような自信がわいてくるのか、私はとても知りたいと思いますが、そう遠くない将来に、私もこういった年齢層の仲間入りをするわけですから、根拠薄弱な自信は慎みたいと自戒しています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年3月19日 (日)

ウェザーニューズによる「第2回桜開花予想」やいかに?

photo

とても旧聞に属する話題ですが、3月7日にウェザーニューズから今年2017年の「第2回桜開花予想」が明らかにされています。3月5日にも日本気象協会の開花予想を取り上げたところなんですが、まあ、そこは季節の話題です。
見れば明らかですが、上の2枚の画像のうち、上の方が各地の桜の名所別、下が都市別、となっています。東京ではこの3連休明け、数日ならずして開花が始まるとの予想です。全国で早いところでは、福岡県舞鶴公園や熊本県熊本城、高知県高知公園では3月22日、東京都上野恩賜公園では23日、京都府清水寺では30日、などの見通しとなっています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月18日 (土)

今週の読書は充実した経済書中心に計5冊!

今週の読書は経済書、特に私の専門分野である開発経済学を含めて経済書中心に以下の5冊です。先週末に米国雇用統計が割り込んで営業日が1日少ないので、こんなもんかという気もします。特に、藤田先生ほかの『集積の経済学』をはじめとして、分厚くボリュームたっぷりの本が目白押しでしたので、冊数の割にはなかなかの読書量ではなかったかと自負しています。

photo

まず、外山健太郎『テクノロジーは貧困を救わない』(みすず書房) です。著者は、マイクロソフト、特に、マイクロソフト研インドでの研究歴が長く、本書では主としてインドでの体験を基に議論が進められています。本書でいうところのテクノロジーとは、狭く考えればパソコンやスマートフォン、あるいは、それらのハードで走らせるソフト、ということになり、いわば、我が国のODAが進めてきたような途上国援助のうちのハコモノ援助、道路や橋や空港やといったインフラ整備を中新とする援助のようなものであり、それはたしかに貧困を救わないかもしれないわけですが、テクノロジーについて人間が利便性を追い求めてきた仕組みややり方などすべてに対する総称として考えれば、それなりに貧困削減には役立ってきた気もします。ただし、本書で著者は貧困削減のためには、取り組む人々のヤル気や意識の高さなどをとても重視しているような気がします。そういった、いわば、エウダイモニア的な崇高な意識の下での貧困削減が重要であり、そういった崇高な見識をテクノロジーは増幅するが創造はしない、というのが本書の結論なんだろうという気がします。私はそこには疑問があります。もちろん、エウダイモニア的な崇高な意識の高さは重要かもしれませんが、」そういった意識の高さがなくても社会的な仕組みの中でジコチュー的な人間でも大きな貧困削減の成果が上げられる、といった方向にシステムや制度を設計することこそが重要ではないでしょうか。崇高な意識の下では、貧困削減だけでなく、ほかの何らかの政策目標、もっとも極めて専門的な技術を要するものを除きますが、そういった、一般的な政策目標は何だって達成されそうな気がします。その意味で、意識の高さだけを要件と考えるのはよろしくないと私は考えます。そうでない一般的な人々が、貧困削減に成功するような仕組みや制度を考えて実行するのが開発政策ではないんでしょうか。

photo

次に、藤田昌久 & ジャック F. ティス『集積の経済学』(東洋経済) です。本書の英語の原題は Economics of Agglomeration ですから、邦訳はそのまま直訳されています。初版は2002年に出版されていますが、本翻訳書の底本は2013年出版の第2版です。著者は2人とも経済学者であり、2008年にノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授らとともに空間経済学のリーダーでもあります。ただ、少しだけアプローチが異なり、藤田教授は一般均衡論的なアプローチ、ティス教授は産業組織論的なアプローチとの特徴があります。いずれにせよ、本書は世界的な空間経済学の権威による専門学術書、ないし、大学院レベルのテキストとしても耐え得る著作です。まあ、ハッキリいって、私のようなシロートが通勤電車で読み飛ばすような内容では本来ありません。当然のように、数式も頻出して解析的にエレガントに結果が導かれたりします。私が「定量分析」と呼ぶような手法のごとく、再帰的に力ずくで漸近的な結果を求めようとするわけではなかったりします。空間経済学は都市の形成という観点で、実は都市以外は農村だったりするわけですが、2部門モデル的な要素が強くて、私の専門分野である開発経済学と通ずる部分も少なくなく、少なくとも、クルーグマン的な核周辺モデルにおいて、非常に単純化すれば、核=都市=製造業と商業に対する周辺=農村=農業の2部門モデルの分析はそれを歴史的な展開に置き換えれば開発経済学そのものです。ですから、空間経済学では本書にも登場する「首都の罠」、すなわち、首都以外の都市が形成されず製造業も育たない、といった望ましくない状況が開発経済学といっしょになって研究されていたりもします。第2版の本書では最終章をはじめとしてグローバル化に対応した部分に追加修正が加えられており、核となる国に戦略的な経営・研究開発・ファイナンスなどの本社機能が置かれ、周辺国に未熟練労働を相対的に多く使う工場が置かれたり、といった結果が導出されています。加えて、コミュニケーション費用が低下すれば、周辺国の工場の比重が増加、核となる国の熟練労働者の厚生が低下するという結果も得られています。ですから、トランプ米国大統領的に、国境に大きな壁を築いてコミュニケーション費用を高めれば、あるいは、逆のことが生じるのかもしれません。繰り返しになりますが、かなり高度な内容の専門学術書、ないし、大学院レベルのテキストです。税抜きで6000円というお値段も考え合わせて、買うのか借りるのか、読むのか読まないのか、について合理的な選択をするべきかもしれません。

photo

次に、野村直之『人工知能が変える仕事の未来』(日本経済新聞出版社) です。著者は労働や雇用ではなく、人工知能(AI)の方の専門家です。ですから、タイトルに魅力を感じて、私なんぞは読み始めたなですが、やっぱり、AIの解説の方に重きが置かれていて、少し肩透かしを食った恰好です。でも、2045年にAIの能力が人間を上回るという意味でのシンギュラリティを迎える、とかの宣伝文句先行型のAIの先行き見通しに本書は疑義を唱え、もっと落ち着いた先行き予想を展開しています。すなわち、AIについては人間の道具となる弱いAIと人間の脳機能を超えるようなスーパーな存在を目指す強いAIを区別し、後者が人間を超えるという意味でのシンギュラリティの近い将来での到来に疑問を呈しています。もちろん、前者の人間の道具としてのAIについては、単なる3メートルの棒でも人間の能力を超えるからこそ道具として有用なわけですから、特定の用途で人間の能力を超えるのは当然、という見方です。そして、最終章15章では例のオックスフォード大学によるAIに代替される労働について考察を加え、その昔のラダイト運動なども引きつつ、決して悲観一色の見方ではありません。その前提として、何回かベーシック・インカムの導入について前向きの記述を見かけます。AIを導入して人間労働を大幅に削減しつつ、働かなくてもベーシック・インカムで最低限の生活を保証する、というのが将来の政策の方向なのかもしれません。ただし、AIをはじめとする最先端技術における日本の貢献や政策動向についての本書の見方はとてもありきたり、というか、ハッキリいって、ほとんど何の見識もありません。2045年のしんgyラリティに少し不安を感じた向きに落ち着いた技術論を供給するのが本書の主たる貢献ではないかという気がします。雇用や労働のあり方まで著者に将来像の提示を求めるのは少し酷かもしれません。

photo

次に、翁邦雄『金利と経済』(ダイヤモンド社) です。著者は日銀金融研所長などを歴任していて、いわゆる旧来からの日銀理論家ですから、現在のアベノミクスや黒田総裁の下でのリフレ派の日銀金融政策に対してはとても批判的なバイアスを持っていることを前提に読み進む必要があります。非常に単純にいえば、本書では物価の動きの背景にある国際商品市況における石油価格についてはまったく考慮することなく、要するに、現在の黒田総裁の下での日銀金融政策が自ら掲げたインフレ目標の2%を達成できていない点を基本的には理論面から分析しています。まず、現在の米国のポリシー・ミックスが拡張的な財政政策と引締め的な金融政策になっていて、1960年代のケインジアン的な政策とは逆に、1980年代のレーガン政権下の政策と類似性あるとの見方を示し、その中で、1980年代前半においては為替の円安が進みつつ、それは持続性なかったためにプラザ合意から円高に反転したわけですが、我が国のアベノミクス、実は、本書でも指摘するように、安倍政権成立の少し前から円安が進んだ点との類似性を見ています。それはそうかもしれません。その上で、現状の長期停滞理論を持ち出し、自然利子率の低下の影響を日本経済にも写し出そうと試みています。ただ、結論で大きく異なる点が、要するに、自然利子率まで実際の金利を下げようとするリフレ派とちがって、国民に大きな負担を強いるカギカッコ付きの「構造改革」により自然利子率を引き上げようとする点です。どうして日銀理論家がここまで中長期的な視点で自然利子率を引き上げるような形の構造改革を提唱するのか、私にはまったく不明です。通常、中央銀行は短期循環を視野に入れた景気循環の平準化、というか、景気後退の回避を念頭に金融政策を運営し、政府はより長期の政策目標を設定して、まあ、いわゆる構造改革を含めて、例えとしてはよくないかもしれませんが、よく「国家100年の大計」と称される教育などの政策まで含めたグランド・デザインを描く、というのが役割分担だ、と私も官庁エコノミストの先輩から聞かされた記憶があります。私が考えるに、金融政策の庭先をきれいにしておいて、物価への政策の影響力がないとか何とかいって、裁量的な金政策を自由気ままに企画立案していた昔の姿が懐かしい、といっているように聞こえてしまうエコノミストもいるかもしれません。いないかもしれません。繰り返しになりますが、本書は現在のアベノミクスや黒田総裁の下でのリフレ派の日銀金融政策に対してはとても批判的なバイアスを持っている著者の手になるものである点を前提に読み進む必要があります。

photo

最後に、須賀しのぶ『また、桜の国で』(祥伝社) です。著者は、私は作品を読んだことはないんですが、それなりに売れている作家であろうと受け止めています。本書は今年上期の直木賞候補作となっています。戦間期のポーランドの首都ワルシャワを舞台に、外務書記生という在外公館の中でも書記官未満のやや低い職階をこなす青年を主人公にし、しかもこの青年の父親が白系ロシア人という設定のかなり大がかりな歴史小説です。少年時代のポーランド人孤児との邂逅は別にして、物語は1938年秋に主人公の青年がポーランドの日本大使館に赴任するところから始まります。誇り高いポーランド人を持ってしても、ロシア、ハプスブルク家のオーストリア、近代以降のプロシアや統一後のドイツなどの列強に囲まれて、なかなか独立を維持することさえ困難なポーランドにあって、第2次隊戦前夜の不穏な世界情勢を背景に、そして、独ソ不可侵条約に基づいて独ソに分割されるポーランド、頼りにならない英仏など、20世紀前半の欧州情勢を余すところなく盛り込みつつも、ポーランドの首都ワルシャワにおける主人公の日本人外交官として、あまりにもポーランドに肩入れした姿勢に不安を感じながら私は読み進みました。というのも、一応、私は外交官経験者ですし、戦争前夜の欧州の情報収集担当こそ経験がありませんが、似たような情報収集はどこの大使館でもやっています。大使館勤務の当時に私が外交官としてやったのはGATTウルグライ・ラウンドのドンケル事務局長提案に対する主要国の姿勢に関する情報収集でした。それはさて置き、本書のキモは米国人ジャーナリストだと思っていた人物の意外な正体なんですが、それも面白い趣向ながら、やっぱり、直木賞を逃した最大の要因は登場人物のキャラがあまりに似通っているからではないでしょうか。すべて正直で一途で思い込んだら命がけ、のような熱血漢ばかりです。日和見をして風見鶏のように態度を変える人物とか、味方だと思っていたのに実は敵のスパイだったとか、そういったヒネったキャラが見当たりません。その分、物語が平板で深みがなく、スラスラと進んでしまいます。いくつか、表現上の不一致も散見され、例えば、ドイツ側ではナチスの象徴としてのヒトラーは登場しますが、ソ連のスターリンに関する言及はどこにも出てきません。また、主人公が列車で出会ったカメラマンのヤンについても、生意気な発言を「である」調でしているかと思えば、急にへりくだって「です・ます」調でしゃべり始めたり、編集作業で訂正しきれていない部分も少なくありません。小説としての完成度はその分割り引かれそうな気がします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月17日 (金)

東京商工リサーチ「長時間労働」に関するアンケート調査の結果やいかに?

広く報じられている通り、今週になって、労使間で協議してきた残業時間の上限規制を巡る協議が決着し、月45時間を超える残業時間の特例は年6カ月までとし、年720時間の枠内でか月100時間と2-6か月平均80時間の上限を設けることとなりました。こういった中、東京商工リサーチから3月10日付けで「長時間労働」に関するアンケート調査の結果が明らかにされています。いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo

まず、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから残業があると回答した企業に対して 労働時間が短縮する場合に予想される影響 を問うた結果です。実は、この前に、グラフは省略しますが、残業の有無について、恒常的にあるが7,095社(57.3%)、時々あるが4,504社(36.4%)、「ない」と「させない」が764社(6.1%)との結果が示され、その残業の理由として、取引先への納期や発注量に対応が6,170社(37.6%)、また、人手や時間の不足との結果が示されています。ということで、回答のトップは仕事の積み残しが5,659(28.9%)で2位以下を引き離しています。続いて、受注量(売上高)の減少、従業員の賃金低下となっていますが、影響はないという回答も無視できない割合であります。なら、どうして残業があるのかは理解できませんが、まあ、そうなっているわけです。

photo

次に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから残業減少の努力をしていると回答した企業に対して 残業削減に取り組んでいる施策 を問うた結果です。回答のトップは仕事の効率向上のための指導が7,123社(37.8%)、次いで、仕事の実態に合わせた人員配置の見直しが5,621社(29.8%)、ノー残業デーの設定が2,981社(15.8%)などとなっています。ひとつの特徴は、ノー残業デーの設定を別にすれば、資本金1億円で境界をつけている規模別に大きな差が見られる点です。人手不足で余裕の乏しい中小企業等では残業削減にも限界があるのかもしれませんし、グラフは省略しますが、この後に残業削減に取り組んでいない理由を問う設問があり、回答のトップは必要な残業しかしていないの901社(51.0%)となっています。

残業削減のための新規採用や設備増強というのは、経営者の頭にはなかったりするんでしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«PwC による The World in 2050 やいかに?