2024年7月15日 (月)

介護職員はどれくらい不足するのか?

広く報じられているように、先週金曜日の7月12日に厚生労働省から、「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」が発表されています。第9期計画の最終年度である2026年度に約25万人、また、2024年度には約57万人が不足すると見込まれています。厚生労働省の資料から引用した概念図は以下の通りです。

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2024年7月14日 (日)

代打原口選手の決勝タイムリーで3タテを免れる

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阪  神0010000005 691
中  日0000100001 2101

代打原口選手の決勝タイムリーで中日に勝ち、3タテを免れました。
今夜は先発西勇輝投手が6回を1失点の好投の後、桐敷投手、ゲラ投手、石井投手がゼロを並べます。延長戦に入って、10回に原口選手の決勝タイムリーの後、代走から入った植田選手の満塁の走者一掃のスリーベース、さらに、4番に入った佐藤輝選手のツーベースとつるべ打ちで一挙に5点を上げて試合を決めます。しかし、そのウラに登板した加治屋投手がピリッとしません。ランナーを貯めては長打を打たれ、最後はクローザー岩崎投手の救援を仰いで何とか逃げ切りました。

明日のジャイアンツ戦も、
がんばれタイガース!

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Osaka Jazz Channel の Ribbon in the Sky を聞く

本日のジャズは久し振りに、Osaka Jazz Channel の Ribbon in the Sky です。私はまったく詳しくないのですが、Stevie Wonder の曲とありますから、歌詞があったりするんでしょうね。

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2024年7月13日 (土)

今週の読書は経済書などのほか新書も合わせて計7冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、中村保ほか[編著]『マクロ経済学の課題と可能性』(勁草書房)は、格差や少子化といった課題についてマクロ経済学の観点から数式の展開による理論モデルの分析を試みています。小野圭司『戦争と経済』(日本経済新聞出版)は、財政や経済の観点から戦争を考え、エピソードを盛りだくさんに取り入れた歴史書に仕上がっています。河西朝雄『Pythonによる「プログラミング的思考」入門』(技術評論社)は、問題解決のためのアルゴリズムを考え、同時に、Pythonによるプログラミングの実例を豊富に取り上げています。佐藤主光『日本の財政』(中公新書)は、財政タカ派の観点から公的債務の安定化を目指して財政再建の方法についての提言を取りまとめています。小塩隆士『経済学の思考軸』(ちくま新書)は、経済学を用いた分析を進める上で重要な思考軸、例えば効率と公平などについて取り上げています。玉野和志『町内会』(ちくま新書)は、行政を補完し地域共同管理に当たる住民組織としての町内会について、歴史的な観点から成立ちや今後の方向などにつき考えています。成田奈緒子『中学受験の落とし穴』(ちくま新書)は、小学生の脳の発達の観点から中学受験について考えています。どうでもいいことながら、今週はちくま新書を3冊も、よく読んだものだという気がます。
ということで、今年の新刊書読書は1~6月に160冊を読んでレビューし、7月に入って先週・今週とも7冊をポストし、合わせて174冊となります。目標にしているわけでも何でもありませんが、年間300冊に達する勢いかもしれません。なお、Facebookやmixi、あるいは、経済書についてはAmazonのブックレビューなどでシェアする予定です。
それからご参考で、7月9日付けの週刊『エコノミスト』で私が酷評した『金利 「時間の価格」の物語』の書評が掲載されています。過度な低金利批判に疑問を呈するとともに、ホワイト/ボリオといったBISビューを代表するエコノミストの重視など、私がAmazonのレビューで2ツ星に評価したのと同じラインの書評だという気がしました。ただ、その後、Amazonでは4ツ星や5ツ星のレビューもあるようです。繰り返しになりますが、ご参考まで。

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まず、中村保ほか[編著]『マクロ経済学の課題と可能性』(勁草書房)を読みました。編著者は、神戸大学の研究者であり、本書は中京大学経済研究所研究叢書として中村教授の還暦記念として編まれています。序章の後、本書は4部から構成されており、第1部が現実とマクロ経済理論の対話、第2部が個人の選好とマクロ経済減少、第3部が分配・格差とマクロ経済学、第4部が少子化とマクロ経済政策、をそれぞれのテーマにしています。本書は完全に学術書であり、しかも、一部にシミュレーションを用いた数値計算を実施しているものの、ほぼほぼ数式の展開による理論モデルの分析で計量経済学的な実証研究はなく、一般的なビジネスパーソンには難しい内容であるように思いますし、私ごときでは4部13章のすべてを十分理解したとは思えません。ですので、第2部のマイクロな個人の選好に基づいたマクロ経済分析などから少しトピックを選んで取り上げておきたいと思います。すなわち、第6章では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックにおける消費行動を分析しています。この分析では、家計調査などのデータから「巣ごもり消費」とも呼ばれた自宅待機要請の際の消費が、家計内の労働時間を要する時間集約財にシフトしている点を発見しています。ただ、中所得層での所得弾力性の低下という意味で時間集約財の特徴を消滅させた可能性も指摘されています。これは、家計のタイムユースの観点からパンデミック期の巣ごもり消費の特徴とも合致すると私は受け止めています。また、第3部の第8章や第9章では労働分配率の低下についてモデル分析を行っています。規模の経済を有する情報財部門と収穫一定の最終財部門からなる2財モデルで労働分配率が低下することが示されます。しかし、同時にこういった情報化社会の進展がマクロ経済を不安定化せるリスクにも言及しています。また、オートメーションによって資本が労働を置き換えるタスクモデルによれば、未熟練労働から資本へのタスク転換により賃金格差の縮小と資本分配率の低下がもたらされる一方で、金融自由化などに起因する技術的に最先端のタスクが増加すれば賃金格差の縮小と労働分配率の低下が同時に起こることになります。少子化対策では、第11章で、家計が利己的か、あるいは、利他的かで政策のインプリケーションが異なるモデルが提示され、人的資本希釈効果もあって、利己的な経済では子育て支援は逆に子供の数を減少させてしまうという結果が導かれています。第12章では、世代重複モデルの分析から、内生的出生率と最低賃金による失業をモデルに導入すれば、資本所得税の引上げにより1人当たりの資本蓄積を促進し、雇用も出生率も改善する可能性が示唆されています。ということで、必ずしも統一性あるテーマに基づく論文集ではありませんが、マクロ経済モデルの理論分析という形で、従来から示されているマクロ経済現象を確認するうことに成功しています。

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次に、小野圭司『戦争と経済』(日本経済新聞出版)を読みました。著者は、防衛研究所の研究者ですが、私と同じ京都大学経済学部のご卒業ですので、軍事や地政学ではなく経済学がご専門なのだと思います。本書は決して学術書ではなく一般向けの読み物であり、エピソードを盛りだくさんに取り入れた歴史書といえます。歴史的には西洋の古典古代であるギリシア・ローマ時代から、我が国の戦国時代や江戸時代も含めた前近代の戦争も対象とし、もちろん、近代戦争であるいわゆる総力戦の第1次世界大戦や第2次世界大戦、その前の我が国でいえば日清戦争や日露戦争の特徴的なエピソード、経済的な見方からのエピソードを豊富に含んでいます。ただし、最新の武力紛争、というか、何というか、ロシアによるウクライナ侵攻や中東ガザにおけるイスラエルのジェノサイドなどについては特に強く着目されているわけではありません。特に、中東については言及すらされていません。圧倒的に主張されているのは、一言でいえば「戦争には金がかかる」という点です。合理的な経済学の考えを身につけているエコノミストであれば、決して戦争なんかは見向きもしないということが明らかです。経済合理性ない人が戦争を始めるのだということがよく理解できます。特に、産業革命以降の近代的な産業の確立を受けて、刀やサーベルなどから銃器、それも重火器の武器を調達することは、個人レベルではほとんど不可能となり、国家が戦費を負担することになります。ですので、戦争が終結した後、近代的な戦争で必要とされた経費はすべて敗戦国が負担する、という原則が確立されます。それが、第1次世界大戦後のドイツに対するベルサイユ条約の賠償につながったことは明らかで、ケインズ卿が「平和の経済的帰結」で強く批判した点でもあります。p.86の表3-4で主要戦争の賠償金比較がなされていますが、GDP比で見て第1次世界大戦後の賠償額が突出して大きいことが読み取れます。また、同じ戦費の別の観点で、前近代の戦争については、戦費をまかなうための国債発行といういうイノベーションを編み出したイングランド銀行の設立をはじめとして、戦争や武力衝突のリスク回避のための為替送金の一般化など、金融面において戦争という非常時においても、金融や生産などの平時の経済活動を円滑に行うためのイノベーションがなされたこともよく理解できます。今では、ウクライナは暗号資産で一部の継戦資金を受け取っている、と本書では指摘しています。これも送金リスクの低減のためなのでしょう。また、本書では経済学の視点ですから指摘はありませんが、武器の開発などで技術力についても戦争が一定の役割を果たした可能性も否定できません。医学なんかもそうです。でも、やっぱり、経済学的な見地からはまったく合理性ないと考えるべきです。最後に繰り返しになりますが、経済書というよりは歴史書に近い読み物の印象です。「戦争というものは、軍人たちに任せておくには重要すぎる」と喝破したのは第1次世界大戦をフランスの勝利に導いた時のクレマンソー首相の言葉と伝えられていますが、まさに、そういった面がよく感じられる読書でした。

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次に、河西朝雄『Pythonによる「プログラミング的思考」入門』(技術評論社)を読みました。著者は、長野県の工業高校の教諭などを経て、現在はカサイ.ソフトウェアラボの代表だそうです。タイトルにある「プログラミング的思考」とは、本書冒頭で、「問題を解決するための方法や手順をプログラミングの概念に基づいて考えること」としています。まあ、表現を換えただけで同じことだという気はしますが、そこまで突き詰めて考えなくても直感的に理解しておくべきなのかもしれません。私の理解では、プログラミング言語を理解するとともに、そのプログラミングを基にアルゴリズムを考えることだという気がします。プログラミングはまさにアルゴリズムに乗っかって動くわけです。本書ではプログラミング的思考の5本柱として、① 流れ制御構造(組み合わせ)、② データ化、③ 抽象化と一般化、④ 分解とモジュール化、⑤ データ構造とアルゴリズム、を示しています。経済学であれば、一言で「モデル」と表現してしまうような気もします。ということで、これまたタイトルにあるように、本書ではプログラミング言語はPythonということになります。このところ、因果推論とともにPythonについても探求を試みていたのですが、ややムリそうな気配が濃厚となっています。それはともかく、前半の冒頭3章でPythonの文法、書法・技法、グラフィックスを取り上げた後、先ほどのプログラミング的思考の5本柱を第4章で解説し、後半の第5章から第8章が実践編となっています。各章ではプログラミングの実例を豊富に取り上げていて、まあ、私のようなシロートから見てもレベルがまちまちなのですが、第5章でプログラミングの簡単な例示、第6章で再帰的思考、第7章でアルゴリズム、最後の第8章でデータサイエンスに焦点を当てています。簡単なプログラム例としてはフィボナッチ数列があります。まあ、フィボナッチでなくても数列であれば簡単なアルゴリズムに乗せてプログラムできるとは思います。ベルヌーイ数なんて巨大な桁数になりますが、プログラムで作り出すのは難しくもありません。再帰的な解法、というか、応用ではグラフィックスが持ち出されています。まあ、判りやすいような気がします。第7章のアルゴリズムがもっとも重要で、テイラー展開やハノイの塔、戦略性あるゲームの必勝法などが出てきます。いずれもすごく判りやすいのでオススメです。最後に、少し前まで、再帰的(recursive)な解法と反復法(iterative)による解法は、ほぼほぼ同じながら、ビミョーな違いがあることを理解し始めました。自分に返って来る部分があるのが再帰的(recursive)な解法で、少しずつ条件を変えるとはいえ単純に繰り返すのが反復法(iterative)なのだということのようです。まあ、差は大きくない気がします。どうでもいいことながら、PythonではDo While文がないらしいのですが、私はループさせる際はfor文を多用するクセがあったりします。

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次に、佐藤主光『日本の財政』(中公新書)を読みました。著者は、一橋大学の研究者です。私は財政学や公共経済学の分野にそれなりに専門性があり、したがって、この著者の従来からの主張も見知っています。すなわち、現在の日本の財政赤字や公的債務の累増を大きなリスクと考え、財政再建により公的債務の安定化を目指そうとする財政タカ派の財務省路線の代表的な論客の1人です。かたや、私は真逆の政策スタンスで財政赤字や公的債務にはかなり無頓着で財政ハト派だったりします。ですから、昨年の紀要論文 "An Essay on Public Debt Sustainability: Why Japanese Government Does Not Go Bankrupt?" でも、基礎的財政収支の改善と低金利により日本の財政は十分サステイナブルである、と結論したりしていました。でも、黒字と低金利の2つのサステイナビリティ条件のうち、3月に日銀が金融引締めを始めたことにより、崩れる可能性が出てきています。すなわち、金利が成長率よりも高くなる可能性が十分にあるわけです。その意味で、本書で改めて財政タカ派の主張を確認しておきたいと考えました。ただ、従来、というか、ここ30年ほど大きな主張の変化は見られません。要するに、財政収支の悪化を食い止めるのが主目的であって、その目的は一向にハッキリしません。つまり、財政収支を均衡させるのは唯一の目標であって、ほぼほぼ自己目的化しているといえます。少なくとも金融タカ派は不況になった際の金利引下げののりしろ論なんてのを考え出しただけマシな気がします。ただ、財政タカ派の場合は「痛みを伴う改革」について日本人のそれなりの思い入れがあるものですから、支持を得やすい可能性があります。ということで、本書では冒頭でいきなり財政再建の方策として5つの対策を上げています。すなわち、① ワイズスペンディング、② 企業・産業の新陳代謝の促進と雇用の流動化、③ 消費税の大幅増税という税制改革、④ セーフティネットの構築、⑤ Pay-As-You-Go などの財政ルールの設定、となります。②がとても異質に見えるのですが、税収を上げるために成長促進する必要があり、その成長促進のためにこういった政策が必要、という理由です。私は財政再建できるのであればした方がいいと考える一方で、そのコストは現時点では高すぎる可能性があるように見えます。この経済学的なコスト-ベネフィット分析をすることなく、財政再建を自明の目的として、ひたすら財政再建を目指しているように見えるので財政タカ派の議論は少し違和感を覚えます。

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次に、小塩隆士『経済学の思考軸』(ちくま新書)を読みました。著者は、官庁エコノミストから早い段階で学界に転じていて、現在は一橋大学の研究者です。本書のサブタイトルは「効率か公平かのジレンマ」となっていて、トレード・オフの関係にある効率性と公平性のバランスを考えながら、ひいては、市場と社会保障の関係、あるいは経済と幸福、将来世代の経済的厚生まで幅広く論じています。あまりに幅広く論じていて、まさに経済学の論点をいっぱい取り込んでいるので、ここではサブタイトルにしがたって、効率と公平のジレンマないしトレードオフについて考えたいと思います。というのは、経済学における「効率と公平」の問題は、本書ではまったく意識されていないようですが、ある程度の部分まで政治学とか社会学における「自由と民主主義」の問題に通ずるものがあるからです。すなわち、効率と自由に親和性がある一方で、公平と民主主義には相通ずるものがあると考えるべきです。ですから、効率のためには自由を重視し、公平の確保には民主主義で対応すべきと私は考えています。自由と民主主義は一括されて「自由民主主義」という表現もあり、そういった政党も日本のみならず存在するわけですが、経済学における効率と公平のように、ジレンマがある可能性を指摘しておきたいと思います。あくまで効率や自由を重視するのであれば、たとえ大きくとも個人差というものを肯定して、経済学であれば生産性の差に従った処遇、というか、出来る人はできるようにご活躍願う必要があるのに対して、公平や民主主義ではそういった差をならしたり、あるいは、1人1票で参加を促したりする必要があります。少なくとも、効率を重視しすぎると公平が阻害される可能性は本書でも十分認識されているようですし、一般にもご同様だと思います。当然です。経済学的な見方から、効率的で生産性の高い特定の人物ないしグループが、例えば、所得という意味での購買力を平均よりも過大に持つようになれば、たとえそれが経済学的に根拠ある理由に基づくものであっても、公平の観点からは好ましくない可能性があります。ある程度の公平が確保されないと効率が阻害される可能性がある点も忘れるべきではありません。ですから、自由と民主主義において、「殺す自由」とか、「盗む自由」がないのと同じで、経済においても過剰な効率の重視は好ましくないと私は考えています。その昔にサプライ・チェーンと呼んだ複雑な分業体制が、現在では、グローバル・バリュー・チェーンと称されていますが、この複雑極まりない分業体制の中で民主的な公平性が確保されないと、チャイルド・レイバーやスウェットショップのようなものが分業体制に中に紛れ込む可能性が排除できません。特に経済学的には低コストでもって高効率と考えられる場合が少なくなく、効率がサステイナビリティに欠ける生産や消費につながりかねません。それが、市場の弱点のひとつだと思いますし、市場を分析する経済学の弱点でもあります。

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次に、玉野和志『町内会』(ちくま新書)を読みました。著者は、放送大学の研究者であり、ご専門は都市社会学・地域社会学だそうです。本書では、町内会という強制加入に近い地域団体が、本来は行政がやるべき業務を住民の好意に依存してやってもらい、その結果として生じかねないトラブルも行政として責任を取るわけでもなく、住民間の解決に委ねるという、行政から見て何とも都合のいい仕組みがなぜできあがったのか、を解明しようと試みています。私は、徳川期の五人組とか、戦中の隣組ではないかと思っていたのですが、そんな軽い単純な考えを吹き飛ばすような歴史的かつ学術的な分析がなされています。ただ、本書でも指摘しているように、戦後にGHQが戦争翼賛の観点から町内会を解散させた上で、サンフランシスコ平和条約によって独立を回復した後に復活したのも事実です。なお、町内会の学術的な定義はp.27に既存研究から引用されていて、本書では「地域共同管理に当たる住民組織」が肝と考えています。そして、この歴史的な解明とともに、本書では、日本の町内会は西洋における労働組合が果たしてきた自立や自治や参加促進などの役割を担ってきたのではないか、との仮説も提示しています。これはかなり斬新というか、GHQの見方からすれば真逆に近い見方ではないかという気がします。ただ、同時に、本書では行政の役割に分担という観点もあって、労働組合が果たしてきた役割と町内会では、かなり違うんではないかと、私は考えています。もっとも、終戦直後においてすら労働者の半分近くが農林水産業の第1次産業に従事していたわけであり、漁業権の設定とか、典型的には農村における入会地の管理といったような、最近の流行の言葉を使えば、コモンに関する業務は、行政から委託されるのではなく、自律的にこなしていた可能性が高いと私は感じています。自律的に担っていたとはいえ、結果的には行政の役割の分担をこなしていたのは事実かもしれません。そういった行政を補完するような役割は、本書でも指摘しているように、いまだに清掃やごみ収集の補助、あるいは、街灯の設置などでなくなってはいないものの、都市化の進展とともに大きく変化してきていることは確かです。その上、原則全員加入といえば、マンションの管理組合がマンション内ではその昔の町内会に代替する組織になっていて、これは明らかに全戸加入であり、マンション内の自治を有料で、というか、企業活動に住民が助力しつつ一端を担っていることは明らかです。そういった町内会も、あまりに過重な負担から担い手が少なくなり、活動水準を大きく低下させています。本書の最後では、町内会・自治会と市民団体を対比させて「水と油」と表現していますが、この先も、町内会の衰退は免れないのかもしれません。

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次に、成田奈緒子『中学受験の落とし穴』(ちくま新書)を読みました。著者は、子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表であり、文教大学教育学部の研究者です。本書では、タイトル通りに、中学受験について考えていて、中学受験ですから小学生が受験するわけで、高校生の大学受験と違って親の影響力の強さがひとつの考慮するポイントとなります。実は、私自身も中学受験をして6年間一貫制の中学・高校に通いましたし、したがって、というか、何というか、倅2人もご同様です。いうまでもなく日本では中学校は義務教育であり、小学校から進学する先の中学校は住んでいる地区に従ってほぼほぼ自動的に決まります。ですから、その自動的に決まる中学校に通うか、あるいは、中学受験して異なる中学校に通うかの選択肢になるわけです。繰り返しになりますが、受験するのは小学生であり、自律的な判断ができる子どもがいる一方で、親の影響力も決して無視はできません。我が家の子どもたちの場合、父親の私が中学受験をして私立中学・高校に通っていた経験がある、という点とともに、当時住んでいたのが南青山という全国でも、というか、おそらく、都内でも有数の中学受験に熱心な地区だったこともあります。私の聞き及ぶ範囲では1/4から1/3くらいの児童が中学受験をするそうです。本書では著者の専門領域である脳の働きから中学受験を考えていて、からだの脳とこころの脳からなる1階部分の上の2階部分におりこうさんの脳が育まれると指摘しています。そして、このこころの脳とからだの脳とおりこうさんの脳の発達の観点から中学受験、さらには、中学受験を超えた範囲での子どもの発達が考えられています。詳細は本書を読んでいただくしかないのですが、もっとも私が肝の部分だと感じたのは、学校や塾では出来ず家庭でしか出来ない脳育てがあるという点です。これも読んでいただくしかないのですが、巷間いわれている点で常識的な範囲で、早寝早起きで朝食を取る、ということがあります。私なんかの時代の大学受験は睡眠時間を削ってでも勉強時間を確保するという考えがなくはなかったのですが、本書でも中学受験と大学受験は違うと指摘していますし、そういった生活リズムの確立は脳の発達が十分ではない小学生には重要なポイントであるのは理解できるところです。本書全体を通じて、やや中学受験のいわゆるハウツー本的な要素はありますし、そういった需要にも対応しているのかもしれませんが、脳の発達という観点から重要な点が指摘されてもいます。その点は評価できると思います。

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2024年7月12日 (金)

対外債務により政府が財政破綻すると何が起こるのか?

日本政府が世界の先進国の中で飛び抜けているのは累積債務の大きさであることは広く認識されています。先進国が加盟してい経済協力開発機構(OECD)の中でもGDP比で200%を超える政府債務を抱えているのは日本だけだと思います。最近の学術論文で "The Social Costs of Sovereign Default" と題して、対外債務により政府が財政破綻すると何が起こるのかを歴史的に分析したペーパーが出ています。もちろん、pdfによる全文ファイルもアップロードされています。引用情報は以下の通りです。なお、3人目の著者は、ロゴフ教授との共著による『国家は破綻する』などの著作でも有名なラインハート教授です。

まず、しっかりと確認しておきたいのは、この論文は、私も冒頭でいささか刺激的でミスリード気味の書き方をしましたが、日本が累積させているような内国通貨建ての国内債務の破綻ではありません。あくまで外貨建ての対外債務不履行による財政破綻です。たぶん、このあたりを意図的にでも混乱させようとする論評が出る可能性が十分ありますから注意が必要です。その上で、論文のABSTRACTを引用すると以下の通りです。

ABSTRACT
This paper investigates the economic and social consequences of sovereign default on external debt. We focus on the crises’ impact on real per capita GDP, infant mortality, life expectancy, poverty headcounts, and calorie supply per capita. After methodological exclusions, the sample covers 221 default episodes over 1815-2020. The analysis adopts an eclectic empirical strategy that relies on an augmented synthetic control method and local projections. Our findings suggest that sovereign defaults lead to significant adverse economic outcomes, with defaulting economies falling behind their counterparts by a cumulative 8.5 percent of GDP per capita within three years of default. Moreover, output per capita remains nearly 20 percent below that of non-defaulting peers after a decade. Based on the trajectory of the health, nutrition, and poverty indicators we study, we assess that the social costs of sovereign default are significant, broad-based, and long-lived.

要するに、1815年から2020年までの100年余りの期間の221のデフォルト例を分析して、経済的にはGDPで計測して3年以内に1人当たりGDPで累計▲8.5%の遅れを生じ、10年後には▲20%余り下回る、ということです。そして、タイトルにあるように、健康、栄養、貧困などの指標から社会コストは重大である、と結論しています。全文ファイルから、いくつかグラフを引用したいと思います。

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上のグラフは、Figure 1.1. Sovereign default and real per capita GDP: Aggregated SCM results を引用しています。よく理解できていないのですが、1815-2020年の221ケースの債務不履行のデータベースを構築したといいながら、1828-2020年の135のケースを用いた結果です。ただ、債務不履行=デフォルトする2年ほど前から1人当たりGDPがトレンドから離れているのは確認できます。デフォルトする少し前から経済状態が思わしくない状態が始まっていたのだろうと思いますが、ひょっとしたら、経済状態が停滞して1人当たりGDPが伸びなくなったからデフォルトしたのかもしれません。デフォルト下少し後からトレンドに近い成長曲線に戻っているように見えるのも、やや皮肉が効いているように私は受け止めました。

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続いて、上のグラフは、社会的コストの代表格ということで、幼児死亡率と平均寿命のグラフ、すなわち、Figure 4.1. Sovereign default and infant mortality: Aggregated SCM results と Figure 5.1. Sovereign default and life expectancy: Aggregated SCM results を引用しています。私の方で無理やりに画像を結合していたりします。これまら、債務不履行=デフォルトの少し前から幼児死亡率の上昇や平均寿命の低下が始まっています。221ケースのデータセットのうち、Figure 4.1. の幼児死亡率は104ケース、Figure 5.1. の平均寿命は127ケースが用いられています。

当然ながら、対外債務に対する政府財政の破綻は経済的にも社会的にも大きなコストをもたらします。国民生活の改善はトレンドから乖離してしまいますし、幼児死亡率や平均寿命も従来トレンドからの改善が遅れ始めます。ただ、一部に繰り返しになりますが、注意すべき点が3点あります。第1に、現在の日本が抱えているのは国内通貨建ての政府債務であり、この論文で分析されている外貨建ての対外債務ではありません。ですから、この分析をそのまま日本の政府債務に当てはめることは出来ません。第2に、因果関係は不明であり、私の直感では、政府財政の破綻以外の何らかの経済の不調が、政府財政の破綻と1人当たりGDPの伸びの鈍化と幼児死亡率低下の遅れと平均寿命の伸びの鈍化をもたらしているような気もします。それがどういった要因は各国の事情により異なる可能性が高いと考えるべきです。第3に、この論文で分析されている外貨建て対外債務による政府財政の破綻と内国通貨建て債務の破綻が同じものであるかどうか、私には不明です。私自身は、現代貨幣理論(MMT)で高らかに宣言されていて、決して証明はされていない「発券機能を有した中央銀行があり、変動為替相場制を採用していれば、内国通貨建ての債務で政府は破綻しない」というのは、それほど信用していませんが、それでも、外貨建ての対外債務で破綻するのと内国通貨建ての政府債務で財政破綻するのは、だいぶんと違うのではないか、という気はします。強くします。

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2024年7月11日 (木)

5月統計の機械受注は足踏みがみられ設備投資は停滞するのか?

本日、内閣府から5月の機械受注統計の結果が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から▲3.2%減少し8578億円となっています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

5月の機械受注3.2%減 基調判断を下方修正
内閣府が11日発表した5月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶・電力を除く、季節調整済み)は前月比3.2%減少し8578億円だった。2カ月連続で低下した。通信業で携帯電話の基地局関連の受注が落ち込むなど非製造業が弱かった。
基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」とし、4月までの「持ち直しの動きがみられる」から下方修正した。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は0.9%増だった。
非製造業が7.5%減と2カ月ぶりに減少した。通信業が27.6%減と3カ月連続のマイナスだった。基地局向けとみられる通信機の受注が弱かった。
金融業・保険業は前月にシステム投資に伴う電子計算機の大きい受注があった反動で7.8%減と低調だった。不動産業も前月に大きく増えた反動で72.4%減だった。
製造業は1.0%増だった。電気機械や情報通信機械の受注が堅調だった。自動車・同付属品は7.4%減と4カ月ぶりに減った。
内閣府はトヨタ自動車などの認証不正について「それによって受注が落ちているとの情報は寄せられていない」と説明した。
基調判断を下方修正したのは1月以来で、このときは「足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」に引き下げた。3月に「持ち直しの動きがみられる」に上方修正し、今回再び「足踏みがみられる」に下方修正となった。
内閣府は基調判断の変更理由について、船舶・電力を除く民需で月ごとのぶれをならした3カ月移動平均が減少したことなどを挙げた。
農林中金総合研究所の南武志氏は「全体的な設備投資意欲は底堅いが、足元はやや慎重になっている可能性もある」と指摘した。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て前月比+1.2%増でした。記事にある+0.9%増というには見当たりませんでした。いずれにせよ、市場の事前予想は+1%程度ということでしたので、実績の▲3.2%減は予想レンジの下限▲0.1%減を大きく下回りました。4月の前月比▲2.9%減に続いて、5月も▲3.2%減だったわけで、したがって、というか、何というか、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に半ノッチ下方修正しています。今年に入ってからの基調判断は目まぐるしく変更されており、引用した記事の7パラ目にある通り、1月には「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」に引き下げられ、2か月後の3月には「持ち直しの動きがみられる」に上方修正し、今回5月統計を受けて再び「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正されています。これも、引用した記事の最後のパラにあるように、設備投資については企業マインドとしての意欲は底堅い一方で、設備投資が実行されているかどうかは、GDP統計や本日公表された機械受注などには一向に現れていません。すなわち、投資マインドと実績の乖離が激しくなっています。その理由について、私は十分には理解できていません。これだけ人手不足が続いている中で、設備投資の伸びもなく、したがって、DXやGXが進まないとすれば、日本企業は大丈夫なのでしょうか?

最近読んだ伊丹先生の『漂流する日本企業』でも指摘されていますし、長らく日本企業の投資不足が指摘されていますが、設備投資が進まず、労働者の資本装備率も低迷するため生産性が伸びない中で、人口減少が加速するとすれば、投資不足と人手不足が負のスパイラルを生じるような気がしてなりません。

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2024年7月10日 (水)

上昇幅がまたまた拡大した6月の企業物価指数(PPI)をどう見るか?

本日、日銀から6月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+2.9%の上昇となり、先月5月統計からさらに上昇幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業物価指数、6月2.9%上昇 5カ月連続で伸び率拡大
日銀が10日発表した6月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は122.7と、前年同月比で2.9%上昇した。5月(2.6%上昇)から伸び率が0.3ポイント拡大した。5カ月連続で伸び率が拡大し、23年8月以来の高い伸びとなった。電気・ガスの補助金が6月検針分から半減した影響が大きかった。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。6月の上昇率は事前の民間予測の中央値(2.9%上昇)と同じだった。
内訳をみると、電力・都市ガス・水道が政府の補助金減少により前年同月比で0.1%上昇し、5月(7.2%下落)から大きく伸びた。石油・石炭製品もガソリン補助金の減少を背景に4.5%上昇した。木材・木製品は人手不足を背景に建築着工が弱含み、国内需要が減少した影響で2.1%下落した。
円安を背景に円ベースの輸入物価指数は前年同月比9.5%上昇し、23年2月(15%上昇)以来の伸びとなった。契約通貨ベースでは前年同月比0.3%上昇と23年3月以来初めてプラスに転じた。
半減した電気・ガスの補助金は8~10月に再開される。今後の企業物価指数の押し下げ要因になる。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率は+2.9%と見込まれていましたのでジャストミートし、サプライズはありませんでした。国内物価の上昇幅が拡大した要因は、引用した記事にもある通り、政府による電気・ガスの補助金の影響です。6月検針分から補助金が半減し、8~10月には復活の予定です。また、輸入物価が2月から再び上昇に転じ、本日公表の6月統計では+9.5%の上昇と2ケタ近くに達しています。引用した記事にもあるように、契約通貨ベースでの上昇を超えて円建て価格が上昇しています。ただし、原油価格の上昇も考慮すべきです。すなわち、企業物価指数のうちの輸入物価の原油価格の前年同月比を見ると、直近の6月統計では契約通貨建てで+9.1%、円建てで+22.0%の上昇と大きく値上がりしています。我が国では、金融政策を通じた需給関係などよりも、原油価格のパススルーが極端に大きいので、国内物価にも無視し得ない影響を及ぼしている可能性があります。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、電力・都市ガス・水道が6月には+0.1%と5月の▲7.2%の下落から上昇に転じています。食料品の原料として重要な農林水産物も5月の+0.2%から6月は+1.2%と上昇幅を拡大しています。したがって、飲食料品は+2.8%と高い伸びを続け、ほかに、非鉄金属+19.4%、石油・石炭製品と窯業・土石製品がともに+4.5%、などといった費目で高い上昇率を示しています。そして、価格上昇がかなり幅広い費目に及んでおり、生産用機器+3.9%、電気機器+3.0%、情報通信機器+3.1%、はん用機器+3.0%、などの我が国リーディングインダストリーで+3%以上の上昇率となっています。ある意味で、企業間で順調な価格転嫁が進んでいると見ることも出来ます。

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2024年7月 9日 (火)

日銀「さくらリポート」に見る地域経済やいかに?

昨日7月8日から開催されている日銀支店長会議において、「地域経済報告」、いわゆる「さくらリポート」を明らかにしています。まず、日銀のサイトから各地域の景気の総括判断を引用すると以下の通りです。

各地域の景気の総括判断
北陸を除く8地域では、景気は、一部に弱めの動きもみられるが、「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。北陸では、地震の影響による下押しが一部にみられるものの、「回復に向けた動きがみられている」としている。

続いて、各地域の景気の総括判断と前回との比較のテーブルは以下の通りです。

 【2024年4月判断】前回との比較【2024年7月判断】
北海道持ち直している一部に弱めの動きがみられるが、持ち直している
東北緩やかに持ち直している緩やかに持ち直している
北陸能登半島地震の影響により個人消費や生産の一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、持ち直しの動きがみられている能登半島地震の影響により一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、回復に向けた動きがみられている
関東甲信越一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
東海一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
近畿一部に弱めの動きがみられるものの、基調としては緩やかに持ち直している一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している
中国緩やかな回復基調にある緩やかな回復基調にある
四国持ち直している持ち直しのペースが鈍化している
九州・沖縄一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している

pdfの全文リポートには、「企業等の主な声」として、① 個人消費、② 生産・輸出・設備投資、③ 雇用・賃金設定、④ 価格設定、の4項目があるのですが、③ 雇用・賃金設定のトピックでは大幅賃上げのご意見が際立っており、中には「原資の確保に先行して平均8%の賃上げを実施」といったものも含まれています。また、こういった動きを受けて、ロイターの報道では、「さくらリポート」の別冊の位置づけで「日銀が、中小企業にも広く賃上げが波及しているとの調査結果をまとめたリポートを月内にも公表する見通し」ということのようです。今月7月末30-31日に予定されている金融政策決定会合で利上げする材料にするのではないか、という気がします。

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2024年7月 8日 (月)

緩やかな回復続く景気ウォッチャーと赤字の貿易収支を上回る第1次所得収支で黒字となった経常収支

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ、公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+1.3ポイント低下の47.0となった一方で、先行き判断DIも+1.6ポイント上昇の47.9を記録しています。また、経常収支は、季節調整していない原系列の統計で+2兆8499億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトなどから記事を引用すると以下の通りです。

街角景気6月は1.3ポイント上昇、4カ月ぶりプラス 判断は維持
内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査は現状判断DIが47.0となり、前月から1.3ポイント上昇した。4カ月ぶりのプラス。景気判断は「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」で維持した。
指数を構成する3部門では、家計動向関連DIが前月から2.1ポイント上昇し47.0、雇用関連が0.2ポイント上昇し46.2となった。企業動向関連は47.3と0.6ポイント低下した。
内閣府の担当者によると、インバウンド需要や人流の回復が景況感を押し上げている一方、物価高が押し下げ要因となっている大きな構図は変わらない。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは前月から1.6ポイント上昇の47.9と、4カ月ぶりに上昇した。内閣府は先行きについて「価格上昇の影響などを懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」とした。
調査期間は6月25日から30日。6月は所得税・住民税の定額減税が実施された。電気・ガス料金は政府補助の終了で、7月請求分(6月使用分)から値上がりが予定されている。
経常黒字41.8%増、5月は2兆8499億円 配当金が増加
財務省が8日発表した5月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は2兆8499億円の黒字だった。前年同月から41.8%増加した。海外からの債券利子や配当金の受け取りが増え、第1次所得収支の黒字幅が拡大した。
経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、旅行収支を含むサービス収支、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支などで構成する。
経常収支の黒字額は、比較可能な1985年以降の5月としては過去最大となった。
第1次所得収支の黒字幅が前年同月比で13%増の4兆2111億円と、比較可能な1985年以降で過去最大となった。海外の金利上昇や円安を背景に受取額が増えた。
貿易収支は1兆1089億円の赤字と、前年同月から赤字幅は7.6%縮小した。資源高や円安により原油などの輸入額が膨らんだ。輸出は自動車のほか半導体関連の製造装置や電子部品が好調で、赤字幅縮小の要因となった。
サービス収支は23億円と、前年同月の1803億円の赤字から黒字に転じた。黒字は2カ月ぶり。訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支の黒字が55.7%増の4417億円と、黒字幅を拡大した。

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、昨年2023年年末11~12月から今年2024年2月まで50を超える水準が続いていましたが、5月統計で45.7をつけた後、本日公表の6月統計では47.0に上昇しています。長期的に平均すれば50を上回ることが少ない指標ですので、現在の水準は決して低くない点には注意が必要です。6月統計では家計動向関連・企業動向関連ともに上昇しています。家計動向関連では住宅関連を別にすれば、小売関連・飲食関連・サービス関連とも+2前月からポイントを上回る上昇でした。企業動向関連では、製造業が前月から+1.5ポイント上昇したものの、非製造業が▲2.5ポイント低下し、企業動向関連として▲0.6ポイント低下を示しています。やはり、内需に依存する部分が大きい非製造業における物価上昇の影響が出ている印象です。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」で据え置いています。先行きについては、猛暑効果や定額減税への期待が見られると考えるべきです。
また、内閣府のリポート「景気の現状に対する判断理由等」の中には、例えば飲食関連で、インバウンドの好影響につき「コーヒー豆製造卸の売上が2倍になっている。新規取引依頼が多く、良くなっている兆しがある。インバウンドが多く客単価が高いことも、良くなるとみている要因の1つである(東京都)」といった見方がある一方で、価格上昇に起因する売上減、すなわち、インフレの影響と見られるものがいくつかありました。例えば、南関東の一般小売店で「じりじりと円安が続いているため、輸入商材の価格が上昇し、販売量に影響している(東京都)」とかです。近畿のスーパーでも、「値上げの動きが始まった年明けから春頃は、そこまで販売量の落ち込みはみられなかった。その後の円安などもあり、値上げ価格が定着してくるにつれて、買い控えによる販売量の減少が進んでいる。」といった意見が見られます。もうひとつ目についたのは賃上げへの言及です。例えば、その他レジャーのうちの映画で「物価の上昇は止まらないが、それに伴う賃上げがない(東京都)。」などです。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは経常黒字は+2兆4577億円でした。レンジの上限は+3兆円を超えていましたので、実績の+2兆8499億円は大きなサプライズはありませんでした。円安が進みましたので経常黒字が大きく膨らんでいます。しかし、貿易収支は相変わらず赤字を計上しており、円安にも関わらず赤字が縮小したのとどまっています。もちろん、経常収支にせよ、貿易収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はなく、資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常赤字や貿易赤字は何の問題もない、と私は考えていますので、付け加えておきます。加えて、先週7月2日に「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」報告書が公表されていますが、国際収支や経常収支に関して、それほど騒ぎ立てる必要もないと私は受け止めています。

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2024年7月 7日 (日)

本日は東京都知事選の投票日

私はツイッタで、経済学、読書、ジャズなどの話題をフォローしていますが、我が国を代表するジャズピアニストの1人である山中千尋がここまで熱烈に蓮舫候補を支持しているとは知りませんでした。
もはや、私自身は東京都知事選の投票権を持っていません。でも、未来を託せる方にに東京都知事になっていただきたいという願いは変わりありません。

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