2026年8月 7日 (金)

改善の基調判断が続く6月の景気動向指数と天候要因で落ち込んだした6月の家計調査

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から横ばいの116.4、CI一致指数は2か月ぶり+0.3ポイント上昇の118.2を記録しています。家計調査の方は、2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲0.4%の減少、名目は+1.3%の増加となりました。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気一致指数6月は2カ月ぶり改善、卸売りや生産寄与 判断据え置き
内閣府が7日公表した6月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数は前月比0.3ポイント上昇の118.2と2カ月ぶりに改善した。先行指数は同横ばいの116.4だった。基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
一致指数を構成する各経済指標のうち、押し上げに寄与したのは卸売販売額や投資財出荷指数、鉱工業生産指数など。電子部品の中国向け輸出や韓国からの輸入、半導体製造装置の生産などが好調だった。
先行指数を押し上げたのは、中小企業売り上げ見通しや新設住宅着工床面積など。日経商品指数や鉱工業用生産財在庫率指数は押し下げた。
電気電子関連の中小企業売り上げ見通しが改善した一方、石油製品価格下落や電子デバイスの出荷減による在庫率悪化などが響いた。
実質消費支出6月は3.3%減、7カ月連続マイナス 台風など天候要因で
総務省が7日発表した6月の家計調査によると、2人以上の世帯の実質消費支出は前年比3.3%減と、7カ月連続のマイナスとなった。台風、降雨量増加、低温などの天候要因で幅広い品目の支出が減少した。季節調整済み前月比では実質6.4%の減少だった。
ロイターの事前調査では前年比がプラス1.0%、前月比はマイナス3.1%と予想されていた。
統計によると、1世帯あたりの支出額は29万0886円で、名目ベースでは前年同月比1.5%の減少。6月は日曜日が前年と比べて1日少なかったことも影響した。
費目別では、航空運賃やガソリンなどが含まれる「交通・通信」が2カ月連続、飲料や外食などが含まれる「食料」が2カ月ぶりに、それぞれ実質減少となった。
洋服などの「被服及び履物」、電気代やガス代などの「光熱・水道」も実質減少に寄与した。
総務省の担当者は「昨年12月から所得から消費に回る割合が下がっている」と指摘。所得が貯蓄に回っている可能性があるとの見方を示した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+0.2ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+0.3ポイントはコンセンサスをやや上回りました。繰返しになりますが、6月統計のCI一致指数は、2か月ぶりの上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、CI一致指数は、3か月後方移動平均は前月から+0.47ポイントの上昇、6か月連続の上昇となり、加えて、7か月後方移動平均は前月から+0.47ポイント上昇し、これも6か月連続の上昇です。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、「改善」で据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。ただ、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の武力紛争は、一応の停戦合意を見ましたので、日米ともソフトランディングの確率が高まったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり70ドル前後で推移しています。東証の日経平均株価は高値圏で推移していますが、長期金利が2.8%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性がまったく否定されるわけではありません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+0.3ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.49ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、投資財出荷指数(除輸送機械)が+0.37ポイント、生産指数(鉱工業)が+0.22ポイント、有効求人倍率(除学卒)が+0.11ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、中小企業売上げ見通しDI、新設住宅着工床面積、新規求人数(除学卒)などのプラス寄与が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲3.1%減でしたが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、実質消費支出の前年同月比が+1.0%増と予想されていました。家計調査はもともとが振れの大きな統計ですし、実績の▲3.3%は微妙なところです。引用した記事にもあるよういに、台風、降雨量増加、低温などの天候要因による部分があるとはいえ、家計調査の現れている消費はやや弱いと見る向きが多そうです。ただ、被服及び履物が実質の前年同月比で▲19.9%源ですから、このあたりに天候要因が特に強く現れている可能性はあります。6月は一部ながらボーナスが出たこともありますが、消費性向が特に手介しています。すなわち、38.3%まで低下を示しており、前年同月は41.6%ありましたので、▲3.3%ポイントの低下ということになります。この消費性向の動きは、中東戦争の動向に関して前月に何らかの買いだめ行動があった反動という見方も示されていますが、現時点ではなんともいえません。今後も家計消費の動向には注意が必要です。

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2026年8月 6日 (木)

初回の猛攻で2ケタ得点して3タテを免れる

  RHE
阪  神710000101 10130
横  浜002001110 591

【神】 大竹、木下、及川、工藤 - 坂本
【横】 ビド、若松、松本凌、吉野 - 松尾

初回の打者一巡の猛攻で7得点を上げ、横浜に大勝でした。
先発大竹投手は1回に7点、2回にも1点と、6回を投げて3失点ながら、十分責任を果たした形です。大差がついて気が抜けたのか、リリーフ陣もポロポロと失点し、緊張感に欠ける試合になりましたが、最後はクローザーのお勉強ということで、工藤投手が3人でピシャリと抑えました。新外国人ガルシア選手に、昨夜に続いてスリーランが飛び出しました。私は懐疑的なのですが、この外国人選手にどこまで期待できるのか、出来ないのか、もう少し様子を見たい気がします。

明日の中日戦も、
がんばれタイガース!

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世界的な出生率の低下の理由やいかに?

"The Rise of Female Autonomy and the Decline of Fertility: The Role of Mismatch" と題するワーキングペーパーを読みました。2023年のノーベル経済学賞を受賞したゴルディン教授による全米経済調査会(NBER)のワーキングペーパーであり、世界的な出生率の低下に関する要因を考えています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

次に、NBERのサイトからワーキングペーパーのABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
The fertility decline is everywhere in the world today and goes back decades for rich countries. Birthrates have been below replacement in the U.S. and Europe since the mid-1970s. Completed cohort fertility in the U.S. was lower for those born in 1955 than for 1975. The reasons for the initial declines involve greater female autonomy and a mismatch between the desires of men and women. Men generally benefit more from maintaining traditions; women often benefit more from eschewing them. When the probability is low that men will abandon traditions, some career women will not have children and others will delay.

このワーキングペーパーでは、世界的な出生率低下の主因を、従来の育児コストの上昇や保育・育休政策の不足だけでは説明できないとし、女性の自律性の向上と男女間の役割期待のミスマッチ(greater female autonomy and a mismatch between the desires of men and women)に求める新たな理論を提示しています。すなわち、男性は伝統の維持から利益を得る一方で、女性はしばしば伝統から脱却することが利益になる(Men generally benefit more from maintaining traditions; women often benefit more from eschewing them.)、というわけです。
要するに、女性は高等教育やキャリア形成、避妊技術の普及によって人生の選択肢を大きく広げましたが、男性の家庭内役割や育児へのコミットメントは同じ速度では変化しませんでした。この結果、高学歴女性ほど「仕事と家庭を両立できる保証」が得られない限り、出産を延期あるいは断念するようになります。ワーキングペーパーの分析はこれらの状況を単純な理論モデルで表現し、教育収益率が高まる一方で「信頼できる父親」の割合が増えなければ出生率は低下すると示します。それをもっともよく表している概念図が Figure 3: Fertility Choice in the Model for College-Eligible Women であり、ワーキングペーパーから引用すると次の通りです。

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ゴルディン教授は多くの場合、大卒女性を考察するのですが、このグラフでも大卒女性を対象に、縦軸に大学教育の賃金プレミアム(college wage premium)、横軸に信頼できる父親の割合(share of dependable dads)を取り、グラフの右下が大卒女性が子どもを持つ領域、すなわち、期待されるチャイルド・ペナルティが十分低い領域(College Women Have Children; Expected child penalty is low enough)であり、逆に、左上は大卒女性が子どもを持たない領域、すなわち、期待されるチャイルド・ペナルティがあまりに高い領域(College Women Do Not Have Children; Expected child penalty is too large)となります。その境界線が示されています。
加えて、米国の歴史を分析し、ピルの普及が女性の教育・キャリア投資を促進した一方、男性側の意識改革が遅れたため出生率が急低下した、という議論を展開しています。また、日本・韓国・イタリア・スペインなど急速な経済成長を経験した国では、伝統的な性別役割分担が残ったため、女性の家事・育児負担が重く、出生率が極端に低くなったと論じています。したがって、少子化対策として育児補助金や住宅支援だけでは不十分であり、家庭内での男女の役割分担や、女性がキャリアと家庭を両立できる制度・社会規範の改革こそが重要であると結論づけています。

とても興味深い分析でした。でも、現在の高市内閣の政策当局からは無視される可能性が大きい、と私は受け止めています。

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2026年8月 5日 (水)

高橋投手が序盤から打ち込まれて横浜に大敗

  RHE
阪  神020001040 792
横  浜04110500x 11141

【神】 高橋、早川、セベリーノ、神宮 - 伏見
【横】 東、マルセリーノ、松本凌、伊勢 - 松尾、戸柱

高橋投手が打たれて、横浜に大敗でした。
先発高橋投手は2回に先制点をもらった直後、ツーラン2発を浴びて早々に逆転され、その後も失点して今シーズン初黒星です。打線は3回以降大山のソロだけだったんですが、およそ勝負とは関係ないところで、新外国人ガルシア選手にグランドスラムが出たりしました。つまらないエラーもあって、緊張感に欠ける試合でした。

明日は、
がんばれタイガース!

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甲子園で高校野球始まる

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本日午後4時に開会式があり、甲子園で高校野球選手権大会が開幕しました。間もなく第1試合の開始です。
今さらながらですが、上の画像は8月1日付けの朝日新聞号外であり、高校野球の組合せを報じています。右サイドの一番上に、私の郷土の代表であり、かつ、勤務校の立命館大学の付属校である立命館宇治高校が見えます。幸か不幸か、初戦は熊本代表の有明高校との対戦です。立命館宇治高校は地元関西の高校ですから、甲子園で応援負けすることはないと予想していますが、大きな地震被害があった熊本代表の有明高校に、ひょっとしたら、全国の応援が集まるかもしれません。それはそれで理解できます。

がんばれ立命館宇治高校!

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実質賃金の上昇続く6月の毎月勤労統計

本日、厚生労働省から6月の毎月勤労統計が公表されています。統計のヘッドラインは、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は531,677円と前年同月比+3.4%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.6%増と、6か月連続のプラスを記録しています。まず、統計の記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

6月実質賃金は前年比1.6%増、6カ月連続プラス=毎勤統計
厚生労働省が5日公表した6月の毎月勤労統計によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.6%増と、6カ月連続でプラスとなった。
ガソリン価格の反動増や電気・水道などの公共料金の上振れから消費者物価の伸び率が前月よりやや加速したものの、名目賃金がそれを上回って伸びた。
名目賃金にあたる現金給与総額は、53万1677円で前年比3.4%増加。5カ月連続で3%以上の伸びとなった。1991年-1992年以来のこと。そのうち、所定内給与は27万9189円で3.4%増だった。
消費者物価指数(2020年基準=100)を持家の帰属家賃を除く総合で実質化したものは前年同月比1.9%上昇で、総合指数で実質化したものは1.7%の伸びだった。
賞与などの特別に支払われた給与は3.5%増と前月の7.4%から伸びが鈍化した。所定外給与は2.8%増と人手不足を背景として人材投資などに支えられた。

続いて、毎月勤労統計のグラフは次の通りです。上のパネルは、名目及び実質の賃金指数の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの所定外労働時間指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、賃金については、6か月連続で前年同月比で実質賃金がプラス、6月統計では+1.6%増というのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+3.4%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.9%にとどまったことに起因します。5月統計の確報では、現金給与総額が+3.3%増、実質賃金が+1.6%増でした。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当といった変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が4月+3.4%増、5月+3.0%増から、6月も+3.6%増であり、引用した記事にもあるように、現金給与総額とともに5か月連続で+3%以上の伸びを示しています。「所定内給与」も5月の3.0%増から6月は+3.4%増と、こちらも5か月連続で+3%以上の伸びとなっています。加えて、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」も6月は+3.5%増と増加しています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、あるいは、逆から見て、政策的に名目の賃金上昇率を下回るインフレに抑制されているということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスなど「特別に支払われた給与」もさることながら、経済学でいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加につながることが期待されます。

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2026年8月 4日 (火)

チャンスはありながら決定打なく好投の村上投手を見殺し

  RHE
阪  神000000000 080
横  浜000100000 040

【神】 村上、及川、岩崎 - 坂本
【横】 尾形、ルイーズ、レイノルズ - 松尾

得点機は再三ありながら決定打なく、横浜に完封負けでした。
先発村上投手は6回4安打1失点と十分にナイスピッチングでした。後を継いだ及川投手と岩崎投手も、最近、やや調子を落としていましたがノーヒットに抑え切りました。ただ、だせんが、、特に終盤7回、8回、9回と得点圏にランナーを進めながら決定打がなく、ことごとくチャンスを逃して無得点に終わってしまいました。初物投手に弱いとはいえ、終盤のチャンスには一本欲しかったところです。

明日は、
がんばれタイガース!

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データ経済の新しいモデル

データ経済の新しいモデルを考える論文 "A Model of the Data Economy" を読みました。この論文では、「データ」について、生産活動の副産物ではなく、企業が生成し、蓄積し、活用し、さらには、売買する無形資産(intangible asset)として明示的に組み込んだ一般均衡モデルを示しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、ジャーナルのサイトから論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
In a data economy, transactions of goods and services generate data, which is stored, traded and depreciates. How are the economics of this economy different from traditional production economies? How do these differences matter for measurement of GDP, firm values, depreciation rates, welfare and externalities? We incorporate active experimentation and data as an intangible asset to devise a tractable recursive representation of the data economy. The model rationalizes why apps are often “free” and why even non-digital economic activity might be greater than GDP suggests. Calibrating the model using a combination of macroeconomic and financial moments suggests that the mis-measurement in U.S. GDP due to missing value of data has been as high as 6% in 2018.

繰返しになりますが、本論文では、データを単なる生産活動に付随する副産物ではなく、企業がその目的で生成し、蓄積・活用し、さらには、売買までする無形資産(intangible asset)として扱い、そういった属性を有するデータを明示的に組み込んだ一般均衡モデルを提示しています。従来の経済モデルでは、生産活動は財・サービスを作り出して終了しますが、この論文で示されているモデルでは、生産された財・サービスの取引そのものが新たなデータを生み、そのデータが将来の生産性向上やAIなどの性能改善につながるという循環構造を導入しています。データは蓄積される一方で陳腐化(depreciation)し、企業はデータ獲得のために積極的な実験(active experimentation)を行います。この枠組みにより、データ経済では短期的に収益が低くてもデータ資産の形成、すなわち、データの蓄積によって企業価値が高まる点が強調されます。同時に、アプリが無料提供されること、GDPには計上されないデータ間での物々交換(data barter)が存在すること、などが示されています。この一般均衡モデルによる知識のフローと蓄積をもっともよく示しているのが Figure 1 であり、ジャーナルのサイトから引用すると次の通りです。

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直感的に理解できることと思いますが、Figure 1 は、企業におけるデータの流入と流出の動態を示しています。データの生産量は、データの流出線よりも上方に位置することもあれば、下方に位置することもあります。実線で示されたデータの流入と破線のデータの生産との差は影がつけられており、データの購入に相当します。こうした購入は流入線を上方へ押し上げ、収束を加速させる要因となります。長期的な均衡点は青いドットで示されています。
さらに、論文では、米国データに基づくキャリブレーションでは、GDPはデータ資産の価値を十分に反映しておらず、2018年には実際の経済価値を約6%過小評価していた可能性を指摘しています。論文では、AI時代のデータ駆動型経済を分析するには、設備投資や人的資本だけでなく、データ蓄積を新たな資本として扱う理論が不可欠であると結論付けています。

最後に、どうしてアプリが無料で提供されるのか、についても論文では回答を示しています。すなわち、アプリを販売して利益を上げるよりも、無料アプリを配布して利用者を拡大する方がより大きな収益につながるから、ということです。なぜなら、無料アプリを利用する多くのユーザから行動履歴、検索履歴、位置情報、購買履歴、AI学習データなどを収集することが可能となり、それらを用いて、AIの精度向上、広告のクリック率向上、リコメンデーションの精度向上などにつなげることが出来ることからです、少数のユーザにアプリを販売するのではなく、格段に多数のユーザに無料アプリを配布してデータを収集する方が収益につながる、という判断があるものと考えるべきです。

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2026年8月 3日 (月)

子育てコストと少子化について考える

未公刊の論文ながら、"The Child Cost Index" という子育てコストを推計した論文を読みました。1990年から2023年までの米国における広い意味での子育てコストを推計しています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

繰返しになりますが、未公刊の manuscript ですので、今後、修正がある可能性は十分あります。続いて、論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
Rising child-rearing costs are often cited in accounts of declining U.S. fertility, but there is little evidence on how the prices of child-rearing inputs have evolved in the aggregate. We construct a Child Cost Index (CCI) for 1990-2023 that combines purchased goods and services with parental time and tracks the price of this composite child-rearing bundle relative to adult consumption. Despite rapid inflation in childcare and tuition prices, the goods-and-services CCI closely tracks adult prices, as these increases are offset by children's lower exposure to shelter and by slower price growth elsewhere in the child basket. Households devote substantially more real resources to children than they did in 1990, but this increase parallels the growth of real adult consumption rather than reflecting a child-specific rise in prices. A similar offsetting pattern appears for parental time: the rising value of women's time is largely counterbalanced by declining motherhood penalties in earnings and work hours, so forgone market work adds little to relative cost growth. The main departure from this stability comes from the growing amount of leisure displaced by childcare; valuing that time raises the CCI, although the magnitude depends on the shadow value assigned to leisure.

この論文は、1990年から2023年の米国における子育てに必要な財・サービス、さらに、親の時間を統合した Child Cost Index (CCI) を推計し、子育てコストが成人(adult)の消費と比較してどの程度上昇したかを分析しています。論文の分析の結果、保育料や授業料は大幅に上昇したものの、それだけでもって「子育てコストが急騰した」と結論づけることはできない、と指摘しています。すなわち、住宅費では子どもの支出割合が成人より小さく、食料など価格上昇が比較的緩やかな上昇率の項目の比重も高いため、高騰した教育・保育費が他の項目によって相殺される、という主張です。その結果、財・サービスのみから構成されるCCIは、成人消費指数(Adult Consumption Index=ACI)とほぼ同じペースで推移し、子育ての相対価格は30年以上ほとんど変化していない、と結論づけています。

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まず、上のグラフは、論文から Figure 3: Price index for child goods and services, CCI, 1990-2023 を引用しています。見れば明らかなのですが、子育てコスト指数(CCI)と成人消費指数(ACI)を比較しています。1990年から2023年まで30年間にわたって、ほぼ同様の動きを示しており、子育てコストがとりわけ大きく上昇したという根拠は観察されない、という結論です。繰返しになりますが、保育料や教育費の高騰がそのまま子育てコストの大きな上昇にはつながっておらず、住宅費や食料費によって相殺されている部分が少なくない、ということです。

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続いて、上のグラフは、論文から Figure 7: Changes in parental time use, 1990-2023 を引用しています。この論文では、それでは、子育てコストはまったく親の負担になっていないのか、という疑問に回答しようと試みていて、その結論のひとつが示されています。すなわち、市場労働価値(labor-market outcomes)としては決して大きくない一方で、親が子育てにかける時間が増加し、その多くが余暇時間の減少として現れている、という主張です。狭義と広義の2通りの棒グラフですが、両親ともに余暇時間が減少していることが読み取れます。したがって、この余暇時間の減少がインプリシットに子育てコストに上乗せされている可能性が示唆されています。

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最後に、論文を離れて、上のグラフは経済開発協力機構(OECD)の Net childcare costs のサイトから引用しています。Net childcare costs は、フルタイムの施設型保育の利用料金による家計の純減額(the net reduction in family budgets resulting from the use of full-time centre-based care)と定義されています。この意味で、米国はOECD加盟国の中でももっとも高い国のひとつであり、日本は逆に平均的ないし低い方に入ることが読み取れます。保育料金が高いからこそ、米国では本論文 Child Cost Index のような問題意識が生じるわけです。他方、日本では先進国の中ではそれほど保育料金が高いわけではありません。加えて、日本は婚外子の割合が低い点は広く認められていますから、子どもを出産した後の子育てコストへの支援ももちろん重要ですが、まず、結婚の意欲が持てて、実際に結婚生活が送れるような所得、そのための雇用がより重視されるべきである、と私は考えています。

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2026年8月 2日 (日)

坂本捕手の決勝ホームランでヤクルトを3タテ

  RHE
阪  神002100001 472
ヤクルト100200000 3100

【神】 下村、門別、木下、及川、工藤 - 坂本
【ヤ】 ウォルターズ、丸山翔、星、廣澤、清水、キハダ - 古賀

9回の坂本捕手の決勝ホームランで、ヤクルトを3タテでした。
初回に先発下村投手が失点しましたが、3回には佐藤輝選手のツーベースで逆転し、4回にも坂本捕手のホームランでリードを広げます。しかし、4回には前川外野手が落球した後、同点に追いつかれます。その後、両チームともにリリーフが踏ん張って、最終回の坂本捕手のホームランで決着がつきました。9回ウラは3連投の工藤投手が初セーブを上げました。ヒットは打たれましたが、危なげない投球でした。若きクローザーの誕生かもしれません。

横浜戦も、
がんばれタイガース!

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