2017年2月24日 (金)

世銀リポート Trade Developments in 2016 に見る不確実性と貿易と生産性の関係やいかに?

今週2月21日付けで、世銀から Trade Developments in 2016: Policy Uncertainty Weighs on World Trade と題するリポートが公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。どうやら、ワーキングペーパーの扱いなんですが、要するに、最近の世界の政治経済情勢が不確実性を増していて、その不確実性が貿易の伸びを鈍化させ、ひいては、生産性の向上を阻害する要因になりかねない、という趣旨のようです。まず、世銀のサイトからリポートのハイライトを3点引用すると以下の通りです。

STORY HIGHLIGHTS
  • 2016 is the fifth consecutive year of slow trade growth and the year with the weakest performance in trade since the Global Financial Crisis.
  • Weak trade growth seen in 2016 was characteristic to both high-income and developing economies.
  • Trade developments in 2016 reflected a number of factors including slow global growth and low commodity prices, as well as increased policy uncertainty and maturing global value chains.

やや、海外報道を読んだ私の印象と異なるような気もするんですが、必ずしも国内のメディアから注目されていない国際機関のリポートなどを取り上げるのは、私のこのブログのひとつの特徴でもありますので、リポートからグラフをいくつか引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポート p.10 から Figure 6: World import growth and policy uncertainty, from mid-2012 to 2016 を引用しています。2013年を底にして経済政策の不確実性が増して来ており、特に、2015年の欧州難民危機から2016年の英国のBREXITを決めた国民投票、トランプ大統領を選出した米国大統領選挙で大きくジャンプしているのが見て取れます。そして、その経済政策の不透明性に逆相関する形で貿易数量の伸び率が低下しています。なお、ここでは輸入数量をもって貿易の代理変数としているようですが、その後の議論の進みを見れば、需要や成長に結びつく輸出ではなく、国内におけるGVCの起点となる輸入に焦点を当てているのは意味のあるところです。

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次に、上のグラフはリポート p.10 から Figure 7: Goods and services import volume growth and policy uncertainty, by country and year を引用しています。輸入で代理された貿易と経済政策の不確実性の相関を見ています。ハッキリ言って、ほとんど無相関に近いんですが、それでも、1985年から2015年までの18か国における長期系列を取ると、最初のグラフの結論の繰り返しになるものの、政策の不確実性と貿易の伸びの間には逆相関が観察されます。なお、縦軸は輸入数量の対数階差なんですが、計算すればわかるように、時系列変数の対数階差はほぼ伸び率に近似します。

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最後に、上のグラフはリポート p.15 から Figure 11: Manufacturing industries: vertical specialization and labor productivity, 1995-2009 を引用しています。輸入が増加すれば、それを起点とした垂直的な特化が進み、その特化に従って生産性が向上する、という見立てです。やや苦しい立論かもしれませんが、無視できない見方です。ですから、経済政策の不確実が増すと輸入の伸びが鈍化し、輸入の伸びが鈍化すると垂直的な特化が進まず労働生産性の伸びが停滞する、という見事な三段論法になっているわけです。そして、その経済政策の不確実性のソースとして、BREXITを決めた英国の国民投票とトランプ大統領を選出した米国大統領選挙を示唆しています。個別国の主権を有する国民の投票結果にケチをつけているようにも読め、その限りでは、やや不埒なリポートのように感じなくもないんですが、まあ、エコノミストの見方としてはこんなもんかもしれないという気もします。

最後の最後に、3枚引用したグラフのうちの2枚目と3枚目については相関を見た散布図ですので、縦軸と横軸は本来はどちらがどちらでもいいようにも考えられますが、あくまで、伝統的に関数形は y=f(x) であって、横軸のx軸の変数が縦のy軸の変数を決めるという因果関係を暗黙の裡に前提しており、その因果の流れに従ったグラフを作図しているような気がします。

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2017年2月23日 (木)

企業向けサービス物価(SPPI)上昇率は着実にプラス圏内を続ける!

本日、日銀から1月の企業向けサービス物価指数(SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て、ヘッドラインSPPIは+0.5%、国際運輸を除くコアSPPIも+0.4%と、徐々に上昇幅が拡大しています。でも、誤差範囲かもしれません。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、1月は前年比0.5%上昇 貨物輸送が上昇
日銀が23日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.0で、前年同月比で0.5%上昇した。43カ月連続で前年同月を上回り、プラス幅は昨年12月の確報値(0.5%)から横ばいだった。外航貨物輸送が前年比8.2%上昇となるなど、原油価格の上昇を受けた貨物運賃の持ち直しが寄与した。前月比では広告などが低下し、0.5%下落した。
対象の147品目のうち、価格が上昇したのは53、下落した品目は49だった。上昇品目数が下落を上回るのは16年9月以来。
テレビ広告は0.9%下落した。昨年にスポーツ特番などが寄与した反動が出た。ホテルなどの宿泊サービスは2.5%上昇となった。
日銀は企業向けサービス価格の先行きについて「価格改定期の4月がどう出るのかがポイント」(調査統計局)と説明した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、SPPI上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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何分、粘着性が強い物価ですから、企業向けサービス物価(SPPI)についても前年同月比で見て+0.5%近辺で膠着しているように見えます。でも、ここ半年ほどで中身はかなり違って来ています。一例ですが、昨年はオリンピック開催年ということもあり、広告の上昇率が高かった一方で、今年に入って広告料金は失速し始め、1月にはとうとう前年同月比でマイナスに転じています。逆に、国際商品市況の石油価格の低下が燃料費に波及して長らくマイナスを続けてきた運輸・郵便が1月に入ってプラスに転じています。広告などの需要面からのプル要因がやや鈍化を見せ始めている一方で、石油価格などの供給面からのプッシュ要因が出始めているわけです。ただし、総じて人手不足ながら賃金がそれほど上昇しておらず、人件費の比率高いサービス物価の上昇も鈍っていることは確かです。日銀当局の指摘にある通り、4月からの価格改定に注目すべきなんでしょうか?

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2017年2月22日 (水)

東洋経済オンライン「海外勤務者が多い」トップ200社ランキングやいかに?

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先週2月17日付けで、東洋経済オンラインから「海外勤務者が多い」トップ200社ランキングが明らかにされています。私自身も南米はチリでの大使館勤務とインドネシアの首都ジャカルタでの国際協力機構の専門家としての勤務と、それぞれ3年間の海外勤務を経験していますので、少し興味を持って見ています。でも、諸般の事情により、簡単に1位から50位までのテーブルの画像を引用してお仕舞いにしたいと思います。なお、上の画像の通り、1位はトヨタ自動車です。いわずと知れた世界首位級の自動車メーカーで、海外30カ国約80事業体で約2450人の海外勤務者が働いているそうです。もちろん、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅などの総合商社も軒並みトップ10に入っていて、人数はともかく、従業員との海外勤務者比率では海運、プラントなどとともに高くなっています。ただ、海外勤務者比率がトップなのは日本貿易振興機構(JETRO)となっており、40%を超えています。同じく独立行政法人である国際協力機構(JICA)もかなり高率で20%を超えていて、総合商社並みのようです。就活生には参考になったかな?

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2017年2月21日 (火)

発足1か月のトランプ政権に対する米国民の評価やいかに?

1月20日の就任式以来ほぼ1か月を経過し、米国のトランプ大統領に関する世論調査結果が2月16日付けでピュー・リサーチ・センターから In First Month, Views of Trump Are Already Strongly Felt, Deeply Polarized と題して明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。サマリーを別にして以下の4部構成ですが、今夜の記事では最初のサマリーからグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

  1. Early public attitudes about Donald Trump
  2. Views of Trump's executive order on travel restrictions
  3. Views of Islam and extremism in the U.S. and abroad
  4. Attitudes toward increasing diversity in the U.S.
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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Trump has robust GOP backing, almost no crossover support を引用しています。レーガン米国大統領以降の数代に渡る米国大統領のこの時期の支持率は過半を超えているのが通常のような気もしますが、現在のトランプ大統領だけはわずかに支持率39%に低迷しています。大統領就任しょっぱなから支持率39%なわけです。特に2点指摘しておきたいのが、直前のオバマ前大統領の支持率から比べて、大きく低迷している点と、民主党と共和党の両党の党員・支持者間で極めて深刻な開きがあり、大統領野党の民主党からの支持がほとんどない点です。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Disapproval of Trump's refugee policy, broad criticism of how it was executed を引用しています。大きな注目を集めている難民政策とイスラム圏7か国からの入国停止に関する大統領令の支持率の調査結果です。入国停止に関しては、連邦控訴裁判所で効力を停止されていることは広く報じられているところです。民主党と共和党のそれぞれの支持率で特に大きな開きが出ています。グラフからは読み取れませんが、特に女性からの不支持が高いようです。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Early impressions: Fewer view Trump as trustworthy, well-informed compared with Obama, Bush or Clinton を引用しています。実行力 (ability to get things done) だけはそこそこのスコアを示しているものの、信頼性 (Trustworthy) をはじめとして、直前のオバマ前大統領とはほぼダブルスコアの差をつけられ、直前4代のクリントン元大統領以降では実行力も含めて最低のスコアを記録しています。

ただし、グラフは引用しませんが、経済状況については改善が見られるとの評価が出始めています。何といっても、"It's the economy, stupid!" を大統領選挙のスローガンにして当選したクリントン元大統領のような例もありますから、経済が上向けばトランプ大統領に対する支持も上がる可能性はあるんではないか、と私は予想しています。

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2017年2月20日 (月)

5か月振りの赤字を計上した貿易収支の先行きやいかに?

本日、財務省から1月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+1.3%増の5兆4219億円、輸入額も+8.5%増の6兆5088億円、差引き貿易収支は▲1兆869億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易収支、5カ月ぶり赤字 1兆869億円、輸入25カ月ぶり増加
財務省が20日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆869億円の赤字だった。貿易赤字は5カ月ぶり。QUICKがまとめた市場予想の中央値は6293億円の赤字だった。資源価格の上昇などを背景に輸入額が2014年12月以来25カ月ぶりに増加に転じた。中国の春節(旧正月)をはじめとする季節要因で輸出が滞ったことも影響した。
輸出額は前年同月比1.3%増の5兆4219億円と2カ月連続で増加。1月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=116.48円と前年同月から2.6%の円高だったほか、春節が1月28日と前年より早かったことから中国向けの輸出が伸び悩むなどし増加幅は限られた。
中国向けの重油や自動車部品などの輸出が増えた。地域別では米国向けが6.6%減、欧州連合(EU)が5.6%減となった。中国を含むアジアは6.0%増だった。
輸入額は8.5%増の6兆5088億円となった。サウジアラビアからの原粗油、オーストラリアからの石炭などの伸びが顕著だった。原粗油の輸入は数量ベースでは前年同月から減少したが、資源価格の上昇に伴い金額が35.6%増と膨らんだ。米国からはシェールガス由来の液化天然ガス(LNG)の輸入を初めて計上した。
財務省は同日、5月22日に公表する4月の貿易統計から資料の記載項目を一部変えると発表した。「主要地域(国)別商品別輸出(輸入)」からアジア新興工業経済群(NIES)を削除し韓国を追加するなどの変更を行う。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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季節調整していない原系列の統計で見て、5か月振りの貿易赤字とはいえ、上のグラフでも明らかな通り、トレンドに沿った季節調整済みの系列で見ると、一昨年2015年11月から直近1月まで黒字が続いています。もちろん、直近1月の黒字幅はわずかに+1555億円と大きく縮小していますが、明らかに、輸入面では石油価格の上昇、輸出面では中華圏の春節の影響が大きいと考えるべきです。国際商品市況における石油価格については何ともいえませんが、中国の春節が昨年の2月から今年は1月にずれ込んだ点については、イレギュラー要因としかいいようがありません。でも、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、▲6000億円余りの赤字を予想していたわけですから、▲1兆円を超えたとはいえ、貿易赤字の予想という点に関しては大きなサプライズはなかった気がします。従って、1月の貿易統計については、中国の春節効果を考慮すると、1-2月でならして見る必要があるものと考えられます。いずれにせよ、我が国の貿易は輸出入とも拡大局面に入ったと私は受け止めており、背景には我が国と世界経済の緩やかな回復・拡大があるわけですから、それはそれで評価すべきと私は考えています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。1月の中国向けの輸出については、明らかに、中華圏の春節によるイレギュラー要因の影響が出ています。春節効果を別にすれば、我が国の輸出は緩やかに拡大する方向にあると私は考えており、その理由は為替の円安化に伴う価格効果と中国や米国をはじめとする世界経済の回復による所得効果です。引用した記事にもある通り、1月の税関長公示レートこそ、前年同月に比べて円高でしたが、トランプ米国大統領当選後の為替相場は昨年11月半ばから円安傾向で推移しています。また、上のグラフに見る通り、OECD先行指数に見る先進国や中国の景気は回復を見せています。いずれも、我が国の輸出に追い風となっていると私は受け止めています。

ただし、最後に、輸出の先行きリスクについては、漠然とした影響ながら、米国のトランプ新政権による保護主義的な通商政策はリスクになり得ると考えられます。TPPについては、まだ発効すらしていませんし、NAFTAの再交渉も我が国は含まれていませんから、我が国の貿易に大きなダメージを及ぼすとはとても考えていませんが、むしろ、先行きの何らかの米国との二国間交渉があり得る可能性は排除できません。でも、1990年代のクリントン政権時の包括協議に巻き込まれた経験から、私自身がやや被害妄想になっている可能性はあります。

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2017年2月19日 (日)

気象協会による「第4回2017年春の花粉飛散予測」やいかに?

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2月13日付けの都庁福祉保健局の発表「都内でスギ花粉の飛散開始 (速報)」にあったように、いよいよ東京でも花粉の飛散が確認され、本格的に花粉症シーズンが始まりました。都庁の発表の翌日2月14日に、気象協会から「第4回2017年春の花粉飛散予測」が明らかにされています。上の一連の画像の通りです。処方薬は入手しましたし、体調を整えて、もう、この季節はひたすら耐え忍ぶだけです。

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2017年2月18日 (土)

今週の読書も話題の経済書などハイペースに計9冊!

今週もお近くの区立図書館ががんばって予約を回してくれて、ヘリコプターマネーで注目の経済書など計9冊です。手軽に終わらせるべき本については読書感想文も短めにしています。今日の午前中にいくつかの図書館を回ったんですが、来週こそはペースダウンできるのではないかと期待しています。

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まず、アデア・ターナー『債務、さもなくば悪魔』(日経BP社) です。作者は英国金融サービス機構長官を務めたエコノミストであり、本書はヘリコプターマネーを提唱した話題の書です。英語の原題は Between Debt and the Devil であり、頭韻を踏んでいるんでしょうか。ショッキングな邦訳タイトルながら、かなり原題に近いといえます。出版は2016年です。ということで、ヘリコプターマネーがどうしても注目されるんですが、本書はそれにとどまらず、2009年からの金融危機やその後の Great Recession また長期停滞論なども視野に含めて、幅広い議論を展開しています。需要は貨幣創造で創出できるというのが結論であり、まさにリフレ派や私の直観と一致します。もっとも、本書でも銀行貸出は生産要素に向かうのではなく、最近では不動産ストックの取得に向かっているとの指摘が痛かったです。最近、私の所属する研究所で勉強会をやった折にも、マネーが資産購入には向かわず、文字通り「漏れなく」購買力に向かうというモデルの発表を聞いて脱力した記憶があります。また、100%準備銀行として、民間銀行に信用創造を許さないような制度を考えるかと思えば、ヘリコプター・マネーの議論をしてみたりと、偏見なく経済を上向かせる、あるいは、バブルを防止するような政策を網羅しているような気がします。ただ、最後の解説の早川さんはミスキャストです。本訴の結論に対しても、両論併記と言うか、いろんな見方を提起して議論を曖昧にしたり、本書の重要な結論のいくつかに疑問を呈したりと、本書で明確に否定された旧日銀理論を振りかざしています。理解のはかどらない出版社幹部が勝手にセッティングしてしまい、担当編集者がどうしようもなく断れなかったような気がします。こんな解説なら、むしろ、なかったほうが著者の意向に沿うような気がします。最後に、ヘリコプターマネーの有効性については私は著者とほぼほぼ一致しているんですが、現在の日本の経済情勢においては十分な成長を実現しており、ヘリコプターマネーは必要ない、というのが私の見立てです。ご参考まで。

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次に、フィリップ E. テトロック&ダン・ガードナー『超予測力』(早川書房) です。著者の2人は政治心理学の研究者とジャーナリストです。この組み合わせで連想されるのが『ヤバい経済学』の2人の著者なんですが、本書の場合、本文中に1人称で出現するのは研究者のテトロック教授が多いような気がします。英語の原題は Super-Forecasting であり、邦訳のタイトルはほぼほぼ忠実に原題を直訳しているようです。2015年の出版です。タイトル通りの超予測について、さらに、実在の超予測者について、彼ら彼女らがどのように予測しているかのプロセスを考察しています。特に、超予測者についてはまとめとして、pp247-49 にいくつかの特徴を箇条書きしています。必ずしも経済書ではないかもしれませんが、一貫して主張しているのが、ランダムな判断として「サルのダーツ投げ」を引用していて、明示的な引用でははいものの、引用元はマルキール教授の『ウォール街のランダムウォーカー』です。私は大学に出向していた際の紀要論文に "An Essay on Random Walk Process: Features and Testing" というのがあり、"a blindfolded monkey throwing darts at a newspaper's financial pages could select a portfolio that would do just as well as one carefully selected by experts" として最後の結論で引用しています。また、予想は新しい情報が加われば変更すべきであるという著者の主張を補強する意味で、ケインズの言葉も引用されています。"When my information changes, I alter my conclusions. What do you do, sir?" なんですが、これも超有名なフレーズです。こう話しかけられた相手はサムエルソンではなかったかと記憶しています。また、軍事情報の予測も数多く取り上げられており、例えば、先日、大統領補佐官をわずか1月足らずで辞任したマイケル・フリンが国防情報局(DIA)長官を退官する直前のインタビューを取り上げ、pp.297-98 で国際情勢判断の間違いが指摘されています。いずれにせよ、予測を行うのに必要なのは、本書では明記していませんが、インプットする情報の質と量、それに、そのインプットをプロセスする評価関数もしくはモデルであり、予想が間違う場合は後者の評価関数もしくはモデルがおかしい場合が圧倒的に多い、と私は考えています。ケインズ的な評価関数(モデル)の臨機応変な変更をはじめ、評価関数(モデル)を洗練させるのに必要ないくつかの要素を読み取れれば、本書の読書の成果といえるかもしれません。

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次に、安岡匡也『経済学で考える社会保障制度』(中央経済社) です。著者は関西学院大学の研究者であり、本書は、基本的に、大学生に対する教科書、あるいは、初学者向けテキストとして執筆されたものだそうですから、期待すべき水準を推し量ってから読み始めるべきような気がします。全18章のうち16章までがほぼ制度論で、年金、医療、介護、生活保護、雇用、育児支援、障害者福祉となっています。もちろん、すべてが制度論ではなく、いくつか経済モデルの実際の数値例を基に、効用関数との対比でマイクロな選択の最適化などが扱われています。公務員試験に出そうなものもあったりします。ただ、制度論ですから社会保障の全体像を政府予算から把握できるようにするとかの工夫も欲しかった気がします。国際比較はいくつかの社会保障政策の分野ごとに扱っていますが、なぜか、国内の社会保障政策全体像の中で個別の年金や医療などの政策がどのように位置づけられているのかが明らかにされていません。個別の制度論から外れるのは最後の2章だけで、所得格差の指標と財源調達の経済分析を扱っています。財源では、消費税の軽減税率を批判していますが、とてももっともです。

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次に、フランシス M. ネヴィンズ『エラリー・クイーン 推理の芸術』(国書刊行会) です。著者は米国のミステリ作家・研究家・アンソロジストだそうです。というよりも、1974年出版の原書 Royal Bloodline、1980年の邦訳書『エラリイ・クイーンの世界』の作者といった方が判りやすいかもしれません。我が国ミステリ界に大きな影響を残した名著です。なお、この作品の英語の原題は Ellery Queen Art of Detection ですから、ほぼ忠実に邦訳されています。2013年の出版です。要するに、前著で積み残した部分を補った完全版、という気がします。ただ、前著との比較は私の能力を大きく超えていますが、私にとって参考になったのは、いわゆる本格推理小説である国名シリーズをはじめとするクイーンの初期の著作、と中期も最初の方の『災厄の町』や『九尾の猫』などであり、1940年代前半くらいを中心とするラジオ・ドラマについては、ほとんど興味ありません。日本人にはアクセスできないでしょうし、聞けたとしてもネイティブの米国人などとは理解度が違うんではないかと思います。ただ、オーソン・ウェルズの「宇宙戦争」が大混乱を巻き起こしたのが1938年ですから、年配の世代にはクイーンといえば小説よりもラジオ・ドラマの印象が強かった時代があるのかもしれません。ほか、19章でランダムに取り上げた作品解説、20章からのクイーンではない作家の代作なども興味深かった気がします。なお、本書の序でクイーンの名前が(日本を除いて)忘れ去られていると著者が記していますが、そうなんでしょうか。私もクイーンの小説はドルリー・レーンが主人公の4作を入れても、国名シリーズと『災厄の町』や『九尾の猫』くらいしか読んでいません。我が家の倅もミステリは好きそうなんですが、彼らの世代になると日本でもだんだんと忘れ去られていくのかもしれません。

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次に、清武英利『プライベートバンカー』(講談社) です。著者は読売新聞の記者を長らく務めたジャーナリストであり、ジャイアンツの球団代表まで勤めましたが、コンプライアンス違反を内部から告発して解雇されています。もともと、ジャイアンツというのは後ろ暗い裏のある球団ではないかと私は勝手に想像していますが、それにしても、著者はとても信頼を置けて尊敬できるジャーナリストではないかという気がします。2015年11月に山一證券の最後の整理を担当した人々を取材した『しんがり』を読んで、このブログに読書感想文をアップしています。本書はタイトルなどからも理解できる通り、シンガポールを舞台にした富裕層や超富裕層の個人資金を預かるプライベートバンカーを中心にしたノンフィクソンなんだろうと思いますが、一部にフィクションの小説的な要素も含まれており、どこまでがノンフィクションの事実で、どこからがフィクションなのかは私には不明です。主人公は実名である旨が明記されており、野村證券営業部隊の出身であるプライベートバンカーです。相続税逃れのためにオフショアのタックスヘブンであるシンガポールに移住して、何をすることもなく英語が出来ないので現地に溶け込めずに日本人ムラでブラブラしている富裕層を相手にしたビジネスなんでしょうが、とても批判的な視点から事実や事実に近いフィクションを取りまとめています。加えて、我が国の国税庁からの長期出張者の活動、私が考える限りはこの部分がもっとも事実を伏せている気がしますが、また、最後は顧客の資金を横領するプライベートバンカーについても取り上げ、とても幅広い取材の苦労がしのばれますが、さすがに、数十億円単位のカネを集めながら、何に投資しているのか、この部分だけはブラックボックスで終えています。仕方ない気もしますが、何か臭いだけでも発しておいて欲しかった気がします。

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次に、ピーター・ペジック『近代科学の形成と音楽』(NTT出版) です。著者は物理学の研究者であり、在野の音楽家でもあるようです。英語の原題は Music and the Making of Modern Science であり、冒頭のはしがきに科学ではなく音楽が先行する旨を強調しているにもかかわらず、科学と音楽を逆に邦題にしたセンスが私には理解できません。2014年にマサチューセッツ工科大学(MIT)出版局から出版されている学術書です。どこがどう学術書なのかというと、基本的に入門レベルの科学史となっています。しかも、英語の原題でも「近代科学」をうたっているんですが、ギリシアの古代科学から始まります。ケプラー、デカルト、オイラーなど、数学の精緻な世界観や近代科学の宇宙論とか古代科学も含めて天文学のハーモニーと音楽は、何となくの直観ながら相性がいいように思わないでもないんですが、相対性理論や特に量子力学になった以降の確率論的な科学といまだに決定論的な音楽については、どう考えるべきなのかは本書では扱っていません。化学や生物学との音楽は疎遠な気がします。これらはどう考えるべきか、興味あるところです。音楽と科学に関する古代からの図版が数多く収録されていて、それらを見ているだけでも豊かな音楽性が身につくような気になったりします。

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次に、有栖川有栖『狩人の悪夢』(角川書店) です。作者はいわずと知れた新本格派のミステリ作家であり、火村シリーズ最新作です。思い起こせば、前作『鍵の掛かった男』を読んで読書感想文をアップしたのが2015年11月8日でしたから、1年余前になります。前作では、作家がタマネギの皮をむくように、ひとつひとつの事実解明に当たった後、最後の最後になって火村准教授が登場して、サヨナラの挨拶である「カウダカウダ」をキーワードとして、パタパタと一気に事件が解決する、という展開だったんですが、この作品は真逆というか、最初の方から火村が登場するものの、最後でとても以外な事実が判明する、という形になります。前作と同じで、新本格派らしからぬ動機のしっかりしたミステリです。「俺が撃つのは、人間だけだ」とうそぶきつつ、犯人を一気に追い詰め犯罪を狩る火村の迫力が尋常ではありません。最近は京都をホームグラウンドとする新本格のミステリ作家の中でも、我が母校の京大推理研出身作家よりも、ついつい、同志社出身の有栖川有栖の作品を読む機会が多いような気がして仕方がないんですが、綾辻行人、法月綸太郎、我孫子武丸などの活躍を期待します。

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次に、中山七里『セイレーンの懺悔』(小学館) です。著者は『さよならドビュッシー』でミステリ作家としてデビューし、私も何冊か読んでいます。この作品は『きらら』の連載を単行本に取りまとめています。主人公はテレビ局の女性取材記者ですが、まだ2年目と若く、中堅のエース格の男性記者と組んでいます。女子高生の誘拐殺人事件を取材しているんですが、テレビ局が放送倫理・番組向上機構(BPO)から度重なる勧告を受け、午後の看板ワイドショーの番組存続の危機にさらされた社会部記者として、ついついスクープを求めて不十分な裏付けで動いて誤報を演じてしまいます。すなわち、警視庁の刑事を尾行した主人公は廃工場で暴行を受け無惨にも顔を焼かれた被害者を目撃してしまい、クラスメートへの取材から被害者がいじめを受けていたという証言を得て、そのいじめの主犯格とその取り巻きを犯人と断定して報道し、別の犯行グループが警視庁に逮捕されて、看板番組のスタッフは総入れ替えとなってしまいます。しかし、その犯行グループも実際に被害者を考察した記憶がないとの供述を始め、驚愕の心煩人が逮捕され、さらにさらにで、その殺害に至るバックグラウンドに主人公が深く深く入り込んでしまいます。最後は、報道するメディア、というか、この作品では古式ゆかしく「マスコミ」という表現を使っていますが、報道機関のあるべき姿に主人公が気づいて締めくくりとなります。メディア論としては極めて薄っぺらですが、ミステリとしてのどんでん返しは読みごたえがあります。

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最後に、依田高典『「ココロ」の経済学』(ちくま新書) です。著者はわが母校の京都大学経済学部の研究者であり、本書では行動経済学を判りやすくカラー刷りで解説しています。とはいうものの、私は本書のタイトルである行動経済学とセイラー教授らの実験経済学とカーネマン教授らの経済心理学の区別がやや曖昧であるものの、これらに対する印象は決していいものではありません。第1に、本書でも指摘していますが、合理的なホモ・エコノミカスを前提とする主流派経済学の恒星に対する惑星というか、太陽に対する地球というか、地球に対する月というか、要するに、合理性を前提とする主流派経済学は第1次接近としてはまだまだ有効であり、それに対するアンチテーゼとしてのみ行動経済学の存在価値があるような気がします。第2に、行動経済学や実験経済学については、経済学のカテゴリーではなく、マーケティングやセ0ルスマンの口上の範囲にある事柄が少なくないような気もします。最後に、強烈に感じるのは、これらの学問領域はあくまでマイクロな個人レベルの選択に関する問題意識であり、企業レベルにすらなっておらず、多くの国民が関心高い景気や物価や失業やといったマクロ経済学に積み上げていく際に合成の誤謬なdpが生じて、マイクロな個人の選択がマクロの好ましい経済活動を保証しない、という点にあります。その意味で、この経済学領域にはまだ私自身で疑問が払拭されていません。

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2017年2月17日 (金)

東京商工リサーチによる「2016年 全国社長の年齢調査」やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、2月3日付けで東京商工リサーチから「2016年 全国社長の年齢調査」の結果が明らかにされています。300万社近い企業データベースから代表者の年齢データを抽出しているそうです。我が国全体の高齢化に従って、社長さんも高齢化しているようです。週末前の軽い話題としてグラフをとともに簡単に取り上げておきます。

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まず、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 社長の平均年齢推移 を引用しています。5年間で1歳あまりジワジワと高齢化が進んでいるのが見て取れます。我が国全体でそうなんですから、社長さんもそうなんだろうという気がします。10歳刻みの年齢分布で見ると、60代の構成比が33.99%でもっとも高く、それでも、70代以上も24.12%を占めています。また、都道府県別では、社長の平均年齢のトップは高知県の63.21歳、次いで、岩手県の63.02歳、秋田県の62.97歳の順となっており、年齢の上位の県は総務省統計局の人口推計における「都道府県別人口増減率」の減少率上位とほぼ同じ顔ぶれだそうです。まあ、判る気がします。

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続いて、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 産業別 社長の平均年齢 を引用しています。情報通信業の社長さんが際立って平均年齢が若いとの結果が示されています。これも判る気がします。なお、ほかに、社長さんの年齢と企業業績、すなわち、売り上げや利益、あるいは、黒字赤字などがデータとして示されていますが、ほとんど言いがかりに近いような気がしますので割愛します。

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2017年2月16日 (木)

労務行政研究所による「2017年賃上げの見通し」アンケート調査結果やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、2月1日付けで労務行政研究所から「2017年賃上げの見通し」アンケート調査結果が明らかにされています。興味深いのは、東証第1部および2部上場企業の労働組合委員長などの労働側、同じく東証第1部および2部上場企業の人事・労務担当部長の経営側、そして、主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなどの労働経済分野の専門家の三者に対する調査を実施している点です。リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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東証第1部・2部上場クラスの主要企業を目安とした世間相場の観点からの回答を求めているので、中小企業を含む全国平均からはかなり上振れている可能性はありますが、今年2017年の賃上げ見通しは、労働側6235円1.98%、経営側6286円1.99%、専門家6510円2.06%との結果でした。特徴的なのは労働側の弱気姿勢で、上のグラフはリポートから、ここ10年ほどの【図表2】実際の賃上げ見通しに見る労使の差の推移 を引用していますが、今年の賃上げ予想は労使で逆転しています。繰り返しになりますが、あくまで、東証第1部・2部上場クラスの主要企業における今年2017年の賃上げがどうなるかについて世間相場の観点からの回答ですから、自社の経営業績や人手不足などの状況とは関係薄いとはいうものの、どうかという気もします。

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加えて、上のグラフはリポートから、これも労使別の【図表4】ベア実施意向の推移 を引用しています。コチラのグラフではベアについては、労働側の方が経営側を上回っているんですが、それでも、2017年は昨年から労働側のベア「実施すべき」比率が急減しています。現在の労働市場を考えると、失業率がかなり低い水準にあり、有効求人倍率もまだ低下を続けていて、もちろん、地域別や産業別などで差はあり得るんでしょうが、何度も繰り返しますが、東証第1部・2部上場クラスの主要企業を念頭に置けば、賃上げはかなり高い確度で実施されるべきであり、少なくとも、各企業の内部留保を賃上げに回すことは可能であろうと私は考えるんですが、そうなっておらず、要求水準ではないものの、労働側の見通しが低いのはとても不思議です。

月曜日にGDP統計の1次QEが公表された際に、+1%成長であれば潜在成長率と照らし合わせても十分高成長であると、このブログにも書きましたが、まだまだ「景気悪い」キャンペーンが労働側の賃上げ見通し感覚に影響を及ぼしている可能性があるのかもしれません。

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2017年2月15日 (水)

ESPフォーキャストに見るトランプ政権の経済政策の評価やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、日本経済研究センターで実施しているESPフォーキャスター調査の2月調査結果が2月9日に明らかにされており、11月調査に続いて「トランプ大統領の経済政策と米国の成長率」と題する特別調査結果が明らかにされています。

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上のグラフは、日本経済研究センターのサイトから引用しています。見れば判ると思いますが、トランプ大統領の経済政策により米国の成長率が高まるかどうかを問うた結果とその理由です。11月の当選直後の回答では、「高まる」20に対して「低くなる」9のダブルスコアだったんですが、2月調査では15-16とほぼ同数となり、慎重派が増えている印象です。その理由についても、「高まる」とする理由ではインフラ投資と法人税引き下げのいずれも回答者が減っている一方で、「低くなる」とする理由の保護貿易と長期金利上昇がともに回答者を増加させています。低くなるのほかの理由として、クローニー・キャピタリズムが上げられています。まるで途上国のようなファミリー・ビジネスが頭に浮かぶんですが、娘であるイバンカのブランドの洋服の宣伝なんかはそうなのかもしれません。

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