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2006年1月11日 (水)

塾講師にならないために塾に通う

私は外務省の在チリ大使館に外交官として出向していたことがあり、何人か外務省の方とも面識があります。その中の外務省OBで、10年以上も前にある国で大使をしておられた方と今日ランチをごいっしょしました。名刺をもらわなかったので、今は何をしていらっしゃるのか知りませんが、70歳を超えたご老人です。ご隠居さんかもしれません。外務省の慣例にしたがって、私は肩書き敬称としてお名前に「大使」を付けてお話させていただきました。今日のこのブログでは「ご隠居大使閣下」と呼ばせていただきます。
ご隠居大使閣下は南米情勢にも詳しい方でしたので、最初の方は、今週末にあるチリの大統領選挙の決選投票の結果予想などについて機嫌よくお話していたのですが、今日の朝日新聞朝刊トップにあった教育の記事を持ち出されて、進学講座のために小学校に塾講師が派遣されるのにご注文があるようでした。
ご隠居大使閣下のお嬢さんの方のお孫さんが我が家の子供と同じか少し上くらいの年齢で、中学進学のために塾通いをしていて、そこの塾講師のお孫さんに対する評価が気にいらないような様子でした。そこから派生したのか、進学のために塾に通うことを一般論として疑問視していられるようでした。
特に、ご隠居大使閣下からすると、塾講師は決していい職業とは考えられないらしいです。私に何度か力説されたのですが、もし私に年頃の女の子がいるとして、小学校の教師と結婚する場合と塾講師と結婚する場合、どちらの方が親としてより望ましいか、とおっしゃられ、やっぱり、親としては塾講師よりも小学校の教師と結婚してくれる方が子供の将来を考えるといいのではないか、とのお説でした。こう言われれば、賛成しないまでも、まあ、少なくとも理解は出来ます。
私が12月22日のブログでも取り上げた三浦展「下流社会」(光文社新書)はお読みではないようでしたが、これになぞらえた私の勝手な解釈によると、ご隠居大使閣下は塾講師は下流で、小学校教師は中流ないし上流と考えておられるような印象を受けました。賛成する人も割といるかもしれません。
ご隠居大使閣下からすれば、いい学校に進学して塾講師にならないために塾に通って塾講師から教えてもらわねばならないのは、とても大きな矛盾に見えるらしいのです。私も「もっともです」と相槌を打ちました。こんな教育にしたのは文部省が悪い、とのお説でした。ここでは「今では文部科学省ですよ」と茶々を入れる気にもなれませんでしたが、前半のご意見には賛成する人が結構いるかもしれません。後半の「文部省が悪い」については、もっと賛成する人が多そうな気がします。
ご隠居大使閣下ご本人は、年齢から考えて50年くらい前に大学を卒業されているハズで、確か、日比谷高校-東京大学-外務省のコースを歩まれた方だと記憶していますが、はっきりと覚えているわけではありません。私が役所に入ったころの20年くらい前には、まだまだこのコースの方はたくさんいらっしゃいました。つまり、ナンバー高と呼ばれる名門の都立高校から東京大学に進んで、キャリアの国家公務員になった人は少なくありませんでしたから、そのように、区立中学、都立高校、国立大学を進んで、役人になっ方からすれば、進学のために塾などの学校外の教育は必要なく、予備校は大学入試に落ちた人の行くところ、との考えをされるのも無理はないと思います。

それにしても、塾講師にならないために塾に通って塾講師から教えてもらわねばならないというのは、表現としてもインパクトがありますし、確かに日本の教育の抱える大きな矛盾を言い当てているのかもしれません。

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