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2006年3月 6日 (月)

「現場を知らない」との批判

もう何度も主張していますが、私はエコノミストを自称しています。おそらく、かなりナイーブなエコノミストであって、経済学の原理原則に忠実にいろんな現象を見ているような気がします。
ですから、私の意見に対しては、「現場を知らない」との批判がよく聞かれます。よくある総論賛成・各論反対のひとつの変種で、私の述べる総論はそれはそれとして異論はないが、各論で現場に目を向けると各論には賛成しかねる、といったカンジでしょうか。
基本的にはその通りで、私が現場を知っているわけではありません。いろんな現場を勉強しなければならないことも、その通りかもしれません。しかし、だからといって、現場を知っているから何なんだ、という気がしないでもありません。現場を知らないひがみかもしれません。

閑話休題。
日本の製造業では、工場の生産の現場が強くて、本社機能がさえない、といった場合も散見されますし、「強い工場」と銘打った本もあります。なお、どうでもいいことですが、同じ著者で「勝つ工場」なる本もあるようです。詳細はアマゾンででも検索してみて下さい。なお、本社機能がさえないために、海外進出する場合には総合商社のマルチな機能に頼りがちになる、といった傾向も見られないわけではありません。私の勝手な解釈によれば、本社機能が弱いことを集中的に体現している悪い例が金融機関ではないかと思っています。もっとも、違う解釈もありえます。

まあ、それはともかくとして、要するに、私がかなりナイーブなエコノミストとして原理原則に則った本社的な意見や見方を示すと、現場を知らないとして、実際の運用の場からの反論がありえるわけです。
誤解を恐れずに2つの例を持ち出したいと思います。まずひとつめは、あまりいい例ではないんですが、私がこの道路のスピード制限は40キロだから40キロ以下で運転すべきだと発言すると、現場の意見として、それは現場を知らない意見だと称して、他の車が全部40キロを超えて運転しているのだから、少しくらい制限速度の40キロをオーバーしても他の車との関係で、全体の流れに乗って運転した方が安全ではないか、と反論されるのがそうです。この例は現場が「みんなで渡れば怖くない」方式で原理原則を破っている例です。ちょっと違うといったのは、この方式だと被害者がいない可能性があるからです。
もうひとつの例は、エコノミスト的な例でいえば、みんながただ乗りをしたくなるような例です。自由貿易が経済的な構成をもっとも高めるのは百も承知だが、我が産業は○○で(××でもいいんですが)とても影響が大きいので、これこれの財には関税をかけるべきである、といったたぐいの議論です。あるいは、関税ではなく、補助金ちょうだいでも趣旨は同じことです。これは現場が「フリーランチが欲しい」方式で原理原則を破っている例です。これは先の「みんなで渡れば怖くない」方式と違って、被害者がいます。関税をかけられた財を購入する企業や人は関税分を上乗せされた価格で買うことになり、被害が生じていると見るべきでしょう。補助金であれば、その税金を負担させられた企業や人がいるハズです。

もちろん、「現場を知らない」ことを論拠にする、原理原則に対する現場からの反論は、これらの2類型だけでなく、いろいろとありえます。しかし、基本的には、私は「現場を知らない」観点から批判されると、論争をしている場合であれば、「勝ったな」と思ってしまいます。特に、被害者を生ぜしめて、原理原則を破って、現場のやり方を通そうとする意見の場合は絶対にそうです。現場を知っている人が論争に敗れる典型例ではないかと思います。
もちろん、繰り返しになりますが、現場を知らないエコノミストに対する反論の例はこれら2種類だけではありません。実にごもっともで、傾聴すべきご意見もたくさんあるのはいうまでもありません。しかし、もしも、原理原則から外れることの論拠に「現場を知らない」ことが利用され、特定の現場だけに当てはまる特殊な内容を含んでいる場合には、それを通すことによって被害者が生じるかどうかをよく見極めた上で、しっかりと判断することが必要だと思います。
いずれにせよ、良くも悪くも、私はナイーブなエコノミストとして、青臭い書生論かも知れませんが、原理原則に則った、現場を知らない意見を発言し続けたいと思います。

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