外交官の不逮捕特権と冤罪対策
今日は友人と有楽町で仕事上の情報収集を兼ねてランチをごいっしょしました。
本人はこのブログを見ていないと思うんで、ハッキリいうと、かなりバクチ好きの友人です。このためか、先日報道された事件で、コートジボワール在日本大使館の30歳代の外交官が、バカラ賭博を開いていた暴力団側から部屋を貸した報酬として計約4000万円を受け取っていたらしい、との件に話が及びました。asahi.comではここにあります。
このニュースでもありましたが、外交官ですので、外交官の不逮捕特権により逮捕することが出来ません。そのため、外交ルートを通じて外務省からコートジボワール大使館に不逮捕特権の放棄を要請したものの、大使館の協力が得られなかったようです。ですから、外務省は3月31日付でペルソナ・ノン・グラータを通告しましたが、外交官はその前日の30日に帰国していた、という結末のようです。
一応、私も1990年代前半の3年間にチリの首都サンティアゴで外交官をしていました。その時の経験からして、確かに、在チリ日本大使館でも逮捕されないようにと、かなり強くいわれた経験があります。すなわち、赴任した最初の年に私は自動車を運転していて追突事故を起こしたんですが、マニュアル通りに職場である大使館に連絡を取ったところ、「外交官には不逮捕特権があるので、逮捕されないように注意するべし」といわれたことを覚えています。その時は、大使館からいわれた通りに、つたないスペイン語で私は外交官である旨を、チリではカラビネーロと呼ばれる警官に伝えました。軽微な追突事故でしたので、警官もハイハイという感じでその場を終えました。手錠をかけられたり、ましてや、強制的に警察署に連行されることもありませんでした。
しかし、後になってよくよく考えると、逮捕されないように注意するというのはかなり難しいことです。いってみれば、ゴルフの初心者にドライバーを振ってフェアウェー真ん中に250ヤード飛ばせ、というようなもんで、どうすればそれが出来るのかを教えてもらわなければ出来るハズもありません。ドライバーでフェアウェー真ん中に250ヤード飛ばすためには、ヘッドアップせずにボールをよく見るとか、脇を締めるとか、まあ、私にはなかなか出来ないことがいろいろとあるんでしょうが、逮捕されないように注意するとはどういうことなのか、後になってようやく教えてもらいました。
それは、まず、腕をつかまれたり、ましてや羽交い絞めにされたりすると、手錠をかけられなくても、拘束されて逮捕されたことになるそうです。もちろん、手錠をかけられたらアウトです。それから、身分証明書や外交官パスポートなどを見せて氏名や連絡先を明らかにして、いったん、事故現場を立ち去ることも有効だと聞きました。要するに、悪くいえば、後で大使館に来いといって逃げてしまうわけです。
ランチの場でこのような話をしていると、友人が、その方法は痴漢などに疑われて冤罪に問われたりすることがないような心がけとしても有効であると教えてくれました。
私は詳しくないんですが、友人によると、電車で痴漢に疑われたりした場合、それが間違いであってそんなことはしていないのであれば、公明正大な態度を取るつもりで、被害者を名乗る女性に腕をつかまれて駅事務所や近くの交番などに連れて行かれるのは最悪だそうです。腕をつかまれたりしたら振りほどき、どこかに連れて行かれようとしたら身分証明書や運転免許証などを示して、その場を立ち去るのが冤罪を受けないようにするために有効だそうです。友人はどこかの新聞に書いてあったといっていましたが、私はその有効性について必ずしも確信を持てないながら、大使館に勤務していた外交官のころにいわれた逮捕されない方法とは妙に符合すると思ったりしました。
電車内での痴漢や迷惑行為を厳重に取り締まるのはとてもいいことですが、そのために、誤認逮捕や冤罪が増えるのは困ります。少なくとも、加害者に誤認されないような自衛のための手段や方法は知っておきたいと私は思います。
今夜のブログは無理やりに「海外生活の思い出の日記」に分類しておきます。
| 固定リンク
コメント