現在の景気拡大はいざなぎ景気を超えるか
今日は、午後から日経センターの講演会に出席しました。
講演会のテーマは今回の景気拡大局面が、戦後最長の「いざなぎ景気」を超えるか、で、なかなか面白い観点からの紹介もありました。講演者独自の中長期の循環論も拝聴しました。これは後でもう少し詳しく書きます。
まず、基礎知識ですが、いざなぎ景気とは1965年10月を底に1970年7月まで57ヶ月続きましたので、2002年1月を底とする現在の景気拡大が今年2006年11月まで続けば、いざなぎ景気を超えることになります。
経済同友会が今年2-3月に実施した「景気定点観測アンケート調査」では、企業経営者の8割以上が、現在の景気回復が戦後最長の「いざなぎ景気」を更新する可能性が高いと予想しているそうです。調査は会員企業などの経営者250人から回答を得て、先月3月下旬に公表されています。
アンケートの回答は、「ほぼ確実」は17.6%であるものの、「可能性はかなり高い」が69.2%と多く、「可能性はあるがかなり低い」は12.0%と少数派で、「可能性はほとんどない」はわずかに1.2%だったそうです。また、いざなぎ景気を超えるのにプラスに働く要因として、「企業収益」(45.1%)、「個人消費」(27.2%)を挙げる企業が多かったと、読売新聞のサイトで報じられています。
先述したように、日経センターの講演会では講演者独自の景気循環論が展開されました。即ち、景気循環の4つの波であるキチン、ジュグラー、クズネッツ、コンドラチェフの4つの景気波動が今年2006年からいっせいに上向きになる、という、とてつもなく強気の景気見通しです。ゴールデンサイクルというのだそうです。
私はエコノミストを自称していますが、景気分析についてはそんなに得意でもないし、好きでもありません。しかし、エコノミストとしては押さえておかねばならないツボでしょう。景気分析・予測が余り好きではないのは、私から見ると、トートロジーと経験則が支配しているように見えてならないからです。別のいい方をすれば、科学的でないともいえます。例えば、設備投資が強いから景気は上向く、とか、個人消費が景気を引っ張る、なんてのはトートロジーに思えてなりませんし、株価のチャート分析よろしく何とかが何とかを上回ったら景気が下降する兆し、なんてのもあります。
でも、非科学的で感覚的であったとしても、現在の景気拡大がかなり力強いのは明らかで、今日の日経センターの講演会でも現在の景気拡大はいざなぎを超える、との結論でしたし、私もいざなぎを超える確率は高いと考えています。景気が調整局面に入るリスクは主として海外要因で、米国経済や中国経済が悪化したり、あるいは、原油価格が飛び跳ねたりするくらいで、国内要因は首都圏直下型地震を別にすれば、日銀が暴走して年内に2-3回もの金利引上げを暴発するくらいのものでしょう。
企業収益がこの景気拡大を支える大きな要因であることは確かですが、比喩的な表現ながら、かつてはバブル期に浮かれてムダな投資をしまくった民間企業が、現在の好景気の間にさらに足腰を鍛えておくかどうかが次の景気循環をどのようなものにするかのキーポイントだと思っています。特に、海外投資で見栄を張ってムチャな買い物をするか、堅実に利益を上げられる投資をするかが重要だと思います。政府が民間企業に「こんな投資をしたらいいですよ」と行政指導まがいのことをするのは時代遅れもいいところでしょうから、民間企業の賢明な企業活動に期待します。
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