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2006年5月16日 (火)

官庁エコノミストのジレンマ

引き続き、日本経済の先行きについては楽観的な見方が多い中で、円高を嫌気する形で株式市場が弱くなりつつあります。東証の日経平均は今日で6日間続落です。世界経済や日本経済も今年後半から来年にかけてスローダウンするとの見方も広まりつつあります。

先行き経済に関するいろんな見方が新聞や経済誌なんかに取り上げられている中で、先日、私の同僚の官庁エコノミストとお話ししていたんですが、その人が売れっ子のマーケット・エコノミストを槍玉に上げる形で、役所にいてよかったと思うのは、突飛なことをいう必要がないことである、といっていたのが印象に残りました。
確かに、私の知り合いのマーケット・エコノミストの中には、常に先行き不透明感を表明する弱気派の人や、逆に、超強気の発言を繰り返す人などがいることは事実です。弱気派の知り合いに聞いてみたことがあるんですが、要するに、取材する側も弱気の発言を期待して聞きに来るわけなので、その期待通りの発言を繰り返さざるを得ない面があることは認めていました。
いい方は悪いのかもしれませんが、的確に先行きを見通して、なおかつ、マスコミなんかで取り上げられ続けようとすれば、常に正しい見方を提供し続ける必要があるわけで、これは正直にいって難しいと思います。でも、多くのエコノミストがこれを目指しているのは事実でしょう。他方、マスコミなんかも先行きについて確たることがいえないような場合は、強気派と弱気派の両方のエコノミストの意見を両論併記的に掲載することはひとつの手です。常に強気のバイアスを持った発言をするエコノミストと、逆に、常に弱気のバイアスを持ったアナリストを両方取材して、一見したところ、偏りのない報道をすることが可能なように見えます。
良し悪しは別として、現在の報道各社の記者クラブ制度などからして、民間シンクタンクよりも官庁の発表モノはマスコミなんかに取り上げられる確率が高いですから、特定のバイアスをかけて注目を引く必要がないのはその通りです。さらにいえば、官庁の存在意義からしても、中立的な経済分析が求められていることはいうまでもありません。

しかし、当たり前の中立的な分析を続けている官庁エコノミストですから、先行き見通しを当て続ける必要もあります。そして、そのためには深い学識と経験が必要になりますが、そこは、公務員のカテゴリーに属する官庁エコノミストですから、人事異動もありますし、学歴も通常のサラリーマンと変わりありませんから、大学院の博士課程まで経済学の勉強を続けたアカデミックコースのエコノミスト、すなわち、大学教授とは自ずと差が生じます。要するに、官庁の守備範囲の業界を別にすれば、広く浅くしか学識がない場合が多いわけです。
それでも、官庁エコノミストから学界に転じる人も少なくありません。天下りの代わりに大学に再就職するくらいの年齢の人は別にして、基本的には、官界のころの得意分野、あるいは、所管業界のネタで勝負する人が多いんですが、そうでなければ、ニッチを探すことになります。財政や金融のようなメインストリームの分野ではなく、一昔前でしたら、開発経済とか環境経済とかの分野です。でも、このような分野でも最近ではアカデミックコースの人が進出するようになり、役人上がりのエコノミストはもっとニッチな分野を探さねばならなくなりつつあるとのウワサを聞いたことがあります。

突拍子もない見方を提供する必要はないけれど、実は、突拍子もない見方を提供できるだけの学識があるとは限らない官庁エコノミストの悲しい性格が垣間見えます。
今夜のブログは無理やりに経済評論の日記にしておきます。

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