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2006年6月28日 (水)

税金より財団が有効か?

新聞で盛んに報道されていますが、オマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏が4兆円の個人資産をマイクロソフトのビル・ゲイツ夫妻が設立したゲイツ財団に寄付すると発表しました。その際のコメントが振るっていて、「税金を払って財務省に任せるより、ゲイツ財団はお金の効用を最大化してくれる」とのことです。

以下は、いつもおなじみの朝日新聞のサイトからの引用です。

巨額の寄付を表明した米投資家ウォーレン・バフェット氏は26日、その大半を受け取る財団を運営するビル・ゲイツ・マイクロソフト会長夫妻と共同で記者会見した。バフェット氏は、富を社会に還元する方法として「税金を払って財務省に任せるより、夫妻の財団はお金の効用を最大化してくれる」と思いを語った。
個人資産の85%にあたる370億ドル(約4兆3000億円)を寄付するバフェット氏は「私が投資の能力で他人より優れているように、社会還元ではゲイツ夫妻の財団が優れている」と説明。同財団には約310億ドル分の株式を少しずつ譲る計画で、一度に大量に渡すより、年々の株価上昇を反映して結果的により多くの寄付ができるとの狙いも披露した。
資産家の子孫を裕福にする相続制度については「機会均等の考えを弱める」と改めて批判。ブッシュ政権が推進する遺産税廃止の動きに対しても「遺産税は非常に公平な税で、骨抜きは見たくない」と非難した。
ゲイツ夫妻は「世界の医療充実と教育の支援という財団の活動を深められる」(メリンダ夫人)などと感謝した。

エコノミストを自称する私の目から見て、バフェット氏の発言の経済的なポイントは2点で、第1に、バフェット氏の目的に対して、政府か特定の財団か、どちらがより有効で効率的な資金の活用が出来るか、第2に、遺産税・相続税は公平か、不公平か、です。細かい制度的な面を別にすれば、どちらも、バフェット氏の行動や意見が正しいように見受けられます。
まず、税金、あるいは、その他の方法で個人資産を国庫に納入しても、一般財源として取り扱われるのであれば、その配分先は民主主義的な選択によりなされると考えられます。世界的な大富豪と一般国民の意志に基づく民主主義的な配分が同じであるという保障はどこにもありません。というより、違っていて当然であると考えられます。特定のハッキリした意図で資産を配分して欲しいのであれば、財金などで国庫に納入するよりも、特定の目的を有する財団に寄付した方が、バフェット氏の意図に適う活用がなされるのは当然です。もっとも、これくらいの金額になれば、自分で財団を作るという手もあります。少なくとも、現時点での米国や日本の財政状況を踏まえると、バフェット氏の個人資産は国債償却に充てられる可能性が高く、もしも、国債が比較的富裕な層に保有されているのであれば、これらの層に還元される可能性が十分あるといわねばなりません。
遺産税・相続税については、親の資産状況による生まれついての不公平を取り除く観点から、生活に必要な部分を除いて、ある程度は高率の税金を課すことが公平の観点から許容されると考えられます。逆に、高率の遺産税・相続税を回避したいのであれば、税金の対象とならない使い方をすべきなんでしょう。もっとも簡単な方法は、親が生きているうちに教育に資金をつぎ込むことです。個人資産がその子弟の人的資本に使われることは、社会全体にスピルオーバーする部分も少なくないことから、かなりの程度は容認されることでしょうし、東洋的な「子孫に美田を残さず」といった価値観にも合致する面があると思います。
ここで大きく脱線するんですが、華道や茶道などにおける家元制度についてはどのように考えるべきでしょうか。ある程度の知性や感性の遺伝的要素とともに幼少からの教育効果により、結果として、家元が同一家に相伝されるのか、それとも、秘事口伝のような排他的な相続により家元制度が維持されているのか、によると私は考えています。私の考え方はかなりあいまいで、家元制度を擁護する立場からは前者の遺伝及び教育効果による結果としての一家相伝を支持するでしょうし、家元制度に批判的な立場からは後者の排他的な相続にスポットライトを当てる人もいるでしょう。でも、厳密には家元制度ではないんですが、歌舞伎の名跡の襲名なんかは、私の父親くらいの昭和一桁世代くらいまでは梨園に対して差別的な見方をする人もいたりしますので、後者の要因がより強く働いて、特定の家や集団の内部でなされる面があるのではないか、とも考えられます。

ということで、バフェット氏の寄付を話題にしつつ、最後は家元制度まで話が飛びました。日銀の福井総裁の預貯金残高が2億円近くあったとの最近の報道を見ても、我々サラリーマンにも1億円くらいまでのお金であれば、宝くじが当たるなど、がよかったりして、場合によっては、それくらいは拝める可能性がないとはいえませんが、さすがに、1兆円の単位になると酒の肴でしかありえません。今夜は、結局、庶民からはほど遠い金額のお金の処分に関するブログでした。一応、評論したつもりですので、経済評論の日記にしておきます。

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