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2006年9月22日 (金)

国民はどうしてデフレが好きなのか?

昨夜のブログは、たまたま朝に、YouTubeに動画をアップロードして、インターネット上で我が家の子供が出てくるのがうれしくなって、ついつい、親バカの本性丸出しYouTubeを取り上げてしまいましたが、本来は一昨日のエントリーから続けて論ずるつもりだった話題に戻ります。

ということで、9月20日のエントリーで国民生活に直結する物価安定を目指す金融政策を、どうして、専門家たる日銀に丸投げするのが正しいと考えるような論調があるのか、私はとっても疑問であると表明しましたが、今夜のエントリーではもう少し詳しく考えたいと思います。
私自身は物価安定を担う金融政策はとても重要で、国民生活に直結していることから、何らかの国民の判断が入るような仕組みが必要だと考えています。もちろん、いちいち国民投票をするわけにもいきませんから、具体的には、主権を有している国民の代表たる国会、あるいは、日本は議院内閣制ですから、国会で選出された内閣総理大臣の下に組織される内閣=政府と日銀とでアコードのようなものを結び、ハッキリと明示的に物価目標を決めるべきだと思っています。いうまでもなく、これはインフレーション・ターゲティングそのものです。もちろん、その後の政策目標達成のための政策手段の選択や運営などは独立性を有する日銀の専管事項となります。
ここで、おさらいなんですが、日銀に独立性を与えたのは日銀法であり、いうまでもなく、日銀法を可決成立したのは、国権の最高機関たる国会です。国会の議決は憲法に定める代議制民主主義下における国民の判断や意思表示であるといってもいいでしょう。でも、一部に、国会で議決された日銀法によって付与された日銀の独立性を重視する余り、国権の最高機関たる国会より上位に位置すると錯覚したり、国民の代表たる国会議員の意見を嘲笑するような論調があることも確かです。
ですから、このような論調に配慮して、十分な透明性を持たせるとすれば、国会が日銀法を改正して政府に日銀とアコードを結ぶ権限を付与するのが、もっとも分かりやすくてクリアな方法ではないかと思います。でも、アコードとは政府と日銀の間の取決めですから、日銀法改正までは必要なく、両者で合意すればそれでいいような気もします。

しかし、いまだにインフレーション・ターゲティングが採用されておらず、日本経済がデフレから脱却できないでいる大きな原因は、実は、国民はデフレが好きだからなんではないかと、私は考えています。少なくとも、毎日新聞はそのような論調を続けているように見受けられます。それはともかく、ある意味では主権在民の民主主義なのかもしれませんが、国民のこのデフレ好きを背景に、日銀は思い切ったデフレ脱却政策を取っていないのではないかと思っています。
では、どうして国民はデフレが好きなんでしょうか?
私は2つの原因があると考えています。第1に、インフレに対する嫌悪感です。これは実体験からきている場合が多いでしょう。私くらいの一定の年齢に達した人であれば、まだまだ、石油ショックの時の狂乱物価の記憶は残っています。私は中高一貫校に通っていましたので、中学のころか高校のころか、今となっては記憶が定かではないんですが、それでも、近くのスーパーにトイレットペーパーなどを買いに走らされた記憶は残っています。自分自身で体験した嫌な記憶は長く残るものです。第2に、デフレによる実質購買力上昇の幻想です。こちらは明らかに錯覚としかいいようがありません。すなわち、名目値で固定された収入が保証されている人は、一般物価の持続的な下落と定義されるデフレにより、実質購買力の増加を享受できます。しかし、デフレ下で経済活動が収縮するのであれば、名目値で固定された収入を保障すること自体が難しくなることについては、そんなによく認識されていません。デフレになって収入が名目値で減少するまで一定のラグがあることも、この幻想に大きく寄与しているように見受けられます。

私から見れば、あるいは、まだ、この業界では少数派なのかもしれませんが、リフレ派と呼ばれるエコノミストから見れば、インフレーション・ターゲティングによりデフレ期待を払拭するのが極めて有効なデフレ対策であることは明らかなのに、政策として実現できていない原因をよく考える必要があると思います。もっといえば、リフレ派が少数派にとどまっているのであれば、どうしてそうなのかを反省する必要があります。あるいは、インフレーション・ターゲティングが国民の広い層から支持されているとはいえない現実を、どのように変えていくのかを考える必要があります。もっとも、情けないことに、私にも妙案はありません
経済学は政策科学ですから、政策として実現できなければ、いわゆる、絵に描いた餅になってしまいます。

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