プレスコット教授のコラム
今夜はゲームばかりではなく、少しエコノミストとして、別の新聞ネタでコメントしておきたいと思います。
今朝、私の手元に届いたWall Street Journalの12月11日付けのコラムで、2004年にノーベル経済学賞を受賞したプレスコット教授が、Five Macroeconomic Mythsと題するコラムを書いていました。直訳すれば、マクロ経済学における5つの神話、ということになると思います。この場合の神話とは、疑わしいという意味を含意していると思います。
プレスコット教授のいうところの5つの神話を列挙すると以下の通りです。ただし、すべて米国経済に関することですので、念のため。
- Monetary policy causes booms and busts.
- GDP growth is extraordinary in the 1990s.
- Americans don't save.
- The U.S. government debt is big.
- Government debt is a burden on our grandchildren.
もちろん、タイトルの通り、プレスコット教授はこれらの5つのテーマについて、否定的な論調を展開しています。ただし、前の2点と後の方の3点は明らかに観点が違っています。すなわち、後の方の3点は米国経済に関する悲観的な見方であり、プレスコット教授はそれを否定しようとしていますが、最初の2点はもう少し理論的な観点から米国経済を論じています。コラムの最初の書き出しが、The sky is not falling.ですから、悲観的な論調を否定する楽観的な主張を展開しようとしているようで、ひょっとしたら、後の方の3点が主たるコラムの論点なのかもしれませんが、単純に語数で測った長さは第1の論点がもっとも長かったりします。リアル・ビジネス・サイクルに関する理論でノーベル賞を受賞したプレスコット教授らしいといえば、それまでかもしれません。
でも、私がガッカリしたのは、最後の結論で、少なくとも3つの教訓が得られるとして、その最初のが、Context matters.であることです。そんなんだったら、何でもいえるような気がします。
いずれにせよ、マクロ経済に対するとても単純でスタイライズされた見方を再考しようとの意気込みは感じられ、そういう向きには参考になるかもしれませんが、それだけのような気もします。私にとっては難解な英語でしたが、チャンスのある方は読んでみることをオススメします。
| 固定リンク
コメント