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2007年4月 4日 (水)

今夏のボーナスは減るのか増えるのか?

今日は昼ころまではまずまずいいお天気でしたが、気温はそんなに上がらず、少し肌寒かったです。夕方からは雲が広がり、を伴った夕立のような雨が降りました。日が暮れるころにはになったそうです。

今日の朝日新聞の朝刊で、みずほ証券の試算として、夏のボーナスが3年振りに減少するとの記事を見かけました。朝日新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

みずほ証券が3日まとめた今夏のボーナス予想によると、パートを含めた従業員5人以上の民間企業の平均支給額は前年比0.1%減の41.6万円で、3年ぶりに前年を下回る見通しになった。企業の増益ペースが鈍っており、同証券は「株主の利益を確保するために、従業員の所得を抑える圧力が強まる」とみている。
厚生労働省の毎月勤労統計や、企業収益の動向から推計した。公務員は前年と同じ82.2万円で、官民の合計では同0.3%減の45.1万円となる見通しだ。
新卒採用の積極化などで雇用は拡大しており、官民の支給対象者は同1.1%増えて4058万人となるが、支給総額は同0.8%増の18.3兆円にとどまる見込み。

他方、私の知り合いのエコノミストから送ってもらっているニューズレターにあったんですが、別のシンクタンクによれば、夏のボーナスは増えるような試算も出ています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングのサイトから第1パラを省略して、第2パラと第3パラだけを引用すると以下の通りです。

2. 2007年夏のボーナスは、企業利益が増加基調にあることや、今年の春闘において2年連続でベアが引き上げられる見込みであることを反映して、3年連続での増加が予想される。民間企業(パートタイムを含む)の一人当たり平均支給額は423,000円(前年比+1.7%)と昨年の夏、冬の伸びを上回る見込みである。中でも、好調な企業業績を反映して製造業で堅調な伸びが続こう。
3. 支給労働者数は、景気回復を背景に雇用者数が増えて、ボーナス支給労働者数の割合も高まっていることから3,699万人と前年を上回る見込みである。この結果、夏のボーナス支給総額は15.6兆円(前年比+3.1%)と3年連続で前年を上回る見込みであり、多少なりとも消費の押し上げ効果が期待される。

どちらも厚生労働省の毎月勤労統計や企業収益の動向から推計しているようなんですが、いろんな統計の取り方や対象範囲の設定なんかで、試算結果が微妙に違っていたりします。でも、両方から読み取れるのは、夏のボーナスは増えるにせよ減るにせよ、昨年から大きな変化はなく、1人当たりの平均支給額は40万円強で、ほぼ横ばいであると言うことです。それから、両方に共通しているのは、支給対象者が着実に増加していることです。人口は減少を始めていますし、正社員比率が下がってパート比率が上がっているにもかかわらず、ボーナスを受け取る労働者の絶対数は着実に増えているわけです。景気の拡大を反映して、着実に雇用が改善しているんだろうと考えられます。
それから、引用にもあるように、みずほ証券では公務員のボーナスを82.2万円としている一方で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは国家公務員62.3万円、地方公務員59.8万円となっているんですが、いずれにせよ、ボーナスの官民格差はかなり大きいとの試算結果になっています。ほとんどの公務員にはボーナスが支給される一方で、民間企業ではボーナスの出ない場合もあるんでしょうから、この支給比率の差を考慮すると、官民格差はもっと大きいのかもしれません。
夏のボーナスが1人当たりでほぼ前年並みになる一方で、支給対象者は着実に増加して、ボーナスの支給総額がわずかとは言え増加するんでしょうから、景気拡大が雇用環境と好循環を形成しつつあり、それはそれで望ましい姿になっているような気もしますが、イマイチ力強さに欠ける印象があります。また、ボーナスの官民格差が依然として大きいのも気がかりです。

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