1-3月期国内総生産(GDP)1次速報をどう見るか?
今日は、午前中は雨が降ったり止んだりのお天気でしたが、2時ころに土砂降りの雨になった後、2時過ぎにピタッと雨が止んで、急速にお天気が回復し、晴れ間が見えるようになりました。不思議なお天気でした。
今日の朝一番に今年1-3月期のGDP第1次速報が発表されました。夕刊で報じられている通りで、ヘッドラインの季節調整済みの前期比で0.6%(前期比年率2.4%)の成長率を記録しました。昨年10-12月期の1.2%に続いて、年率で1%半ばから後半とされる潜在成長率を2四半期連続で上回る成長率となりました。昨日から始まっていた日銀の政策委員会・金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を全員一致で決めたようです。また、大田経済財政担当大臣も記者会見で、物価が持続的に下落するデフレからの脱却について「視野に入っているが、脱却したとはいえない」と述べたと報じられています。NIKKEI.NETのサイトから最初の2パラだけ引用すると以下の通りです。
内閣府が17日発表した1―3月期の国内総生産(GDP)の速報値は物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.6%増、年率換算で2.4%増となった。設備投資が前期に比べて減ったものの個人消費と輸出が堅調に伸び、内外需がそろって成長率を押し上げた。プラス成長は9・四半期連続で、日本経済は1%半ばから後半とされる潜在成長率を上回る安定成長を続けている。
2006年度の実質成長率は1.9%、名目成長率は1.3%。実質成長率は03年度から4年連続で2%前後の水準となり、バブル崩壊後では最も息の長い成長が続いていることが確認された。
前回10-12月期の1次速報を取り上げた2月15日付けのエントリーの表と同様に、主要な需要項目別の伸び率の表を作成しました。ただし、民間在庫と外需だけは寄与度で示してあります。以下のようになります。主要な需要項目別の伸び率のほかに、名目GDPの成長率とGDPデフレータの変化も下の2段に表示してあります。
需要項目 | 2006/ 1-3 | 2006/ 4-6 | 2006/ 7-9 | 2006/ 10-12 | 2007/ 1-3 |
---|---|---|---|---|---|
実質GDP | +0.8 | +0.3 | +0.1 | +1.2 | +0.6 |
民間消費 | -0.2 | +0.6 | -1.0 | +1.1 | +0.9 |
民間住宅 | +0.9 | -1.9 | -0.3 | +2.2 | -0.3 |
民間設備 | +4.7 | +2.6 | +0.9 | +2.3 | -0.9 |
民間在庫 | +0.2 | -0.1 | +0.2 | -0.1 | -0.1 |
外需 | +0.1 | -0.1 | +0.4 | +0.1 | +0.4 |
名目GDP | +0.4 | +0.2 | -0.1 | +1.3 | +0.3 |
GDPデフレータ | -1.3 | -1.1 | -0.7 | -0.5 | -0.2 |
まず、統計の結果は市場のコンセンサスである前期比0.7%、前期比年率2.6%にほぼ近く、サプライズはありませんでした。ですから、東証の日経平均は終値で前日比30円安と小幅な動きしか示しませんでした。ですから、私の方からもそんなにコメントすることもありません。特に、金融政策の関係では、年後半に日銀が25ベーシスの金利引上げを行うとの市場の予想の変更は何もないものと見受けられます。でも、一応、先行き経済の見通しとも合わせて、2点だけ指摘しておきたいと思います。
いいニュースと悪いニュースなのかもしれませんが、私はいいニュースから聞きたい方なので、第1に、設備投資の減少は一時的なもので、年後半には回復すると考えられることです。先日発表された1-3月期の機械受注統計からして、4-6月期くらいまで設備投資は小幅な減少を記録する可能性が高いと私は考えていますが、現在の設備投資循環の状況や企業収益が好調なことなどから、設備投資の弱さは一時的なもので、年後半には回復するものと私は考えています。1-3月期にマイナスを記録したからといって、悲観するには及びません。
第2の悪いニュースは、大田大臣の発言にもある通り、引き続き、デフレが続いていて本格的には脱却できていないことです。GDPデフレータは-0.2まで下げ幅を縮小してきていますが、労働分配率は上がりませんし、単純に名目雇用者報酬を実質GDPで除した単位労働コストもマイナスを続けています。マネーサプライの伸び率から考えても、デフレ脱却と政府として宣言できるのはかなり先になりそうな気がします。2006年度中にデフレ脱却を目標にした小泉政権の公約達成は出来なかったことになり、ひょっとしたら、今年中も難しいかもしれません。
さらに、三位一体改革に伴う税制の制度変更により、年央には踊り場的な景気の停滞がある可能性が高いと考えていますが、それを過ぎれば、年末あたりから潜在成長率近傍の成長に戻ると私は予想しています。もっとも、これはエコノミスト業界の平均的な見通しだと言えます。
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