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2007年5月 7日 (月)

大統領選挙結果に見るフランス国民の選択

今日は朝のうちは雲が広がっていたんですが、午後からは昨日と打って変わっていいお天気になって、気温も上がりました。私がランチタイムに外出した時には、上着なしにもかかわらず、汗ばむほどの初夏の陽気でした。ゴールデンウィークも昨日で終わり、今日からは小学校も役所も一気に通常モードに復帰しました。

今朝は朝刊が休刊で、夕刊は各紙とも1面トップでフランス大統領選挙の報道でした。結果はご存じの通り、民衆運動連合 (UMP) のサルコジ候補が社会党のロワイヤル候補を大差で破って、大統領に当選したというものです。いつもの朝日新聞のサイトから最初のパラグラフだけ引用すると、以下の通りです。

フランス大統領選は6日決選投票があり、即日開票の結果、民衆運動連合(UMP=右派)のニコラ・サルコジ前内相(52)が、初の女性大統領を目指した社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル元環境相(53)を破って初当選を果たした。両候補とも、2期12年務めたシラク大統領(74)の時代からの脱却を前面に打ち出したが、決断力、実行力を強く印象づけたサルコジ氏に、仏国民は「変化」への期待を託した。

最初に、私は「大差で」と書きましたが、得票率はサルコジ候補が53.06%、ロワイヤル候補が46.94%でした。私の感覚からすれば、大統領選挙なんかの国民投票で55%を獲得すれば、圧倒的と表現するべきで、53%の得票であれば大差と言って差し支えないと思います。僅差と呼べるのは2000年の米国大統領選挙くらいの差を指すんではないかという気がします。
右派のサルコジ候補と左派のロワイヤル候補による決選投票となりましたが、言うまでもなく、エコノミストを自称する私が注目したのは経済政策です。サルコジ候補は英米流の自由市場経済の重視を前面に打ち出し、「もっと働き、もっと稼ごう」をスローガンに、国際競争力強化などを目指して、週35時間労働の見直しや解雇条件の緩和など、雇用の流動化や企業の裁量を拡大する方針を表明するとともに、硬直した社会保障制度の改革も公約としていました。一方、ロワイヤル候補は伝統的な社会民主主義的政策を標榜して、最低賃金の引上げや財政支援による50万人の若年層の雇用創出、さらに、シラク政権時代に削減された教員数の回復などを公約として掲げていました。経済政策以外でも、両候補の公約は右派と左派の典型とも言え、自分自身がハンガリーからの移民二世であるにもかかわらず、サルコジ候補は移民への規制強化を繰り返し表明する一方で、ロワイヤル候補は人権と平等を重視する政策を主張していました。
もちろん、大統領選挙ですから、経済政策だけを争点にしているわけではありませんが、それでも、エコノミスト的な観点から経済政策に限定して選挙結果を評価すると、パイの拡大に力点を置く右派とパイの分配を重視する左派があり、その典型的な両者の主張の間で、フランス国民は明らかに前者に軍配を上げたわけです。必ずしも正確ではないかもしれませんが、成長を志向する右派と格差是正を目指す左派と言い換えても、半分以上は当たっているような気がします。移民の受入れについては別の話としても、国際化の進展とそれを支える自由主義的な市場重視の経済政策の方が、政府が積極的な役割を果たすことによる格差是正に対して、少なくとも、フランス国民の間では信任されたと言えるかもしれません。

振り返って、今夏の日本の参議院選挙は、衆議院優位の下での参議院の、しかも、半数だけの改選であって、一国の元首を直接選ぶ国民投票であるフランスの大統領選挙とは直接の比較は出来ませんが、日本国民がどのような審判を下すかは、公務に携わる官庁エコノミストとして大いに関心があります。

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