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2007年6月20日 (水)

「構造改革」が抜けた骨太2007は総花的か?

今日も朝からいいお天気で気温も上がりました。東京都心にいる限り、雨が降りそうな気配はありませんでした。

昨日、いわゆる骨太2007経済財政諮問会議の後、臨時閣議で閣議決定されました。今日の朝刊各紙に記事が掲載されていると思います。あんまり評判はよくないようです。我が家が購読している朝日新聞では「メリハリ欠く」とのタイトルで、この7年間の骨太のページ数を一覧表にして、昨年の48ページもかなり突出して多かったが、今年は52ページあって、まさに総花的と評価していたりします。一概にページ数だけで評価は出来ないのは当然ですが、まあ、分かりやすいといえば分かりやすい指標かもしれません。朝日新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

政府は19日の経済財政諮問会議と臨時閣議で、今後の経済財政運営の指針となる「骨太の方針2007」を決めた。正式名を「経済財政運営と構造改革の基本方針」から「経済財政改革の基本方針」に改め、小泉前政権が進めた「構造改革」という文言は消えた。同時に参院選を意識し、国民からの批判が強い年金記録問題への対応や、教育再生、環境問題などにも幅広く言及し、総花的な内容になった。
「骨太」の策定は小泉首相当時の01年以来7回目で、安倍首相のもとでは初めて。「『美しい国』へのシナリオ」という副題もつけた。
首相は同夜、「構造改革」が正式名から消えたことについて、首相官邸で記者団に「よく読めば、いかに改革を加速していくか理解していただける」と語った。

目次については6月5日のエントリーでご紹介しましたので割愛します。また、6月5日のエントリーでは経済財政諮問会議の役割を中心に論じましたので、今夜のエントリーでは骨太2007そのものの役割なんかについて考えてみたいと思います。
まず、総花的であるかどうかはともかく、多くの政策課題が詰め込まれていることは明らかです。逆に言えば、骨太が始まった当初のころは経済がデフレに入り始めたころで、不良債権処理をはじめとする緊急の課題があったために、それに集中する必要があったんですが、言わば、平時の経済状態に戻った今となっては非常時の緊急課題がなくなったと言う方が正しいと思います。もちろん、緊急課題が少なくなったからといって、政策リソースには限りがあるわけですから、何らかの優先順位は必要なんですが、非常時ほどではないことも確かです。総花的と評価されますが、骨太が始まったころの緊急性が薄れた結果であるとも言えます。
もちろん、総花的な批判も当たっている部分もあります。どうしてこんなのが骨太に入っているのか、私には理解できない政策課題も詰め込まれていたりします。さらに、多くのエコノミストは総花的だと考えているような気もします。私の知り合いのエコノミストは海外のメディアに取材されて「総花的」の適当な英訳が思いつかずに先方に任せた、と言っている人もいたりします。これも言葉の問題で、政策課題を網羅したと言えばいい評価なのかもしれませんが、総花的と言う言葉を使えば自然と批判的な響きを持つのかもしれません。
非常時の緊急課題のような絞込みを必要としなくなったことに加えて、骨太が予算編成プロセスの一部に明確に組み込まれてしまったことも、総花的と称される一因ではないかと思われます。政府の政策は国家予算にすべて反映されるわけですから、予算は言うまでもなく網羅的な存在です。骨太が出来るまでは、7月初のシーリング、8月末の概算要求締切り、9-12月の予算査定を経て、12月の下旬に財務省原案の内示、引き続き、政府案の決定と言うスケジュールでコトが進んで来ましたが、この7月のシーリングの前に骨太が割って入ったわけです。ですから、骨太に取り上げられるということは予算の手当てがなされる確率をグッと高めることが政府部内で認識されるようになり、骨太が予算編成の一里塚となったと言えます。骨太のステータスが上がったとも言えますので、決して悪いことではないのかもしれませんが、純粋な骨太の存在価値からすれば少し違って来ているのかもしれません。評価は難しいと思います。

いずれにせよ、私は安倍内閣の経済政策の動きが遅いように感じているんですが、それは政策課題が巨大に存在するからなのかもしれません。

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