国は債務超過か?
今日も梅雨らしいお天気で、雨はほとんど降りませんでしたが、空はどんよりと雲に覆われ、気温も上がりませんでした。でも、外を出歩くと蒸し暑かったです。
昨日6月25日に財務省が今年3月末日現在での「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」を発表しました。財務省のサイトに掲載されている表を見ると、国債及び借入金の合計は約834兆円余りで、国民1人当たりでは約653万円に上るそうです。昨日と同じようにNIKKEI.NETのサイトから記事を引用すると以下の通りです。
国債や借入金などを合計した2006年度末(07年3月末)時点の「国の借金」が834兆3786億円にのぼり、過去最大を更新した。財務省が25日発表した。景気回復に伴う税収増で新規国債発行が減ったため、05年度末に比べた増加率は0.8%にとどまった。ただ金利が上昇に転じれば利払い費が膨らむ懸念があり、積み上がった国の借金をどう返していくかはなお重要課題だ。
06年度末の国の借金を国民1人当たりでみると、約653万円と前年度末より約5万円増えた。
実は、昨日の発表は国債などのグロスの国の借金ですから、別途、資産もあるわけで、例えば、政府短期証券の借金1000兆円余りの裏側には外貨準備で9000億ドルがあったりします。ネットでの国の財務状況は昨年8月に財務省から発表されていて、2005年3月末日現在で256兆円の負債残高となります。下にいくつかリンクを張っておきます。
国債残高が巨額であるわけですから、ネットの債務残高も256兆円とマイナスになっています。一般的な民間企業に引き直せば債務超過の状態にあります。ですから、先日決定された骨太2007なんかでも財政再建を重視していたりします。歳入歳出一体改革を決定したのは昨年の骨太2006でした。しかし、他方で、巨額の債務を抱えながら、国の行政府たる政府は活動を続けています。言うまでもありませんが、民間企業のように倒産はしませんし、地方公共団体では北海道の夕張市が財政再建団体に指定され、厳しい財政再建計画を実行していますが、政府は相変わらず国債を発行し続けています。少し前よりも減りましたが、それでも今年も25兆円を超える国債発行を行っていたりします。
毎年大赤字を出して、完全に債務超過に陥っているんですから、普通の民間会社だったらとっくに破産して市場から退場するところなんですが、国は存続し続けています。どうしてかと言うと、事実上、無限の支払能力があると考えられているからです。別の観点から考えれば、国家の最大の資産は国民であり、自然人および法人である国民から徴収する徴税能力を基礎として、無限の支払能力を有していると考えられています。ですから、余り知られていないんですが、「国は保険せず」という原則があり、政府の公用車なんかは自賠責以外の追加的な保険をかけずに走らせていたりします。無限の支払能力に加えて、無限の存続期間がある場合、保険会社にコミッションを払って保険をかけることはロスを生ずるからです。
もちろん、この無限の支払能力も民主主義においては国民が決定することであり、社会保険庁のような親方日の丸の体質を容認するものでないことは言うまでもありません。しかし、ここまで国債残高が膨張してしまっているわけですし、何人かのエコノミストの分析によっても、国家財政が持続可能でないのは明らかです。日本ほどの経済大国が経済的な混乱に陥れば世界各国に甚大なる不安定をもたらすわけですから、現在すでに雪だるま式に膨らんで行っている借金に手が付けられなくなる前に、徴税能力を強力に発揮して財政再建に取り組まねばならない可能性が高いと考えられます。
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