今後に期待する「ストーンハート」
今日は朝からいいお天気で、とっても蒸し暑かったです。
6月24日のこのブログのエントリーに書きましたが、6月下旬から続いていた読書の箸休めが、実は延々と続いています。またしても、ハリー・ポッターを6巻まで読み終えた後、チャーリー・フレッチャー著「ストーンハート」まで読んでしまいました。実は、今日もマグルネットから刊行された「みんな集まれ!ハリー・ポッター7 前夜祭」まで買ってしまいましたので、引き続き、経済書が積読状態になっています。私とおにいちゃんが同時に読み始めましたので、我が家の通例に従って、私は図書館から借りた「ストーンハート」を読み、おにいちゃんは私が買って来た本を読み進んでいます。おにいちゃんはまだ読み終えていないようです。政府の参事官よりも小学校の上級生の方が忙しいんですから当然です。さて、まず、アマゾンのサイトから要約を引用すると以下の通りです。
舞台は現代のロンドン。亡き父親の面影を胸に、心満たされぬ思いで暮らす十二歳の少年が、校外学習先の自然史博物館で起こったあるささいな出来事をきっかけに、ロンドンじゅうの彫像に狙われるハメに。
少年を助けに颯爽と駆けつける無名戦士の像・ガナーと、過去を見る能力のあるふしぎな少女・イーディ。少年は出会ったばかりの二人とともに、彫像に追われることになった理由を探りはじめる。
その謎を解く鍵はストーンハート<石の心臓>のありかをつきとめること──。
少年たちは、さまざまな危機を乗り越え、ロンドンじゅうを必死に駆けまわる。本作はそのたった一日の物語を描いた冒険ファンタジー。
なお、今夜のエントリーはそれと意識せずにネタバレがあるかもしれません。ご注意下さい。
アマゾンから引用したあらすじにもある通り、街中にいる彫像のうち、魂や心のあるスピットであるガナーの助けを借りながら、主人公のジョージとグリントのイーディが心のない彫像であるタイントからの攻撃をかわしながら、ストーンハートを捜し求める物語です。裏ロンドンを舞台にしたストーリーです。もっとも、なにが裏なのかと言うと、彫像であるスピットやタイントが動き回るだけで、地理的には実際のロンドンであることには変わりありません。
そもそも、スピットとタイントの違いを把握し、さらに、ジョージとともにストーンハートを探すイーディーがグリントである、など、独特のテクニカル・タームを理解する必要があります。私は読み終えた今になってもグリントを十分に理解した自信がありません。さらに、それを理解しても、物語がハラハラドキドキのスリル満点のアドベンチャー仕立てなので、ちょっと見では映画の「ダイハード」みたいなんですが、そこは小学生くらいの主人公なんですから、ブルース・ウィリスのような大立回りは期待できません。やや中途半端な物語ではあります。少年向けのファンタジーなので限界はあります。
スピットとタイントについては、一応、ガナーをはじめ、ブラックフライヤー、ディクショナリー、グリッドマン、ミノタウロスなんかの挿絵はあるんですが、日本人には馴染みがないせいか、何となくピンと来ません。広い意味での登場人物に親しみがないとも言えます。場所の設定も同じで、もう少していねいな文章表現が欲しかった気がします。でも、2009年に映画化されるとあとがきに書いてありましたから、その映画を見ると、もっとリアルに実感できるのかもしれません。ひょっとしたら映画に向いているのかもしれません。
それから、邦訳だけの欠点なんでしょうが、訳し切れずにカタカナのままで表現している部分がたくさんあります。さきほどのガナーやディクショナリーなんかですが、彫像の固有名詞という扱いなのかもしれませんが、ハリー・ポッターなんかでていねいに訳しているのに比べて、かなり荒っぽい印象を受けます。いつも書くんですが、ハリー・ポッターのディメンターを吸魂鬼と訳した翻訳者のセンスに比べて、やや子供向けファンタジーとしては配慮が足りないような気がしないでもありません。
最後に、物語の運びが単調で、前後の脈絡が途切れている気がします。引合いに出すハリー・ポッターやアルテミス・ファウルのシリーズなんかは、かなりプロットが綿密になっていて、後々の伏線とは意識しないで読み進んだ後になって、じっくりと気付いて来る部分がありますが、「ストーンハート」は一直線に物語が進んで行きます。特に、第1話におけるブラックフライヤーの役割が、私にはよく理解できません。第2話は Marble Head というタイトルは決まっていて、全部で3部作になっているように聞きましたので、これから何らかの役割を果たすのかもしれません。
いずれにせよ、丸善で平積みにされていて、かなり売行きがいいと聞きましたので、ついつい買い求めましたが、第1話を読み終えた現段階では評価するのは難しそうな気がします。今夜のエントリーでは少し辛口の読書感想文になってしまいましたが、バーティミアスのシリーズと同じ理論社の発行ですし、今後に大いに期待しています。
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