ハリー・ポッター最終巻の秘密はケンカ両成敗か?
今日は久し振りに朝からいいお天気で気温も上がりました。いくぶん蒸し暑さが戻って来たような気がします。
今日は我が家の子供達の通う小学校の1学期の終業式でした。通信簿をもらって帰って来ました。明日から長い長い小学生の夏休みが始まります。
と言うことで、夏休みを目前に控えた、あるいは、すでに夏休みが始まったと言ってもいいんですが、週末前の軽い話題として、7月17日に続いて今夜のエントリーでもハリー・ポッターの最終巻の秘密について取り上げたいと思います。読売新聞の夕刊に出ていたんですが、ニューヨーク・タイムズ紙が電子版の書評で、死ぬ登場人物のおおよその数や題名の意味するところを示唆しました。私がニューヨーク・タイムズ紙の電子版を見たところ、「登場人物が少なくとも6人死ぬ」(原文では at least a half-dozen characters we have come to know die ) となっていました。これに対して、作者のローリング女史は声明で怒りをあらわにしたそうです。いつもの朝日新聞ではなく、今夜は YOMIURI ONLINE から引用すると以下の通りです。
世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの第7巻完結編が21日に世界一斉発売されるのを前に、インターネットで複製本が出回ったり、書店に到着済みの本が流出したりし、19日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、独自に入手した本をもとに書評を掲載した。
これに対し、著者のJ・K・ローリング氏は声明で、「数百万人の読者の期待を完全に無視した」と怒りをあらわにした。
同紙の書評は、完結編で死ぬ登場人物のおおよその数や、題名の「ハリー・ポッター・アンド・ザ・デスリー・ハロウズ(ハリー・ポッターと死の秘宝=仮題)」の意味を示唆する説明をしている。ボルティモア・サン紙も書評を載せた。
ローリング氏は、すべての新聞や書店に対し、「ファンに向けたハリーの最後の冒険を台無しにしないで」と呼びかけた上で、発売まで内容の秘密を厳守することを求めた。ニューヨーク・タイムズ紙は「ニューヨーク市内で18日に本を購入した」とし、「重要な内容は書評で明かさないようにした」と釈明している。
こうなって来ると、最終巻で何人死ぬのかが一人歩きして、本来のストーリーの面白さ以上に話題になっているような気がします。私はニューヨーク・タイムズ紙の書評を読みましたが、あの書評のただ1点、何人死ぬかだけを捉えて作者のローリング女史が非難しているような気がしないでもありません。書評では、ハリーを親しみやすい青年であり、かつ、素晴らしい英雄として書き上げたローリング女史を高く評価しています。主人公のハリーをアーサー王からスパイダーマンやスターウォーズのルーク・スカイウォーカー船長にもたとえていますし、作者のローリング女史についてもホメロス、ミルトン、シェークスピア、カフカなんかと並べていたりします。そもそも、主要登場人物のうち2人が死ぬと発言したのは作者のローリング女史なんですから、何人死ぬかをもって最終巻の重大な秘密と見なすのであれば、最初の話題作りをしたのは作者自身と言うべきでしょう。私はボルティモア・サン紙は見ていませんが、少なくとも、ニューヨーク・タイムズ紙に関する限り、「読者の期待を完全に無視」とか「台無し」と評価するのは適当ではないような気がします。
しかし、私から見ればケンカ両成敗という気もします。ニューヨーク・タイムズ紙も話題に一役乗ろうとしているのか、怪しげなルートで最終巻を入手し、スラッと at least a half-dozen characters we have come to know die と一文を紛れ込ませるのも、ややあざとい気がしないでもありません。作者であるローリング女史、あるいは、それに加えて出版社が始めた話題作りなのかもしれませんが、それに便乗したとも言えなくもありません。もっとも、作者のローリング女史が反応したことで、便乗したことによる成果が上がったのかもしれません。
いつだったか忘れましたが、今週のウォールストリート・ジャーナル紙によれば、ハリー・ポッター最終巻は我が家の1冊も含めてアマゾンだけで220万部の予約が入っており、初版は650万部も印刷されるそうです。これだけ人気があるのは、最終巻で何人死ぬのか、誰が死ぬのか、ハリーは生き残るのか死ぬのか、だけに話題が矮小化されているからではなく、主人公であるハリーの魅力や登場人物のキャラクター、また、ストーリー展開そのもの、すなわち、作品の面白さが読者に支持されているからだと私は考えています。プロ野球のひいきチームの試合結果だけに興味を持つのとは同列に扱うべきではないと思います。
いずれにせよ、明日になればすべてが明らかになります。私も今から楽しみです。
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