« 経済政策における改革派のポジション | トップページ | 今夜は珍プレーで終わって長期ロードへ »

2007年8月 2日 (木)

日本経済を支えるのはミドル・マネジメントか、トップ・マネジメントか?

今日もいいお天気で、気温も上がって蒸し暑かったです。東京でも梅雨が明けて、ニッポンの夏本番かもしれません。

格差問題なんかを考える際に、よく、日本では新入社員の初任給と社長さんのお給料の差が何倍で、それに対して、米国なんかではもっと開きがある、といった報道が見られ、通常は、日本は格差が小さいことのひとつの例と考えられていますが、これに対する疑問があります。すなわち、これは結果として格差が小さいことを反映しているのかも知れないものの、この現象の原因は格差が小さいことではなく、実は、新入社員と社長さんなんかの経営者としてのトップ・マネジメントとの能力や生産性なんかの差が小さいことなんではないか、という疑問です。疑問というより、経済がグローバル化する中で、「日本のトップ・マネジメントは競争力がない」とする仮説と言うべきかもしれません。もっといえば、日本では実際に大企業や役所を動かしているのは中間管理職などのミドル・マネジメントであり、社長や大臣なんかのトップ・マネジメントは米国などに比べて、ミドル・マネジメントとの相対的な能力差や生産性の差が小さいために、お給料はそれを素直に反映しているだけではないか、と考えられなくもありません。もちろん、この場合、対象に考えているのはウェーバー的な意味での官僚制の発達した役所や大企業なんかで、ベンチャー企業や中小企業なんかには、「トップがすべて」といったところがあるのは私も十分理解しているつもりです。
まず、役所なんかでは起こりようのない事態なので私が理解できないだけかもしれませんが、民間大企業の経営者が異様なまでに買収を恐れている理由が私には分かりません。ここ数年で、いわゆる M&A が大きく増加しつつあり、今年の5月からは三角合併も可能になったんですが、企業経営者の買収、特に、敵対的買収に対する恐怖心のようなものは、私のような公務員からは想像も出来ません。昨年は阪神タイガースの親会社である阪神電鉄が村上ファンドから TOB をかけられましたし、その他、北越製紙やブルドッグ・ソースの例など、買収に対する拒否反応は枚挙に暇がありません。TBS と楽天も決着がついていません。三角合併は特別決議が必要なんですから、明らかに、TOB で過半数を押さえた後の 100%子会社化の手法だと思うんですが、日本経団連なんかの財界からの反対意見が強いのにはびっくりします。買収防衛策を企業防衛とカン違いして報道している例も散見されます。もしも、経営者の自己保身のために企業経営が歪められているのであれば、企業は経営者のものだということになるんでしょうか?
民間企業ではなく役所の方から一例を上げると、現在ではそうでもないんでしょうが、私が公務員になったころには、大臣になる政治家一般は官僚一般に比べて知性や品格において大きく上回っているわけではなく、実際に日本の行政を動かしているのは政治家ではなく官僚である、との見方を肯定する人は少なくありませんでした。これなんかはトップ・マネジメントではなく、ミドル・マネジメントが実際にコトを運んでいる、との意見に通じるものがあるような気がします。単なる想像に過ぎないんですが、民間大企業でも同じようになっている部分もあり得るんではないでしょうか?
政府の場合は国家主権との関係で、いかなる層であれマネジメントを外国人に委ねることはありえないんですが、民間企業はそのような制約はありません。実際に、提携する海外企業から社長が来て立直しを図る場合もいくつかありました。日産のゴーン社長なんかは典型的な例だと思います。では、翻って、提携先の事業会社からの派遣であればよくて、ファンドからではダメなんでしょうか。戦後日本では間接金融に偏重する資金調達に起因して、いわゆるメインバンク制が幅を利かせて、銀行から経営者が送り込まれた例は多数あります。もちろん、銀行からの融資とファンドによる株式投資は同じではありませんが、メインバンク制の下での銀行からの経営者派遣との違いははっきりしません。
年初のホワイトカラー・エグゼンプションは今のところ立消えになったように見えますが、従業員側の労働者の流動性を高めたり、研修生と称して海外から安価な労働力を導入したりする一方で、経営者の方は買収防衛策による保護を手厚くし、グローバル化の下での経営者としてのトップ・マネジメント間の競争から逃れるのは、逆に、企業がグローバル化に立ち遅れることにもつながりかねません。グローバル化は製品から始まって、資本調達、労働力、最後には、トップ・マネジメントまで行き着くことになるのは、ある意味で、自然な流れだと言えます。そうであれば、グローバル化が進展する中で、今夜のエントリーのタイトルのように、日本経済を支えるのはミドル・マネジメントか、トップ・マネジメントか、と言う疑問、また、最初に掲げた仮説は否応なく検証されざるを得ません。

|

« 経済政策における改革派のポジション | トップページ | 今夜は珍プレーで終わって長期ロードへ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/20840/8603058

この記事へのトラックバック一覧です: 日本経済を支えるのはミドル・マネジメントか、トップ・マネジメントか?:

« 経済政策における改革派のポジション | トップページ | 今夜は珍プレーで終わって長期ロードへ »