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2007年9月26日 (水)

フジモリ元ペルー大統領のペルー当局への身柄引渡し

今日も、朝から秋晴れのいいお天気でしたが、午後からは雲が広がり、明日は雨が降るとの天気予報です。気温は昨日ほどには上がらず、特に、朝夕が涼しくなり、秋が深まりつつあることが感じられます。

やや旧聞に属するんですが、一昨年2005年11月にチリに入国して身柄を拘束されていたペルーのフジモリ元大統領がチリ最高裁の決定により、ペルー当局に身柄を引き渡されました。いずれも現地時間で、最高裁の決定が9月21日、リマに到着して警察施設に収容されたのが22日だそうです。一連の報道を日付けを追って朝日新聞のサイトから項目だけリンクを張っておきます。ただし、記事の時刻は日本時間になっています。

なお、日本ではフジモリ元大統領の日本国籍を認定した我が国政府の発表はほとんど報じられなかったんですが、サンティアゴ現地の高級紙 "El Mercurio" がこれに関係して、"Japón no comenta extradición a Perú del ex Presidente Fujimori" と、時事通信からのキャリーを引いて、日本からのコメントはない旨の報道をしています。El Mercurio Online から引用すると以下の通りです。なお、当然ながらスペイン語ですので、引用は最初の2パラグラフだけにしておきます。

Japón se abstuvo de comentar la extradición a Perú desde Chile del ex presidente peruano Alberto Fujimori, que dispone de un pasaporte japonés, país en el que estuvo exiliado durante cinco años.
Fujimori "ciertamente es un ciudadano japonés, pero Japón no tiene absolutamente nada que decir sobre la decisión de la justicia chilena", declaró el ministro de Relaciones Exteriores, Nobutaka Machimura, actualmente en la ONU en Nueva York, citado por la agencia Jiji.

国連総会に出席するためにニューヨークに滞在していた当時の町村外務大臣のコメントのようです。El Mercurio の論調はややフジモリ元大統領に同情的で、日本政府に批判的なように見受けられます。引用した部分にもある通り、日本政府は日本国籍を認定し、日本に5年間滞在を許し、さらに、日本のパスポートを持ってチリに入国した事実をハッキリと指摘していて、その上で、チリ司法当局の決定に関して、「何も言うことはない」 "nada que decir" との町村外務大臣(当時)の発言を紹介しています。一定の意図を感じざるを得ません。また、引用にはないんですが、後の方のパラグラフではフジモリ元大統領と結婚した片岡都美さんのコメント、「とても心配している」 "muy preocupada" を引用したりしています。片岡さんが2006年4月にサンティアゴ入りした際には、日本でも何紙か報道したように記憶していますが、ニューヨークにおける町村外務大臣(当時)の発言や片岡さんのことなんかは、今回は日本国内ではほとんど報道されなかったように思います。なお、まったくどうでもいいことですが、私が在チリ大使館で外交官をしている時、「日本国」のスペイン語訳は単なる Japón ではなく、男性の定冠詞を付して El Japón としていたんですが、現地の新聞ではまったく無視されているようです。
今回のチリ最高裁の決定は、ピノチェット政権の時代のアジェンデ派や左派に対する弾圧などの人権問題に敏感なバチェレ政権の成立との関係をクローズアップする向きもあり、複雑な事情が絡み合っているんだと思います。昨年2006年10月16日のエントリーでも取り上げたように、バチェレ大統領自身がピノチェット軍政下での拷問の被害者です。なお、いつかも紹介しましたが、チリの与党連合コンセルタシオンは反ピノチェット大連合とも言え、中道右派のキリスト教民主党から中道左派の社会党や民主主義のための政党 PPD までを含んでいます。1990年にピノチェット軍事独裁政権から民政移管されてから、現在までの4代の大統領の出身政党を見ると、最初の2人、すなわち、エイルウィン元大統領とフレイ元大統領がキリスト教民主党だったのに対して、ラゴス前大統領と現在のバチェレ大統領は社会党、もしくは、社会党に近い PPD の出身ですので、言葉はよくないんですが、やや左傾化しているのかもしれません。私が在チリ大使館にいた1990年代前半は、エイルウィン元大統領とフレイ元大統領の下で、国民的和解が重視され、ピノチェット政権下での過酷な弾圧なんかは大きな問題としては取り上げられませんでした。逆の見方をすれば、ピノチェット将軍が健在であって、ピノチェット派の勢力がまだまだ温存されている中で、大きく取り上げるほどにはコンセルタシオンの側の実力が伴っていなかったのかもしれません。しかし、国内で社会党出身の大統領が選出され、さらに、昨年2006年12月11日のエントリーで取り上げたように、ピノチェット将軍が死去した現時点では、私が駐在していた10年余り前から、力関係のバランスが微妙に変化して来ている気がしないでもありません。フジモリ氏はこのあおりを食った可能性も否定できないと考えます。

自分で言うのもナンですが、私は職場なんかでは国際派と見なされているんじゃあないかと思っていて、昨日のエントリーなんかでも目立たない国際機関のレポートを英語の原文を引きつつ取り上げたりしているものの、昨夜のエントリーと違って今夜のは経済を評論しているわけではありませんし、さらに、私のブログには国際事情に関する適当なカテゴリーがないので、無理やりながら、海外生活の思い出の日記に分類しておきます。

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