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2007年9月 6日 (木)

米国のサブプライム・ローンを発端とする金融不安の本質的な問題は何か?

今日も台風9号の影響で、日中は雨が降ったり止んだりのお天気でした。気温は30度近くまで上がって、蒸し暑かったです。夜になって雨足が激しくなり、風も強まっています。

今日の日経新聞夕刊のトップは米国連邦準備制度理事会 (FED) のベージュブックでした。8月27日までの情報に基づいていることもあり、私から見れば、かなり楽観的な見方をしているようにも思えます。NIKKEI.NET のサイトから最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

米連邦準備理事会 (FRB) は5日、地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表した。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とする金融不安が住宅市場を一段と冷え込ませ、家計や企業の借り入れ条件も厳しくしているとの懸念を表明した。ただ、米経済全体への影響はまだ限られており、景気の緩やかな拡大が続いているとの認識を示した。

今年に入ってから、サブプライム住宅ローンの問題が持ち上がり、今夏には金融不安まで発展しましたが、この記事を見ても、問題の本質を正確に把握している人は少ないように見えます。表面的には、米国経済の減速や株式市場の低迷などが観察されるんですが、それらが問題の本質ではないと私は見ています。ズバリ、問題の本質はアカロフ教授の言うレモンの問題です。情報が非対称、あるいは、そもそも存在しないために市場が機能不全を起こしていることが問題の本質だと私は考えます。その意味で、少し前のエンロンやワールドコムの虚偽会計と同じだと考えられます。
別の言葉で言えば、進み過ぎた金融技術が制御不可能に陥っていると言うこともできます。サブプライム・ローンを組み込んだ CDO などの証券がムーディーズや S&P なんかの格付け機関から、場合によっては虚偽の申告によって、かなりの高格付けを取得し、それに基づいて評価された証券が流通する中で、格付けと流動性に間に乖離が生じ、流動性不安まで引き起こした、というのが真相ではないでしょうか。要するに、利益相反の問題は別にしても、虚偽申告も含めて、金融技術に格付けの技術が追いつかず、証券化された金融商品に正しい格付けがなされていなかったのが問題の本質と言えます。ですから、例えば、CDO なんかについてはレモンを見分けることが出来なくなり、私の知り合いのエコノミストの中には、 CDO 市場は消滅すると言う人までいます。
市場経済が拠って立つ市場とは、情報に基づいて価格付けがなされ、その価格に基づいて資源配分がなされます。現時点では、市場における価格付けに基づいた資源配分が最も効率的であるとされています。しかし、市場に提供される情報が正確でなければ価格に歪みが生じ、市場における資源配分が効率性を欠くことは明らかです。格付け情報や会計情報が、意図的な虚偽報告も含めて、正確でなくなれば市場は機能しません。当然です。
コトが金融で生じていますから、もちろん、システミック・リスクへの対応としての流動性供給は重要ですし、実体経済や株価の下支えのために金利を引き下げることも必要なんでしょう。加えて、別の視点からは、住宅ローンの借り手の保護も考えるべきなんですが、市場に対して正確な情報を提供することが不可欠であり、そのためには何をすればいいのか、政策当局だけでなく、民間会社である格付け機関や金融機関も含めて、その対応が求められていると私は考えています。

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