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2007年9月19日 (水)

日米欧の中央銀行の金融政策はどちらを向いているか?

今日も、朝からが広がって余り陽射しがなく、気温は上がりませんでした。蒸し暑いのもかなり緩和されて、このまま残暑が終わってくれればと期待しているんですが、天気予報によれば、明日は気温が上がって残暑が戻って来るようです。

米国時間の昨日9月18日に連邦準備制度理事会 (FED) の連邦公開市場委員会 (FOMC) が開催され、指標金利の FF レートを 50 ベーシス下げて 4.75 %にすることが決定されました。また、我が国でも日銀が昨日から今日にかけて金融政策決定会合を開催し、金融政策を据え置くことを決定しました。少し前まで 50 ベーシスの引下げを予想していた市場では、直近では、クレジット・マーケットが相当程度に安定化して来たことから 25 ベーシスで予想していた向きが多かったんですが、この予想を上回ったので、Financial TimesWall Street Journal の両紙で期せずして、 aggressively という同じ副詞を使った記事になっていたりしました。ハト派的なサプライズと言えるかもしれません。他方、日銀は8-1の票決で現状維持を決めました。水野審議委員が反対票を投じたと報じられています。こちらは全員一致で現状維持と予想されていただけに、少なくとも、反対票が出たということはタカ派的なサプライズかもしれません。
これらの日米の金融政策動向を受けて、NY市場のダウ平均や東証の日経平均は急反発しました。今日の終り値は、NY市場で前日比335ドル97セント高の1万3739ドル39セントとなり、7月25日以来の高値をつけ、このNY市場の流れを受けて東京市場でも前日比579円74銭高の1万6381円54銭で終わりました。東京市場の上げ幅は、空売り規制の強化で急上昇した2002年3月4日に記録した638円22銭以来約5年半振りの大きさでした。NY市場では8月のサブプライム・ショックの前の水準に戻しつつあるんですが、東京市場は戻りが遅く感じられます。なお、サブプライム問題で注目されていたリーマン・ブラザーズの四半期決算が予想よりもよかったことも貢献しているとの報道も見られました。なお、為替については、日米金利差が縮小したにもかかわらず、米国株式市場の上昇が円キャリー取引を誘って、一時、116円くらいまで円安が進んだんですが、東京市場では午後から115円台に戻しているようです。対ユーロでは162円をつけて2円ほど円安が進みました。
現時点での日米欧の金融政策当局の政策スタンスを見ると、米国の FED については、かねてから私が主張している通り、利下げ局面に入ったと考えられます。年内にもう一度 25 ベーシスの利下げがあり、ひょっとしたら、来年1-3月期のうちに、さらに 50 ベーシス下げて 4.0 %まで FF 金利を下げる可能性もないとはいえません。欧州中央銀行 (ECB) も利上げ局面から一気に利下げ局面に入った可能性があります。少なくとも、明日からの ECB 拡大理事会や10月4日の理事会では利上げは予想されません。しかし、日銀は 8-1 のスプリットボートに見られるように、利上げ局面を継続している可能性が高いと見られています。もっとも、調査票の回収がほぼ終わった9月の日銀短観は少し弱含みの予想もありますし、10月末の展望レポートでは成長率見通しが下方修正されるのは確実ですから、年内に利上げを再開するのはかなり困難と言うのが正直なところではないでしょうか。ひょっとしたら、現在の福井総裁の任期中には利上げ出来ない可能性も十分あると思います。特に、FED が金利引下げ局面にあるだけに、ジリジリと円高が進行するような情勢になれば、いっそう、利上げは難しくなる可能性が高いと考えられます。来年3月に総裁と副総裁3人が一挙に任期切れを迎えることから、日銀の場合は国内政治の動向に強く影響されることもあり得ます。

景気の転換点を見極めるためにも、金融政策当局の動向からは目が離せません。

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