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2007年10月 9日 (火)

米国雇用統計と景気ウォッチャー調査から考える景気と金融政策の動向

今日は、朝からが広がり、時折、細かい雨の降るぐずついたお天気でした。湿度が高かったため、上着を着て外を出歩くと蒸し暑かったです。でも、オフィスにこもっていると肌寒かったです。

先週の金曜日に米国の雇用統計が発表されました。9月の非農業雇用者数は前月比で11.0万人増と、市場の予想であった10.0万人増にほぼミートしました。さらに、4年振りにマイナスをつけた8月の統計が上方改定されて、8.9万人増になりました。7月も上方改定されています。日本の今年4-6月期の GDP 統計は1次速報の+0.1%から2次速報で-0.3%に下方改定されましたが、この逆のようなカンジがしないでもありません。8月統計が-0.4万人から+8.9万人に大幅改定された要因は、新学期入りに備えた教員の雇用を過小推計していたのを是正したと説明されています。でも、金融市場関係者には米国の連邦準備制度理事会 (FED) が利下げしやすくなるように捏造した、との説もあったりします。まさかとは思いますが、噂は噂です。取りあえず、ヘッドラインの計数は以下の通りです。単位は前月比の千人増減です。四半期の計数は月単位で平均してあります。

2007年1-3月4-6月7-9月7月8月9月
前回公表値+142+126+97+68-4n.a.
今回公表値n.a.n.a.n.a.+93+89+110

9月が11.0万人増とまずまずの結果だったのに加えて、7月と8月が上方改定され、しかも、改定の大きな部分が州政府の教員だったわけですから、民間雇用は堅調との印象を受けることになります。予想以上に強い内容と見ることも出来ると思います。しかし、もう少し長い目で見ると、エコノミストによって少し見方は違いますが、米国の雇用は2005年年末から2006年前半にピークをつけて、ゆっくりと下り坂になって来ています。今夏のサブプライム問題による信用収縮を受けた金融業界のリストラの今後の進展に加えて、雇用が景気循環の中でも遅行指標であることを考え合わせると、米国の雇用は今しばらく悪化することは明らかです。9月単月の計数から、米国の雇用が最悪気を脱して上向きになったと判断するのは気が早いと考えられます。特に、9月は雇用者がかなり増加したにもかかわらず、失業率は0.1%ポイント上昇していたりします。

景気ウォッチャー調査

それから、今日の午後に内閣府から景気ウォッチャー調査結果が発表されました。景気の現状判断指数は上のグラフの通りです。現状判断は41.7(前月比2.0ポイント低下)、先行き判断は45.8(前月比0.3ポイント低下)と、いずれも50割れの水準となっています。内閣府の発表にある食料品価格の引上げや残暑による秋物衣料の売行き不振に加えて、所得要因として、賃金の伸び悩みや定率減税の廃止が判断悪化を招いているんではないかと私は考えています。夏場のボーナスはまずまずと言われていたんですが、中小企業では減少しているとの調査結果もありますし、私のブログでも4月4日に取り上げましたが、今夏のボーナスは増えたのか減ったのか、判然としません。それから、この景気ウォッチャー調査も米国の雇用統計と同じで、グラフを見ると明らかなんですが、2006年年初をピークにゆっくりと下向きになっているような気がします。
他方、米国とともに日本でもそうなんですが、短期の在庫循環は今夏がボトムと考えられていました。もっとも、米国の場合はサブプライム問題なんかにより、ボトムが後ズレして、さらに、以前に考えられていたものよりも深くなることは十分予想されるんですが、基調としては2-3四半期後には在庫循環は上向きに転ずる可能性が十分あります。特に、日本では、いわゆる IT 在庫の調整はほぼ終了したと考えられています。生産サイドの動きを考え合わせると、日本の7-9月期の GDP 成長率はかなり大きくリバウンドすると見通しているエコノミストもいたりします。逆に、このまま景気後退に入る可能性もなくはないんでしょうが、米国の雇用統計を見る限りは、その可能性はやや薄れた気がしないでもありません。目先の話では過度の楽観説は根拠がないような気がしますが、逆に、1-1年半先の悲観説も少し違うような印象がなくもありません。別の言葉でいえば、景気動向は自律的には在庫循環の上向き局面に向かう可能性が少し高まった気がしますが、それだけに、マクロ政策のかじ取り次第とも言えます。特に、金融政策です。私が恐れている可能性は、日本では金融政策の動向に及ぼす消費者物価のウェイトが景気よりも大きいんではないかということです。

目先の動向については金融政策に影響される部分が大きいんですが、日米とも、年内くらいのスパンでは簡単に景気が反転する実感はなく、特に、米国では政策金利の引下げにより景気を下支えする可能性が高い一方で、日本は制度的な携帯通話料引下げにより消費者物価が0.3-0.5%ポイントくらいの大きな影響を受けるとの見方が正しいとすれば、先日のエントリーで述べたように、一般物価水準には大きな変化がないにもかかわらず、日銀の金利引上げにブレーキがかかり、景気後退入りする可能性がより低くなるのではないか、と私は考えています。逆に、昨今報道されているような食料品価格のメーカーサイドでの引上げが小売段階に浸透するようなことになれば、日銀も金利を引き上げやすくなるような気がしますから、部分的ながら実質購買力の低下と金利引上げが日本経済にダブルパンチの影響を及ぼすことも考えられ、景気後退入りする可能性はやや高まるような気がしないでもありません。

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