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2007年11月14日 (水)

モンティ・ホール問題の周辺事情をひも解く

今日も、朝から秋晴れのいいお天気で陽射しもありました。この季節にしては気温も昨日と同じくらい高くなり、20度を超えたようです。今しばらく、いいお天気は続くものの、明後日の金曜日ころから気温は下がるとの天気予報です。

先日、11月3日の文化の日に一家そろって筑波大学付属中学の学芸発表会を訪れた際のエントリーに、数学科の展示室で中学1年生の研究発表でモンティ・ホール問題が正しく解説されているのを見て、私は感激してしまったと書きましたが、今夜のエントリーでは、このモンティ・ホール問題を取り上げようと思います。もっとも、私はモンティ・ホール問題を正しく、かつ、分かりやすく解説する能力はそんなにないので、周辺のトリビア情報をひも解きたいと思います。
まず、モンティ・ホール問題とは何かなんですが、一言でいうと、その名もモンティ・ホール (Maurice "Monty Hall" Halperin) というオジサンがホストとして司会者を務める米国の視聴者参加型のテレビ番組 "Let's make a deal" に由来する確率の問題です。どうでもいいことですが、この番組は米国の3大ネットワークのひとつである NBC で放送されていて、今も続いています。43年の歴史があったりします。さて、その番組では視聴者から選ばれた出演者がクイズを勝ち抜くと、最後のチャレンジとしてゲームに挑みます。この最後のゲームが曲者なわけです。扉が3つあり、そのうちのひとつには豪華商品の自動車があるんですが、残りの2つはハズレでヤギが草を食べています。番組に参加しているゲストは豪華商品を目指して、そのうちのひとつの扉を第1回目の選択として選ぶんですが、ゲストが選択した後で司会者がハズレの扉をひとつ開けます。当然、ヤギがいます。司会者がハズレの扉を開けた後で、もう一度ゲストが開けられていない2つの扉のうちのどれかを選ぶ第2回目の選択のチャンスが与えられます。ここで扉の選択を変更する方がいいのか、変更しない方がいいのか、あるいは、変更しても変更しなくても同じなのか、がモンティ・ホール問題と呼ばれる確率の問題なわけです。
一見すると、自動車が残った2つの扉の向こうにある確率は、どちらの扉でも 1/2 ずつで同じように見え、2回目の選択でゲストが扉を変更してもしなくても、豪華賞品の自動車が当たる確率は同じだと思われがちです。しかし、結論を先に言うと、数学的な確率論からすれば、司会者がハズレの扉を開けた後の2回目の選択で、ゲストが扉を変更すれば、自動車が当たる確率は2倍になります。これを鋭く指摘したのが、日曜版新聞の折込み雑誌である Parade 誌"Ask Marilyn" なる商標登録までされたコラムを担当している Marilyn vos Savant 女史です。"Ask Marilyn" は日本語にすれば、「マリリンに訊いてみよう」といったところでしょうか。このモンティ・ホール問題に対する正しい回答が掲載されたのは1990年9月9日付けの Parade 誌だったそうです。しかし、このコラムでの回答は完全に正しいにもかかわらず、私が知る範囲でも、ジョージ・メイソン大学、フロリダ大学、ミシガン大学、ジョージタウン大学などのそうそうたる大学の数学教授が、2回目の選択で扉を変更すれば自動車が当たる確率が2倍になるという Marilyn vos Savant 女史の回答は間違っているとクレームを寄せ、一気にモンティ・ホール問題が有名になりました。これらのクレームに対して、Marilyn vos Savant 女史は小学校の教師に対して算数の授業で実験してみて欲しいと呼びかけたところ、経験的 (empirical) には Marilyn vos Savant 女史が正しいとの結果が続々と寄せられました。当然です。ちなみに、この Marilyn vos Savant 女史がどういう人かというと、当然ながら、ごく普通の一般ピープルが "Ask Marilyn" なんてコラムを担当するハズもなく、実は、1986年から89年まで世界でもっとも IQ の高い人物としてギネスブックにリストアップされていた人物なんです。諸説あるんですが、一説には IQ 230 とも言われています。そして、ギネスブックに載った1986年から Parade 誌の "Ask Marilyn" のコラムが始まっています。私が数日前に Parade 誌の "Ask Marilyn" のサイトを拝見した折には、小学校高学年の我が家のおにいちゃんが取り組んでいるような、旅人算みたいな質問が寄せられたのに対して、実に分かりやすい見事な回答が与えられたりしています。もちろん、今どきのことですから、 Marilyn vos Savant 女史のホームページが開設されていたりしますし、Parade 誌では電子メールで質問を受け付けていたりするようです。

今夜のエントリーの眼目である周辺事情はこれくらいなんですが、一応、2度目の選択で扉を変更した方が自動車の当たる確率が2倍になるというモンティ・ホール問題を直感的に解説すると、 Wikipedia から図を拝借して、以下の通りとなります。

モンティ・ホール問題における1回目の選択



モンティ・ホール問題における2回目の選択

要するに、上の図にある通り、3つの扉がいずれも開かれていない1回目の選択の時点では、各扉に自動車がある確率はそれぞれ同じで 1/3 ずつであることは明らかで、別の見方をすれば、ゲストが選んだ扉の確率が 1/3 で、それ以外の2つの扉の確率の合計は 2/3 ということになります。ここがポイントです。司会者がハズレの扉を開けた時点でも、この 1/3 と 2/3 の確率の配分に違いはないハズで、ゲストが選んだ扉の確率が 1/3 で変化ないのに対して、開かれた扉の確率がゼロに落ちることから、残された扉の確率が 2/3 をそっくり受け取って跳ね上がる、ということになります。結局のところ、最初に選択した扉の確率は 1/3 のままで、もう一つの扉を選ぶと確率が 2/3 に上がりますから、扉の選択を変更すると当たりの確率が 2 倍になるわけです。なお、私は先にリンクを張っておいたモンティ・ホール問題に関する Wikipedia のページとともに、トロント大学ローゼンタール教授の「運は数学にまかせなさい - 確率・統計に学ぶ処世術」も参考にしました。本の方は確率や統計にご興味ある方にはオススメしないでもないんですが、著者が意図したであろうほどには一般向きではないような印象もあります。私は購入しましたが、買う本ではなくて借りる本かもしれません。ご自分でご判断下さい。

「運は数学にまかせなさい」: ハヤカワ・オンライン

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