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2007年11月 6日 (火)

ハリー・ポッターの翻訳に見る日本の国際化の遅れ

今日は、朝のうちに降っていた雨も昼までに上がり、の多いお天気になりました。陽射しがなくて寒かったです。でも、明日からは秋晴れが戻るとの天気予報です。

ハリー・ポッターのシリーズ最終巻「死の秘宝」(仮題)の原書が7月21日に世界同時発売されてから3ヶ月余りがたちました。そろそろ、各国語版の翻訳が出回っているようです。私がよく参照しているファンサイトのひとつであるポッターマニアに記事が出ていた範囲でも、以下の日付けで翻訳が出版されています。

  1. 10月27日 ドイツ語版 "Harry Potter 7 und die Heiligtuemer des Todes" (Carlsen Verlag GmbH)
  2. 10月28日 フランス語版 "Harry Potter 7 et les reliques de la mort" (Gallimard)
  3. 10月28日 中国語版 「哈利・波特与死亡聖器」(人民文学出版社)

いきなり本題から逸れるんですが、、作者のJ.K.ローリング女史は外国語に翻訳する場合、原題の "Harry Potter and the Deathly Hallows" だけでなく、非英語版の代替タイトルとして "Harry Potter and the Relics of Death" を認めています。一見して分かるようにドイツ語版やフランス語版ではこの代替タイトルを基にしているようです。私は中国語については見識がないんですが、日本人ですから漢字は理解しますので、"the Deathly Hallows" を直訳すれば「死亡聖器」になるのかもしれません。直感的には、「哈利・波特」はハリー・ポッターの音を当てているんだろうと思います。当然ながら、「与」は日本語の「と」、英語の and に当たるんだと記憶しています。高校生だったころの漢文の授業を思い出してしまいました。
さて、本題に返って、主要な国として、ドイツ、フランス、中国の翻訳状況を上に掲げた他に、正確な日付けが特定できないので上のリストには上げませんでしたが、正規のトルコ語版は12週間で翻訳が出来たそうです。デンマーク語版も11月の発売との情報があります。そこで、我が日本語版がどうなっているかと言うと、静山社のホームページにはスラッと「静山社の日本語翻訳版「ハリー・ポッターと死の秘宝」(仮題) については、発売日が決まりましたら当サイト等で発表いたします。」とあるだけです。公務員らしく前例を引合いに出すと、前作の第6巻「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の際は、原書発売から10ヶ月後に、前々巻の第5巻「不死鳥の騎士団」の時は14ヶ月後に出版されています。単純にページ数で比較すると、今回の第7巻は第6巻よりは長く、第5巻よりは短くなっていますから、1年くらいかかるのかもしれません。鋭意、翻訳作業は進められていることとは思いますが、諸外国の翻訳例を考え合わせると、私以外にも、やや対応が遅いとの印象を持つ人は少なくないと思います。
さらに、ポッターマニアの記事からの孫引きですが、「タイムズ紙によると、日本語版などを除きおおかたの翻訳者は少ない翻訳料で脚光も浴びておらず、ファンから批判される辛い役回りになっています。」とのことです。もちろん、税制は国によって異なるので一概には言えませんが、私のブログの今年6月12日付けのエントリーで取り上げたように、脱法スレスレの方法で節税を試みるインセンティブを有する日本の翻訳者さんと大きな差があることを感じるのは私だけでしょうか。
今夜のエントリーの結論を明確にすると、翻訳料のお話はついでに取り上げただけなんですが、翻訳が出版される時期については、まさに、日本の国際化の現状の一端をよく表していると私は考えています。ドイツ語やフランス語などのヨーロッパ言語は英語と同じようなアルファベットで表記し、英語の親戚筋に当たるんでしょうから、それなりに翻訳作業ははかどるんでしょうが、私も詳しくないものの、トルコ語版や中国語版よりも大幅に日本語版が遅れるのは、日本人や日本社会の国際化が進んでいない一端を垣間見ることが出来るような気がしないでもありません。要するに、翻訳が出なければ原書で読んでしまうぞという読者からのプレッシャーがとっても小さいんだろうと思います。誤解を恐れずに思い切って書けば、問題とされるべきは高額の報酬を得てチンタラ作業している翻訳者さんではなく、その翻訳者さんに上の意味でのプレッシャーをかけられない日本人読者一般ということになります。

極めて細かい事実から余りに一般化して考えるのは大きな危険が伴いますが、この国際化への対応の遅れが国際的な場における日本人の労働生産性の低さをもたらし、日本の金融サービス業の競争力の低さや国際機関における日本人比率の低さ、引いては、株式市場の低迷につながっている気がしてなりません。しかし、10月29日付けのエントリーでも主張したように、直感的な印象ながら、私はこの国際化の遅れは量的な問題であり、がんばれば何とかなる、と考えていることを付け加えておきます。

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