« 米国の連邦準備制度理事会 (FED) の金利引下げは不十分か? | トップページ | 日銀短観はどの国の景気減速を表しているのか? »

2007年12月13日 (木)

どうして日銀は米欧5中銀のサブプライム対策の資金供給に加わらなかったのか?

今日は、朝から冷たい雨でした。昼ころには止みましたが、雲が厚くて日差しがなく、気温は上がりませんでした。真冬の寒さでした。

The Fed's Arsenal

今朝の全国紙各紙の1面に米欧5中銀がサブプライム対策で足並みをそろえて資金供給するとの記事が掲載されていました。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) の発表文を見る限り、主要には、Term Auction Facility (TAF) の一時的な導入と欧州中央銀行 (ECB) に400億ドル、スイス国立銀行 (SNB) の20億ドルの currency arrangements (swap lines) を設定するということのようです。TAF とはプライマリー・ディーラーにほぼ限定された現在の公開市場操作とは異なり、公定歩合貸出しを受けることの出来るすべての金融機関が対象となり、さらに、"Term" の名の通り、より期間の長いターム物の資金供給を目的とするものです。ターム物を供給することにより、12月に入って1ヶ月物の LIBOR 金利が跳ね上がったのに対応したものと考えられます。それから、担保証券の範囲も広がります。さらに、 "Auction" の名の通り、入札方式ですから頻度が限定されるものの、固定金利の公定歩合や FF レートよりも低い金利で調達できる可能性もあります。TAF の名は体を表す気がします。もちろん、外国とのスワップはドル資金の供給そのものです。平たく言えば、プルーデンス対策としての越年資金の供給と言えるかもしれません。対策の詳しい内容や実施時期などは、以下の参照先をご覧下さい。米欧日の各中央銀行と代表的な新聞のサイトにリンクを張ってあります。

どうでもいいことですが、いつもの私流のひねくれた見方を披露すると、 FED や ECB のプレスリリースの最後に "Statements by Other Central Banks" として、日銀とスウェーデンの Riksbank へのリンクが置いてありました。まったく、想像の域を出ないんですが、「協調行動を拒否した中銀」と読めなくもありません。もっとも、日本の場合はサブプライム・ローン問題の被害も少ないし、記者会見した日銀の稲葉理事の発言にあった通り、ターム物のオペも十分な実績がありますから、「日銀はすでに多様な資金供給手段を備えており、現在の枠組みの中で十分に対応できる」という日経新聞の報道も真実なんだろうと思います。欧米と時差があるにもかかわらず、理事が深夜に異例の緊急記者会見で対応したんですから、これも協調行動のひとつのカタチなのかもしれません。なお、本石町日記によれば、深夜にもかかわらず、笑いの多い会見だったらしいです。でも、何らかのオファーがあったのを拒否したことは想像できなくもありません。

ちょうど1週間前の12月6日のエントリーで(財)経済企画協会の ESP フォーキャスト調査を取り上げましたが、12月調査では来年2月と7月に割れています。でも、国内金融市場の情勢が逼迫していない上に、多様な資金供給手段を備えているとはいえ、FED や ECB などの先進国中央銀行の協調行動からやや距離を置いた格好になってしまい、さらに、2月に G7 のホストとなる際にサブプライム問題に関する金融安定化フォーラム (FSF) の中間報告が公表されるんですから、これで来年早々に利上げに踏み切ったりしたら、欧米各国から袋叩きにあうような気がしないでもありません。次回の調査では、2月金利引上げの回答を寄せるエコノミストの割合が激減するんではなかろうかと思ってしまいます。

|

« 米国の連邦準備制度理事会 (FED) の金利引下げは不十分か? | トップページ | 日銀短観はどの国の景気減速を表しているのか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/20840/9389071

この記事へのトラックバック一覧です: どうして日銀は米欧5中銀のサブプライム対策の資金供給に加わらなかったのか?:

« 米国の連邦準備制度理事会 (FED) の金利引下げは不十分か? | トップページ | 日銀短観はどの国の景気減速を表しているのか? »