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2007年12月28日 (金)

要するに物価が上がればいいんではないか?

今日は、朝からが広がり、夜になって雨が降り始めました。陽射しはなかったんですが、日中はそんなに寒さが厳しいというわけでもありませんでした。

全国コアCPIの財別寄与度分解

今朝、総務省統計局から11月の失業率と消費者物価の統計が発表されました。完全失業率は3.8%と前月から0.2%ポイント低下し、消費者物価は生鮮食品を除くコア CPI が前年同月比で0.4%を記録し、1998年3月以来の高い上昇率となりました。いつもの NIKKEI.NET から最初のパラだけ記事を引用すると以下の通りです。

失業率
総務省が28日発表した11月の完全失業率(季節調整値)は3.8%となり、前月比0.2ポイント低下した。完全失業者数は前年同月比13万人減の246万人となり、24カ月連続で減少した。また就業者数は6433万人となり、前年同月より23万人増加。3カ月ぶりの増加となった。
消費者物価
総務省が28日朝発表した11月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、変動が大きい生鮮食品を除く総合で100.6となり、前年同月比で0.4%上昇した。原油高がガソリンや灯油価格を押し上げたほか、燃料価格を通じて航空運賃などにも上昇圧力が波及した。上昇率は1998年3月以来、約10年ぶりの高さで、原油高が物価を押し上げる構図が鮮明になってきた。

順序が逆になりますが、まず、消費者物価については、引用した記事にはありませんが、欧米流の食料とエネルギーを除くコアコアの CPI でも11月は前年同月比で▲0.1%を記録し、10月から下落幅が0.2%ポイント縮小して来ていますから、いよいよデフレに歯止めがかかって、物価が上昇基調に乗りつつあるような気がします。もっとも、主たる物価上昇要因はエネルギー価格で、10月には前年同月比で1.8%の上昇に止まっていたのが、11月には5.4%にハネ上がっています。上のグラフでも11月の統計は黄色のエネルギー価格の寄与度が大きいのが読み取れます。
失業統計については、全世紀末から今世紀初頭にかけてラクに300万人を超えていた完全失業者数が、引用した記事にもある通り、24ヶ月連続で減少を続けて250万人を割る水準まで低下しました。4-5年前のピーク時には失業率が5%を超えて、完全失業者数も350万人を超えていたと記憶していますので、失業率が1%ポイント超の低下、完全失業者数も100万人以上減少したことになります。ただし、この反対側では、雇用者数は50万人程度しか増加していないことにも注意が必要だろうと思います。ひょっとしたら、先進国で初めて体験する人口減少社会を迎えて、新しい労働の動きが始まっている可能性があります。
この失業率と消費者物価をグラフに展開すると拡大フィリップス曲線が描けます。オリジナルは失業率と賃金上昇率なんですが、物価上昇率を賃金上昇率に代えたフィリップス曲線です。失業率が低下して物価上昇率がプラスを記録しているんですから、拡大フィリップス曲線の傾きは負になります。もちろん、単月だけで考えても仕方のないことで、お遊びの域を出ないんですが、賃金上昇が緩慢な中でフィリップス曲線のフラット化が指摘されているんですから、何だか、悪い話ではないような気がしないでもありません。冗談はともかく、市場の予想よりも物価が高く出たんですし、失業率の低下もやや意外感を持って受け止められているんですが、市場の受止めは少し違った印象を持ちました。金利が上がるのは当然としても、株価は下げました。市場で重要な要素は私は3つあると考えていて、景気、物価、金融政策です。失業率から推測する景気がよくて、物価が上がると債券が売られて株が買われるのが通常の動きだと考えられるんですが、株も売られてしまいました。もちろん、経済統計だけで市場が動いているわけでもなく、パキスタンのブット元首相の暗殺なんかは市場心理からすればマイナスなんでしょうが、それにしても、東証株価の上値が重いことを実感してしまいました。年末の大納会が年初の株価を下回ったのは5年振りだそうです。

世の中のメインストリームのエコノミストは物価上昇による実質所得の目減りにより、家計消費がさらに鈍化することを懸念しているようですが、ごく一部に、リフレ政策を必要と考えるエコノミストからすれば、願ったり叶ったりとまでは言いませんが、この程度の物価上昇率であれば十分に許容すべき範囲だと考えてもおかしくありません。このブログの先月11月30日のエントリーでも主張しましたが、ややナナメに見ると、物価上昇期待が事実によって形成されるのも、それはそれでアリだというように考えることも可能ではないでしょうか。よいデフレと悪いデフレの区別をナンセンスとしたエコノミストは、需要が引っ張る物価上昇とコストが押し上げる物価上昇も区別しないような気がします。要するに物価が上がればそれでいいんではないでしょうか?

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