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2007年12月10日 (月)

米国の雇用統計から何を読み取るか?

今日も、朝から冬晴れのいいお天気でした。それなりに気温も上がったような気がします。長く続いた冬晴れなんですが、天気予報によれば、明日の午後は雨が降る可能性があるらしいです。

米国・失業率と非農業部門雇用者数の推移

先週金曜日12月7日に11月の米国の雇用統計が発表されました。ヘッドラインの非農業雇用者数は前月比で9.4万人増となり、市場予想の7-8万人増を上回りました。失業率は10月と変わらずの4.7%でした。いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

米労働省が7日発表した11月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は前月に比べて9万4000人増えた。増加幅は10月の改定値である17万人を大幅に下回ったものの、雇用回復の目安といわれる10万-15万人に近い水準となった。失業率(軍人を除く)は10月と同じ4.7%。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とする金融不安の悪化にもかかわらず、米国の雇用はまだ底堅さを維持している。
ただ金融不安の悪化による景気下振れのリスクは消えず、米連邦準備理事会(FRB)が9月と10月に続く追加利下げに踏み切る公算が大きい。11日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げに踏み切るとの観測が強まっているが、0.5%の利下げを予想する向きも残っている。
なかなか評価の難しい結果だという気がしますが、やや慎重な見方が多いような気がします。例えば、Wall Street Journal では "November Jobs Report Brings Little Cheer" と題して、やや抑制的な記事になっていますし、Financial Times でも "US jobs gain signals credit crisis contained" と、まさに contained なトーンとなっています。要するに、雇用などの実体経済はまだ悪化していないものの、別途、金融不安のリスクが残っているわけで、やや実物経済と金融市場の乖離が生じていると評価すべきなのかもしれません。なお、日本についても内閣府から2件の統計指標が発表されました。10月の機械受注統計は設備投資の先行指標として注目されており、前月比12.7%増と3ヶ月振りのプラスに転じたんですが、11月の景気ウオッチャー調査は街角の景況感を示す現状判断指数で前月比2.7ポイント低下の38.8と、2003年5月以来4年半ぶりの低水準となっています。日米ともに景気についてはやや慎重に見るべき指標が続いている気がしないでもありません。
機械受注の推移
景気ウォッチャー調査の推移

米国の雇用指標に戻ると、今回の統計の発表に当たっては、事前に、企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング (ADP) などが集計した11月のADP全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は18.9万人増と、10月の10.6万人増から伸びが拡大していたり、米国の直前に公表されたカナダの雇用者数が市場の予想を大幅に上回る4.3万人増だったりしたため、7-8万人増との市場予想が直前に20万人増でもおかしくないとの情報が流れていました。特に、ADP のデータについては米国労働省の雇用統計の2日前に給与データを基に集計されたもので、それなりの信頼性を持つと考えられましたから、米国債の買いから始まって債券価格は上昇していたんですが、労働省の統計発表とともに債券価格が急落するという荒っぽい市場展開が見られたりしました。
もっとも、米国労働省の発表するB表から個別の業種を詳しく見ると、サブプライム・ローン問題に関係する建設業は2.4万人減と5ヶ月連続の減少、金融業も2.0万人減と4ヶ月連続の減少となり、着実に減少を記録しています。しかし、これを逆に考えると、これらのサブプライム問題の直撃を受けた業界で雇用者数が減少しているにもかかわらず、全米では雇用環境に大きな悪化が見られないということも出来ます。また、8月-10月の3ヶ月連続して前月比マイナスを記録していた小売業も11月には2.4万人増となりました。最近の減少のリバウンドであることは否定できませんが、クリスマス商戦の見通しが改善している兆しとも受け取れます。我が同業者から送られて来るニューズレターなんかを見ていると、元々、強気のエコノミストは強気に解釈して、弱気の人は弱気に解釈する、という傾向が読み取れないでもありません。なお、まったくどうでもいいことですが、私が少し注目していた南カリフォルニアの山火事については、米国労働省がニュースリリースの FAQ で取り上げていて、"There was no discernible impact" だったそうです。

この雇用統計の結果を受けて、明日の連邦公開市場委員会 (FOMC) において、米国の連邦準備制度理事会 (FED) が金融政策にどのような決定を下すかに注目が集まっています。政策金利である FF レートを引き下げる方向性は間違いないところで、少し前までは50ベーシスの大幅引下げとの説が有力だったんですが、雇用統計から読み取れる実体経済の悪化はそれほどでもなかったことから、25ベーシスの引下げに止まるんではないか、との見方も出始めました。単純にいえば、雇用統計の実体経済に関するメッセージを受け止めるんであれば25ベーシスの引下げでしょうし、雇用統計の個別業種の減少や雇用統計以外の金融情勢を重視するんであれば50ベーシスの引下げ、ということになります。私は後者の50ベーシスの引下げではないかと考えています。原油価格に一服感が出始めていてインフレ懸念が抑制されている中で、資金需要の高まる年末年始に向けて、実物経済もさることながら金融市場の混乱収集に当たる方が中央銀行の役割としてはより重要だろうと考えるからです。

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