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2008年2月 4日 (月)

米国の雇用統計から読み取れる事実

今日は、雪が降った昨日とは打って変わって冬晴れのいいお天気に戻りました。しかし、日陰になる道路には雪がまだ残っているところもあり、今日は立春ながら、やや寒々とした風景でした。

Nonfarm Payrolls米国時間の先週金曜日2月1日に米国労働省から今年1月の雇用統計が発表されました。金融政策当局の連邦準備制度理事会 (FED) などから景気の現状を推し測る指標としてもっとも重視されていると言われている統計です。結果は、非農業部門の雇用者数は昨年12月に比べて▲17千人減りました。12月の改定値である82千人増から急減速し、2003年8月以来、4年5ヶ月振りの減少に転じました。しかし、失業率は12月の5.0%から1月には4.9%に低下しました。まず、WSJ.com のサイトから記事の最初の3パラグラフを引用すると以下の通りです。なお、"Wall Street Journal" はすぐに見られなくなってしまいますので、リンク先は土曜日のうちにウェブ魚拓で取得しておいたものです。

The economy unexpectedly lost jobs last month, with the broad-based declines painting the clearest picture yet of a nation headed toward recession.
The Labor Department reported that nonfarm employment in January fell by 17,000 jobs, the first drop in more than four years. The losses were heaviest in the manufacturing and residential-construction industries, followed by financial services and state government.
But the unemployment rate, based on a separate survey of households, fell to 4.9% from 5%, suggesting the jobs decline may be overstating how abruptly the economy slowed from December to January. And employment rose in education and health services, as well as in the hospitality and retail sectors.

少し不思議な気がするのは、このような雇用統計を受けても NY 株価が上昇したことです。すなわち、雇用統計が早朝に発表された当日の1日の米株式相場は続伸し、ダウ工業株30種平均は前日比92ドル83セント高の1万2743ドル19セントで、ナスダック総合株価指数は同23.50ポイント高の2413.36で終えました。同日に発表されたISM 製造業指数が12月の50割れの水準から1月には50.7と再び50を超えたり、マイクロソフトとヤフーの大型の企業買収案の発表や、モノラインと呼ばれる金融保証会社の救済に関する報道が好感されたようなんですが、雇用統計を受けて景気後退観測が強まり、上値は重かったようです。今日の東証株価も寄付きから堅調で、大引けは前週末比362円54銭高の1万3859円70銭と、1月18日以来約半月ぶりの高値を付けました。もちろん、相場のことですから、経済指標だけで動いているわけではありませんし、エコノミストよりはストラテジストの守備範囲かもしれません。いずれにせよ、今回の米国雇用統計の評価は難しそうな気もします。昨年9月にも8月の雇用はマイナスとの結果が出た後、翌月には上方改定されてプラスの結果に戻った例もあったりしました。さらに、▲17千人の雇用減少に寄与したのは政府部門の▲18千人の雇用減少ですから、民間部門はわずかとはいえ雇用を増加させていると見ることも出来ます。産業別では教育・ヘルスケアや娯楽と言ったサービス業が引き続き雇用を増加させている構図に変わりはありません。しかし、いずれにせよ、雇用の減少という結果ですから、米国が景気後退に入る確率が高まったと受け止められるのは確かだろうと思いますが、正直なところ、昨年8月のマイナス統計が改定された前例もありますし、ベンチマーク更新も近づいて来ていますので、単月の統計で確定的な結論を出すことは難しく、もう少し様子を見たい気もします。

The Labor Picture in January

ということで、今夜は少し趣向を変えて、"New York Times" の "The Labor Picture in January" から上の図表を取ってみました。まず、左上の失業率のグラフはかなりハッキリと上昇傾向が読み取れます。左下の雇用者の増加は前月比ではなく前年比ですが、これも減少傾向が見て取れます。米国的な特徴として、左側の中ほどに人種別の失業率とその前年からの変化の表があります。白人、黒人、ヒスパニック系、アジア系の4分類で、失業率水準とその前年からの変化で、ともに、黒人やヒスパニック系に雇用情勢悪化の言わばしわ寄せが来ていることが読み取れます。同様に、右側の中ほどに学歴別の失業率があり、人種別と同様に、失業率水準や変化ともに低学歴になるほど雇用情勢が厳しくなっています。詳しい統計を承知ているわけではありませんが、直感的には日本でも同様なのかもしれません。

繰返しになりますが、米国の雇用統計の結果から、米国、さらには、日本が景気後退局面に入る可能性が高まったのは確かだろうと考えられます。そして、雇用面からは、景気後退に入る前から低学歴の雇用者などの雇用が悪化する可能性が高く、言わば、景気後退に入らないまでも、景気が減速・悪化すれば格差が拡大する方向で作用することは常識的にも明らかだろうと私は考えています。それだけに、格差問題も含めて、日米ともに景気後退に入らないような何らかの政策対応が求められているのかもしれません。

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