« 下の子もメガネをかけ始める | トップページ | ヒマな三連休最終日に一家そろって人生ゲームで遊ぶ »

2008年2月11日 (月)

マインド調査のバイアスは何から生じるか?

今日も、朝から冬晴れのいいお天気になりました。昨日ほどではありませんが、気温もそれなりに上がったように思います。

一昨日のこのブログのエントリーでも触れましたが、日米ともに現下の景気局面ではマインドを調査したソフトデータの重要性が高まっているように思います。しかし、マインド調査には一定のバイアスがあり、そのままに受け取るべきではない場合もあります。日銀短観なんかでクセと呼ばれているものは典型です。例えば、景気回復局面では先行きを慎重に見るバイアスがあるとか、中小企業では12月調査で設備投資を大きく上方修正するクセとかがそうです。もちろん、ハードデータにもバイアスはありますから、ソフトデータだけの問題ではないかもしれません。

The Myth of the Rational Voter

ソフトデータのバイアスの中で、無視できないものに専門家と一般人のバイアスがあると私は考えています。典型的には、ジョージ・メイソン大学のカプラン准教授"The Myth of the Rational Voter" なんかの議論です。上のヒツジが並んでいる写真の本です。ひょとしたら、一般投票者はヒツジだと言いたいのかもしれません。買って読んだわけではないんですが、他のところで議論されているのを参考に、この本の中で取り上げられている4つのバイアスを私なりに解釈したものが以下の4項目です。カッコの中は "The Myth of the Rational Voter" のオリジナルの表現です。

  1. 陰謀史観バイアス (anti-market bias)
  2. 反外国バイアス (anti-foreign bias)
  3. 格差バイアス (make work bias)
  4. 悲観バイアス (pessimistic bias)

要するに、2番目と4番目はカプラン准教授のと全く同じです。4番目の悲観バイアスは1-3のバイアスの結果として出て来るような気もします。まず、最初に、カプラン准教授が反市場バイアスと呼ぶものは、例えば、「現在の原油高はロックフェラー家とアラブの王様の陰謀によるもので、一般市民が苦しめられている」といったたぐいのものです。私のは米国的な陰謀史観バイアスに見えないでもありません。エコノミストは原油を含めて多くの財の価格は、限られた少数者の陰謀ではなく市場で決まると考えています。価格以外でも少数者の陰謀よりも市場の力の方が大きいと理解されています。第2に、反外国バイアスはとっても分かりやすくて、何か都合の悪いことが生じた際には外国を責めるたぐいのものです。「我が地方の地場産業が苦境に立たされているのは、人件費の安い中国の輸入品のせいである」といったたぐいの議論です。米国では不法移民を非難する論調も少なくないと聞き及んでいます。不法移民は別としても、エコノミストは国際化の進展や輸出入の増加によって各国の経済的厚生が高まると考えています。第3の雇用バイアスは、カプラン准教授などは職が減ることへの悲観的なバイアスと考えているようですが、私なんかに言わせると、「株式投資によって得られるのはあぶく銭で、額に汗して働くのが大切」といった日本的な「モノ作りバイアス」とも呼べそうな気もします。また、「大企業が大儲けして、下請けの中小企業が苦しめられている」といった格差観にもつながるので、私なりのネーミングにしてみました。最後は、これらを総合して、「楽観的なエコノミストと悲観的な一般人」というような対比も可能なのかもしれません。

景気ウォッチャー現状判断指数の推移

最後に、一昨日にお示ししたのとまったく同じグラフなんですが、上のグラフは内閣府から発表されている景気ウォッチャーの現状判断指数の推移です。現状判断指数ですから、一般には景気動向指数なんかと同じで、上から50を切れば景気後退局面入り、下から50を切れば景気拡大局面入り、と教科書的な説明がなされるんですが、2002年1月を底に長い景気拡大局面に入っているにもかかわらず、50を超えた月は数えるほどしかありません。2002年2月以降の約6年間で DI が50に達していたのは12か月、ほぼ 1/6 でしかありません。一見したところ、40-45の間を中央値にしているように見受けられます。典型的に、一般マインド調査の悲観バイアスが現れているといえます。
特に、私の昔の同僚が言っていたことなんですが、役所の調査というと税務署に直結しているような印象を持たれる場合が多く、回答がどうしても不景気な方向に偏る場合が多いという傾向もあるかもしれません。何かの調査で読んだことがあるんですが、一般的に、収入は低めに申告し、学歴は高めに申告するという傾向が日本人にあるらしいです。何となく、当たっていそうな気がしないでもありません。

一昨日のエントリーの繰返しになりますが、日米ともに力強さに欠ける景気拡大局面では、ソフトデータがハードデータに先行して景気後退局面入りをシグナルすることが十分考えられます。しかし、それなりのマインド調査のバイアスを意識してソフトデータを分析することが必要だと思います。外出もしないヒマな三連休最終日に経済を論じてみました。

|

« 下の子もメガネをかけ始める | トップページ | ヒマな三連休最終日に一家そろって人生ゲームで遊ぶ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/20840/10424215

この記事へのトラックバック一覧です: マインド調査のバイアスは何から生じるか?:

« 下の子もメガネをかけ始める | トップページ | ヒマな三連休最終日に一家そろって人生ゲームで遊ぶ »