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2008年3月12日 (水)

2007年10-12月期GDP統計(2次速報)の感想

今日は、朝からいいお天気でしたが、昨日ほどには気温は上がりませんでした。やや肌寒かったんですが、花粉の飛散とともに春の訪れを感じさせます。

2007年10-12月期GDP統計(2次速報)

今日、昨年10-12月期のGDP統計の2次速報、いわゆる2次QEが発表されました。上の表の通り、私を含めた大方のエコノミストの予想と違って、設備投資などの下方改定は大きくなく、季節調整済みの前期比で+0.9%増は1次QEから変わらずで、前期比年率も+3.5%成長の小幅改定に止まりました。先週3月5日のエントリーで取り上げたように、設備投資は法人企業統計では季節調整済み前期比で▲2.7%減だったわけですから、かなり大幅な下方修正が考えられたんですが、サンプル・バイアスの調整などでGDP統計上はこのような結果になったようです。また、法人企業予測調査における金融・保険業の設備投資が大幅に増加する結果が盛り込まれている可能性も十分あります。
私の感想は3点あって、第1に、今回出た昨年10-12月期成長率がかなり高めでしたし、今年の1-3月期もうるう年効果があるとすれば、それなりの数字が残る可能性がありますから、春先以降の4-6月期や7-9月期の年央にマイナス成長の可能性があります。米国経済や昨日取り上げた中国経済の景況感からして、日本経済もマイナス成長を記録するということが、どういうインパクトで受け止められるか、やや心配な面もあります。第2に、生産のピークは昨年10月でしたから、昨年10-12月期から今年1-3月期の成長率次第では、景気のピークになる可能性もありましたが、少なくとも、直近をピークにした景気後退局面入りは避けられた可能性が高いことを示唆しています。第3に、逆に、うるう年であるにもかかわらず1-3月期にナイマス成長を記録すれば、日本の実体経済が急激に悪化していることになります。やっぱり、昨年10-12月期がピークだった可能性も出て来ます。持って回った言い方ですが、3点を取りまとめると、昨夜のエントリーと同じで、"Half empty. Half full." のような感想となるものの、全体として考えれば言うまでもなく、この2次QEの結果は日本の景気後退の確率をかなり下げました。米国が雇用統計の結果から景気後退入りが明らかになったのとは対照的です。

最後に、この2次QEの結果をテクニカルに捉えると、エコノミストにとって、1次QEの時点での先行き予想を変更する必要が小幅で済んだのは幸いなんだろうという気がします。私の同業者の中には「拍子抜けするほど改定が少ない」と表現したニューズレターもありました。しかし、昨年4-6月期統計の際も指摘されましたが、設備投資に関して法人企業統計とGDPの関係がやや不透明になったと感じるエコノミストは少なくないように私は感じています。

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