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2008年3月26日 (水)

2月の貿易統計から何を読み取るか?

今日も、朝からいいお天気で、気温も花粉の飛散量も昨日を上回った気がします。桜の開花も進んで、霞が関官庁街では五分咲きから七分先くらいになっているようです。

今日、財務省から今年2月の貿易統計の速報が発表されました。季節調整前の原数値で見て輸出が69772億円(前年同月比8.7%増)、輸入が60072億円(同10.1%増)となり、差引き貿易黒字は9700億円(同0.9%増)となりました。マーケットでは貿易黒字が1兆円を軽く上回るとの予想でしたから、市場予想を下回ったものの、大きなサプライズではありませんでした。日経新聞の夕刊では1面トップで「中国からの食品輸入28%減 - ギョーザ問題響く」と題した記事が掲載されていました。まず、その NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

財務省が26日発表した2月の貿易統計速報によると、中国からの食料品の輸入額が553億円となり、前年同月に比べて28.0%減少した。中国の祝日(旧正月)などの影響で輸入総額も15.1%減ったが、食料品の減少幅はこれを上回り、1986年7月(30.5%減)以来、約21年半ぶりの大幅な落ち込みとなった。1月末に発覚した中国製冷凍ギョーザの中毒事件を受け、加工食品などの輸入が急減したのが響いた。
中国からの食料品輸入額は216億円減少した。ギョーザなどが含まれる「穀物類」の輸入額が39.4%減り、数量ベースでも59.0%減と大幅に縮小した。魚介類や肉類、野菜や果実などの輸入額も2割を超えるマイナスとなった。ギョーザ事件がどの程度響いたかは特定できないが、中国製の食品を敬遠する動きが広がったことを裏付けたといえそうだ。

朝日新聞の夕刊なんかでも、中国からの食料品輸入が3割減との見出しだったような気がします。でも、貿易統計をよく見ると、もう少し細かい分類ながら、中国からの衣類・同付属品も▲27.2%減だったりしますから、一概にギョーザ事件だけでなく、中国側の要因としては、旧正月や大雪、もちろん、日本側の要因として、景気減速も影響しているんだろうと思います。
ギョーザはこれくらいにして、貿易黒字が市場予想を下回ったにもかかわらず、今回の貿易統計は堅調な結果と見なされています。ひとつには、2月下旬に原油や天然ガス等の鉱物性燃料の輸入の伸びが急拡大したことにより貿易黒字が市場予想を下回ったためであり、輸出は米国向けの減少にもかかわらず、全体では金額で前年比8.7%増、数量では14.8%増と堅調な伸び率を続けているからです。もっとも、輸出の中にはアジア向けの船舶輸出が前年同月比で206%増で計上されており、船舶を含むアジア向けの輸送機械が50.5%も伸びています。詳細は不明なんですが、一時的な要因である可能性も十分にありますから、この点は割り引いて考える必要があります。それにしても、2月の平均為替レートは1ドル106.90円と1月から4円ほど、前年同月の2007年2月からは14円余りの円高になっているんですが、それにもかかわらず、輸出は堅調に伸びているわけです。地域別に見ても、先月2月19日付けのエントリーでも紹介したように、明らかに景気後退に入った米国に続いて欧州の景気動向も少し怪しくなって来ていたんですが、日本からの輸出は増加を維持しており、対 EU 輸出は前年同月比で7.2%増となっています。加えて、ロシアや中東の産油国向けには自動車を中心に輸出の増加が続いています。

米国向け輸出の推移

でも、やっぱり気になるのは米国への輸出動向です。上のグラフは米国への輸出動向なんですが、2006年中には伸び率がピークを打ち、2007年後半から減少が始まっていることが読み取れます。これから景気後退が本格化すると、このマイナス幅が拡大するのかもしれません。外需への依存度の高い成長を続けている我が国もピンチであることは言うまでもありません。それを象徴しているように見えるのが、輸入数量が減少を続けていることです。輸入金額の方は原油などの鉱物性燃料の価格上昇により増加しているんですが、貿易指数で発表されている数量の方は昨年6月にマイナスを記録してから9ヶ月連続の減少です。その前の2006年5月も0.5%増でしたし、2006年3-4月も▲6%台のマイナスを記録していますから、日本経済もかなり減速していることは確かです。

為替が大きく動いている中で、デフレータを読みづらいんですが、これまでの貿易統計を見る限り、少なくとも1-3月期GDPの外需はかなり堅調だと見られます。しかし、今春闘も渋い結果に終わりそうで、消費が景気をリードする形には至らないことが予想されますから、その上に、現時点では堅調な結果を示している外需が米国の景気後退入りとともに一定のラグを伴ってマイナスに寄与するようになれば、我が日本経済も大いにピンチなのかもしれません。

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