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2008年3月19日 (水)

日米の金融危機

今日は、朝から雲が広がり、午後からはが降り出しました。降り始めてからしばらくは、傘を差す必要がないくらいだったんですが、夕方からは多くの人が傘を広げました。陽射しがなくて肌寒かったです。

日米欧の政策金利

まったく別の理由で日米の金融が危機的な状況を迎えています。米国は業界5位のベア・スターンズ証券の事実上の破綻を機に、証券会社の業績や資金繰りが悪化していることがここ数日の金融混乱の直接的な原因です。もちろん、根源的な原因は昨年来のサブプライム・ローン問題です。このため、昨日、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) は定例の連邦公開市場委員会 (FOMC) において指標となる政策金利の FF レートを75ベーシス引き下げて、2.25%にすることを決めました。日米欧の政策金利は上のグラフの通りです。米国のコア消費者物価は2%を超えていますので、実質金利はほぼゼロとなりました。日本ではほとんど注目されていませんが、ダラス連銀総裁のフィッシャー理事とフィラデルフィア連銀総裁のプロッサー理事が反対票を投じています。FOMC の声明文によると "preferred less aggressive action" ということになっています。慣例により、FED では政策変更をする場合は全員一致を尊重することが多いんですが、反対票が2票あったということは、そうでなくても後手を踏んで信任を低下させている FED への風当たりがさらに強まるような気がしないでもありません。でも、今年は大統領選挙の年ですから、公的資金の導入なんかは言い出せるような状況ですらなく、FED の舵取りは重要です。

Lehman Brothers

Goldman Sachs

NY 市場ではベア・スターンズ証券に続いて、18日に通期の12月決算を発表したリーマン・ブラザース証券とゴールドマン・サックス証券が、かなりの減益となりながらも利益を計上したことを好感してダウ平均株価は上げました。でも、朝日新聞なんかでは1997年に自主廃業した山一証券に例えているようですが、かなり上の世代のエコノミストに言わせると、その前の1965年の山一証券に対する日銀特融を思い起こさせるらしいです。日本でも米国でも、やっぱり、危ない橋を渡っているのは商業銀行ではなくて投資銀行=証券会社なのかという、誤解した論調が出ないように願っています。というのは、黒木亮さんの『巨大投資銀行』の読書感想文を取り上げた2年前の2006年2月6日付けのエントリーで書いたように、投資銀行が自己勘定で積極的にリスクを取りに行くのは、金融商品の組成などの本来の期待される活動から外れているように私は感じているからです。

エコノミスト5人に聞く「日銀総裁空白なら、市場に影響は?」

それはともかく、まったく別の原因で日本の金融にも不安が生じています。毎日の新聞に取り上げられているように、日銀総裁の空席が確定したからです。上の表は最初の武藤総裁案が政府から提示される前にどこかの新聞に掲載されたものですが、影響は大きいとするエコノミストから軽微と考える論者まで、いろいろな意見が聞かれます。私は少し前まで影響は軽微と考えていました。誰が日銀総裁になったところで、少なくとも年内は金利を引き上げられるハズもなく、逆に、思い切った利下げを断行できるような見識ある人物が日銀総裁になるような政治情勢でもなく、要するに、金融政策は動きようがないと考えていたからです。でも、econ-econome さんの「日々一考 (ver2.0)」の昨日のエントリーにあるように、米国はケチャップを買ってでも金融緩和を進めるでしょうから、ひょっとして、「いっしょに、ケチャップを買ってくれ」と要求されなくもありません。少し前に、我が国のメガバンクに対してサブプライム問題解決のためのファンドに出資するよう打診があったとの報道も見かけました。私のブログの昨年12月13日付けのエントリーでも取り上げましたが、米欧5中銀がサブプライム対策で足並みをそろえて資金供給を行った際にも、またその後の米欧中銀の協調行動にも日銀は参加しませんでしたが、もしも、もしもなんですが、強いリーダーシップを欠いた現状でズルズルと FED に協力させられると、国内的には何の金融緩和効果もないままに日銀のバランシシートだけが悪化するハメにもなりかねません。政策効果が期待できるのであれば、日銀のバランスシートを悪化させることは何ら問題ないと私は考えているんですが、国内に対する特段の政策効果なしに国際協調だけで中央銀行のバランスシートを悪化させるのは、控え目に言っても好ましいことではありません。そのためには、諸外国と対等に渡り合える総裁が必要ではないかと考えないでもありません。

最後に、今夜のタイトルの金融危機の範疇には入らないのかもしれませんが、日銀総裁を空席にしてしまうような日本の政治危機の方が、米国の金融危機よりも日本経済により大きなマイナスの影響を及ぼしかねない懸念を感じるエコノミストがいそうな気がします。

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