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2008年4月 1日 (火)

3月調査の日銀短観をどう見るか?

今日は、朝からいいお天気で昨日よりも気温が上がりました。でも、北風が強くて、そんなに暖かというほどでもありませんでした。雨だった昨日と違って、花粉が強い風に乗ってワッと飛び始めたような気がします。

昨日、日銀の見学に行ったからというわけでもないんですが、今日も日銀の話題です。と言うのは、今日、3月調査の日銀短観の結果が発表されました。ヘッドラインの大企業製造業の業況判断 DI は2四半期連続で悪化して、+19から+11となりました。市場予想の範囲内とはいえ、ほぼ下限と見なされています。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事と引用すると以下の通りです。

日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス11と、昨年12月の前回調査から8ポイント低下した。円高や原油高などが響き2・四半期連続の悪化で、2003年12月調査以来、4年3カ月ぶりの低水準となった。海外経済などの不透明要因も重なり、企業は景気の先行き警戒感を一段と強めている。
企業の業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。大企業製造業のDIは市場予想(プラス13)を下回り、低下幅は05年3月以来、3年ぶりの大きさだった。

日銀短観業況判断DI

上のグラフはヘッドラインの規模別・業種別の業況判断 DI の推移です。少なくとも、企業マインドはなかりハッキリと反転しており、景気転換局面に向かっていると見なすことも出来ると私は考えています。先行き DI が大企業製造業ではさらに下がって+7となるとの結果ですから、教科書的に DI が上からゼロのラインを切る景気転換点はもう少し先かもしれませんが、方向としては景気転換局面に突き進んでいることは明らかです。なお、ついでながら、上の引用に「4年3カ月ぶりの低水準」とありますが、DI ですから水準を議論するのは意味がないと私は考えています。方向を議論すべきだと思います。

日銀短観設備投資計画

日銀短観について、もうひとつの暗いニュースは2008年度の設備投資計画がマイナスで出ていることです。上の表の通りです。GDP 統計に合わせて土地を除いてソフトウェアを含むベースの計数です。全規模全産業で2008年度にはマイナスとなり、▲1.8%となっています。プラスは大企業非製造業だけで、中小企業は軒並み2桁マイナスとなっていることが読み取れます。設備投資循環が反転するのはもう少し先だと私は考えていたんですが、ここで設備投資循環まで転換局面を迎えることになると、日本も本格的な景気後退に突入する可能性も否定できません。設備投資については先行き期待が大きな役割を果たしますから、短観のようなソフトデータは重要な判断材料となります。
グラフや表として取り上げることはしませんでしたが、売上げや経常収益については、依然として増収増益を見込んでいる企業が大きな部分を占めているような結果が出ていますし、雇用判断 DI も引き続き人手不足感を示すマイナスとなっています。それから、貿易の比率が高いと言う意味で大企業製造業だけを対象としているんですが、事業計画の前提としている想定為替レートは、2008年度上期が109.56円/ドル、下期が108.86円/ドル、通期で109.21円/ドルとなっています。相場の話ですから私も確たることは言えないんですが、為替の見通しが甘いと評価する向きもありそうな気がしないでもありません。
結論として、今回の日銀短観の調査結果は近い将来の景気転換局面入りを強く示唆していると私は受け止めています。2年前の量的緩和解除の際に日銀が持ち出した「新たな金融政策運営の枠組み」のうちの第1の柱はほぼ完全に崩壊したと考えられます。要するに、最も蓋然性が高いと判断される見通しは、物価安定の下で持続的な成長の経路をたどっていない、と私は判断しています。日銀が想定していたように、好景気が企業活動から家計へ波及し、特に、賃金上昇から物価上昇につながる好循環メカニズムは機能せずに景気循環を終える可能性が高いと考えられます。この上、可能性はとっても低いんですが、もしも、日銀が第2の柱として表明している、「より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検」した上で、カギカッコ付きの「金利の正常化」を今後も進めるのであれば、景気は完全かつ早期に転換局面を迎えることは確実だと考えられます。

このブログの3月17日付けのエントリーで言及した東京大学林教授のホームページにあった「日銀総裁・副総裁: 私の提案」は削除されてしまったようですが、「景気が悪ければ、金利を下げるのは当たり前でしょう」といった趣旨の主張が含まれていたように私は記憶しています。糊しろは小さいとは言え、金利引下げが考慮されて然るべき局面だという気がします。

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