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2008年4月23日 (水)

3月の貿易統計は輸出がそろそろ反転する兆しを示しているのか?

今日も、昨日に続いて、朝から晴れ上がってまずまずいいお天気になりました。気温も昨日並みに上がりました。このところ、周期的にお天気が変化していたので、3日連続でいいお天気が続くのは久し振りな気がします。でも、西からお天気は下り坂で、夕方からは東京でも雲が広がりました。

本日、財務省から3月の貿易統計速報が発表されました。マーケットの予想コンセンサスよりもかなり弱い数字と受け止められています。今夜のこのブログのエントリーのタイトルの通りです。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから発表された貿易統計のヘッドラインに関する記事を引用すると以下の通りです。

財務省が23日朝に発表した2007年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額は前年度比9.9%増の85兆1177億円、輸入額は同9.4%増の74兆8931億円で、貿易黒字は同13.4%増の10兆2246億円となり、2年連続で増加した。
同時に発表した3月の輸出額は前年同月比2.3%増の7兆6843億円、輸入額は同11.1%増の6兆5657億円で、輸出額から輸入額を差し引いた輸出超過額(貿易黒字)は同30.2%減の1兆1186億円となった。

貿易黒字の推移夕刊各紙の報道では、ちょうど3月の年度末の統計が発表されたということで、年度ベースの計数が取り上げられていました。左のグラフの通りです。中には、輸出と輸入を併せた貿易額で中国が米国を押さえて2年連続で貿易相手国のトップだったとか、米国への輸出額が4年振りに減少に転じたとか、トピック的に扱っていた新聞もあったように記憶しています。私から見ると、新聞などの報道では年度の金額の統計が注目されていたように思わなくもありません。でも、エコノミストとしては、より細かく、最近の月別の統計にも目を配りたいところです。また、どうしても報道では金額ベースの数字が取り上げられるんですが、今回の発表で私が注目していたのは数量ベースの輸出指数の推移で、下の表の通りです。財務省の発表資料から取っています。昨年後半からジワジワと金額ベースの伸び率が低下して来たのは、米国の景気減速や景気後退とともに円高による価格指数の下落が主要な原因だったんですが、3月には数量指数の伸びが鈍化しているように見受けられなくもありません。もちろん、3月単月の計数ですから、2月の大幅増の反動とも考えられます。

輸出指数の伸び率

上の表の通り、3月の輸出数量指数は前年同月比で見て+5.2%増と、2月の+14.7%増から大幅に伸びが縮小しました。地域別に少し詳しく見ると、米国向けが▲3.8%と減少を続けているのに加えて、EU 向けが+9.8%増と2月の+15.7%増から少し伸びを鈍化させ、さらに、アジア向けが2月の+16.7%増から3月は+4.6%増に大幅に伸び率を下げました。2月には詳細不明のアジア向け船舶輸出があったとも言われており、その反動である可能性も否定できませんが、同時に、米国の最終需要が減速している影響とも考えられます。と言うのは、アジアの内需に基づくと考えられる自動車輸出は+38.5%と引き続き高い伸びを維持しているのに対して、電算機部品や IC などのハイテク品が伸びを鈍化させているからです。特に、私は詳しくウォッチしていないんですが、中国から米国向けの輸出ではテレビやデジカメなどの IT 関連財が今年に入って減少しているとの情報もあり、アジアから米国に向けた輸出の減少や伸びの鈍化が、日本からアジアへの輸出が伸びない原因になっている可能性も十分あると私は考えています。
ただし、上の表からは部分的にしか読み取れないんですが、金額ベースでは今年1-3月期は季節調整値で昨年10-12月期を下回ったものの、数量ベースでは10-12月期から増加したようで、少なくとも、比較的近い概念の GDP コンポーネントの実質外需はプラスに寄与すると私は考えています。これは先月3月26日付けのエントリーで2月の貿易統計を取り上げた際に指摘したのと同じ結論です。これは基準改定後の鉱工業生産統計とも整合的な結果だという気がします。要するに、昨年10-12月期が景気のピークで、足元では景気後退に入っているという仮説は貿易統計からも棄却されると思います。

今年に入ってからの貿易統計は2月のやや突飛な数字に少し振り回されているような気もしますが、先週4月17日付けのエントリーで指摘したように、生産が日本の景気サイクルの起点とは言うものの、その生産を牽引しているのは輸出や外需であるように見えるだけに、生産動向とともに貿易も景気判断に重要な位置を占めるように感じています。

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