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2008年4月30日 (水)

3月の鉱工業生産指数速報をどう見るか?

今日も、スッキリと晴れ上がっていいお天気でした。午前中のうちに気温は20度を超えたようです。午後からはさらに気温が上がって、春の陽気から初夏の気候に向かっているように感じます。

鉱工業生産指数の推移

本日、主要な経済の動きが3点ありました。日銀が金融政策決定会合を開催して、いわゆる「展望リポート」が発表されたことです。今年度の成長率見通しがかなり下方修正されました。統計では3月の雇用統計が発表されました。完全失業率が前月から0.1%ポイント改善して3.8%となったのに対して、有効求人倍率は0.02悪化して0.95倍となりました。このブログでは鉱工業生産指数の3月速報値が経済産業省から発表されましたので、これを取り上げたいと思います。ヘッドラインの季節調整済みの前月比は▲3.1%減と、市場のコンセンサスであった▲0.7-0.8%減を大きく下回り、ちょっとしたネガティブ・サプライズでした。上のグラフの少し太めの実線が直近で大きく下に向かっているのが読み取れると思います。出荷も▲3.9%減で、在庫率は+6.7%増と意図せぬ後ろ向きの在庫が積みあがった格好です。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトからヘッドラインの統計に関する記事の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

経済産業省が30日発表した3月の鉱工業生産動向(速報)によると、生産指数(2005年=100、季節調整済み)は106.8と前月に比べ3.1%低下した。輸送機械工業、一般機械工業、金属製品工業の低下が響き、前月比で2003年以降最大の下げ幅となった。ただ、予測調査では4月の低下後、5月は上昇を見込んでいることから、経産省は基調判断を「横ばい傾向」で据え置いた。

引用した記事にも言及がありますが、4月の予測指数は▲0.3%減、5月は+3.4%増となっていますから、単純に6月が5月の横ばいと仮定すると、1-3月期の実績の▲0.6%減に続いて、4-6月期は+0.4%増となります。そういう趣旨もあって基調判断は横ばいで据え置かれたんでしょうが、景気減速期には実績が予測指数を下回る確率が十分あり、4-6月期も鉱工業生産がマイナスを続ける可能性を排除できません。そうすると、少し前までの景気に対する見方が大きく変化します。このブログにおいても、4月17日付けのエントリーで鉱工業生産指数を取り上げた際はもちろんのこと、4月23日付けのエントリーで貿易統計を取り上げた際にも、景気は10-12月期がピークで足元では景気後退に入っているとの仮説は棄却される可能性が高いと書きましたが、やっぱり、景気は10-12月期がピークで足元ですでに景気後退に入っている可能性が高まったとも考えられます。私の知り合いで、この鉱工業生産指数統計を受けて「元の木阿弥」と題するリポートを送ってくれたエコノミストもいます。
3月速報を業種別に中身を詳しく見ると、素材関連の産業では、2月の大幅増の反動で鉄鋼は前月比▲0.2.%減でしたが、石油・石炭が+3.4%増、紙パが+1.0%増、窯業・土石が+0.2%増となって、底堅く推移しているのに対して、輸送用機械、一般機械等、加工組立型の主力輸出セクターの低下が目立っています。例えば、普通乗用車が▲3.4%減、小型乗用車が▲7.0%減、内燃機関が▲6.6%減、蒸気タービンが▲52.4%減、電子玩具が▲33.9%減などが代表例で、唯一、電子部品デバイスが+2.0%増だったんですが、4月予測指数は▲7.5%減となっており、評価は難しいところです。輸出から生産が鈍化しているのであれば、景気判断としては下向きにならざるを得ません。我が国の景気は瀬戸際に立たされているといえましょう。

景気判断に関して、今後の焦点は輸出動向ではないかと私は考えています。財務省のホームページでは4月上中旬の貿易統計は5月9日ころ、4月全体は5月22日ころとなっていますが、貿易統計次第では一気に景気後退懸念が高まる可能性があるんではないかと思います。

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2008年4月29日 (火)

『学歴社会の法則』(光文社新書) を読む

今日も、スッキリと晴れ上がっていいお天気でした。最高気温は20度を超えたようです。さすがに、花粉が飛ぶ季節も終わり、お天気がよくなっても快適そのものです。今日の野球が甲子園でデーゲームだとは知らず見逃してしまいました。おかげで、負け試合を見ずに済みました。

『学歴社会の法則』今日は、一家そろって名探偵コナンの映画を見に行く予定だったんですが、下の子に突発的な事情が生じて私と出かけることになり、おにいちゃんのゴールデンウィークの予定もいっぱいなため、おにいちゃんだけが女房に連れられて出かけました。結局、午後もヒマになったので、先日、近くの図書館で借りた『学歴社会の法則』(光文社新書) を読んで過ごしました。一橋大学の荒井一博教授の本です。一応、「教育を経済学から見直す」との副題がついているんですが、確かに、経済学の文献も引用されていて、それはそうなのかもしれないと認めるものの、どちらかというと、荒井教授の信念に基づいて書かれているような気がしないでもありません。ハッキリ言って、パッとしません。第1章の人的資本論と第2章の最初の方のシグナル論あたりまでは、まあ、いいような気もしますが、シグナル論に対する痛烈な批判から始まって、かなり脱線した印象を私は持ちました。各種実証研究成果の取捨選択は少し恣意的な印象を受けます。特に、教育バウチャーに関する議論は首肯しがたい面もあったりします。格差是正の観点から論じている場面があると思えば、最後の実践編の英語教育に関しては日本人の2割のトップエリートだけに集中して英語を教育した方がいいと読めなくもない主張が顔を覗かせたりします。
私が混乱を感じたのは、第1に、教育に関して少なくとも経済学を応用しようと努力している部分と荒井教授の信念の部分がゴッチャになっていることです。英語教育を2割の日本人に集中する部分が前者であれば、義務教育や公立学校における格差是正を論じるのは後者です。第2に、教育に関する各経済主体の最適化行動を無視しているような気がします。教育を受ける子供とその親とをいっしょに論じている場合と子供だけを取り出して論じている場面と、少し混乱してしまいます。もちろん、学校や大学は言うに及ばず、卒業した学生を雇う企業、教育のスピルオーバー効果を考慮しつつ政策を司る中央および地方政府、どこに主眼を置いた議論なのかが、時折、わけが分からなくなってしまいます。もしも、各主体の最適化行動が合成の誤謬を犯しているのであれば、その原因を明示して回避する方法が提示されるべきで、教育のようなスピルオーバーが極めて大きくて長期にわたる活動においては、特に、問題を切り分けて議論することが重要だと思います。新書版という一般読者を対象にした限られたスペースで難しい面もあろうかとは思いますが、著者の信念を吐露したという印象しか読み取れません。この混乱が最も如実に現れているのは第6章のいじめに関する分析ではないかという気がします。いじめのグループに入らないことに主眼が置かれていて、いじめのボスに対する分析は何もありません。荒井教授が排斥を意図しているであろう新古典派的な経済学が適用できる部分も少なくないし、そうでなく古典的な教育論を適用すべき部分も大いにあって、それをキチンと切り分けられていないような気がしてなりません。

とっても著者のヤル気を感じさせる本なんですが、私には同意できる部分が少ないとしか感じませんでした。図書館で借りたんで、まあ、いいんですが、自腹で買っていたら失敗だったと感じるような気がします。でも、部分的には共鳴する人も少なくないような印象を持ちました。それだけ、教育に関する議論が混乱しているんだという気がします。もっとも、専門外の分野を論じている私の頭も混乱しているんであろうことは大いに認めます。

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2008年4月28日 (月)

『数学で犯罪を解決する』(ダイヤモンド社) を読む

今日は、スッキリと晴れ上がっていいお天気でした。最高気温は20度近くまで上がったようです。ランチタイムに六本木をうろついていたんですが、半袖にサングラスという外国人を見かけました。そろそろ、そんな季節になったんだという気がします。

『数学で犯罪を解決する』私はエコノミストですので、経済関係の本を読むことが多いんですが、時折、数学関係の本も読みます。経済学と数学はかなり似通った部分があり、数学はエコノミストには必須だと考えているからです。昨年11月14日のエントリーでは「モンティ・ホール問題の周辺事情をひも解く」と題して、ローゼンタール教授の『運は数学にまかせなさい - 確率・統計に学ぶ処世術』を参考に、モンティ・ホール問題の解説のマネゴトもしました。ということで、この週末あたりに、スタンフォード大学のデブリン教授とカリフォルニア工科大学のローデン教授の『数学で犯罪を解決する』(ダイヤモンド社) を読みました。翻訳は山形浩生さんと守岡桜さんです。デブリン教授は数学に関する啓蒙書の著書も多く、私でも知っているくらいですから、割合とファンもいるんではないかと思います。なお、この本は、米国のテレビ・シリーズで、日本でもスカパーで放映されている "NUMB3RS"、邦題「NUMBERS: 天才数学者の事件ファイル」の数学に関する解説本です。著者の両教授はドラマの数学監修者らしいです。ドラマは、タイトルの通り、カリフォルニア科学大学の天才数学者であるチャーリー・エップス教授が、兄の FBI 捜査官ドンを助けて難事件を解決するという内容のようです。カリフォルニアが舞台となっているらしいです。残念ながら、我が家はスカパーと契約していませんので、私はこのテレビを見たことはありません。でも、本を読むだけでも十分に楽しめると思います。もっとも、アマゾンのレビューなんかを見ている限りでは、数学の専門家からすると物足りないのかもしれません。
目次というか、章別構成は以下の通りです。かなり、雰囲気が分かると思います。

  1. ホットゾーンを発見: 犯罪の地理的プロファイリング
  2. 初歩の統計で犯罪捜査
  3. データマイニング: 大量情報からパターンを抽出
  4. 予兆が初めてあらわれるのはいつ?: 変化点検出
  5. 画像エンハンスと再現
  6. 未来を予測する: ベイズ推論
  7. DNAプロファイリング
  8. 秘密:暗号づくりとその解読
  9. 証拠の信頼性は?: 指紋に対する疑念
  10. 点をつなぐ: ネットワークの数学
  11. 囚人のジレンマ、リスク分析、対テロ対策
  12. 裁判所の数学
  13. カジノでの犯罪: 数字で胴元を負かすにへ
  14. NUMB3RSシーズン3までの数学的あらすじ

この前後に「訳者口上」と「訳者あとがき」が加わります。この手のテレビ・ドラマの裏側にある科学的な解説書としては、サイモン教授の『X - ファイルに潜むサイエンス - ミュータント、ウイルス、エイリアンの実像』なんかが有名なんですが、ちょっと、私の専門分野からはかけ離れていて、私はまだ読んでいません。この『数学で犯罪を解決する』を本屋さんで見かかけた時に、私が興味をひかれたのはデブリン教授の本だからというのが一番で、基本的には統計と確率だろうと思っていたんですが、変化点検出やデータマイニングからニューラル・ネットワークまで、さらに、ゲーム論としてもかなり現代的な囚人のジレンマまでかなり幅広い分野を扱っていて、少しびっくりしました。もちろん、ロサンゼルスを舞台にしたドラマですから、お近くのネバダ州のラスベガスのカジノのお話もあります。チラリとではありますが、カオス理論についても応用しているようです。今や、社会科学で数学を応用しかつ数学的な美しさを持っていることから、「社会科学の女王」と呼ばれるのは経済学ではなく犯罪捜査学なのかもしれません。特に、経済学は公式統計に頼る度合いが強いように感じるんですが、独自統計を豊富に利用可能な点では犯罪捜査の方に分があるかもしれません。現代では、特定個人やギャングなどの犯罪だけではなく、テロを防止するには体系的な数学の活用が必要であろうことは、シロートの私にも分かるような気がします。

最後の「訳者あとがき」に山形さんから、参考文献が豊富に紹介されています。何度も登場するローゼンタール教授の『運は数学にまかせなさい - 確率・統計に学ぶ処世術』も出て来ますし、モンティ・ホール問題と明記せずに、訳者がモンティ・ホール問題を解説していたりして、思わず笑ってしまいました。参考文献はどうしても講談社ブルーバックスが多いように見えたのは私の気のせいかもしれません。

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2008年4月27日 (日)

9回裏二死満塁、カウント2-3の息詰まる戦い!

いやあ、年甲斐もなく、久し振りに野球に興奮してしまいました。
9回裏のドラマを見た気がします。野球の醍醐味をたっぷり味わいました。赤星外野手の渋い内野安打で同点、最後は新井内野手の押出しのフォアボールですか。でも、その前の9回裏二死満塁、カウント2-3からのファウル数球でかなり目が慣れていた感じもありました。
杉山投手も、フォアボールで走者を出して長打で点を取られて、やや悪い面が出たような気がしないでもありませんが、結果的には、7回投げて3点ですから先発投手の役目は果たしています。そろそろ、好調投手陣に仲間入りといったところです。

ゴールデンウィークもやっぱり、
がんばれタイガース!

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朝から下の子がカブ隊に行き、午後からはポケモン・カードゲームで遊ぶ

今日は、朝のうちに雨もやんで、時折は晴れ間も見えて、まずまずいいお天気になりました。でも、雲が多くて、そんなに気温は上がっていません。自転車で風を切って走っていると、少し肌寒いくらいでした。でも、もう少しすると雲が切れて、もっといいお天気になって気温も上がるのかもしれません。

自転車でカブ隊に向かう下の子

今日は朝から下の子のカブ隊の活動があり、私も途中までいっしょに自転車で出かけます。今の青山の団地に引っ越して来てから2年になるんですが、自転車でカブ隊の集合場所に行くのは、まだ十分な自信がないようです。下の子のスカウト活動は4月は今日の1回だけです。3月末に港地区のキャンポリーがあり、下の子が活動しているカブ隊の隊長さんがキャンポリーの実行委員長だったりしたので、隊長さんが疲れ切っているのではないかという気がしないでもありません。
今日のカブ隊の活動は青山霊園に行って、みんなでゲームをしたそうです。帰宅した後、女房が、元気余って墓石を倒したりしなかったかと聞いたんですが、下の子はちょっと押したくらいではビクともしなかった、と答えていました。やったのは「逃走中」というゲームだそうです。帰り道で自転車に乗りながら聞いた時には、全共闘世代から10年ちょっと遅れて生まれた私には「闘争中」に聞こえて、ヤケに過激なゲームだと思ってしまいましたが、正しくは、「逃走中」だそうです。逃げる組と追いかける組の2組に分かれて、逃げる組の大将か大将以外の全員が捕まれば追いかける組の勝ちで、当然、逃げ切れば逃げる方の組の勝ちだそうです。ウチの子は逃げる方の組になり、逃げる組は大将が隊長さんで、追いかける組の大将が副長さんだったそうです。なお、どうでもいいことですが、副長さんは隊長さんの奥さんだったりします。逃げる組の大将である隊長さんは最後まで捕まらなかったらしいんですが、大将を除く4人全員が捕まって負けたといいます。最後に捕まったのはウチの子でした。

ポケモン・カードゲームで勝った下の子

帰宅して昼食の後、午後からは私と下の子がポケモン・カードゲームで遊びます。昨日から、勉強で忙しいおにいちゃんと違って、下の子はポケモン・カードゲームをしたがっていたので、今日こそは親子対戦です。EX ポケモンをふんだんに入れた強いデッキとそうでもない弱いデッキの両方を私は持っていて、普段は弱い方のデッキで下の子とプレーしているんですが、今回、下の子がかなり自信ありげなデッキを構築したようなので、強い方のデッキも動員します。しかし、強いデッキでも私の1勝2敗ででした。弱い方のデッキでは負け続けでした。

時間は前後しますが、下の子がカブ隊の活動中、私は近くの区立図書館で適当に時間を潰していました。ゴールデンウィーク前半の部で、同業者エコノミストのリポートなんかを読む気にもならず、適当に手に取った本を読んでいました。お出かけの日記とポケモンの日記で迷った末に、一応、お出かけの日記に分類しておきます。

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2008年4月26日 (土)

新しいジャイアンツ・キラーの誕生か?

岩田投手がよく投げました。前の巨人戦で登板した4月5日のエントリーで書いた通り、その夜は8回まで投げたんですから、完投させてやりたかった気もしましたが、今夜は立派な完投です。ある意味でリベンジかもしれません。
目をチームに転ずると、昨夜はボロい試合でしたが、今夜は甲子園の満員のファンの前で盛り返して、セリーグ首位を走る球団らしく、連敗しない試合運びが板について来たように思います。
打線も効率的に点を取ったように思いますが、やっぱり、今夜の勝利は岩田投手に尽きます。新しいジャイアンツ・キラーの誕生かもしれません。私は大いに期待しています。でも、問題は明日の試合です。杉山投手のがんばりどころです。明日も勝たなければ意味がありません。

明日もやっぱり、
がんばれタイガース!

少し遅くなりますが、入浴後にアチコチにトラックバックを飛ばします。

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フジフィルム・スクエア一周年記念写真展「時代を彩る女優 (おんな) 展」を見に行く

今日は、朝から少し晴れ間も見えたんですが、午後から雲が広がり、少しが降りました。陽射しがなくて気温も上がりませんでした。明日の昼過ぎにならないと陽射しが戻らないとの天気予報です。

「時代を彩る女優(おんな)展」今日は午後から近くの図書館に行ったついでに、東京ミッドタウンのFUJIFILM SQUARE (フジフィルム・スクエア) 1F ギャラリー"PHOTO IS" にて開催されている「時代を彩る女優 (おんな) 展」を見て来ました。私は周辺住民ですので、自転車で乗り付けました。3月末に始まって5月6日までで、入場無料です。東京ミッドタウンの昨年4月のオープンとともに開設されたフジフィルム・スクエアの1周年記念だそうです。そう言えば、昨年4月のオープン時に行った記憶があります。日本を代表する写真家による女優さんの写真展です。私が見た範囲では、秋山庄太郎さん、大竹省二さん、坂田栄一郎さん、立木義浩さんなんかの写真がありました。受付嬢のすぐ右手は古手川祐子さんのカラー写真で、全部で50点ほどではないかと思いますが、カラーは少なくてモノクロの方が多かったような気がします。いかにもポーズを取っているものから、ごく自然な表情まで、いろんな写真が見られます。ただし、思いっ切り若い女優さんはいません。20代は安達裕美さんとか、広末涼子さんくらいではないかという気がしないでもありません。逆に、お年を召した女優さんはいっぱいいます。まあ、私のような中年向きの写真展かもしれません。「女優」に「おんな」とルビを振るのも見ようによっては下品に映る可能性もなくはありません。

我が家ではジャカルタから帰国した直後に買ったソニーのデジカメが、そろそろ、5年落ちになるので買い替えようと考えないでもなく、女房は私よりもカメラに詳しいので一眼レフを欲しがっています。この夏のボーナスで考えたいと思います。

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2008年4月25日 (金)

コストプッシュの消費者物価上昇はグローバル経済の帰結

今日は、朝から少し雲が多かったんですが、昼過ぎには晴れていいお天気になりました。気温も午後には20度くらいまで上がったようです。下の子は今日が遠足でしたので、少し前からお天気を気にしていたんですが、今朝は張り切って出かけました。高尾山への遠足はとっても楽しかったようです。でも、張り切り過ぎたのか、疲れ切って帰って来ました。ついでながら、いよいよ、この週末からはゴールデンウィーク前半の部です。まずまず、お天気には恵まれるようです。

全国消費者物価指数の推移

今日、3月の全国と4月の東京都区部の消費者物価 (CPI) が発表されました。3月の全国コア CPI は市場のコンセンサスとおなじ前年同月比1.2%の上昇でした。上のグラフのとおりです。CPI が前年同月比で1%を超えたのはかなり久し振りのようです。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトからヘッドラインの統計に関する記事を引用すると以下の通りです。

総務省が25日発表した3月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合が100.8と、前年同月比1.2%上昇となった。上昇は6カ月連続。項目別で価格の上昇幅が大きかったのは光熱・水道(4.2%上昇)だった。生鮮食品を含む総合では101.0と、1.2%上昇した。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(1.2%上昇)と同じだった。
同時に発表した4月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で100.7と、前年同月比0.7%上昇した。

需要曲線と供給曲線コア CPI 1.2%ということは、日銀の「物価安定の理解」の中央値を超えたことになります。しかし、上限の2%にはまだ余裕があります。他方、コストプッシュだから「悪いインフレ」だと言われることもあります。しかし、私は「よいデフレ」と「悪いデフレ」の区別に意味がないのとまったく同様に、「よいインフレ」と「悪いインフレ」の区別にも意味がないと考えています。まず、基本的なおさらいですが、左のグラフのように、初級経済学のテキストで扱われている通り、産出と価格のカーテシアン座標において右下がりの赤の需要曲線と右上がりの青の供給曲線を仮定します。実線がシフト前で、破線が何らかの要因で物価上昇をもたらす方向、すなわち、上方または右方へシフトした後です。コストプッシュのインフレの場合は青の実線の供給曲線が青の破線にシフトし、右下がりの需要曲線を仮定する限り、価格は上昇して産出は減少します。逆に、ディマンドプルのインフレの場合は赤の実線の需要曲線が赤の破線にシフトし、右上がりの供給曲線を仮定する限り、価格が上昇すると同時に産出も拡大します。私のようなリフレ派のエコノミストは物価が上昇して産出も拡大する、このような状態を目指すべきと考えているわけです。それはともかく、テキストの世界では「ディマンドプルはいいインフレ」で、「コストプッシュは悪いインフレ」という見方も出来ないわけではありません。しかし、少なくともグローバル経済の観点からは、コストプッシュとばかりは言い切れないと私は考えています。
現時点では、主としてコストプッシュの要因として一次産品価格が上げられていることから、取りあえず、原油について簡単に検証すると、少し古いんですが、国際エネルギー機関 (International Energy Agency: IEA) の "Key World Energy Statistics 2007" の統計に当たってみました。グラフを3点取っています。上から地域別の原油生産の推移、産業別の石油の最終消費の推移、主要な石油価格の推移です。繰返しになりますが、2007年初頭までの古い統計なので、グラフは原油価格が現在のように1バレル120ドル近辺で推移しているようにはなっていません。悪しからず。でも、大雑把には原油価格の上昇振りも見て取れると思います。

Crude Oil Production

Total Final Consumption

Key Crude Oil Spot Prices

フォーマルな分析なしにグラフだけで考えるのは危険であると何回か繰り返しているんが、少なくとも、私の目には原油価格の上昇の裏づけとして、消費と生産が着実に増加しているように見えます。報道されているように、OPEC は増産を渋っているますし、必要な油田開発のための投資がなされていないとの見方もあり、コストプッシュの要素がまったくないと主張するつもりはありませんが、ある程度は需要にサポートされた価格上昇であると見なすことも出来るのではないかと思います。要するに、グローバルなコンテクストの中では新興国などの高い成長や、先進国でも長期にわたる景気拡大が続いて来た中で、少なくとも、1970年代の2度にわたる石油危機とは様相が異なっていることは明らかです。このグローバルなコンテクストの中で、一定の需要にサポートされた価格上昇が、日本のドメスティックな市場にはコストプッシュの原因となる価格上昇として入って来ているわけです。もちろん、グローバルな需要の中には、石油本来の燃料や化学工業の原料といった需要とともに、資産価値に着目した需要も含まれていることは明らかです。
現在の一次産品市況の上昇は行き過ぎている面もあり、私は何らかの反落局面があり得ると考えていますが、結論として、コストプッシュとディマンドプル、あるいは、「よいインフレ」と「悪いインフレ」を区別して議論することに、私は大きな疑問を感じています。要するに、新興国、特に中国などの工業化の進展により、グローバル経済が大きく変容したため、5年ほど前までのひとつの相対価格体系から別の相対価格体系に移行した結果ではないかと感じています。原油などの一次産品についての世界的な希少性がダイナミックに変化しているのであり、価格はそのシグナルです。市場における希少性に従った価格付けを容認するのであれば、価格に従った使用方法が求められるのは言うまでもありません。古典的な価格政策としての便乗値上げ監視とか、場合によっては、原油価格高騰に対する何らかの激変緩和措置も必要になる可能性は排除しませんが、コストプッシュだとか、「悪いインフレ」であるとかで済ませるんではなく、ましてや、従来の相対価格体系を前提にした補助金めいたものではなく、新しい相対価格体系にスムーズに対応できるような政策が必要なんだという気がします。

何となく、最近の新聞などの論調が紋切り型で、所得が伸びていないので仕方がない面も理解しますが、現在の1%を少し越えるくらいの緩やかな物価上昇に対して、「コストプッシュ」とか「悪いインフレ」とか名づけているだけで、少し疑問に感じないでもなかったので、私なりに論点を整理してみたつもりです。原油価格の上昇はグローバル化の進展の結果であるという面を忘れるべきでないと思います。最後になりましたが、今回の物価上昇はあくまで相対価格の変化であり、一般物価水準の上昇にまで及んでいないと私は判断しています。別の機会があれば詳しく考えたいと思います。

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2008年4月24日 (木)

文化の話題 - 将棋と写真

今日は、朝からが降りました。昼前には止んで、午後からは一時的に雲が切れて晴れ間も見えましたが、冴えないお天気でカサが手放せませんでした。気温はそこそこ高くて、外を出歩いていると蒸し暑く感じるほどでした。

今夜のエントリーは文化の話題2点を取り上げたいと思います。まず、朝日新聞と毎日新聞の共催になった将棋の第66期名人戦7番勝負の第2局です。第1局で森内名人が羽生二冠に勝った後、第2局では羽生二冠が111手で勝利しました。まず、共催の新聞社のうち、毎日新聞のサイトから記事の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。なお、共催の朝日新聞のサイトにも詳しく報道されています。

堺市堺区の伸庵で22日から行われた第66期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局は23日午後8時52分、111手で挑戦者の羽生善治王将(37)が森内俊之名人(37)を破り、対戦成績を1勝1敗とした。残り時間は羽生10分、森内1分。第3局は5月8、9の両日、福岡市中央区のJALリゾートシーホークホテル福岡で行われる。

名人戦第2局投了図

上の画像が第2局の投了図です。私は将棋はカラッ下手で、オンラインソフトで有名な K-Shogi をパソコン相手に楽しむ時もあるんですが、「最弱」にしても軽く負けてしまいます。下の子とは私の方が飛車角を落とすと負けます。上の画像の投了図でも、羽生二冠が大いに優勢だということは理解しますが、どうして、この時点で森内名人が投了するのかは理解できません。もう少し続けてもいいような気もしないでもありません。でも、先月3月27日のエントリーで取り上げたように、下の子を将棋会館道場に連れて行ったりして、将棋にはそれなりに興味はあります。下の子には強くなって欲しい気もします。
もうひとつは、写真の土門拳賞の授賞式が4月23日に行われたことが、毎日新聞のサイトにあったので、少し目を引きました。記事は引用しませんが、今年は土田ヒロミさんの受賞です。受賞作は40年にわたる活動の集大成「土田ヒロミのニッポン」で、これは写真集の本ではなくて写真展です。戦後の日本と日本人の姿が集積されています。受賞作品展は東京では銀座のニコン・サロンで4月30日から5月13日まで開催されるそうです。また、作品は土門拳記念館で10月8日から12月7日まで展示されます。私もヒマがあったら見に行きたいと思います。
このブログでも、2年前の2006年1月20日付けの「カメラ・フィルム業界の再編から日本写真界の巨匠をしのぶ」と題するエントリーで取り上げましたが、我が国を代表するリアリズム写真家のお二人の名が冠された賞があり、大雑把に文学賞になぞらえると、木村伊兵衛賞が芥川賞、土門拳賞が直木賞に相当するんではないかと私は考えています。実は、今年の木村伊兵衛賞は岡田敦さんと志賀理江子さんが受賞したんですが、私はこのお二人の作風には少し馴染めないところを感じていました。もっとも、土門拳賞を受賞した土田ヒロミさんは木村伊兵衛賞の選考委員でもあり、選考後に「今年の授賞作は期せずして、共にこころの闇に向かっていた」なんて評価していたのを新聞で読んだ記憶がありますから、私がシロートなだけかもしれません。

着々とゴールデンウィークに向かう今日このごろ、昨夜の貿易統計の後、今夜は少しリラックスして文化の話題を取り上げてみました。のほほんとした雰囲気を感じていただければ幸いです。もっとも、のほほんとしているのは私だけで、テレビでは緊迫した試合展開になっていますので、このエントリーをアップしてからはプロ野球観戦に集中します。

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2008年4月23日 (水)

3月の貿易統計は輸出がそろそろ反転する兆しを示しているのか?

今日も、昨日に続いて、朝から晴れ上がってまずまずいいお天気になりました。気温も昨日並みに上がりました。このところ、周期的にお天気が変化していたので、3日連続でいいお天気が続くのは久し振りな気がします。でも、西からお天気は下り坂で、夕方からは東京でも雲が広がりました。

本日、財務省から3月の貿易統計速報が発表されました。マーケットの予想コンセンサスよりもかなり弱い数字と受け止められています。今夜のこのブログのエントリーのタイトルの通りです。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから発表された貿易統計のヘッドラインに関する記事を引用すると以下の通りです。

財務省が23日朝に発表した2007年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額は前年度比9.9%増の85兆1177億円、輸入額は同9.4%増の74兆8931億円で、貿易黒字は同13.4%増の10兆2246億円となり、2年連続で増加した。
同時に発表した3月の輸出額は前年同月比2.3%増の7兆6843億円、輸入額は同11.1%増の6兆5657億円で、輸出額から輸入額を差し引いた輸出超過額(貿易黒字)は同30.2%減の1兆1186億円となった。

貿易黒字の推移夕刊各紙の報道では、ちょうど3月の年度末の統計が発表されたということで、年度ベースの計数が取り上げられていました。左のグラフの通りです。中には、輸出と輸入を併せた貿易額で中国が米国を押さえて2年連続で貿易相手国のトップだったとか、米国への輸出額が4年振りに減少に転じたとか、トピック的に扱っていた新聞もあったように記憶しています。私から見ると、新聞などの報道では年度の金額の統計が注目されていたように思わなくもありません。でも、エコノミストとしては、より細かく、最近の月別の統計にも目を配りたいところです。また、どうしても報道では金額ベースの数字が取り上げられるんですが、今回の発表で私が注目していたのは数量ベースの輸出指数の推移で、下の表の通りです。財務省の発表資料から取っています。昨年後半からジワジワと金額ベースの伸び率が低下して来たのは、米国の景気減速や景気後退とともに円高による価格指数の下落が主要な原因だったんですが、3月には数量指数の伸びが鈍化しているように見受けられなくもありません。もちろん、3月単月の計数ですから、2月の大幅増の反動とも考えられます。

輸出指数の伸び率

上の表の通り、3月の輸出数量指数は前年同月比で見て+5.2%増と、2月の+14.7%増から大幅に伸びが縮小しました。地域別に少し詳しく見ると、米国向けが▲3.8%と減少を続けているのに加えて、EU 向けが+9.8%増と2月の+15.7%増から少し伸びを鈍化させ、さらに、アジア向けが2月の+16.7%増から3月は+4.6%増に大幅に伸び率を下げました。2月には詳細不明のアジア向け船舶輸出があったとも言われており、その反動である可能性も否定できませんが、同時に、米国の最終需要が減速している影響とも考えられます。と言うのは、アジアの内需に基づくと考えられる自動車輸出は+38.5%と引き続き高い伸びを維持しているのに対して、電算機部品や IC などのハイテク品が伸びを鈍化させているからです。特に、私は詳しくウォッチしていないんですが、中国から米国向けの輸出ではテレビやデジカメなどの IT 関連財が今年に入って減少しているとの情報もあり、アジアから米国に向けた輸出の減少や伸びの鈍化が、日本からアジアへの輸出が伸びない原因になっている可能性も十分あると私は考えています。
ただし、上の表からは部分的にしか読み取れないんですが、金額ベースでは今年1-3月期は季節調整値で昨年10-12月期を下回ったものの、数量ベースでは10-12月期から増加したようで、少なくとも、比較的近い概念の GDP コンポーネントの実質外需はプラスに寄与すると私は考えています。これは先月3月26日付けのエントリーで2月の貿易統計を取り上げた際に指摘したのと同じ結論です。これは基準改定後の鉱工業生産統計とも整合的な結果だという気がします。要するに、昨年10-12月期が景気のピークで、足元では景気後退に入っているという仮説は貿易統計からも棄却されると思います。

今年に入ってからの貿易統計は2月のやや突飛な数字に少し振り回されているような気もしますが、先週4月17日付けのエントリーで指摘したように、生産が日本の景気サイクルの起点とは言うものの、その生産を牽引しているのは輸出や外需であるように見えるだけに、生産動向とともに貿易も景気判断に重要な位置を占めるように感じています。

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2008年4月22日 (火)

米国文学はハードボイルドに限る?

今日も、昨日に続いて、朝からスッキリと晴れ上がっていいお天気になりました。気温も上がって、午後から霞が関官庁街を出歩いていた時には、少し額に汗ばむくらいでした。

少し前、4月11日付けのエントリーでみずほ証券の上野さんの『チーズの値段から未来が見える』を取り上げた時に、どうでもいい難点のひとつとして、上野さんがデニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』をオススメしている力の入れように唐突感があると指摘しましたが、実は、私はルヘインの代表的なシリーズである「探偵パトリック&アンジー」ものは読んでいません。読んでいるのは『シャッター・アイランド』とルヘインの代表作の『ミスティック・リバー』だけです。『ミスティック・リバー』はルヘインの代表作といわれながらも、「探偵パトリック&アンジー」のシリーズのようにスピード感がないので、退屈だと評する向きもなくもありません。そして、これまた、どうでもいいことですが、私がルヘインを評価しているのはハードボイルドだからです。『ミスティック・リバー』がその代表だと感じています。
ということで、まず、Wikipedia のハードボイルドの解説から最初のパラグラフだけを引用すると以下の通りです。

ハードボイルド (hardboiled) とは、元来は「堅ゆで卵」(白身、黄身の両方ともしっかり凝固するまで茹でた鶏卵)のこと。転じて、感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情な、(精神的・肉体的に)強靭な、妥協しない、などの人間の性格を表す言葉となる。文芸用語としては、反道徳的・暴力的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいい、アーネスト・ヘミングウェイの作風などを指す。また、ミステリの分野のうち、従来の思索型の探偵に対して、行動的でハードボイルドな性格の探偵を登場させ、そういった探偵役の行動を描くことを主眼とした作風を表す用語として定着した。

私は個人的な趣味として、今夜のエントリーのタイトルの通り、米国小説はハードボイルドに限ると考えています。特に、戦間期の1920年代から30年代の小説です。引用にもあるように、ミステリでない分野ではアーネスト・ヘミングウェイ、ジェローム・サリンジャー、スコット・フィッツジェラルド、ミステリではダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラー、A.A.フェアの別名で書いたものを含めてアール・スタンリー・ガードナー、少し時代が下がって第2次世界大戦後になりますが、ミッキー・スピレーンやロス・マクドナルドなんかです。サリンジャーやフィッツジェラルドなどはハードボイルドに含めない場合もあるかもしれませんが、私は立派にハードボイルドだと受け止めています。村上春樹さんの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の主人公もそのように考えていたような気がしないでもありませんが、記憶はとっても不確かです。上に明記した作家の本は邦訳されている限りで、ほとんど読んだ気がします。しかし、ガードナーのように余りに多作なもので、記憶から薄れているものも多いです。ミステリでは、ハメットのコンチネンタル・オプやサム・スペード、チャンドラーのフィリップ・マーロウ、ガードナーのペリー・メイスン弁護士やA.A.フェアのドナルド・ラム、スピレーンのマイク・ハマー、マクドナルドのリュー・アーチャーなど、個性的な探偵や弁護士が目白押しなのも魅力です。
ミステリでない分野の作家については、ヘミングウェイの『老人と海』なんか、独身時代に読みたくなるたびに文庫本を買い求めて、在チリの大使館に赴任した時には4冊も持っていました。サリンジャーとフッツジェラルドの代表作は、それぞれ、『ライ麦畑でつかまえて』と『グレート・ギャッツビー』なんでしょうが、高校生くらいに読んでおく本だと思います。また、サリンジャーについては、「グラース・サーガ」と呼ばれるグラース家の物語も大好きです。これまた、どうでもいいことですが、サリンジャーは生きていれば90歳くらいになるハズなんですが、まだ存命なんでしょうか?

そろそろ、着々と近づくゴールデンウィークを目の前にして、首位攻防戦である対中日3連戦の大事な第1戦ながら、冴えない展開の試合をテレビ観戦しつつ、タラタラとどうでもいい趣味の世界をまとまりなく書き連ねてしまいました。一応、読書感想文の日記に分類しておきます。

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2008年4月21日 (月)

ゴールデンウィークの子供向け映画のレビュー

今日は、久し振りに朝からスッキリと晴れ上がっていいお天気になりました。気温もグングン上がって、最高気温は20度を超えたようです。もうすぐ半袖の季節になるんでしょう。一時、花粉はかなり下火になって、私は抗アレルギー剤を飲むのを止めていたりしたんですが、昨日の夕方から今日はかなり飛んでいた気がします。

先月3月3日付けのエントリーで「春休みの子供向け映画のレビュー」と題して、『ドラえもん映画 のび太と緑の巨人伝』、『超劇場版 ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ 天空大決戦であります!』、『ONE PIECE ワンピース THE MOVIE エピソード オブ チョッパー プラス 冬に咲く、奇跡の桜』、『犬と私の10の約束』、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』、そして、ディズニーの『魔法にかけられて』を紹介しましたが、そろそろ、ゴールデンウィーク向けの映画が始まっています。先週末の4月19日には子供向けの映画では、『銀幕版 スシ王子! ~ニューヨークへ行く~』、『名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』、『クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛(きんぽこ)の勇者』などが封切られています。ということで、今夜のエントリーはゴールデンウィークの子供向け映画のレビューです。私はまだ何も見ていませんし、元になる情報は「Yahoo! 映画」からのコピペですから、ネタバレはないと思います。
まず、先週末に封切られた『銀幕版 スシ王子! ~ニューヨークへ行く~』です。スシ一家に生まれた主人公“スシ王子”が全国でスシ修行に励み、悪と対決するドラマ「スシ王子」の劇場版で、数々の刺客と寿司対決を繰り広げてきたスシ王子が、スシの命=シャリを極めるためニューヨークへ武者修行に出ます。監督の堤幸彦と同じく堂本光一がドラマ版に続いて映画単独初主演、主題歌も担当します。力の入ったマンガ的なギャグ映像の連続に加え、異国の地で日本人の信念と誇りを賭けたダイナミックな寿司バトルも見ものだそうです。
あらすじは、一度はスシ職人の道を捨て琉球唐手の達人を志した米寿司(堂本光一)だったが、唐手の道はスシの道、スシの握りは拳の握りであり、寿司を極めずして武道の神髄はつかめないということを悟り、司は全世界に広がる日本のスシの極意を求めてニューヨークへと渡り、日本人の信念と誇りを賭けて異文化の中、スシバトルを繰り広げる、というものです。
『名探偵コナン 戦慄の楽譜』続いて、『名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』です。週刊少年サンデーで連載中の青山剛昌原作の国民的人気シリーズ「名探偵コナン」の劇場版第12弾で、音楽がテーマの本作ではクラシック界を震撼させる連続殺人事件の謎を、コナンが「アメージング・グレイス」などのクラシックの名曲の調べに乗せて真実を解き明かします。監督は昨年の『名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)』に続いて山本泰一郎が続投し、クラシック音楽と本格的なミステリーが融合した華麗なるサスペンス・オペラに注目です。
あらすじは、高名な元ピアニストが率いる音楽アカデミーの出身者ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、コナンたち一行はその元ピアニストが作った音楽ホールのコンサートに招かれますが、コンサート本番に向けて次々と不審な事件が続発します。そして本番当日、コナンたちがコンサート会場を訪れると、大爆発が起こり会場は火の海に包まれてしまう、というものです。
『クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者』さらに、『クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛(きんぽこ)の勇者』も先週末に封切られています。大人気アニメ「クレヨンしんちゃん」シリーズの劇場公開版第16弾で、野原一家がファンタジーに挑戦する今作では、うっかり“闇の扉”を開けてしまったしんのすけが、地球支配をたくらむ闇の世界“ドン・クラーイ”から家族と地球を守るため、選ばれし勇者となって闇の力に立ち向かいます。監督と脚本には、劇場版シリーズの初期を手掛けた本郷みつるが復帰しました。おバカな冒険の中にも真摯なテーマも盛り込む本シリーズ特有の世界観は健在のようです。
あらすじは、地球支配をたくらむ闇の世界“ドン・クラーイ”と地球とをつなぐ“闇の扉”をうっかり開けてしまったしんのすけでしたが、実は自覚こそないもののしんのすけこそ“選ばれし勇者”でした。しんのすけを守るために現われた少年マタの力を借りながら、出現する闇の敵と戦うしんのすけですが、強大な敵アセ・ダク・ダークが現われ……、というものです。
今週末に封切られるものとしては、『あの空をおぼえてる』があります。ジャネット・リー・ケアリー原作の米国の児童文学を映画化した感動作で、『天使の卵』など人間ドラマを得意とする冨樫森監督が、突然の不幸に見舞われた一家の再生の道のりを静かに見すえます。『冷静と情熱のあいだ』以来7年ぶりの映画出演となる竹野内豊が、2児の父親役で新境地を開拓し、妻役の水野美紀や息子役の広田亮平らとともに迫真の演技をみせ、平凡な日常に潜む人間の温かさや力強さを生き生きと描いたストーリーに引き込まれます。
あらすじは、地方都市で写真館を営む雅仁(竹野内豊)は妻(水野美紀)と小学生の息子(広田亮平)、幼稚園に通う娘(吉田里琴)と幸せに暮らしていました。だが、ある日、子どもたちが交通事故に遭い、息子は無事生還するが、娘は亡くなってしまいます。雅仁は娘を守れなかったことで自分を責め、生き残った息子は何とかして両親をなぐさめようとする、というものです。
なお、ゴールデンウィーク向けの封切りではないんですが、ディズニーの『ナルニア国物語 第2章: カスピアン王子の角笛』が5月21日から封切られます。まあ、どうでもいい話で、私が2年ほど前の2006年2月27日付けのエントリーにおいて、このブログでも少し酷評した前作『ナルニア国物語 第1章: ライオンと魔女』、正しくは、この後に「ワードローブ (洋服箪笥)」が付くんですが、第1章が2年前の2006年3月4日の春休み向けのロードショーだったにもかかわらず、今回の第2章はゴールデンウィーク向けでもなく、夏休み向けでもなく、印象としては中途半端な時期の公開だという気がしないでもありません。私が酷評したからというわけではないんでしょうが、ディズニーも日本では『ナルニア国物語』はダメだと思ったのかもしれません。それから、さらに、どうでもいいことなんですが、我が家がよく見る映画で、人気の高い「クレヨンしんちゃん」、「ドラえもん」、「ポケモン」なんかは有楽町マリオンで上映されているんですが、「ケロロ軍曹」や「名探偵コナン」はまだマリオンではやってくれません。「名探偵コナン」もすでに12作目になるんですが、同じ東宝のゴールデンウィーク映画で16作目になる「クレヨンしんちゃん」のシリーズを抜けないでいるのかもしれません。

実は、今年、我が家はギャグマンガの「クレヨンしんちゃん」のシリーズをとうとう卒業して、『名探偵コナン 戦慄の楽譜』を見に行くと子供達の意見が一致しました。ひょっとしたら、少しずつ思春期に向かって成長しているのかもしれません。

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2008年4月20日 (日)

リスーピアに行って針穴カメラとレンズカメラの工作をする

今日は、朝から雲が広がってパッとしないお天気でした。気温はそこそこ上がった気がします。街中には半袖が増えているようです。

ゆりかもめに乗る子供達

パナソニック・センターをバックに子供達

今日は朝から子供達とお台場のパナソニック・センターにあるリスーピアに行きました。上の写真はゆりかもめに乗る子供達とパナソニック・センターをバックにした子供達です。リスーピアとはパナソニックがやっている民間運営の科学館のようなところです。何をしに行ったのかというと、針穴カメラとレンズカメラの工作をして来ました。カメラの工作ですから、私はてっきり物理的・光学的なカメラの工作だと思っていたんですが、理科の一般的な高校レベルでの分類でいえば、物理というよりも生物に近いものでした。すなわち、生物が進化の過程で針穴型の眼を持つようになり、さらに進化して、 レンズカメラといわれるタイプの眼になった、ということで、人間の眼の仕組みについてのお勉強もありました。もっとも、哺乳類なんかの進化したレンズカメラの目がレンズの厚みを変化させることによって焦点距離を長くしたり短くしたりするのに対して、タコなんかのやや原始的なレンズカメラは焦点距離が一定のままでレンズを前に出したり後ろに引っ込めたりして物を見るそうです。知りませんでした。私は工作のタイトルがカメラとなっているので、写真が撮れるカメラを作るのかと思っていましたが、針穴やレンズを通して半透明のポリシートに像を作るもので、写真が撮れるわけではありませんでした。形はむしろ望遠鏡のような筒状です。なお、ご存じの方も多いと思いますが、像は上下左右が逆転します。工作が終わった後、リスーピアの中庭のような場所に出て、外のビルや花壇の花などを対象に、針穴カメラとレンズカメラを試してみます。最後に、10分ほどおさらいのようなお話があって、1時間足らずでお終いでした。

針穴カメラとレンズカメラを試す子供達

リスーピアで工作をした後、有楽町のビックカメラに立ち寄って、子供達がガンプラを物色します。今年のゴールデンウィークは昨年のように家族そろって旅行する計画はありませんから、特に、そんなに勉強のない下の子はヒマ潰しの必要もあって熱心に探し回ります。我が家の子供達は一昨年くらいから、マンガの「ケロロ軍曹」の影響もあってガンプラを作り始めて、下の子なんかはお友達のお誕生日に招待された時にはプレゼントでガンプラを持って行ったりしていたんですが、なぜか、昨年はパッタリと作るのを止めてしまいました。おにいちゃんはそうでもないんですが、下の子が集中力を欠いて作れなくなった、と表現するのが正しいと思います。そのあおりでおにいちゃんにもガンプラを買い与えなくなったので、ついつい、作らなくなったような気がします。しかし、ここ2-3週間で、再び下の子がガンプラに目覚めて、積んであった未組みのガンプラを熱心に作り始めたりしています。従来から、このブログでも表明しているように、私は集中力を養うのにガンプラは効果があると考えており、子供達にもオススメしています。今日は、おにいちゃんが2箱、下の子が4箱買いました。下の子は早くも帰宅してから作り始めています。

ガンプラを買った子供達

最後にどうでもいい感想を一言。
リスーピアで望遠鏡のような筒状の針穴カメラとレンズカメラの工作した後、出口でお持ち帰り用のレジ袋を配布していました。環境ビジネスで世界の先端を走ろうかという日本の電機メーカーにしては、ちょっと配慮に欠けるという気がしないでもありませんでした。消費者や顧客に多少の不便を強いてでも環境に配慮する姿勢が欲しかった気もします。もちろん、私は工作の成果物を持ち帰ることが必要だと分かっていましたのでエコバッグを持参しました。

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2008年4月19日 (土)

クロックスなどの樹脂製サンダルで事故多発

今日は、昨日からの雨も明け方までに上がり、朝から少し雲が多かったものの、晴れ間も見えて、まずまずいいお天気でした。気温も昨日より上がりました。

今朝の朝日新聞朝刊の1面で、我が家が昨年買ったクロックスなどの樹脂製サンダルで事故が多発しているとの記事を見かけました。昨年7月24日付けのエントリーで紹介したように、我が家ではおそろいのクロックスのサンダルで夏休みの海水浴に行ったりしていましたし、その後、10月16日付けのエントリーで書いたように、私のクロックスのサンダルは役所用にしてしまったりしていたので、ついつい、記事が目にとまってしまいました。まず、asahi.com のサイトから、その記事の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

子どもや若者に人気の樹脂製サンダルがエスカレーターに巻き込まれる事故が多発していることから、経済産業省は18日、米国メーカー「クロックス」の日本の販売会社に商品の改善を要請した。素材の樹脂が軟らかくて伸びやすく、結果として事故につながっていると判断した。

巻き込まれ事故で破損した樹脂製サンダル左の写真が今朝の朝日新聞の1面に掲載されていたもので、エスカレータなどに巻き込まれて破損した樹脂製のサンダルだそうです。確かに、先の方は木端微塵といった残骸が残るだけで、これでは子供の足の指は大きく傷つくであろうことが容易に想像されます。我が家でも昨晩の NHK ニュースを見て、おにいちゃんが「裸足でクロックスを履いていると、足の爪がはがれそうになる」と言っていました。私の場合は役所で靴下を付けた上でクロックスを履いていますし、役所にはエスカレータはありませんから、特段の問題は感じたことがありません。なお、経済産業省によると、サンダルの事故は2007年5月以降で65件起きていて、そのうち少なくとも49件は子供の事故で、足の指の骨が折れるなどして2人が重傷を負っているそうです。写真にあるような樹脂製でつま先部分まで覆われたタイプのサンダルの事故の大半が同種商品を昨年に国内で約390万足販売し、圧倒的なシェアを持つクロックス社製だったとのことです。我が家でも気を付けたいと思います。
Nice While it Lastedというだけだったら「フーン」で終わって、週末にもかかわらず、このエントリーを経済評論の日記に分類することもなかったんですが、私が気にかかったのは右のグラフです。これは少し前に、"Wall Street Journal" の Market Beat と題するブログサイトで見かけたものです。アップされたのは米国東部時間で4月15日の日付になっています。クロックスの株価が昨年11月をピークにして大きく下げているのが読み取れると思います。グラフを引用したブログを読むと、かつては、1株当たり利益が46セントと期待されていたのに、カナダの工場閉鎖からは13セントに低下した必然的な結果であるとのことです。なお、申し訳ありませんが、カナダのクロックス工場閉鎖については私はよく知りません。ただ、クロックスのサンダルに関する基礎的な知識として、原型はカナダの Fin project というメーカーで作られ、それをカナダの Holey soles と米国のクロックスが売っていたところ、先にクロックスに人気が出たため、クロックスが Fin project を吸収合併したということは知っています。ですから、クロックスはカナダと何らかの関係があるんではないかと想像しています。それくらいです。なお、ありそうな誤解に基づく疑問に最初に答えておきたいと思います。すなわち、「クロックスのスペルは Crocs のハズだが、右上のグラフでは CROX と表示されている。違う会社の株価を参照しているのではないか?」という疑問です。ご存じの方も多いと思いますが、会社名 Crocs の株式市場における略称が CROX ですので、株価の参照に間違いはありません。念のため。

株価が景気動向に対する先行指標であることは、少なくともエコノミストの間では広く認められた事実ですが、さらに、「弱り目にたたり目」ともよく言ったもので、マイクロな個別企業のレベルにおいても、株価の下落とともに様々な不都合が露呈するのかもしれません。私はマクロ経済を対象分野としているエコノミストですので、個別企業の株価については詳しくありませんが、マイクロな情報の活用についてもさらに勉強してみたい気がしないでもありません。

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2008年4月18日 (金)

ソリテアの確率のグラフからチリのカジノを思い出す

今日は、朝からが降り出しました。時折、止む時間帯もあったんですが、ほぼ1日中降り続いて、特に、朝からは強く降っていました。風も強くてカサが吹き飛ばされそうになりました。気温はそこそこ上がったように感じました。外を出歩いていると湿度が高いせいで少し汗ばむくらいでした。

ソリテアの確率

まったくのネタなんですが、ソリテアの確率を記録しています。実は、Windows Vista をお持ちの方ならご存じの通り、ソリテアのゲームをプレーすると、成功した時に限って記録を表示してくれます。何回中何回の勝ちと出て来ます。それを最近時点で抜き出したのが上のグラフです。エクセルに記録してグラフを更新していたりします。ソリテア自身がヒマな時にやるもんでしょうから、ついでに、エクセルを起動して記録を取っているわけです。縦軸は成功の確率です。横軸は、本来は、試行の回数を取るべきなんでしょうが、先ほど書いたとおり、失敗の場合は回数表示がなく、成功した時のみ何回中何回の成功と出ますので、実は、成功の回数です。最初の方を端折っていますが、大雑把に、試行回数が3000回余り、成功回数が250回余りで、成功の確率は8%強といったところでしょうか。Windows Vista を買い求めて以来1年足らずで試行回数が3000回ほどですから、毎日平均的に10回はトライしている計算になります。ソリテアが成功する確率は、2年ほど前の2006年7月13日付けのエントリーでP≠NP予想を取り上げたときの例にならえば、おそらく、多項式時間で計算可能な気もしますが、ここではリカーシブに8%程度と出ています。
どうしてグラフを持ち出したのかというと、確率は8%前後であるかもしれませんが、かなり明瞭でまるで景気循環のようなサイクルが観察されるからです。私はこれがギャンブルの本質のひとつではなかろうかと考えています。ギャンブルという言葉で念頭に置いているのは、確率的な結果が出ると私が考えているルーレットなんかです。最初にお示ししたソリテアの確率のグラフから、段々と、チリのカジノに近づいて来ました。つまり、ルーレットのような確率的なギャンブルの結果は長期的には一定の確率に収束するんでしょうが、その確率の周囲で一定のサイクルが観察される可能性は十分にあり、ギャンブル好きな人はその波を観察して賭けをするんではないかという気がしないでもありません。
ということで、本題のチリのカジノですが、私が勤務していた大使館のある首都のサンティアゴから100キロほどの海沿いの街であるビーニャ・デル・マールというところにありました。マール mar はスペイン語で海という意味です。チリでは海水浴場としても有名です。サンティアゴの街中に作らなかったのは、ある意味で、少なくともギャンブルに熱中する人を出さないための配慮だという気もします。マカオのような庶民的なカジノではなく、ラスヴェガスのような紳士淑女の社交場です。もっとも、私はラスヴェガスには行ったことはありません。紳士淑女の社交場ですから、カジノに入場するに当たっては男性の場合はネクタイとジャケットが要求されます。私は在チリ大使館勤務時はまだ独身で、いつも男仲間とカジノに行っていたので、女性の服装についてはよく知りません。私の知り合いで、ラフな格好で海水浴に来たのはいいけれど、どうしてもカジノに入りたくて、カジノの前で営業している貸し衣装店からネクタイとジャケットを借りて、本人いわくで「チンドン屋さん」みたいな姿でギャンブルをした人もいます。ネクタイとジャケットがあれば入場できるわけで、服装のセンスは問われないようです。
私はギャンブルはしなくて、海外勤務から日本に帰国する際に何がしたいかと問われて、よくパチンコがしたいと答える人もいるんですが、競馬競輪のたぐいやパチンコもまったくしません。昔はお付き合いでマージャンの卓を囲むこともありましたが、今ではコンピュータ相手のマージャンだけです。確率的に考えることに慣らされているエコノミストですから、ギャンブルは損をするに決まっていると達観しています。ですから、チリのカジノでもルーレットやビンゴなんかには手を出さず、自分で思考判断できるブラック・ジャック専門でした。でも、このソリテアのグラフを見ていると、昨夜のエントリーでもフォーマルな分析なしにグラフだけで判断するのは危険だと書きましたが、やっぱり、ギャンブル好きな人の主張する一定のサイクルが存在する可能性は排除できないような気がします。でも、やっぱり、最終的には、というか、長期的には一定の確率の周囲に収束して、発散することはないように思いますから、ギャンブルはおトクではないように思います。少なくとも、一定のサイクルがあるとしても、それを的確に把握する能力は私には欠けているんであろう、というのが50年近い人生を送って来た結論めいたものです。

ゴールデンウィークが少しずつ近づいてきた週末前の金曜日に、最近のソリテアのプレーの確率と十数年も前の地球の反対側での海外生活を思い出して、リラックスしたエントリーでした。

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2008年4月17日 (木)

鉱工業生産指数の基準改定は景気判断にどのような影響を及ぼすか?

今日は、朝から雲が広がり、夕方からが降り出しました。気温はそこそこ上がったように感じました。

新旧基準の鉱工業生産指数の比較

本日午後に経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP) の2月確報値が発表されました。統計の結果はもちろんなんですが、本日の鉱工業生産指数から統計の基準が2000年から2005年に変更されたのが注目点のひとつでした。今週初めの4月10日に経済産業省のホームページで基準改定関係資料が大幅にリニューアルされて、2003年1月から今年2008年3月までの暫定計算値が発表されています。Excel ファイルでダウンロード出来るようになっていますので、上の通り、簡単にグラフにしてみました。青いラインが旧基準2000年基準で赤が新基準2005年基準です。季節調整済みの月次データです。
新旧両指数の基準年は一致させていませんし、フォーマルな分析なしに、グラフの印象だけでものを言うのは危険なんですが、旧基準と比較した新基準指数の特徴について、少なくとも以下の2点がグラフから見て取れると思います。

  • グラフがスムーズである。
  • 最近時点で下振れている。

言うまでもありませんが、この大きな原因は基準年改定による付加価値ウェイトの変更であることは明らかです。これも経済産業省が発表していて、下の表の通りです。

鉱工業生産指数のウェイト比較

1万分比で100を超えるウェイトの変更があったのは、鉄鋼業が+159.4、電子部品・デバイス工業が▲341.4、輸送機械工業が+456.6、窯業・土石製品工業が▲139.6、繊維工業▲135.4、そして、印刷業が突然180.7のウェイトをもって新たに取り上げられていて、その上位分類であるその他工業は+93.2となっています。印刷業は別として、新興国の需要が強かった鉄鋼業や輸出が伸びた自動車を含む輸送機械工業がウェイトを増加させている一方、言い方は悪いかもしれませんが、斜陽産業と見なされてもおかしくない窯業・土石製品工業や繊維工業がウェイトを落とす結果となっています。ここまでは多くのエコノミストの想像の範囲だと考えられます。別の見方をすれば、統計の正確性を高めるとも言えます。
問題は電子部品・デバイス工業のウェイトが一気に低下したことです。2004年後半から2005年にかけての景気の踊り場で在庫調整局面にあった電子部品・デバイス工業の付加価値が一時的に低下した影響をモロに受けたとしか言いようがありません。電子部品・デバイス工業は他の産業に比較すると、産業としては成熟期に達していない、もしくは、達しつつある段階にある、という意味で比較的若い産業ですから、言わば、古典的な在庫循環が明瞭に観察されることから、このようなウェイトを減ずる結果になったのだと考えられます。もちろん、統計とはこういうもので、機械的に基準年を更新して行くものですから、仕方がありません。この電子部品・デバイス工業のウェイト低下により、古典的な在庫循環を示す産業のウェイトが低下したわけですから、上で指摘した第1点のグラフがスムーズになるという現象が説明できると私は考えています。
次には、ウェイトをより細かく見ると、輸送機械工業が+456.6の他に、引き続き、一般機械工業や電気機械工業が比較的大きなウェイトをもって、しかも、ウェイトを増加させていることです。明示的には示されていませんが、これらの産業は輸出比率が高いと考えられます。一般的にいっても、ここ2-3年の間、所得が伸び悩む中で内需が弱いことから、日本は外需に依存する度合が高い成長を続けて来ましたから、鉱工業生産指数の付加価値ウェイトでも輸出産業の占める割合が高まっていることが容易に想像されます。上で指摘した第2点の最近時点での下振れは、新基準の指数のウェイトが輸出産業で高まっていることから、米国の景気後退や円高に起因するものである可能性が高いと私は感じています。これからも、外需の影響を従来以上に強く受けることが想像されます。

こういった背景の上で、今日の午後に発表された鉱工業生産指数を見ると、やっぱり、少し前に考えられていた景気判断がかなり違って来ているように見受けられます。すなわち、経済産業省の予測指数を使うと、1-3月期は小幅ながらプラスになるようです。旧基準の生産指数では昨年10-12月期がピークで、足元では生産にブレーキがかかっているようにも見えたんですが、少なくとも、日本経済がすでに景気後退局面に入っているとの判断はとっても難しくなったように私は感じています。もちろん、この私の判断は昨年10-12月期から今年の1-3月期にピークが後ズレしただけで、今後は日本経済も景気後退局面に入るとの見通しを排除するものではありませんが、少なくとも、景気判断においてすでに日本経済が景気後退局面入りしていることは可能性としてとっても低いと言わざるを得ません。

日本の GDP に占める製造業の比率は低下の一途をたどっていますが、鉱工業生産指数は日本では景気サイクルの起点を占めます。すなわち、生産 ⇒ 所得 ⇒ 支出のサイクルです。ですから、このブログで何度か指摘したように、単に技術的に景気動向指数などで比重が高いというだけでなく、生産が景気判断に及ぼす影響は大きいと私は考えています。やや基準改定に技術的な問題がないとは言えないにしても、より正確な実態が統計に反映されるようになった現時点で、生産統計がこのような形で明らかになると、景気判断にも一定の影響を及ぼすことは明らかです。

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2008年4月16日 (水)

今夜も完璧な勝利のタイガース

今夜も、我がタイガースは広島相手に完璧な勝利でした。先発の下柳投手が完投勝利ですから、福原投手に続いての完投勝ちで、昨夜のアッチソン投手に続いて2人目の開幕3連勝です。安藤投手も先日の対横浜戦で負けたとはいえ完投していますから、昨年の継投に次ぐ継投を見ているファンはびっくりです。出来れば、もっと早めに点を取りたいところですが、欲の張り過ぎはいけません。
それにしても心配なのは、一昨夜のエントリーでも指摘した今岡内野手です。とうとう、今夜のゲームではフォード外野手とともにスタメンを外れてしまいました。またしても、「進退」という言葉が今岡内野手の頭をよぎっているのかもしれません。でも、代わりにスタメンに入った葛城外野手と関本内野手が活躍したんですから、チームとしては岡田監督の采配が大当たりというところなのかもしれません。でも、やっぱり、今岡内野手には調子を上げて早く5番に復帰して欲しいと私は熱烈に願っています。

がんばれタイガース!
ついでに、
がんばれ今岡選手!

遅くなるかもしれませんが、お風呂から上がってから、アチコチにトラックバックを飛ばします。

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霞が関埋蔵金論争の論点について考える

今日も、朝からいいお天気でした。気温も昨日よりもさらに上がりました。でも、西日本からお天気は下り坂で、東京も明日は雨が降るとの天気予報です。お天気は周期的に変化しているようです。

少し軽い話題が続きましたので、経済評論もひとつ取り上げたいと思います。というのは、今朝の朝日新聞などの朝刊で見かけたんですが、財務省の外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会の積立金が円高でほぼゼロになっていると、昨日の参議院財政金融委員会で額賀財務大臣が表明した、との記事がありました。新聞各社のサイトにはなかったので、ロイターのサイトから記事の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

財務省によると、急速な円高の進行に伴って、外貨準備の評価損が外国為替資金特別会計(外為特会)の積立金とほぼ同じ額まで膨らみ、積立金が差し引き(正味)ほぼゼロにまで減少している。円高がさらに進行すれば、積立金で評価損を補えない、いわゆる「債務超過」に転じることにもなり、そうした事態が長期化すれば、負債である政府短期証券(FB)での資金調達に支障が生じる可能性も否定できないという。
外為特会なんかは典型的にドル債権と円債務の両建てで存在するので、今夜のエントリーのタイトルにした霞が関埋蔵金論争よりは、いわゆる SWF (Sovereign Wealth Fund) の議論があるだけですが、私なりに注目しているところです。霞が関埋蔵金に関する議論とこの外為特会の報道された事実の関係は後で明らかにするつもりです。

さて、霞が関埋蔵金論争について、本論に入る前に、最初に申し上げておきますが、私は制度的な面には強くないものの、霞が関埋蔵金はかなりの額で存在していて、大雑把にグロスの国債残高の半分程度はあるんではないかと直感的に感じていますし、積極的に活用すればいいと考えています。私の基本的な考え方を明らかにした上で、極めて乱暴に分類すれば、財政タカ派とハト派で以下のようになるんではないかと考えています。もちろん、財政とは別の方面からタカだ、ハトだといった「そういうラベルは鳥に可哀想」との声もありますし、そんなにクリアに分類できるものではないことは十分理解した上で、私が大雑把に感じている印象をあえて表にすれば以下の通りではないかと思っています。

 財政タカ派財政ハト派
財政再建の方法論増税などによる歳入増を重視経済成長や歳出削減を重視
霞が関埋蔵金の考え方存在しない存在する
積極活用
財政赤字の捉え方グロス資産を差し引いたネット

上の表の2行目の「財政再建の方法論」による分類については、そもそも、1行目の「ラベル」である財政タカ派とハト派の定義のようなもんですから、これでいいんではないかと思いますし、3行目の「霞が関埋蔵金の考え方」についても、こんなもんではないかと思わないでもありません。問題は私がシラッと入れた4行目です。毎年のフローの赤字額は別にしてストックで考えると、財政タカ派は財政赤字を国債残高のグロスで捉えて、財政の赤字が大きいと言い張り、やや増税に傾いた議論を展開するのに対して、財政ハト派はまさに霞が関埋蔵金の資産をグロスの国債残高からネットアウトしてネットの債務残高に注目しているように私には見えます。
まず、財政タカ派の立場からすれば、霞が関埋蔵金を否定して活用することなく、グロスの国債残高を大きく見せておけば、やや増税に傾いた議論を展開しやすい、という見方は出来ます。しかし、財政ハト派からすれば、何らかのフローの歳出の財源として、霞が関埋蔵金を取り崩して資産を圧縮しようと、国債を発行してグロスの債務残高を増加させようと、理論的にはネットの財政赤字のストックは変わらないハズです。ハト派の主張する霞が関埋蔵金の積極利用の論拠は、ネットの財政赤字残高に注目する限り、そんなに強くないようにも見えます。
私が勝手に作った上の表に従えば、私は圧倒的に財政ハト派に分類されるんですが、理論的にはネットの財政赤字残高が不変であっても、私は霞が関埋蔵金を取り崩してグロスの財政赤字ストックを削減することが実際上の観点から必要だと考えています。それは、グロスの財政赤字ストックを小さく見せて増税論議を牽制する以上に、最初に引用した外為特会のようなリスクを小さくする効果があるからです。ここで、霞が関埋蔵金と外為特会の報道がリンクします。すなわち、霞が関埋蔵金を活用して両建てでグロスの債務と資産を縮小させることは、資産と負債の価格変動リスクを小さくする効果があるからです。理論的にはネットの債務残高は変わらなくても、現実の経済はダイナミックに変動していますから、両建てで負債と資産を積み上げるのは、価格変動が生じた場合のリスクに弱いといえます。価格変動リスクの源泉は外為特会のように為替相場の変動の場合もありますが、圧倒的に、金利リスクが大きいと私は考えています。もちろん、私が入居しているような公務員住宅については、経済変動の外からの要因かもしれませんが、地震や火事などによる滅失リスクも考えられないわけではありません。個人的には、私が入居している公務員住宅だけは売り払って欲しくないと考えないでもありませんが、お国のために働く国家公務員ですから、そんなことをホザいていてもしょうがないと諦めています。

少なくとも、財政ハト派の議論で霞が関埋蔵金を活用すればグロスの財政赤字ストックが減少するという論点は、かなり根拠薄弱だと私には見受けられます。霞が関埋蔵金を活用する観点からは、私のホームグラウンドである霞が関に対する感情的な反感を煽るのではなく、経済学的に正当な議論を展開することが重要だと私は考えています。もっとも、私がこの観点からの議論を見落としているのかもしれません。

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2008年4月15日 (火)

4月に始まったテレビ番組

今日は、朝からいいお天気でした。気温もグングン上がりました。花粉は相変わらずお天気がいいと多いようなんですが、それでも、最盛期は過ぎたように私は感じています。

デルトラクエスト4月は学校の新学年の始まりとともに、テレビ番組の大きな改編時期でもあります。今夜は2つ取り上げたいと思います。まず、我が家の子供達、特に下の子が4月から楽しみに見ているのが「デルトラクエスト」です。原作はオーストラリアのエミリー・ロッダさんによる同じ題名の『デルトラ・クエスト』です。日本では岩崎書店から邦訳が出版されています。我が家では全部買ってあり、下の子は本の方は読み切りました。全部で3シリーズ15巻あります。アニメの方は日本の製作です。私は何かの折に「ポケモン」は日本の誇る文化だと書いた気がしますが、アニメは日本がもっとも競争力を持っている分野といえます。原作者のエミリー・ロッダさんは本のカバーにある写真を見る限りは中年のご婦人なんですが、子供を通じて日本のアニメ技術のクオリティの高さを事前に知っていて、このテレビ・シリーズも高く評価していると言われています。日本では愛知テレビをキーにして、東京では「ポケモン」と同じテレビ東京で放送されていました。そうです。過去形です。地上波による放送はすでに終わり、我が家の下の子は CATV のトゥーン・ディズニーで毎日平日の6時半から熱心に見ています。見られない時にはビデオで録画したりしています。全部で65話で、月曜日から金曜日まで毎週5話が放送されますから、約3ヵ月間かかる計算になります。当初、テレビのシリーズは全52話の計画だったらしいんですが、よくある好評につきで、65話に拡張されたようです。

「デルトラクエスト」のあらすじ

ストーリーはというと、上の通りです。要するに、デルトラ王国の平和のために、主人公のリーフがバルダとジャスミンとともに7つの宝石を探し求める冒険物語です。それぞれの宝石がデルトラの7部族に深く関係しています。私が参照した Wikipedia によれば、以下の通りです。

  1. トパーズ
    誠実の象徴。霊界への扉を開き、精神を強め心の目を洗い清め、夜の恐怖から守ってくれる。また、満月の時その威力が増す。もとはデル族のもの。
  2. ルビー
    幸福の象徴。邪悪や怪物の存在を知ると、色あせる。邪悪をかわす力がある。もとはララド族のもの。
  3. オパール
    希望の象徴。未来を映し出す力を持つ。ラピスラズリと格別のかかわりを持つ。また視力の弱き者の助けとなる。もとは平原族のもの。
  4. ラピスラズリ
    神力の象徴。強力な魔除けとなる。夜空に光る星がある時、その威力は絶大となる。もとはメア族のもの。
  5. エメラルド
    名誉の象徴。潰瘍を癒し、毒を中和する力を持つ。邪悪を感じたときや誓いが破られたとき色あせる。もとは小人族(グノメ族)のもの。
  6. アメジスト
    真実の象徴。心を落ち着ける力がある。病を予知し、毒物の前で色あせる。もとはトーラ族のもの。
  7. ダイヤモンド
    純潔と力の象徴。暴力と不正を嫌い、心正しき者には勇気と力と真実の愛を与えるが、心悪しき者には恐ろしい報復をもたらす。もとはジャリス族のもの。

ただし、他の同種の冒険談と少し違うのは、主人公達とモンスターとの力ずくのバトル一本やりではなく、なぞなぞのような謎解きが割合と多く盛り込まれていることです。先日、私が見たもので、魔女テーガンの呪いにより道路だか関所だかの番人をさせられているモンスターと主人公のリーフとの間で以下のような問答がありました。

  • お前を殺す前に、何かを言え。
    1. お前が真実を言えば、首を絞めて殺す。
    2. お前が偽りを言えば、首をはねて殺す。

というなぞなぞです。主人公のリーフはこれに対して、以下のように答えます。

  • お前は僕の首をはねて殺す。

これで、番人はリーフを殺すことが出来ず、「真実が偽りとなり、偽りが真実となる」という魔女テーガンの呪いも解けて自由の身になり、元の鳥の姿に戻って飛び去って行きます。もちろん、リーフとバルダ・ジャスミンの一行は無事に宝石を捜す冒険を続けます。
我家では、最初は、低学年向けだとしてナナメに構えていたおにいちゃんも、テレビ・アニメ放映の第1話を見てからは大いに興味を示し出し、テレビはそんなに見ませんが、ものすごい勢いで本の方を読み進んでいます。下の子はテレビを見ながらも、少し前に買い与えたデルトラ・クエストの『モンスターブック』とちょっと違う、なんて言いつつ、しっかり見ています。ほとんど、ストーリーは頭に入っているようですが、やっぱり、ビジュアルなアニメは本と違った意味で訴えかけるものがあるんだと思います。

連続テレビ小説「瞳」次のテレビは、毎回新しいのが始まるとこのブログで取り上げている NHK の朝の連続小説なんですが、今回は主人公の名を取って「瞳」と題されています。簡単にストーリを紹介すると、札幌でダンサーを目指すヒロイン瞳は祖母の死を契機に上京し、東京の月島で「養育家庭」をしている祖父勝太郎との生活に飛び込みます。若い里親として3人の里子たちと向き合い、心を通わせる中で、「家族は与えられるものではなく作るもの」だと気づいて行きます。そして、不仲だった祖父勝太郎と母百子、離婚した父を瞳が再び結びつける「家族再生」の物語となって行くそうです。なお、「養育家庭制度」とは東京都の制度だそうです。一応、私はほぼ毎朝出勤前に見ています。しかし、決して高い評価ではありません。
まず、テーマが重いです。里親と里子の関係から現代の家族や家庭に内在する問題を解き明かして行く手法なんでしょうが、朝の連続ドラマで扱うのには少し疑問が残ります。併せて、キャスティングも重いです。主人公の榮倉奈々さんは別にしても、祖父役の西田敏行さんに数学者の秋山教授風の格好をさせてみたり、母親役の飯島直子さん、児童相談センターの近藤正臣さん、ご近所の前田吟さんや木の実ナナさんなど、豪華脇役陣の重さもどうかという気がします。最後に、ファンやご本人には申し訳ありませんが、ヒロインの榮倉奈々さんが冴えないという気がします。これは、私の職場の同僚の女性とも意見が一致してしまいました。おそらく、我が職場で朝の NHK の連続テレビ小説を熱心に見ているのは彼女と私だけだという気もしますが、少し前の「純情きらり」の宮崎あおいさんについては、私が高く評価したのに対して、意見が分かれていたものの、今回の榮倉奈々さんについては「よくない」ということで意見が一致してしまいました。見た目もさることながら、演技が荒い気がします。子供達を小学校に送り出してから、私は朝の時間が余りますから、もう少し見続けるような気がしますが、昨年の「どんど晴れ」のように、途中で見るのを止めてしまうような気がしないでもありません。

少しずつゴールデンウィークに近づいて来て、何となく、軽い話題が増えているような気もしますが、今夜は4月に始まったテレビ番組について取り上げてみました。そろそろ、ゴールデンウィークの子供向け映画についても、いつもの通り、レビューしたいと考えています。

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2008年4月14日 (月)

序盤のタイガースは絶好調!

今日は、朝のうちは弱いが降ったりしていたんですが、昼ころからお天気は急速に回復し、午後は陽射しが戻って気温もかなり上がりました。でも、そんなに花粉が飛んでいるような感じはしませんでした。

順位チーム試合勝数敗数引分勝率勝差
1阪  神141130.786-
2中  日14851.6152.5
3ヤクルト13760.5383.5
4広  島13571.4175.0
5巨  人14581.3855.5
6横  浜143101.2317.5

得点失点本塁打盗塁打率防御率チーム
513379.2592.27阪  神
5334182.2522.09中  日
64491417.2733.86ヤクルト
4345117.2893.10広  島
4661186.2194.29巨  人
3974102.2625.01横  浜

序盤のタイガースが好調です。上の表の通りです。なお、上の表はニッカンスポーツのサイトからテーブルごと拝借して来ています。昨日の試合終了までのセリーグの勝敗表だと思います。
我がタイガースは今まで5カード連続の勝越しで連敗もなく、セリーグ首位を快走しています。しかし、打率や防御率などの数字を見る限り、そんなに力強さを感じるわけではありません。チーム打率は得点はリーグの中ほどですし、防御率も中日より少し高めに出ています。もっとも、失点はさすがにリーグトップの少なさです。他方、ホームランに至ってはリーグのドン尻だったりします。盗塁もリーグに中ではまずまず多い方とはいうものの、東京ヤクルトには大きく水を開けられています。でも、中日に2.5ゲーム差をつけての首位に立っています。ひとつの大きな要因は先発投手の踏ん張りが上げられます。福原投手の完封も早い段階でありましたし、先日の対横浜戦では負けたとはいえ安藤投手が投げ切りました。得意の先行逃切りに加えて、昨日は終盤に逆転しての、いずれにせよ、僅差の勝利が多いことは確かな気がします。リリーフ陣に久保田投手・藤川投手と言う万全の体制があるだけに、先発投手がしっかりと試合を作れば勝利の方程式が見えて来ます。でも、万年最下位のころからのファンとしては、皮肉な見方をすれば、歯車が逆に回り出すと苦しいとの見方も成り立ちえますが、それにしても、安定した戦い振りだという気もします。目を打に転じると、やっぱり、と言うか、今岡内野手が冴えません。金本外野手は2000本安打を達成する直前まで少しもたつきましたが、これからはガンガン打ち始めるような気もします。でも、今岡内野手が打棒振るわないだけに、フォアボールが増えそうな気もします。そうすると、好調な鳥谷内野手の活躍の場面が増えるような気がしないでもありません。1-2番の赤星外野手と平野内野手のチビッココンビの活躍も続いて欲しいものです。
阪神以外の他チームを見ると、巨人と東京ヤクルトが意外な戦績を残しています。開幕前のスポーツ新聞なんかの解説者の予想では、シーズンオフに資金量にまかせて戦力補充をしまくった巨人が優勝の筆頭候補で、その巨人にエースと4番の外国人を持って行かれた東京ヤクルトは B クラスが確定、のような論評が多かった気がしないでもなかったんですが、開幕3連戦で東京ヤクルトが巨人に3連勝するなど、立場が逆転しているようにも見えます。ひょっとしたら、東京ヤクルトがセリーグの台風の目になる可能性も否定できません。可能性は少ないとは思いますが、もしも、巨人が早くにペナントレースから脱落すると、優勝を目指す阪神のライバルは中日ということになるのかもしれません。

東京六大学野球もこの週末から開幕しました。昨年4月14日付けのエントリーで紹介した通り、私は昨年の春のシーズンの開幕戦に行って、早大の斉藤投手を見てきたんですが、昨日は、その斉藤投手が対東大戦に投げて28-0で早大の勝利だったそうです。今日の夕刊で見かけました。明日からの甲子園での対広島3連戦の後は、その神宮球場で対東京ヤクルト3連戦が始まります。この先しばらく、交流戦くらいまでの両チームの調子を見る上で注目かもしれません。

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2008年4月13日 (日)

やっぱり図書館の利用に目覚める

今日は、朝のうちはが降ったり止んだりで、午後からは雨が止んだように見えましたが、陽射しがなくて肌寒かったです。季節の変わり目で、いいお天気は3日と続かず、周期的に変化しているようです。

4月に入ってから図書館利用に目覚めて、今日の午後からも近くの区立図書館に行って来ました。上の Google Map は赤坂図書館の周辺地図です。左下の「赤坂図書館」の表示のある場所からすでに引っ越ししていて、私がピンを立てた地図中央の位置がほぼ入り口に当たると思います。どうでもいいことですが、「赤坂図書館」と表示してある建物は、現在、赤坂警察が仮住まいをしています。今日も、図書館で本を借りるんではなく、同業者のエコノミスト諸氏からのリポートを読んで来ました。先週も書きましたが、やっぱり、図書館は飲食や喫煙している人もなく、静かに資料や本を読み解くには最高の場所だと改めて認識しました。別の観点で、最近は我が阪神タイガースの調子がいいので、スポーツ新聞を読むのも楽しみなんですが、喫茶店に入るよりも図書館の方が安上がりかも知れません。
しかし、細かいことを言い出すとキリがないんですが、出かける際のお天気に左右されます。もちろん、図書館ですから、ちゃんと屋根があって雨露はしのげるんですが、私の交通手段に問題があります。地下鉄で一駅と中途半端なものですから、自転車で出かけることが多く、雨が降っていると困ります。自転車ですから少し遠回りになっても青山霊園の真ん中を通って行って桜を眺めたり出来るのは便利ですが、この季節や梅雨に入れば雨がちになるので、少し足が遠のくかもしれません。逆に見れば、図書館に行くのは単なるヒマ潰しとも言えます。

先週で春休みも終わり、今週から子供達の小学校が本格的に始まって、昨日は下の子と上野の科学博物館にダーウィン展を見に行ったりしたんですが、ハッキリ言って、ややヒマにしている週末でした。本や資料をかなり読みました。一応、図書館に出かけたのでお出かけの日記に分類しておきます。

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2008年4月12日 (土)

下の子と上野科学博物館のダーウィン展に行く

今日は、朝のうちからまずまずよく晴れていいお天気でした。気温も上がって、午後には20度に達していました。でも、夕方から少し雲が広がったように思います。

ダーウィン展バナー今日は午後から上野の科学博物館で開催されているダーウィン展に下の子といっしょに行きました。上野は桜の名所なんですが、さすがに、ソメイヨシノはほとんど散っていたように見受けました。でも、週末のいいお天気に誘われて、上野は人でいっぱいでした。ダーウィン展も入場するのに行列待ちこそしないものの、かなりの人出でにぎわっていました。なお、左上のバナーはダーウィン展のホームページで提供しているもので、ダーウィンの顔写真、イグアナ、ゾウガメの3種類があるんですが、下の子の趣味でゾウガメにしてあります。中では写真撮影が禁止でしたから、下の写真は入場する際の下の子です。

ダーウィン展にて下の子

見どころはいくつかあるんですが、我が家の下の子が一番よかったというのは、下の画像の通り、ビーグル号の航海の軌跡です。よく知られている通り、ダーウィンは1831年に英国軍艦であるビーグル号に乗船し、5年にわたる世界一周航海を始めました。ダーウィンが進化論の着想を得たとされており、独自の進化を遂げた植物や生物が生息する南米のガラパゴス諸島が再現されており、生きたゾウガメやイグアナもいましたし、その他の動植物の標本や模型を展示してありました。また、ビーグル号の模型などの展示もありました。

ビーグル号での航海の軌跡

他にも、シーラカンスの標本もありました。シーラカンスは「生きた化石」と呼ばれていますが、「生きた化石」= "Living Fossil" という表現は『種の起源』の中でダーウィンが初めて使用した表現だそうです。下の写真の通り、タンザニア水産学研究所から東京工業大学に寄贈されたシーラカンスの標本が展示されていました。後々に手足なんかに進化するんでしょうが、ヒレがいっぱいあって、普通の魚と違うことは一目瞭然でした。また、シーラカンスのウロコを顕微鏡で観察できるコーナーもありました。

「生きた化石」シーラカンス

また、ダーウィン家と陶器で有名なウェッジウッド家の関係も含めて、少年時代から青年時代、先ほど触れたビーグル号での航海、帰国してから『種の起源』の発表まで、家族とのかかわりなど、ダーウィンの生涯をパネル展示や資料、映像で多角的に紹介しています。どうでもいいことながら、私はニュートンやダーウィンなんかは、生涯独身だったんだろうと勝手に想像していたんですが、ダーウィンは10人もの子宝に恵まれたそうです。勝手に想像していたことながら、勝手にショックを受けました。

夕方の帰り道で、どこかのビルの上の温度表示が20度となっていたように、うららかな春の陽気に誘われて、上野の山にお出かけでした。親の欲目としては、下の子にはチョッピリ勉強にもなって欲しいものです。

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2008年4月11日 (金)

上野泰也『チーズの値段から未来が見える』(祥伝社)を読む

今日は、朝のうちは昨日からの雨が降っていましたが、昼前からお天気は急速に回復し、よく晴れていいお天気になりました。午後からは気温も昨日に比べてグッと上がったようです。この時期の役所のオフィスは外気温とともに変化し、今日の午後は25度に達していました。そろそろ夏物に衣替えする季節かもしれません。

上野泰也『チーズの値段から未来が見える』(祥伝社)みずほ証券のチーフマーケットエコノミストで、「日経公社債情報」が毎年実施している債券アナリスト・エコノミスト人気調査のエコノミスト部門において2002年から昨年まで6年連続でトップを快走している上野泰也さんの『チーズの値段から未来が見える』(祥伝社)という本を読みました。どうして読んだかというと、econ-econome さんのブログ「日々一考(ver2.0)」でオススメされているのがひとつの理由です。もちろん、他にも理由はありますし、econ-econome さんがオススメしている本をすべて読んでいるわけでもありません。原則として、私は経済関係の本についてはアマゾンのレビューは書いても、このブログでは取り上げないことにしているんですが、上野さんのこの本を「軽い読み物」に位置付けるのは極めて不正確かつ著者に失礼としても、少なくとも学術書ではありませんし、エコノミスト向けというよりは一般ビジネスマン向けのような気がしないでもありませんから、本の中身の軽重はともかく、2夜も続けて英語で書かれた分厚な IMF のリポートを取り上げましたから、昨夜のエントリーの最後で宣言したように、今夜は、このブログのエントリーとしては脱線しつつ軽く取り上げたいと思います。見れば分かるんですが、左上の写真が本の表紙です。ネットで見かけた画像の中には著者の顔写真のあるカバーの帯を入れて撮っているいるものもありましたが、私が見た範囲では著者の写真映りが万全ではない気がして、あえて顔写真のないものを選びました。なお、2月28日付けのエントリーで川上未映子さんの「乳と卵」を取り上げた際には、帯に著者の顔写真が入っている画像を採用したんですが、決して、著者の性別やルックスによる差別的な扱いをしているわけではありません。このあたりは趣味の問題です。
さて、本題に入って、この本は最後の第5章に練習問題まで付いていて少しびっくりしたんですが、第3章と第4章あたりが読みどころなんだと思います。でも、私が大いに同意したのは、著者が何度も書いているように、経済は「素直」であり、「ひっかけ」はない、ということと、同じことの別の表現なんですが、「裏ネタ」を知る必要はなく、公表資料で勝負、という点です。著者がキーワードをカギカッコ付きで表現しているのが気にかからないでもありませんが、カギカッコなしと同じと考えて解釈しています。先月3月14日付けのエントリーの最後のように、私がこのブログでも何度か主張して来ましたが、経済はマーケットであり、マーケットは需給で決まり、市場撹乱的な要因を過大評価するのは疑問だと私は考えています。底流に流れるものは同じだという気がします。また、著者は債券エコノミストなんですが、一昔前の証券エコノミストなんかは、今で言うところのインサイダー取引スレスレの情報を有り難がるような向きもなくはなかったように記憶しています。マーケット・エコノミストにとっては情報は多いに越したことはないんでしょうが、この本でも書かれているように、収集した情報にフィルタリングをかけてシナリオを描く分析能力が勝負というのが本筋だと私も思います。私はマーケット・エコノミストではないので情報収集も怠りがちで、少し前までは、誰でも入手できる公表統計を基に、専門家しか扱えないようなソフトウェアを乱用して複雑怪奇なモデルを組んで、世間がびっくりするような結果を出すのが趣味だった時期もあったりします。これは別の話です。
とってもいい本なんですが、あえて難点を2点だけ上げると、まず、第5章の練習問題はヤメていただきたい。もちろん、著者の問題ではなく、明らかに編集者の問題だと思いますが、最近の流行りになっているボックス囲みのコラムか何かで処理できなかったものでしょうか。それから、これは著者の問題だと思うんですが、推理小説好きの著者とはいえ、204ページでデニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』を勧める力の入れようは、大きな唐突感があります。私は『シャッター・アイランド』を読んでいるからいいんですが、知らない人はもっと大きな唐突感を感じるんではないかと思います。加えて、私のような読んだ人間には、ルヘインなら代表作は映画化もされた『ミスティック・リバー』ではないのか、という気がしないでもありません。代表作ではない本をオススメするところが渋いとも言えますが、もしも、お会いする機会があれば質問してみたいところです。でも、この2点とも瑣末な点ですから、とってもオススメ出来るいい本だと思います。
最後に謎かけをひとつ。最後の第5章の練習問題の最初の Q1 の「お盆や年末年始の宿泊料金が高い理由は?」の答えが「需要がそれだけ多く見込めるから。」になっています。それでは、本の中には何度か登場するタクシー料金について、「深夜タクシー料金はどうして割増になるのか?」という問を立てると、答えは宿泊料金とは違うと私は理解しています。ホントの答えは監督官庁がそう決めたから、なんでしょうが、経済学的に考えると、おそらく、終電や終バスが出た後には、深夜タクシー料金は独占価格の決定に移行するからなんだろうと私は考えています。お盆や年末年始の宿泊料金が需要曲線の上方シフトにより高くなるのに対して、深夜タクシー料金は供給曲線が限界費用曲線から限界収入曲線に移行し上方シフトするためであると考えるのが自然そうな気がします。本の中には身近な話題として表題にもなっているチーズの他に、タクシーや行楽なんかが取り上げられていますが、最初の Q1 の割増料金に関する練習問題で宿泊料金を取り上げて、タクシーの深夜割増料金にしなかったのは、著者の慧眼であると言えましょう。でも、初級編で宿泊料金、応用編でタクシーの深夜割増料金を並べて練習問題として出題するのもカッコいいような気がしないでもありません。

なお、上野さんは東洋経済新報社から『デフレは終わらない - 日本経済の虚像と実像』という本も近く出されると聞いています。こちらも楽しみです。それから、いつもの通り、アマゾンと mixi のレビューにも今夜のエントリーと同じ趣旨で投稿しておきました。もちろん、どちらも5ツ星です。

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2008年4月10日 (木)

国際通貨基金 (IMF) の "World Economic Outlook"

今日は、朝からが降りました。気温は上がらず、真冬並みの寒さでした。雨は明日の朝まで降り続くとの天気予報です。でも、幸いなことに、昨日に比べて花粉は激減しました。

Slower gowth as fallout deepens

Slowing economies

Resilient economies

昨夜取り上げた IMF の "Global Financial Stability Report (GFSR)" に続いて、今夜は同じく IMF の "World Economic Outlook (WEO)" を簡取り上げたいと思います。サマリーのグラフは上の通りです。IMF のサイトから3つ引用しました。なお、上の方の "Slowe growth as fallout deepens" と題されたグラフをクリックすると別窓で "Table 1.1 Overview of the World Economic Projections" の詳細な表がご覧いただけます。真ん中のグラフは潜在成長率を下回る先進国、逆に、一番下のグラフは最近の平均成長率を上回る新興国の見通しとなっています。昨夜取り上げた "Global Financial Stability Report" と同じで15ページほどの日本語サマリーもアップしてあります。まず、昨夜と同じように"Financial Times" の記事を最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。

The International Monetary Fund on Wednesday forecast that the US economy would slip into a "mild recession" this year and warned that there was a chance that the global economy could follow suit.
However, the IMF said emerging and developing economies would maintain robust growth rates, diverging from the rest of the global economy.
"The global expansion is losing speed in the face of a major financial crisis," the fund said in its latest World Economic Outlook report.

引用した記事にもある通り、リポートでは米国経済は緩やかな景気後退に入り、2008年の世界経済成長率は3.7%に鈍化すると見込んでいます。すなわち、2008年1月時点で改定されたの見通しに比べて1.5%ポイントの下方修正で、2007年の成長率を1.25%ポイント下回る数字でとなっています。さらに、来年2009年の経済成長率も同じような水準にとどまるものと見込まれていて、先進国・地域の成長率は総じて潜在成長率を大幅に下回ると予想されています。特に注目されている。米国経済は2008年に緩やかな景気後退に陥り0.5%成長を記録した後、金融機関におけるバランスシートの改善が進むにつれ、2009年から徐々に回復に向かうというものの、2009年の成長率も0.6%にとどまるとの見通しとなっています。2008年1月時点からの成長率の下方修正幅は2008年で▲1.0%ポイント、2009年で▲1.2%ポイントです。我が日本に目を転ずると、昨年2007年の2.1%成長から今年2008年は1.4%、来年2009年は1.5%と下方改定幅も2008年▲0.1%ポイント、2009年▲0.2%ポイントに踏み止まっていると表現して差し支えないと思います。他方、新興国・地域及び途上国の経済成長はわずかに鈍化するものの、2008年と2009年両年とも引き続き底堅い成長が見込まれています。なお、ついでながら、いつもナナメに読む私の見方からして、従来のデカップリング論はどうなったのかと見ていると、第1章に "Can Emerging and Developing Economies Decouple?" と題する節を設けていて、結論として、 "The combination of strong internal growth dynamics, a rising share of the global economy, and more-resilient policy frameworks seems to have helped reduce the dependence of emerging and developing economies on the advanced economy business cycle - but spillovers have not been eliminated." となっています。やや後退した印象を受けますが、先日4月2日付けのエントリーで紹介したアジア開発銀行の "Asian Development Outlook (ADO) 2008" の結論である "Evidence suggesting that Asia has 'uncoupled' from the global economy is scant." に比べると、IMF は引き続きデカップリング論を堅持しているようにも読めたりします。
ただし、予測にリスクはつきもので、短期的には下振れリスクが大きい状況にあり、リポートでは2008年と2009年の世界経済成長率が3%以下に落ち込む、すなわち、世界的な不況が起こる可能性が25%の確率である、と明記しています。その最大のリスクは、金融市場の状況の展開にかかっており、とりわけ、米国のサブプライム・ローンなどを原資産とする仕組み債の損失が膨れ上がることによって、金融システム全体としてバランスシートが毀損し、現下の信用拡大ペースの低下が本格的な信用収縮に発展するリスクを指摘しています。金融的なショックと内需が特に住宅市場を通じて影響し合うリスクが米国で特に大きく、西欧や他の先進国においても米国ほどではないにせよ、一定のリスクが存在すると主張しています。
こういった世界経済の現状認識に対して、IMF の政策提言は具体性を欠くとの指摘もありましょうが、まず、グローバル化が大きく進展する今日の世界においては、国境を越えて互いに及ぼし合う影響を十分踏まえて、各国が力を合わせてこうした課題に取り組むことが不可欠との基本認識の下で、先進国・地域においては、インフレ・リスクやより長期的な問題も考慮しつつ、金融市場の混乱に対処するとともに、経済成長の下振れリスクに対して適切な対策を講じることが喫緊の課題である、とし、さらに、多くの新興国・地域及び途上国にとっては、現在の力強い経済成長がインフレ圧力の増大や経済の脆弱性につながるのを回避することが引き続き課題となる、と指摘しています。この上で、米国については、連邦準備理事会(FED)が最近大幅な利下げに踏み切り、今後も経済がある程度安定するまでは金融緩和バイアスを維持するとしていますが、GDP ギャップの拡大と労働市場の悪化のリスクが高まっていることを踏まえればインフレに対するリスクには "should be blunted" 、としています。我が日本については、金融政策に関しては、"In light of the prevailing headwinds to growth, monetary policy should maintain its accommodative stance and could be eased further in the face of a serious downturn." との判断を示しています。我が家で購読している朝日新聞なんかでは「白川日銀、タカ派の気配 利上げ志向強まる?」と題する記事を見かけたりする日銀の白川総裁には耳が痛いかもしれません。さらに、財政政策の発動については、公的純債務残高は引き続き高い水準にあり、景気悪化という状況の下で自動安定化機能の発揮は許容すべきかもしれないが、財政政策による内需下支え効果は小さく、"there is limited room for fiscal policy to provide a cushion in the event of a stronger-than-anticipated downturn in growth." と従来の主張に沿った政策提言となっています。財務省の財政タカ派には好都合な主張だという気がしないでもありません。要するに、世界のエコノミストの常識になっているように、マクロ経済政策は財政ではなく金融で対応しなさいというわけです。ある意味で当然です。欧州については、現状のインフレ率は高過ぎるものの、景気見通しは悪化しており、2009年中にはインフレ率は2%未満にまで低下する公算が強く、欧州中央銀行 (ECB) は金融政策スタンスを一定の限度で緩和方向にシフトさせる余地がある、と日本に対するのと同じような主張です。日本よりも糊シロが大きいんですから、これまた当然です。最後に、新興国・地域及び途上国については、先進国・地域の景気減速や増大する金融市場の混乱に起因する経済成長の下振れリスクを警戒しつつ、インフレを抑制することが求められており、一部の国々ではインフレ抑制のためにさらなる金融引締めが必要になるかもしれない、と指摘してインフレ重視の政策運営を求めています。
第1章の世界経済や第2章の国や地域別の分析に加えて、今回の金融混乱においては、中央銀行が金融政策を決定するうえで資産価格の状況をどの程度考慮すべきかというかねてからの議論を再燃させたとして、第3章では "Chapter 3. The Changing Housing Cycle and the Implications for Monetary Policy" と題して、住宅市場のサイクルと金融政策の関係について検討を加えています。リポートでは、米国、デンマーク、オーストラリア、スウェーデン、オランダを特記して、高度に発達した住宅ローン市場を有し、より大きな金融乗数が認められる国・地域においては、特に、金融政策を決定する上で住宅価格の動向をより重視すべきである、との判断を示しています。もっとも、この結論は "a recommendation that monetary policy should target house prices" に extend されないとしつつも、住宅価格が急激な動きを見せた場合や住宅評価が通常の範囲を超えた場合には安定化政策を採用することはリスク管理型金融政策の枠内での対応が可能かもしれない、と示唆しています。なお、第4章の "Chapter 4. Climate Change and the Global Economy" については、私の詳しくない分野なので割愛します。それから、第5章の "Chapter 5. Globalization, Commodity Prices, and Developing Countries" もそこまで目が至りませんでしたので、今夜のところは省略します。たぶん、永遠に省略しそうな気がしないでもありません。

昨夜の "Global Financial Stability Report (GFSR)" と同じ IMF のリポートなんですが、やや専門分野に近い気がして、図表もいっぱい借用して、長々と引用も含めて、2夜続きで IMF のリポートを取り上げてみました。今週は月曜日から今夜まで経済評論の日記ばかりでしたし、今夜は特に長かった気がしますので、明日や明日以降の週末は軽い話題で済ませたいと思わないでもありません。

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2008年4月 9日 (水)

国際通貨基金 (IMF) の "Global Financial Stability Report"

今日は、朝からまずまずいいお天気で、昨日に比べて気温も上がりました。でも、風が強かったせいか、花粉が激しく飛んでいた気がします。私は普段は目の方なんですが、今日は鼻にも来ました。

国際通貨基金 (IMF) から "Global Financial Stability Report (GFSR)" が発表されました。15ページほどの日本語のサマリーもアップされています。今夜のエントリーではこのリポートの第1章を中心に紹介したいと思いますが、まず、"Financial Times (FT)" のサイトから関係する記事の2パラだけを引用すると以下の通りです。なお、FT は "IMF releases an Instability Report" と茶化したタイトルを付した関連記事も掲載していたりします。何らご参考まで。

If the International Monetary Fund is right, the credit crisis that began last year could turn out to be the most expensive financial crisis in history, measured in dollar terms.
The Fund estimates that expected losses and writedowns on US assets could total $945bn (€600bn, £480bn), compared with roughly $750bn in losses from the Japanese economic crisis of the 1990s.

IMF: Global Financial Stability Report

引用した FT の記事にもある通り、今回の GFSR で注目されたのは米国のサブプライム・ローン問題に端を発する金融危機の大きさです。上のグラフはその総額や対GDP比を過去の金融危機と対比しています。下のグラフは地域別です。日本を含むアジアが極端に小さいのが読み取れます。具体的な数字については、第1章の "Chapter I. Assessing Risks to Global Financial Stability" で分析を加えており、米国住宅価格の下落とローン返済の焦げつき増加を背景に、住宅ローン市場と関連証券の合計損失は予想されるプライムローンの悪化を含め、直接の損失は5,650億ドル前後に達する可能性があると予測しています。これに、商業用不動産、消費者金融市場、企業に関連して米国で組成されたローンや発行された証券などを加えると、潜在的な累計損失は約9,450億ドルまで増加するとし、この数字が上の引用も含めて報道で取り上げられているようです。ただし、こうした推定値はエクスポージャーや評価に関する不確実な情報に基づいてはいるものの、償却額がさらに膨らみ、銀行の自己資本が圧迫される可能性は排除できませんし、加えて、モノライン保険会社を含む銀行以外の金融機関の損失を考え合わせると、レバレッジ解消が続くのに伴い、銀行システムにはさらに損失画像化するリスクがある、ともリポートは指摘しています。
もちろん、マクロ経済へのフィードバックの及ぼす影響に対する懸念も強まっています。リポートでは、自己資本の余裕が減少し、銀行の損失の規模と配分に関する不透明感が通常の信用サイクルのダイナミズムと重なって、家計の借入や企業の設備投資、資産価格に重くのしかかり、ひいては雇用や生産の伸び、金融機関以外の企業や家計のバランスシートに跳ね返ってくるおそれが強いと指摘し、しかも、金融システムにおける証券化とレバレッジの進展度合いからみて、今回は過去の信用サイクルよりこの動きが激しい公算が高いと分析しています。現在の市場の混乱は単なる流動性の問題ではなく、バランスシートに深く根ざした脆弱性と資本基盤の弱さを反映しており、その影響はより広く深く、また長期化する可能性が高いのではないかと見られています。
IMF はこれらの対策として、最重要課題は金融機関が信認を強化することであるとし、金融システムの中核にある大手金融機関がバランスシートを修復し、多少のコスト高もいとわずに増資を行い、中期的な資金を確保することであると指摘しています。話題になっている Sovereign Wealth Fund (SWF) や公的資金導入の検討についても言及があります。ただし、モラルハザードと潜在的な財政コストの両方を最小限に抑える必要性が指摘されています。もちろん、経済の下振れリスクを阻止するにあたっての最初の対応策はマクロ経済政策であることは言うまでもありません。

昨日今日の日銀の金融政策決定会合は金利据置きで終了しましたが、日本では中央銀行の首脳人事でゴタゴタが続いていて、世界の金融市場が危機にさらされているかもしれない時だけに、政治の不毛を感じているエコノミストも少なくないんではないかと思わないでもありません。なお、明日も IMF のリポートを取り上げるかもしれません。

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2008年4月 8日 (火)

景気ウォッチャー調査はどうして2ヶ月連続で改善したのか?

今日も、朝からが降りました。一時は風も強くなり、ミニ台風のような荒れたお天気でした。気温は上がらず肌寒かったです。

景気ウォッチャー調査の現状判断DI

内閣府から3月の景気ウォッチャー調査の結果が公表されました。上の図表の通りで、今年1月に急落してから、2月3月と2ヶ月連続で改善しています。直近の3月調査では現状判断 DI が前月比で3.3ポイント改善して36.9と、昨年12月の水準を回復しています。まず、asahi.com のサイトから短い記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査によると、飲食店主やタクシー運転手らの景況感を示す指数が前月より3.3ポイント上がって36.9となった。上昇は2カ月連続だが、横ばいを示す「50」を大きく割る状況は続いている。

記事の最後の「50割れ」は、内閣府の公表資料に「横ばいを示す50を12か月連続で下回った。」とあるんで仕方ないんですが、2月11日のエントリー「マインド調査のバイアスは何から生じるか?」で指摘した通り、専門家以外は下振れのバイアスを持つ場合がありますから、特に気にする必要はないと私は考えています。DI なんですから水準よりも方向が重要だという気がします。
本題に戻って、2ヶ月連続の改善となりましたが、先月発表された2月調査の結果については、昨年の異常なほどの暖冬と違って今年は普通に寒かったために、鍋物や衣料など冬物商品の売行きが比較的好調だったとか、中には、ギョーザ事件に伴う食の安全志向の高まりで比較的高額な国産食材の人気が高まったとか言われていて、内閣府も慎重な見方をしていたように記憶していますが、3月も引き続き改善しました。今日の発表資料によれば、「春物衣料が好調」以外は実態がよく分からないんですが、上の図表1に出ている通り、家計動向関連が改善に寄与しているように見受けられます。すなわち、単月の結果ではありますが、全体で前月比3.3ポイント改善した内訳を見ると、家計動向関連が4.3ポイントの改善、企業動向関連が1.6ポイントの改善、雇用関連が0.5ポイントの改善となっています。
昨夜も先月3月28日付けのエントリーとともに、雇用関連指標は反転した可能性が高いと指摘しましたが、この景気ウォッチャー調査の結果もそれを裏付けています。逆に、雇用がよくないにもかかわらず、家計の消費が景気を下支えしている構図が浮かび上がって来ます。もちろん、かなり前からこのブログで指摘している通り、今年はうるう年効果がありますから、消費は底堅い動きを示しています。所得の方が冴えない割には、家計が消費性向を引き上げる形で少し無理をして消費しているとも考えられます。このブログでも何度か年央くらいまで消費は底堅いと指摘しました。他方、企業部門はニュートラルで相変わらず渋いままです。そうすると、景気の先行きを考える上では消費のサステイナビリティが重要になります。先週4月3日付けのエントリーで取り上げたように、今夏もボーナスは減少するとの予想が支配的ですし、いつまでも所得にサポートされない消費の景気下支えが続くハズはありません。北京オリンピックなど年央までは消費機会もあることですから、それなりの消費は出ると私は考えていますが、その先の秋口以降の消費動向は極めて不透明です。

日米で景気波及のシークェンスが異なります。米国は家計の消費から企業部門に波及するのに対して、日本は企業から家計に波及します。景気がよくなる時も悪くなる時も同じです。表現は悪いんですが、従属変数の家計部門が独立変数の企業部門を差し置いた形で景気の下支えをしている現在の構図がどこまでサステイナブルなのかは、先週4月3日付けのエントリーの結論と同じで、まったくの未知数です。

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2008年4月 7日 (月)

日米景気の転換点について雇用統計から考える

今日は、昼前からが降り始めました。一時止んだりしていたんですが、今日は1日中冴えないお天気でした。気温はそんなに下がったようには感じませんでしたが、花粉の飛ぶ量は激減したように思います。我が家の子供達が通う小学校は今日から新学年が始まりました。新しい1年生の入学式もあったようです。

Losing Streak

The Labor Picture in March

米国の雇用統計は1-2月にさかのぼって改定され、前月比で見て3月も大幅な減少を記録しました。先日、"Washington Post" からグラフを引きましたが、今夜の図表は上の方のグラフが "Wall Street Journal" に掲載されていた非農業雇用者数の前月比の推移で、下の方がいつもの "The New York Times" の The Labor Picture in March です。連邦準備制度理事会 (FED) のバーナンキ議長も議会証言での質疑応答で米国の景気後退について言及し始めています。私を含めて、多くのエコノミストは米国がすでに景気後退局面に入っていることは確実だと考えています。

Business Cycle Preference Date (US)

すでに景気後退に入っていると考えられているわけですから、エコノミストの間ではいつまで景気後退が続くのかの議論が始まっています。ご参考までなんですが、上の表は NBER のBusiness Cycle Expansions and Contractions と題するページから取ったものです。最近時点では景気後退の期間は短くなっています。私の直感に従って昨年10-12月期が米国景気のピークだったとすれば、今年中か、来年早々には景気は回復に向かうかもしれません。ただし、フォーマルな分析をした結果ではないので、自分でもそんなに信用していません。また、我が同業者のエコノミストの中には注目している人を余り見かけないんですが、NBER 会長の交代があります。現在のフェルドスタイン教授に代わって、MIT のポテルバ教授が7月1日付けで就任します。NBER の景気日付けの判断に影響を与えるとはまったく思いませんが、景気日付けを判断する時期が微妙にズレるかもしれません。

一致DIと先行DI

CIの推移

目を我が国に転ずると、今日、内閣府から2月の景気動向指数が発表されました。一致 DI と先行 DI、それに、CI の推移は上のグラフの通りです。景気動向指数はいくつかの経済指標を単純に総合しているわけですが、先月3月28日のこのブログのエントリーでも指摘したように、労働関係の指標は景気減速とともに反転した可能性があります。景気動向指数の一致系列に含まれる雇用関係の指標を抜き出したものが下のグラフです。もっとも、日本では生産関係の指標が景気判断する際に大きなウェイトを占めるのは、今までも指摘した通りですし、米国と違って、日本は景気後退局面入りまでもう少しアローアンスがありそうな気がしないでもありません。

労働関係系列

週の初めに取りとめのないエントリーになってしまいましたが、景気後退局面入りを鮮明にした米国の雇用統計と、景気後退局面まで達するかどうかは別にして、明らかに反転した日本の雇用指標のうち、景気動向指数に含まれるものについて、図表をいくつか引用して対比してみました。昨年2007年9月10日付けのエントリー「そろそろ景気は転換点を迎えるのか?」で取り上げ始めてから、さまざまな角度からいろいろと指標を点検しているんですが、米国に続いて日本も景気後退の瀬戸際に立っているのかもしれません。でも、一昨年2006年4月4日付けのエントリーで指摘したように、エコノミストとしては抑えておくべきツボであるにもかかわらず、経験則とトートロジーが支配する景気分析については、私は少し苦手だったりします。まとまりのないエントリーになったひとつの原因かもしれません。

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2008年4月 6日 (日)

子供達を散髪に連れて行った後、下の子とポケモン・カードゲームをする

今日も、朝からいいお天気で気温も上がり春爛漫です。青山通りを自転車で走っていると半袖姿の人もチラホラ見かけました。

今日も特に遠出する予定もなく、子供達は明日からの新学年に備えます。私は午前中は近くの図書館に行きました。昨日も行きましたが、本を借りたり返したりするんではなく、高校生的と言うか受験生的な使い方をしています。つまり、自分で資料なんかを持ち込んで勉強しています。私はしがない公務員の団地住まいで自分の書斎も持ちませんから、我が同業者のエコノミストの資料や学術論文なんかを読むのには図書館が適していることについ最近気づいたりしました。近くの区立図書館は、中高生向けの部屋に席がありますし、それ以外には、窓際にぐるっと席をしつらえてあり読書灯もあります。もちろん、パソコンや携帯電話は持込み禁止ですし、飲食や喫煙も許可されていませんから、静かに落ち着いて資料や本を読むのには最適です。自転車で片道10-15分ですから、いい運動にもなります。
午後からは渋谷に出かけます。新学年に備えて子供達の散髪を済ませます。下の子はいつも通りなんですが、おにいちゃんは少しオシャレに気を使うようになったのか、余り短くはしたくないと言います。私からスタイリストさんに横と後ろはバリカンで刈り上げて、前髪はそろえる程度でお願いしておきましたが、おにいちゃんは切られ過ぎたと思っているようです。実は、私もお願いしたイメージより少し短い気がしないでもありません。いずれにせよ、前髪をいつもより少し長めに残しましたから、髪の毛を額から前に垂らすとメガネにかかる心配があるので、毎日、シャンプーの後は髪をとかして横分けするように言い置きます。下の写真は散髪から家に帰った子供達の後ろ姿です。

散髪した子供達

家に帰ってから、6年生のおにいちゃんはまだまだ大量の勉強があるんですが、4年生の下の子はヒマを持て余しています。2週間ほど前に原宿のキディランドで買い求めたポケモンカードの拡張パックを入れてデッキを組み替えて、私と下の子がポケモン・カードゲームで遊びます。5回戦で戦って私の1勝4敗です。持っているポケモンのパワーに大きな差がありますから私は勝てません。私が聞いたこともないようなワザを繰り出して来られてアッサリと3連敗した後、下の子の手札にたねポケモンが少なくて1回勝っただけで、最後はマタドガスのポケボディの「きついたいしゅう」がどくのような効果を発揮して、ポケモンチェックのたびにポケボディを持つポケモンに10ダメージが追加されるので、ジワジワとやられてしまいました。このあたりは、ポケモン・カードゲームを知らない人にはサッパリ分からないと思います。下の子もバランスのいいデッキを組み上げていました。私の目論んでいたポケモン・カードゲームの学習効果が発揮されているようです。下の写真は勝利の微笑みの下の子です。

ポケモン・カードゲームで勝った下の子

どうでもいいんですが、今日の東京ドームでの阪神・巨人戦がデーゲームだとはまったく知りませんでした。つい先ほど、5時前に知りました。おかげでボロく負けた試合を見ずに済んだのかもしれません。最終スコアしか知りませんが、想像するに、打線が点を取れずに、先発の福原投手が打ち込まれての敗戦だったんでしょう。私の本能が試合を見ることを拒否したかもしれません。明後日からは甲子園での中日戦です。やっぱり、
がんばれタイガース!

いろいろと書き連ねましたが、まあ、阪神タイガースの日記ではムリが過ぎるというものですし、お出かけの日記にしようか、ポケモンの日記にしようかと悩んだ末に、最近は出番が少ないのでポケモンの日記に分類しておきます。

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2008年4月 5日 (土)

わーはっはで巨人に連勝

今夜は予定通りに、7時からの NHK ニュースに続いて、阪神・巨人戦をテレビ観戦します。夕食中にアニキ金本外野手の目の覚めるようなホームランが出て勝利を確信します。やっぱ、頼りになります。岩田投手もよく投げました。ちょっと前に初勝利をあげたかと思えば、もう2勝目です。出来ることなら、9回も投げさせてやりたかった気がします。でも、8回には点を取られましたし、藤川投手が締めるのなら仕方ないのかもしれません。
食事を終えて、昨年のクライマックス・シリーズの前に買ってあった缶ビールを開けます。半年前のものですが、賞味期限は今年8月までですから何ら問題ありません。しかし、ビールを飲み始めるとともに、8回ウラになって、にわかに岩田投手が乱れ始めて連続ヒットを打たれましたが、危なげなく後続を内野ゴロの1点に抑え安心します。たとえ、ウィリアムス投手が戦線離脱していても、8回まで先発ピッチャーが1点に抑えて2点差あれば勝利の確率は軽く8割を超えます。
いやあー、わーはっはの勝利でした。久々のビールがおいしかったです。
これから入浴した後、お風呂から上がってから、アチコチにトラックバックを飛ばします。

明日も、
がんばれタイガース!

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ゆったりと過ごす週末にプロ野球観戦を楽しむ (予定)

今日も、朝からいいお天気で春爛漫といったところでしょうか。団地の桜はかなり散り始めています。

Monthly change in non-farm employment

今日は特に出かける予定もなく、午後から少し近くの図書館に自転車を飛ばして、我が同業者エコノミスト諸氏のリポートに目を通したりしていました。その折に、少し遠回りをして青山霊園の中を通ったんですが、レジャーシートを広げてお花見をしているグループがいました。青山墓地中央という名の交差点がある近くには、いくつかお店も出ていたようです。上のグラフの通り、米国の雇用統計が発表されて、景気後退がますます確実視されるようになっているのは認識しているんですが、週明けにでも、もう一度きちんと取り上げるかどうか考えたいと思います。今日のところは週末モードです。
と言うのは、我が阪神タイガースが好調だからです。昨夜までで6勝1敗と快調です。昨夜も巨人にボロ勝ちでした。今夜もすでに試合は始まっています。地上波では NHK が放送するらしいですが、我が家の契約している CATV では日テレG+ですでに放送が始まっています。1回表は3者連続三振で終わりました。実は、昨年のクライマックス・シリーズに備えて、まったく家ではお酒を飲まない私が缶ビールを2本買ったんですが、あっという間に中日にボロく負けて、いまだに1本我が家の冷蔵庫に残っています。今夜は久し振りにビールでも飲もうかと考えています。順調にタイガースが勝てば、もう1本エントリーを書くかもしれません。

今夜もやっぱり、
がんばれタイガース!

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2008年4月 4日 (金)

ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』(岩波文庫)を地下鉄で読む人を見かける

今日も、朝からいいお天気で、連日のように気温が上がり続けているような気がします。ランチタイムに少し遠くまで出かけたんですが、午後に役所に戻る時には汗ばむ陽気でした。もうすぐ半袖の季節が来るんでしょう。

ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』(上)ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』(下)

少し前に、地下鉄でケインズ卿の『雇用、利子および貨幣の一般理論』を読んでいる人を見かけました。カバーもかけずに、上の写真の右側の表紙の本でしたから下巻なんだと思います。左の上巻が1月に発売され、右の下巻は3月と聞いています。何と、ウワサによれば上巻は売切れ中だそうです。どんな人が買うのか知りませんが、よく売れていることを知りました。また、地下鉄の中で読んでいる人を見て、売れているんですから当然ではありますが、読まれてもいるんだと実感しました。なお、翻訳は我が母校京都大学の間宮教授だそうです。
このパラは自慢話になりますから読み飛ばしてもいいんですが、私が20年以上も前に役所に就職する際の面接を受けた時に、当然にあり得る質問として、「大学生活で自慢出来ることは何か」と尋ねられましたので、「経済学の古典を読んだことです」と答えました。さらに、想定内の質問として、では何を読んだのか、と聞かれましたので、スミス『国富論』、リカードゥ『経済学および課税の原理』、マルクス『資本論』、ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』の4冊をあげました。続いて、極めて想定外の質問としてマーシャルの『経済学原理』は読まなかったのか、との質問がありました。余りにも意外な質問だったので、少し失礼な回答をした記憶があります。失礼な回答をしても採用されたんで、それはそれでいいんですが、やっぱり、マルクスの『資本論』は意外感を持って受け止められたように記憶しています。官庁エコノミストを自称する人で『資本論』を全3巻読み通した人は少ないような気がします。なお、今でも、『国富論』と『雇用、利子および貨幣の一般理論』を読んだ時のノートは家に保管してあります。
自慢話はともかく、私が読んだリカードゥ『経済学および課税の原理』も岩波文庫で上下巻でした。また、これとは別に、ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』も岩波文庫で読んだと記憶しています。別の観点ですが、『雇用、利子および貨幣の一般理論』なんかは地下鉄で読むんではなく、私なんかはノートを取りながら読んだものですが、今は学問書というよりも教養書と見なされているのかもしれません。私はそれはそれでいいことだと考えています。控えめに言っても、少なくとも読まないよりは読んだ方がいいに決まっています。
私は10年ほど前に、国家公務員試験の経済職Ⅰ種試験の試験委員として人事院に併任されていたことがあります。当然、試験問題を作っていたわけですが、そのころに、奇問難問を避けるためと称して、経済学の標準的な教科書なんかを読み返したことがあります。一応、標準的な教科書で扱っていれば出題しても OK というわけです。それはそれで試験委員たる私にも勉強になったと記憶しています。加えて、経済学も年々進歩していますので、新たな領域の勉強も欠かせません。特に、コンピュータ技術の著しい進歩により、その昔では扱えなかったような計算も出来るようになっていますから、いろんな定量的な検定も簡単に出来るようになっています。私が大学の教養部で統計学を勉強していた時には、最小2乗法を筆算で解く方法を教わっていたりして、確かに、手計算で解くことにより原理を習熟するのにはよさそうな気もしますが、忙しい現代人には時間が足りなさそうに思わないでもありません。

話がいろいろと飛びましたが、今夜のエントリーは週末前の軽い話題として、ケインズ卿の『雇用、利子および貨幣の一般理論』が岩波文庫から出版されたのを取り上げてみました。特に、経済について評論しているわけではないので、本邦読書界の話題として読書感想文の日記に無理やり分類しておきます。

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2008年4月 3日 (木)

今夏のボーナス動向やいかに?

今日も、朝からいいお天気で、昨日よりもさらに気温が上がった気がします。午前中のうちに少し外出したんですが、上着を着て外を出歩いていると汗ばむくらいでした。

今朝の朝刊何紙かに今夏のボーナス予想についての記事が出ていました。シンクタンクや証券会社のエコノミストのリポートが基になっているようです。報道にもある通り、また、私が見た範囲でも、軒並みに今夏のボーナスは昨年より減少することが予想されており、各機関の違いは減少幅が昨年より大きいか小さいかくらいのものです。今夜は少しいつもとは違うところ、東京新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。なお、漢数字はアラビア数字に直しました。

民間調査機関4社の2008年夏の民間企業ボーナス予想が2日出そろった。原材料高や円高で収益環境が悪化していることを背景に、支給額は4社とも昨夏実績比で2年連続のマイナスと試算している。予想支給額の平均は、前年比2.8%減の39万6370円。
マイナス幅が拡大すると予想したのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、野村証券、みずほ証券の3社。米国のサブプライムローン問題に端を発した景気減速や、人手不足から正社員が増加したことによる人件費の増加が、ボーナスを引き下げる要因になっていると分析。
一方、マイナス幅の縮小を見込んでいる第一生命経済研究所は、パート社員の正社員化の動きがボーナスの下げ幅を縮小する要因となるとみている。
みずほ証券市場調査部の清水康和氏は「企業は好業績時でもボーナスの引き上げには慎重だが、景気が陰ってきたときの引き下げには機敏に動く。これでは個人消費はなかなか盛り上がらないだろう」とみている。

まず、順不同で各機関のヘッドラインの予想は以下の通りです。基本的に、民間企業の1人当たりの数字ですが、野村證券のみは毎月勤労統計ベースの計数です。なお、証券2社は顧客向けのリポートなのか、オープンなサイトにはなかったんですが、シンクタンク2社は PDF ファイルをアップしてありましたので、リンクを張っておきます。

上の引用にもある通り、第一生命経済研究所を除いて、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング、みずほ証券、野村證券の3機関は昨年よりも下げ幅を広げるとの予想ですが、4機関とも昨年よりも減少するという点については共通しています。なお、下の表は予想の一例として三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングのリポートから取ったものです。

 1人当たり平均支給額
単位: 千円 (%)
民間企業396 (▲2.9)
   製造業495 (▲3.2)
   非製造業370 (▲2.8)
国家公務員630 (+0.8)
地方公務員602 (+0.8)

公務員が民間企業に比べて高いのは、支給率の違いに起因します。すなわち、民間企業ではボーナスが全員に支給されるわけではなく、パートやアルバイトの非正規雇用の社員には支給されない場合があるのに比べて、公務員はほぼ全員にボーナスが支給されます。同様に、製造業よりもパート・アルバイト比率の高い非製造業の支給額が低くなっているのもこれが一因です。
ボーナスが減少する第1の理由は、企業業績です。先日の日銀短観では増収増益の見込みが出ていますが、この先の見通しは悪化しています。第2の理由は、失業率の上昇や有効求人倍率の低下などに現れているように、雇用の需給が緩和していることです。第3の理由は、第2の理由の別の側面ともいえますが、パート・アルバイトなどの非正規雇用の比率が高まっているからです。要するに、景気拡大が続いて人で不足から賃金が上昇するという、日銀メカニズムの破綻はここでも見られます。加えて、第4の理由に上げようとは思いませんが、グローバル化などが進む中で、企業が従業員への給与よりも株主への配当を重視する姿勢を鮮明にしていることも背景に上げられるかもしれません。
問題はこのような所得条件が個人消費にどのような影響を及ぼすかなんですが、そもそも今まで、所得が伸び悩む中で生活水準を維持するため、消費性向の上昇により消費がそこそこの水準を維持して来たという事実があります。要するに、かなりムリをして所得を消費に回して来たわけです。この消費性向上昇のサステイナビリティについては議論が分かれるところです。極端な例を持ち出せば、少し前までの米国では貯蓄率がマイナスに突っ込むような消費を続けていたことも事実です。さらに、2月21日の1次EQを取り上げたエントリーでも触れましたが、1-3月期はうるう年効果で消費は強めに出ることが明らかですし、その後も、もしも、北京オリンピックが何らかの消費増大効果を持つことも考えられます。しかし、秋口以降の消費については未知数と言わざるを得ません。企業も家計もセンチメントはかなり悪化していますし、所得環境が改善しなければ、急激な景気の悪化も考えられなくもありません。上の引用にあるみずほ証券の清水さんの指摘もうなずけるところがあります。

昨日、米国連邦準備制度理事会 (FED) のバーナンキ議長が米国議会上下両院合同経済委員会 (Joint Economic Committee) での証言の後の質疑応答で、景気後退の可能性を否定しませんでした。もっとも、私を含めて多くのエコノミストがすでに米国は景気後退に入っていると考えているんですから、当然と言えば当然なんですが、このように、米国が本格的な景気後退に入る中で、日本の所得環境も悪化が続くようなことになり、外需に続いて消費の底割れが生じるような事態になれば、日本も景気後退局面入りが避けられないことになりかねません。

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2008年4月 2日 (水)

アジア開発銀行の経済見通し "ADO 2008"

今日も、朝からいいお天気で、昨日よりもさらに気温が上がった気がします。特に、昨日より風が弱まったので、体感気温はグンと上がりました。段々と春から初夏の気候に向かっているようです。

アジア開発銀行から "Asian Development Outlook (ADO) 2008" が発表されました。2007年の実績の8.7%成長より少し落ちるものの、日米欧の景気減速や原油価格の上昇などをものともせずに、2008年も7.6%成長するとの見通しです。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

アジア開発銀行(ADB)は2日、アジア地域(日本など域内先進国を除く)の2008年の実質国内総生産(GDP)が前年比で7.6%成長するとの見通しを発表した。昨年9月に上方修正した見通しを今回0.6ポイント下方修正した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した米国など先進国の景気減速や、原油や食糧価格の高騰に伴うインフレ加速などの影響を織り込んだ。中国とインドがけん引役となる形で全体としては堅調さを保つともみている。
今回の見通しは、07年実績(8.7%)も1.1ポイント下回る。日本、米国、欧州の先進国の08年の成長率は1.5%と前年より0.8ポイント低くなると予想。先進国経済の減速で、世界の貿易量は07年の7.5%増から7%増に鈍化する。これに伴い、アジアから先進国などへの製品輸出は13.1%と前年に比べ4ポイント伸びが低下、アジア経済の成長率に影響するとみている。サブプライム問題の影響は「09年初めまで続く」と指摘した。

アジア開発銀行経済見通し

リポートの最初に登場するサマリーのグラフは上の通りです。さらに、章別構成は以下の通りです。

  • Highlights
  • Part 1: The Global Slowdown and Developing Asia
  • Part 2: Workers in Asia
  • Part 3: Economic Trends and Prospects in Developing Asia
  • Part 4: Technical Note

もちろん、これに統計表などが付属します。全部で300ページ近い英語のリポートですから、私も全部読もうとは思いませんが、いずれにせよ、結論としては、先進諸国が米国に端を発するサブプライム・ローン問題から成長を大きく減速、あるいは、景気後退に入ったとしても、アジアへの影響はそれほど大きくない、との見通しのようです。ただし、うえのぐらふからは不明瞭なんですが、引用にある通り、2008年の成長率は2007年よりも1.1%ポイント低下しますし、昨年9月に発表した前回の見通しよりも0.6%ポイント引き下げていることも事実です。また、2009年は今年よりも少し成長が加速して7.8%になるとの見方です。
今年1月15日付けのエントリーで紹介した通り、アジア開発銀行の黒田総裁は "Financial Times" のインタビューに答えて、明らかにデカップリング論を reject していたわけですから、米国経済が明らかに景気後退に入った現時点でも、アジア経済だけは高成長が続くとの見通しには疑問がないでもないんですが、かなり見通しを引き下げていますから、先進国の景気減速や景気後退を織り込んで、なお、少年期にあるアジア経済は何があっても成長するのかもしれません。その証拠というわけではありませんが、Part 1 には "The uncoupling myth: The G3 slowdown and developing Asia" と題する節を設けて、VAR モデルを組んで、先進諸国の小売販売が減少した場合のアジア新興国の輸出へのショックを計測したりしています。米国の小売販売の減少は中国にもっとも大きな効果を持ち、ユーロ圏は台湾、日本はインドネシアとの結果を得ています。とっても likely な結論だという気がします。そして、結論として、"Evidence suggesting that Asia has 'uncoupled' from the global economy is scant." としています。もっともです。また、Part 1 の最後では先行きリスクとして、一次産品価格の高騰とそれに由来するインフレを上げています。Part 1 に続く Part 2 では "Workers in Asia" と題して、アジア労働者のスキルなどを分析しているようですが、今日のところはそこまで目が届きませんでした。

何かの折に取り上げたかもしれませんが、かつての日本と同じで、今は中年を過ぎてしまった日本や老齢期に入りつつある欧州なんかと違って、アジアはまだまだ少年期にあり、政府や中央銀行の政策動向、あるいは、多少の外的条件をものともせずに成長を続けるのかもしれません。

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2008年4月 1日 (火)

3月調査の日銀短観をどう見るか?

今日は、朝からいいお天気で昨日よりも気温が上がりました。でも、北風が強くて、そんなに暖かというほどでもありませんでした。雨だった昨日と違って、花粉が強い風に乗ってワッと飛び始めたような気がします。

昨日、日銀の見学に行ったからというわけでもないんですが、今日も日銀の話題です。と言うのは、今日、3月調査の日銀短観の結果が発表されました。ヘッドラインの大企業製造業の業況判断 DI は2四半期連続で悪化して、+19から+11となりました。市場予想の範囲内とはいえ、ほぼ下限と見なされています。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事と引用すると以下の通りです。

日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス11と、昨年12月の前回調査から8ポイント低下した。円高や原油高などが響き2・四半期連続の悪化で、2003年12月調査以来、4年3カ月ぶりの低水準となった。海外経済などの不透明要因も重なり、企業は景気の先行き警戒感を一段と強めている。
企業の業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。大企業製造業のDIは市場予想(プラス13)を下回り、低下幅は05年3月以来、3年ぶりの大きさだった。

日銀短観業況判断DI

上のグラフはヘッドラインの規模別・業種別の業況判断 DI の推移です。少なくとも、企業マインドはなかりハッキリと反転しており、景気転換局面に向かっていると見なすことも出来ると私は考えています。先行き DI が大企業製造業ではさらに下がって+7となるとの結果ですから、教科書的に DI が上からゼロのラインを切る景気転換点はもう少し先かもしれませんが、方向としては景気転換局面に突き進んでいることは明らかです。なお、ついでながら、上の引用に「4年3カ月ぶりの低水準」とありますが、DI ですから水準を議論するのは意味がないと私は考えています。方向を議論すべきだと思います。

日銀短観設備投資計画

日銀短観について、もうひとつの暗いニュースは2008年度の設備投資計画がマイナスで出ていることです。上の表の通りです。GDP 統計に合わせて土地を除いてソフトウェアを含むベースの計数です。全規模全産業で2008年度にはマイナスとなり、▲1.8%となっています。プラスは大企業非製造業だけで、中小企業は軒並み2桁マイナスとなっていることが読み取れます。設備投資循環が反転するのはもう少し先だと私は考えていたんですが、ここで設備投資循環まで転換局面を迎えることになると、日本も本格的な景気後退に突入する可能性も否定できません。設備投資については先行き期待が大きな役割を果たしますから、短観のようなソフトデータは重要な判断材料となります。
グラフや表として取り上げることはしませんでしたが、売上げや経常収益については、依然として増収増益を見込んでいる企業が大きな部分を占めているような結果が出ていますし、雇用判断 DI も引き続き人手不足感を示すマイナスとなっています。それから、貿易の比率が高いと言う意味で大企業製造業だけを対象としているんですが、事業計画の前提としている想定為替レートは、2008年度上期が109.56円/ドル、下期が108.86円/ドル、通期で109.21円/ドルとなっています。相場の話ですから私も確たることは言えないんですが、為替の見通しが甘いと評価する向きもありそうな気がしないでもありません。
結論として、今回の日銀短観の調査結果は近い将来の景気転換局面入りを強く示唆していると私は受け止めています。2年前の量的緩和解除の際に日銀が持ち出した「新たな金融政策運営の枠組み」のうちの第1の柱はほぼ完全に崩壊したと考えられます。要するに、最も蓋然性が高いと判断される見通しは、物価安定の下で持続的な成長の経路をたどっていない、と私は判断しています。日銀が想定していたように、好景気が企業活動から家計へ波及し、特に、賃金上昇から物価上昇につながる好循環メカニズムは機能せずに景気循環を終える可能性が高いと考えられます。この上、可能性はとっても低いんですが、もしも、日銀が第2の柱として表明している、「より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検」した上で、カギカッコ付きの「金利の正常化」を今後も進めるのであれば、景気は完全かつ早期に転換局面を迎えることは確実だと考えられます。

このブログの3月17日付けのエントリーで言及した東京大学林教授のホームページにあった「日銀総裁・副総裁: 私の提案」は削除されてしまったようですが、「景気が悪ければ、金利を下げるのは当たり前でしょう」といった趣旨の主張が含まれていたように私は記憶しています。糊しろは小さいとは言え、金利引下げが考慮されて然るべき局面だという気がします。

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