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2008年4月16日 (水)

霞が関埋蔵金論争の論点について考える

今日も、朝からいいお天気でした。気温も昨日よりもさらに上がりました。でも、西日本からお天気は下り坂で、東京も明日は雨が降るとの天気予報です。お天気は周期的に変化しているようです。

少し軽い話題が続きましたので、経済評論もひとつ取り上げたいと思います。というのは、今朝の朝日新聞などの朝刊で見かけたんですが、財務省の外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会の積立金が円高でほぼゼロになっていると、昨日の参議院財政金融委員会で額賀財務大臣が表明した、との記事がありました。新聞各社のサイトにはなかったので、ロイターのサイトから記事の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

財務省によると、急速な円高の進行に伴って、外貨準備の評価損が外国為替資金特別会計(外為特会)の積立金とほぼ同じ額まで膨らみ、積立金が差し引き(正味)ほぼゼロにまで減少している。円高がさらに進行すれば、積立金で評価損を補えない、いわゆる「債務超過」に転じることにもなり、そうした事態が長期化すれば、負債である政府短期証券(FB)での資金調達に支障が生じる可能性も否定できないという。
外為特会なんかは典型的にドル債権と円債務の両建てで存在するので、今夜のエントリーのタイトルにした霞が関埋蔵金論争よりは、いわゆる SWF (Sovereign Wealth Fund) の議論があるだけですが、私なりに注目しているところです。霞が関埋蔵金に関する議論とこの外為特会の報道された事実の関係は後で明らかにするつもりです。

さて、霞が関埋蔵金論争について、本論に入る前に、最初に申し上げておきますが、私は制度的な面には強くないものの、霞が関埋蔵金はかなりの額で存在していて、大雑把にグロスの国債残高の半分程度はあるんではないかと直感的に感じていますし、積極的に活用すればいいと考えています。私の基本的な考え方を明らかにした上で、極めて乱暴に分類すれば、財政タカ派とハト派で以下のようになるんではないかと考えています。もちろん、財政とは別の方面からタカだ、ハトだといった「そういうラベルは鳥に可哀想」との声もありますし、そんなにクリアに分類できるものではないことは十分理解した上で、私が大雑把に感じている印象をあえて表にすれば以下の通りではないかと思っています。

 財政タカ派財政ハト派
財政再建の方法論増税などによる歳入増を重視経済成長や歳出削減を重視
霞が関埋蔵金の考え方存在しない存在する
積極活用
財政赤字の捉え方グロス資産を差し引いたネット

上の表の2行目の「財政再建の方法論」による分類については、そもそも、1行目の「ラベル」である財政タカ派とハト派の定義のようなもんですから、これでいいんではないかと思いますし、3行目の「霞が関埋蔵金の考え方」についても、こんなもんではないかと思わないでもありません。問題は私がシラッと入れた4行目です。毎年のフローの赤字額は別にしてストックで考えると、財政タカ派は財政赤字を国債残高のグロスで捉えて、財政の赤字が大きいと言い張り、やや増税に傾いた議論を展開するのに対して、財政ハト派はまさに霞が関埋蔵金の資産をグロスの国債残高からネットアウトしてネットの債務残高に注目しているように私には見えます。
まず、財政タカ派の立場からすれば、霞が関埋蔵金を否定して活用することなく、グロスの国債残高を大きく見せておけば、やや増税に傾いた議論を展開しやすい、という見方は出来ます。しかし、財政ハト派からすれば、何らかのフローの歳出の財源として、霞が関埋蔵金を取り崩して資産を圧縮しようと、国債を発行してグロスの債務残高を増加させようと、理論的にはネットの財政赤字のストックは変わらないハズです。ハト派の主張する霞が関埋蔵金の積極利用の論拠は、ネットの財政赤字残高に注目する限り、そんなに強くないようにも見えます。
私が勝手に作った上の表に従えば、私は圧倒的に財政ハト派に分類されるんですが、理論的にはネットの財政赤字残高が不変であっても、私は霞が関埋蔵金を取り崩してグロスの財政赤字ストックを削減することが実際上の観点から必要だと考えています。それは、グロスの財政赤字ストックを小さく見せて増税論議を牽制する以上に、最初に引用した外為特会のようなリスクを小さくする効果があるからです。ここで、霞が関埋蔵金と外為特会の報道がリンクします。すなわち、霞が関埋蔵金を活用して両建てでグロスの債務と資産を縮小させることは、資産と負債の価格変動リスクを小さくする効果があるからです。理論的にはネットの債務残高は変わらなくても、現実の経済はダイナミックに変動していますから、両建てで負債と資産を積み上げるのは、価格変動が生じた場合のリスクに弱いといえます。価格変動リスクの源泉は外為特会のように為替相場の変動の場合もありますが、圧倒的に、金利リスクが大きいと私は考えています。もちろん、私が入居しているような公務員住宅については、経済変動の外からの要因かもしれませんが、地震や火事などによる滅失リスクも考えられないわけではありません。個人的には、私が入居している公務員住宅だけは売り払って欲しくないと考えないでもありませんが、お国のために働く国家公務員ですから、そんなことをホザいていてもしょうがないと諦めています。

少なくとも、財政ハト派の議論で霞が関埋蔵金を活用すればグロスの財政赤字ストックが減少するという論点は、かなり根拠薄弱だと私には見受けられます。霞が関埋蔵金を活用する観点からは、私のホームグラウンドである霞が関に対する感情的な反感を煽るのではなく、経済学的に正当な議論を展開することが重要だと私は考えています。もっとも、私がこの観点からの議論を見落としているのかもしれません。

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