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2008年5月31日 (土)

下の子と将棋教室に行く

今日も、朝からが降りました。朝のうちの方が降りが強くて、段々と時間の経過とともに弱い雨になって、明日はいいお天気になるとの天気予報ですが、少なくとも外出先から帰宅した4時過ぎまではカサの必要な降りでした。気温は昨日と同じように上がりませんでした。

今日は午後から出かけます。おにいちゃんは腕時計が欲しいと言うので、女房に連れられてビックカメラに行きます。いろいろと物色した末に、カシオ G Shock のデジタルを買いました。私は下の子を連れて将棋教室に行きます。将棋会館道場のビギナーズセミナーの講師をしている天野三段のお誘いです。天野将棋教室の第2回目だそうです。下の写真は天野三段の指導を受ける下の子です。

将棋教室で天野三段の指導を受ける下の子

下の子はすでに2回ほど将棋会館道場のビギナーズセミナーで天野三段の指導を受けていますので、今日の将棋教室で3回目になります。天野三段は将棋会館道場ではスーツにネクタイ姿なんですが、今日はTシャツにジーンズとリラックスした服装でした。天野三段と下の子が対局した最初の1回目は10枚落ち、すなわち、天野三段の方は王さまの他は歩が一列だけでした。2回目は8枚落ちで、歩の一列と王さまの横に金が付くようになりました。とうとう、今日の3回目は6枚落ちで、金に加えて銀も付きました。その上で、やっぱり、下の子が勝ちましたので大喜びの大得意でした。我が家の子供の他にも、2人ほど小さいお子さんがいましたが、他の大人の方ばかりで、女性の方が男性より多いように見受けました。対局では、その手はよくないので、コチラの方がいいとか、いわゆる「待った」を入れながら、指導を受けますので、当然ながら、特に我が家のような初心者の小学生相手では、指導を受ける方が勝つように出来ている気もします。でも、帰りの電車で、6枚落ちで三段に勝つとどれくらいの級になるのかと聞かれましたので、小学生なんかは勝って気分をよくしてもらうのも指導のうちなんだろうと思います。なお、何級に当たるのかは、その方面の知識のない私には答えられませんでした。

将棋教室とは関係ありませんが、渋谷駅はものものしい警備体制でした。いつからこうなったのか知りませんが、霞が関から総理大臣官邸に行く道みたいで、要所で警官が台の上に登って警戒をしていました。サミットが近いからなのか、TICAD の関係なのか、少しびっくりしてしまいました。

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2008年5月30日 (金)

本日発表されたいくつかの経済統計から

今日も、朝からが降ったり止んだりで、少なくとも午前中はカサが手放せませんでした。昼前に雨は止んだものの、気温は下がり続けているようで、今日なんかは外を出歩いてもそんなに汗をかくこともなく、逆に、少し肌寒く感じるほどでした。役所では来週からのクールビズに対するお達しのメールが送られて来たんですが、このまま気温が上がらないと長袖で始めることになるのかもしれません。

今日はいくつか経済統計が発表されました。このブログで取り上げようと考えている順に、鉱工業生産、労働力調査、消費者物価なんですが、家計消費なども公表されています。今夜のエントリーでは、今日発表された最新の統計だけでなく、少し長い目で見た経済の動きについて注目したいと思います。

鉱工業生産指数の推移

最初にまず、鉱工業生産を見ておきたいと思います。上のグラフの通りです。季節調整済みの月次の系列です。繰返しになりますが、米国では雇用 ⇒ 所得 ⇒ 消費 ⇒ 生産の景気のサイクルが見られるのに対して、日本では生産 ⇒ 雇用 ⇒ 所得 ⇒ 消費のサイクルのシークエンスですから、GDPに占める比率が 1/4 程度とは言え、日本の景気循環のシークエンスで占める生産の位置は重要です。と言うことで、1-3月期のGDP統計で年率3%を超える成長が記録されてはいるんですが、グラフを見る限りは昨年10-12月期をピークにして、今年の3-4月は下落しています。ここで参照すべきは2004年後半から2005年にかけてのいわゆる景気の踊り場の局面です。この当時は2000年の旧基準だったんですが、現在の2005年の新基準で見ると、2004年7月の100.4をピークに2004年12月の97.6まで下がり、2005年1月に99.8へ戻した後、2005年10月の99.8までほぼ横ばいの状況となります。その後、グラフで見る通り、再び上昇局面に戻っています。軽くまとめると、半年ほど下落局面があった後、1年近くの横ばいが続いて、その後は上昇局面に戻るという形になっています。ですから、このまま景気後退局面に入るのかどうかについては、ongoing の鉱工業生産指数の下落がいつまで続くのかを見極める必要があると私は考えています。現時点では、2004年後半から2005年にかけてと同様に踊り場で終わるのか、それとも、景気後退局面に進むのかは即断できないと私は見ています。

失業率と失業者数の推移

失業率も再び4%台に乗りました。上のグラフの通りです。私が少し注目したのはグラフから明らかですが、失業者数が増加に転じたことです。グラフは引用しませんでしたが、有効求人倍率は4月には 0.93 と 前月の 0.95 よりも 0.02 ポイント悪化し、一昨年2006年7月の 1.08 をピークにゆっくりと悪化して来ているのは以前にも取り上げたかと思います。有効求人倍率は景気動向指数 (DI) の一致系列に採用されていますから、これだけを見ると景気後退局面に入っている可能性もありますが、日銀短観などのマインド調査のソフトデータによれば、まだまだ雇用不足感は存在しますので、一概には何とも言えない状況が続いていると私は考えています。

全国コア CPI の財別寄与度分解

最後に消費者物価です。4月は広く知られた特殊要因、すなわち、ガソリン暫定税率が1ヶ月だけ廃止と言うか、中断されたため、前月3月の前年同月比の1.2%の上昇から少し下がって0.9%となりました。上のグラフの通り、黄色のエネルギーの寄与度も引き続き大きいんですが、最近半年くらいでは食料品の寄与度が目立って高まっています。上のグラフではピンクの非耐久財に区分されています。この背景は、言うまでもなく、エネルギーとともに穀物などの商品価格が上昇しているからです。

Long-term food prices at OECD-FAO Agricultural Outlook 2008-2017

穀物などの食料品価格については、昨日、経済開発協力機構 (OECD) と国連食糧農業機関 (FAO) が合同で、"OECD-FAO Agricultural Outlook 2008-2017" を発表しています。OECD 東京事務所が日本語のサマリーも公表しています。上のグラフの通りです。これによれば、この先10年くらいは食品価格は高止まりを続けるようです。しかし、私の見方ではエネルギー価格とともに食品価格も落ち着いてくれば、一定のタイムラグを伴って一般物価水準の上昇につながるでしょうから、その落ち着いた段階で、第1に、どの水準で落ち着くのかはもちろん、第2に、どのような世界的相対価格体系が形成されるのか、が注目点だと思います。私が勝手に定義した広義にせよ、通常の意味の狭義にせよ、エンゲル係数が高い国や家計を直撃する物価上昇ですから、エンゲル係数の高低に従った格差が広がる方向にあるのは確かであろうと考えています。さらに、マクロで考えても、私は従来から日本の個人消費は年央くらいまで底堅く推移すると見通していたんですが、物価上昇により消費のダウンサイド・リスクが高まったと受け止めざるを得ません。

いろんな同僚エコノミストとお話していると、日本経済の先行きの見通しはエコノミストに聞くより、商品市況のアナリストに聞いた方が正確ではないかと思わないでもないんですが、いずれにせよ、引き続き景気判断の難しい局面にあることは間違いないと私は考えています。

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2008年5月29日 (木)

html エディタを探す

今日は、朝からでした。ほぼ1日中降り続きました。気温はここ2-3日に比べて上がらなかったんですが、湿度が高くて出歩くと蒸し暑かったです。

私のブログ以外に、我が家では独自ドメインでホームページを運営しています。かわいい子供達の写真を中心にしたアルバムです。とってもかわいいので世界に広めたいと思っています。このため、このブログのサイドにもリンクを置いてあります。冗談は別にして、ホームページを運営しているわけですから、ブログほどお手軽ではなく、デジカメ写真を用意するほかに、html ファイルを作成して ftp クライアントでリモートのサーバにアップロードする必要があります。それなりに手間はかかります。1年余り前の2007年2月5日の「FrontPageは発売終了」と題するエントリーで取り上げた通り、昨年の6月に Windows Vista に買い換えるまでは、Microsoft の FrontPage という、それなりの高級な html エディタを使っていたんですが、その後、html エディタのいいのを探していました。しかし、これまた昨年2007年7月25日のエントリーに書いた通り、html 4.0 の非推奨タグとの関係で、WYSIWYG エディタはどんなタグを使っているかが判然としないので不安もあって、結局、大昔の方式に戻って、テキストエディタを使って html を編集することにしました。最近では先週末に小学校の運動会がありましたので、そのアルバムを作成しました。コチラにあります。
しかし、フツーのテキストエディタを使っていて、もっとも不便なのは文法チェックをしてくれないことです。私は html に関する知識は十分にあるつもりでしたし、ブログの css を書き換えて見た目をカスタマイズするくらいはお手の物で、昨年2007年8月27日付けのエントリーで紹介したように、Google Maps なんかも自由自在なんですが、最近も、運動会のアルバムを作成した後で、トップの index.htm ファイルでトンデモない文法ミスを発見して、書き直したりしていました。人間のやることにミスはつきものです。でも、ブラウザの方では好意的に解釈してくれていたのか、見た目は変わりありません。さらに、私は BASIC で少しプラグラムを組んだりもしますので、ソースの見た目は重要だと思っています。職場の同僚のホームページを教えてもらって、いきなり右クリックでソースを見たこともあります。ですから、文法チェックをしてくれるタグ挿入式の html エディタを探しています。必要と考える条件はたくさんあるんですが、取りあえずは以下の通りです。

  1. 文法チェック
  2. タグ=要素や属性を色分け
  3. sjis 以外の文字コードに対応
  4. 別窓でもいいのでブラウザと同じようなプレビューが出来る
  5. 出来れば、SDI よりもタブ式の MDI

現在は、SDI ながら、フリーソフトのCrescent Eve がいいのかもしれないと思い始めているところなんですが、いろいろと探している最中です。どなたか、オススメがあれば教えて下さい。

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2008年5月28日 (水)

公務員制度改革で天下りはなくせるか?

今日も、朝から雲が多かったものの、まずまずいいお天気でした。夕方にはさらに雲が厚くなった気がします。気温はそんなに上がりませんでしたが、湿度が高くて蒸し暑く感じました。

昨夜、与党と民主党の間で急転直下で国家公務員制度改革基本法案に関する合意が成立し、今国会の会期内に成立する運びとなったと報じられています。まず、少し長くなりますが、我が家で購読している朝日新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

今国会成立は困難と見られていた国家公務員制度改革基本法案が会期内に成立する見通しとなった。自民、公明の与党と民主党が政府案を修正して議員立法で成立させることで歩み寄った。28日にも衆院内閣委員会で可決、29日の衆院通過を目指す。
自民、公明、民主3党の実務者は27日、国会内で協議し、修正内容について基本合意した。28日に3党の幹事長・国会対策委員長会談を開いて最終合意し、今国会で成立させる方針を確認する。
基本合意では、人事を一元化する「内閣人事庁」や政治家と官僚の接触のあり方を巡り、与党が民主党に譲歩した。政府案では幹部人事の原案は各省庁がつくり、内閣人事庁が適格性を審査するとし、省庁に人事の主導権が残る可能性があった。だが、修正案では民主党が求める「内閣人事局」を設け、官房長官が人事案を作成するとした。
政官接触については、政府案は新設する「政務専門官」を除き、公務員の国会議員への接触を「大臣の指示」がある場合などに制限していた。しかし、野党側に都合の悪い情報を出さない口実とされかねないとする民主党の反対に配慮し、制限規定を削除。代わりに、接触した場合は内容を記録して情報公開を徹底することで透明化を図ることにした。
一方、民主党はこれまで「天下り禁止」と「労働基本権の拡大」の2点の修正要求が受け入れられない限り、政府案に反対する方針だった。
しかし、「天下り禁止は政権交代してから実現すればいい」(幹部)として、基本法案に盛り込まないことを容認。労働基本権については、非現業の公務員に認められていない協約締結権について、「検討する」とした政府案を、「措置する」と表現を強めることで折り合った。
会期末まで3週間を切ったこの段階で、民主党が与党に歩み寄った背景には、労働基本権付与の問題を少しでも前進させたい連合の意向や、「改革つぶし」と批判されることへの懸念があった。一方、政官接触の制限などを巡って党内に異論を抱え、早期成立に積極的でなかった自民党側も、福田首相が今国会での成立を指示したことから、政府案を大幅に修正しても民主党との妥協を優先する姿勢に転じた。
修正案によって、公務員制度改革がどこまで前進するかは、今後の詳しい制度設計などにもかかっているが、縦割りの弊害を排除するための人事管理については政府案より前進したといえる。一方、不正や税金の無駄づかいの温床と批判される天下り問題は手つかずだった。

公務員制度改革については幹部人事の管理、政官接触のあり方、労働基本権など、いろんな論点があるんでしょうし、事実関係は報道に譲るとして、今夜のエントリーではタイトルの通りに天下りに焦点を絞りたいと思います。私の考える論点はたったひとつで、合理的な解決方法もひとつだと考えています。たったひとつの天下りの論点は、長期雇用制度の下での OJT とスキルの形成です。日本の場合は、最近は大きな変化が見られるとは言うものの、長期雇用が続いて来た中で、企業特有の職業文化が形成されており、必要とされるスキルが企業ごとに違っているということを意識する必要があります。作っているものが、例えば、自動車と同じであっても、トヨタとホンダとニッサンなんかでは必要とされるスキルが異なる場合が少なくないと私は考えています。技術分野では汎用性が高い場合もあるでしょうし、事務分野でも会計なんかは違いは小さそうな気がしないでもありませんが、人事なんかは企業ごとに必要とされるスキルが異なり、汎用的なスキルは必ずしも確立されていないように見受けられます。それでも、民間企業であれば、競合する同種の財を作っていたり、似通ったサービスを提供している場合もあり、同業他社や違う業種でもスキルが活かせる部署に転職する例もあり得るんでしょうが、独占的な公共サービスを提供している官庁の場合はそうはいきません。極端な例ですが、警官の職務を遂行する上で拳銃の射撃のスキルは必要とされる場合もあるものの、再就職先の民間企業では絶対に評価されないと私は考えています。かなり市場原理主義者に近い私でも、市場で供給されない公共財を提供するのに必要な公務員のスキルを市場価格で測ることはムリだと思います。しかし、それでも、再就職させることが必要であれば、この前提が重要なので繰り返しますが、もしも再就職させる必要があるのであれば、何らかのお土産を付けての天下りということになるのかもしれません。なお、付言すれば、一部の大企業なんかでは官庁の天下りに近い形で関連企業なんかに再就職している例もありますが、これは自分の企業の利益の範囲でやっていることですから、税金でやっている官庁と同列に論じるべきではありません。組織に特有のスキルを必要とされるのであって、しかも、組織が独占的かつ市場では供給されないサービスを提供していて、さらに、繰返しになりますが、再就職させる必要があるのであれば、何らかのお土産を付けて天下りするのも合理的な面があることは否定できません。
しかし、この前提とした再就職の必要性に私は疑問を持っています。もっと明快に言えば、官庁の天下りを廃止する唯一の合理的な方法は定年まで雇用を継続することだと私は考えています。もちろん、少子高齢化の流れの中で定年延長も含めるべきであることは言うまでもありません。この場合、問題とされるのは給与負担の問題ですが、私は解決可能だと考えています。もっと大きな問題は後で取り上げますが、給与負担については、第1に、民間企業などと同様に、一定の年齢で昇給をストップする制度が官庁にもあるわけですから、そんなに大きな額にはならないような気がします。第2に、もしも、官庁の外の市場では何のスキルも発揮できない公務員が、100%のお土産で天下りしているのだとすれば、そのお土産分の予算を削除することが可能です。昔は特殊法人と称していた独立行政法人や社団・財団などの公益法人に対する予算を削減すれば給与経費が捻出できるのではないでしょうか。その場合、天下り公務員を受け入れることで事業が成り立っている組織のプロパー職員がもっとも大きな影響を受けることになるのかもしれません。例は悪いかもしれませんが、道路公団のファミリー企業なんかを想像する向きもありそうな気がしないでもありません。少なくとも、給与負担について考える場合、日本の公務員は政府系企業まで含めても、人数や人件費は一国全体の人口や経済規模から見て、先進諸国の中でかなり小さい方だという事実は認識しておく必要があります。例えば、内閣府から野村総研に調査を委託した「公務員数の国際比較に関する調査」なんかでも明らかです。むしろ、雇用を定年まで継続する際に、私が最も懸念するのは給与負担ではなく、若手公務員の士気の問題です。現時点で、ある程度の職階に達している場合は別にして、もしも、定年まで雇用を延長することにより、昇進のスピードが遅くなるのであれば、若手公務員の士気を殺ぐことにもなりかねません。昇進のルートを複線化するなどの方策も考えられなくもありませんが、それはそれで問題が残りそうな気がします。いずれにせよ、人間に大いに関係する制度改革なんですから、余りに急速に進めるのではなく、漸進的に執り行う必要があることは言うまでもありません。

私は広くプロファイルを公開しているように、キャリアの国家公務員です。自慢話で恐縮ですが、上級職試験に合格しただけでなく、人事院に併任されて試験委員を務めたこともあります。公務員制度改革のモロの当事者ですから、自分では意識せずにバイアスのかかった見方をしているかもしれません。また、どの政党の案に近いのかもよく知りませんし、少なくとも、それを知った上で、その政党に近い意見をプロパガンダしようという意図はありません。いろんな立場の違いによっても、いろんな考え方があるんだろうと思います。まじめなコメントやトラックバックは大いに歓迎しますが、管理者の目から見て不適当なものは削除させていただきます。そのあたりは個人的に運営しているブログなんですから、管理者の特権というものです。

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2008年5月27日 (火)

明日から始まる TICAD IV (アフリカ開発会議) に期待する

今日は、朝からいいお天気の五月晴れでした。気温もかなり上がったようなんですが、昨日よりも北風が強くて、湿度が低かったので体感気温はそれほどでもありませんでした。なお、まったくどうでもいいことですが、今週号の "AERA" が私の席に回覧されて来たんですが、表紙はオグシオでした。大ファンの私は感激してしまいました。北京オリンピックでもがんばって欲しいです。ゴーデンウィーク明けの週末の5月10日に写真展「AERA創刊20周年記念 坂田栄一郎 LOVE CALL - 時代の肖像 -」を見に行って、阪神タイガースの選手や監督などの写真が見当たらなかったと不満を書きましたが、やっぱり、"AERA" の表紙のセンスや坂田栄一郎さんの腕前を再評価しています。好みの対象が取り上げられると大喜びするだけの単純な精神構造だったりします。

TICAD (アフリカ開発会議) ロゴさて、オグシオや "AERA" から離れて本題に入ると、明日から横浜で TICAD IV が開催されます。国連開発計画のサイトに日本語のパンフレットがあります。日本語では、アフリカ開発会議とか、アフリカ・サミットと訳されていますが、私はそのままアルファベットを読み下して「タイキャッド」と呼ぶんではないかと思っています。もっとも、昨夜の NHK ニュースではアナウンサーさんが「ティカッド」と言っていました。私個人の考えとしては、まあ、読み方は「タイキャッド」でも「ティカッド」でもいいんですが、やっぱり、"TICAD" と表記すべきではないかと思っています。と言うのは、"TICAD" は "Tokyo International Conference on African Development" ですから、数少ない日本の都市名を冠した国際会議なので、日本の国際的なプレゼンスを考えると "TICAD" と表記する方が好ましく思います。"Tokyo" が冠されているにもかかわらず、ロゴにもあるように横浜での開催なんですが、まあ、グレーター東京ということで理解すべき気もします。実は、このような観点で、TICAD と表記すべきと考えていると、あるメディアの方に言ったら、メディアの方も「アグリーです」ということでした。名称はともかく、また、今回の会議にかこつけて、アフリカの資源を目当てに、とか、あるいは、国連の常任理事国入りのためのアフリカ諸国の支持取付け、なんかを取り上げる向きもないではないし、私も3年間だけですが外交官をした経験がありますから、理解しないでもないんですが、現在の世界経済情勢からして、アフリカ諸国を支援する必要性についても理解を深めるいい機会ではないかと捉えています。まず、海外の報道振りを見るため "Financial Times" のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

Junichiro Koizumi, prime minister in 2003 when Japan last hosted an African gathering, managed to meet 23 African leaders virtually back to back. According to local media, Japan’s most dynamic prime minister in years found the experience exhausting and said he would not want to repeat it.
This week, Yasuo Fukuda, at 71 a full 10 years older than Mr Koizumi was then, plans to go one better. Over three days he will hold 17 hours of bilateral talks with 45 African heads of state, prime ministers and vice-presidents during the fourth Tokyo International Conference on African Development (Ticad IV).
Mr Fukuda, who last week promised to double Japan’s annual aid to Africa to $1.8bn (€1.1bn, £900m), is seeking to spread the message that Japan can be a valuable partner in Africa.
At stake is more than merely the prestige that Tokyo is hoping to gain as a proactive, responsible leader on the world stage.
Japan also hopes to court African leaders for their votes at the United Nations, important if it is to realise its long-held ambition of a permanent seat on the UN Security Council. Not least, it wants to maintain or increase access to the minerals, rare metals and oil that are growing scarcer - and more expensive - as rivals, particularly China and India, compete for the resources they need to industrialise.

さて、現在の世界経済情勢から見て、アフリカ支援を促進すべき理由は私なりに考えて2点あると思います。第1に、アジアや中南米の諸国がかなりの程度に経済発展を実現して来たのに比べて、相対的にアフリカ諸国は開発が進んでいないように見えるからです。その昔は「暗黒大陸」と呼ばれていたような気もします。最近時点での中国やインド、あるいは、中南米でのブラジルなどの新興国の経済成長は目覚しく、地域としてもアジアや中南米はいわゆるテイクオフを済ませつつありますが、アフリカ諸国では少数の産油国を除いて、特に、サブサハラ諸国などではテイクオフに至っていない国もかなり残されているように見受けられます。もちろん、中南米にせよ、アジアにせよ、経済発展が軌道に乗り始めると1980年代前半の中南米、1990年代終わりのアジアと、割合と古典的な経常収支に端を発する金融危機に見舞われてきたんですが、それはそれとして、ヘンな言い方ですが、アフリカでは金融危機すら起きていないわけですから、もちろん、金融危機が起きるのがいいと言うつもりは毛頭ないものの、何とか、実物面でも金融面でもグローバル経済に組み込まれるところまで経済発展を支援するのも日本のひとつの役割ではないかと思います。繰り返して言い訳しておきますが、金融危機を引き起こすことに何らかの価値を見出したり、グローバル経済に組み込まれた証拠だと私が考えているわけではありませんので、念のため。
第2に、最近時点でのエネルギーや食料品の価格上昇により、広義のエンゲル係数が高い国や家計のダメージが大きいと私は考えていますので、一部の産油国を除くアフリカ諸国がこれに当てはまるのであれば、支援を強化すべきではないかと考えられます。広義のエンゲル係数とは、オリジナルのエンゲル係数が家計支出に占める食料費の割合だったのに対して、私が勝手に名づけたんですが、現在、価格が大きく高騰しているエネルギーや食料の占める割合を指して使っています。日本のように広義のエンゲル係数の低い国がアフリカ諸国への援助を志向することは、最近時点でのエネルギーや食料品価格の上昇を受けて、さらに意義が大きくなっているのではないかと私は考えています。

私自身は実はアフリカ大陸に足を踏み入れたことはありませんし、アフリカ諸国の経済の現状や、ましてや、我が国のアフリカ支援の実情に詳しいわけでは決してありませんが、2005年のグレンイーグルズ・サミットにおいてもアフリカ支援の重要性が再確認されましたし、もっと古いところでは国連のミレニアム宣言もあります。5年に1度の TICAD の開催により、実りある議論と豊かな成果がもたらされるとともに、アフリカ諸国をはじめとする途上国支援にもっと国民の目が向くことを願っています。

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2008年5月26日 (月)

堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書)を読む

今日は、朝からいいお天気の五月晴れでした。気温もかなり上がったような気がします。来週からは役所ではクールビズが始まります。私は体型的に暑がりですので、少しフライングして勝手にクールビズを始めようかと考えないでもありません。

堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書)大阪大学の堂目教授の『アダム・スミス』(中公新書)を読みました。昨日のエントリーの通り、新書は買わないことにしていますので、近くの図書館で借りて読みました。基本的に、私は仕事に関係する経済関係の本は読書感想文で取り上げないことにしているんですが、まあ、この本については仕事というより、一般教養ということでご紹介したいと思います。例えば、一応、私は官庁エコノミストと見なされることもなくはないので、経済とは少し遠い分野の公務員、すなわち、自衛官とか警察官とかの研修に講師として派遣される場合もあるんですが、今年になってから行った研修ではモロに経済学が一般教養として扱われていました。というのも、かなり大人数かつ長期の泊まり込みの研修でしたので、他の分野の講師とともに最後の謝恩会のようなものにご招待いただいたんですが、私以外の一般教養分野の講師の先生方は、将棋、写真、合唱などの分野で、場合によっては、経済学もこれらの分野とともに幅広い一般教養に入ることが私にも十分認識された次第です。
本書の副題は「『道徳感情論』と『国富論』の世界」と題されていて、前半部分で『道徳感情論』を紹介した上で、その思想的基礎の上に『国富論』を位置づけるもので、現時点での学会の主流と言えるものだと思います。私は『国富論』は読んだことがあるんですが、『道徳感情論』は読んだことがないので興味深く読みました。特に、世間一般の評価と自分の中の中立な評価については、本書の通りかもしれませんが、そもそも、自分自身の胸中に公平な観察者を持っていて、中立な評価を下せる人がそんなに多いとは、余り考えられないような気がしないでもありません。程度問題で、自分に対してそんなに甘い評価を下さない人はいますが、少なくとも、私が知る限りでは架空の人物ながら、自分自身も客観的な第三者の目で見られるのはゴルゴ13くらいのものではないでしょうか。自分自身についてかなりの程度に中立な見方ができるだけで賢者 (wise man) と言えそうにも思わないでもありません。でも、その思想的な背景は重要でしょう。
私が少し気にかかったのは、市場と政府の関係です。つまり、人間の本性として秩序を導く何かがあるのはいいとしても、市場について自由で公正な市場だけでなく、「おそらく、スミスは、参加者の独占や不正を防ぐために、市場は、ある程度、政府によって監視され、法によって規制されなくてはならないことを認めていたであろう」(275ページ)とされている部分です。もちろん、堂目教授がそんなことを主張していると言うつもりはありませんし、特に、独占に対する規制は必要なんですが、控えめに言っても、政府に多くを期待するべきではないと私は考えています。市場に代表される経済のシステムについては、本来的に何らかの均衡が達成されるものであると私は考えていて、言葉は悪いですが、何らかの基準に従って市場の均衡を歪めるのが経済政策であることも事実です。しかし、少なくとも、官庁エコノミストとも見なされ得る立場にありながら、政府にそんなに信を置くべきではないと私は思います。論点はさらにズレますが、特に、政府の歳入と歳出とではかなり非対称な認識を私はもっています。例えば、地球環境保護の課題に対して、カーボン・タックスなどの税制によって特定の財の消費を抑えることはかなり効率的に出来るような気がしますが、逆に、化石燃料に頼らない新エネルギー開発などの対策に政府支出を振り向ける方は、政府の施策によって画期的な対策が出来上がることには大きな期待は持てません。その意味では小さな政府に賛同するとも言えます。私が観察した範囲でも、ガソリンの暫定税率に対する批判よりも、その使い道の道路建設に対する批判の方が強かったようにも見受けられます。民主主義下では法が国民主権に基づいて制定されるとものである以上、法による規制は少なくとも多数決で国民の意志を反映していると言えますが、市場を政府が効率的に規制することはムリが多いような気がします。もちろん、堂目教授の論点は監視であって規制ではないことは理解しつつ、かなり極端な例を持ち出せば、政府が市場に取って代わろうとする社会主義経済が破綻したのは歴史的にも明らかですし、効率的に市場を規制した政府が、歴史上そんなに多く観察されるとはとても思えません。正しい堂目教授の論点に立ち返れば、市場を監視するのは政府ではなく市場参加者自身だという気がします。それも、本書の第1章の題になっている「秩序を導く人間本性」にあふれた市場参加者であると考えられます。繰返しになりますが、市場に対する政府の役割に多くを期待すべきではありません。少なくとも、現在の日本の政府はその胸中に公平な観察者を持っているとはとても言えないと私は考えています。ご賛同の方も多いんではないかと自負しています。

何やら、生意気にも、やや批判めいたことを書いてしまいましたが、特に、「体系の人」(man of system) に関する鋭い批判と、これにセットになっているように見受けられる漸進主義とは、私が『国富論』を読んだ大昔にも感じたことです。とってもオススメの本ですので、経済を専門にしていなくても、多くの方が手に取ることを期待しています。

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2008年5月25日 (日)

図書館で文庫本や新書を見かけてジャカルタに残した『神鷲商人』を思い出す

今日は、朝から昨日の続きのが降っていました。昼ころに雨は止みましたが、雲は晴れずに気温は上がりませんでした。でも、もう5月も終わりの気候ですから、外を出歩くと蒸し暑かったです。

今日も近くの図書館に行きました。下の子がボーイスカウトのカブ隊の活動に出かけるのに合わせて家を出て、行きだけはいっしょに行きます。帰りは別々でした。いつもよりチョッピリ下の子の帰りが遅いので、心配性で親バカの私は迷惑を承知の上でカブ隊の隊長さんの携帯電話を鳴らして、解散時刻を確認したりしてしまいました。それはともかく、私が行ったのは図書館ですから当然ながら本がズラリと並んでいます。今日も新書を借ります。というのは、我が家には文庫本や新書が極端に少ないからです。さらにさかのぼれば、5年近く前にジャカルタから帰国する際に、文庫本と新書とコミックを処分して来たからです。小さめのカートンボックスに3箱余りありました。中古本を扱っているお店にタダでいいから引き取って欲しいと言ったんですが、お店の人がかなり大量だったので気の毒がって、何がしかのお金を払ってくれた記憶があります。もちろん、その後も文庫本や新書を買わないでもありませんが、こういった経緯があるので、文庫本や新書は出来るだけ図書館で借りて済ませるようにしています。コミックも子供達の趣味で『ケロロ軍曹』だけは買い揃えてありますが、先日は、『ドラゴン・クエスト』が全巻図書館にありましたから借りましたし、『名探偵コナン』もまとまって何巻か借りていたのを今日返却しました。
ジャカルタもさすがに外国ですから、サンティアゴほどではありませんが、日本語書籍は十分ではありません。我が家が入っていたアパートなど、日本人の多い集合住宅なんかでは、帰国した人が残して行ったものであろう本を1か所に集めて自由に借りられる図書館のように運営しているところもありましたし、日本人学校にも小学生が読むとは思えないようなビジネス書が置いてあったりしましたが、もちろん、新刊図書は国内の図書館に比べて圧倒的に少ないですし、自分の読みたい本があるわけでもありません。でも、さすがに、今世紀に入ってからのジャカルタとその10年ほど前のサンティアゴでは、時代的にも地理的にも、大きな差がありました。サンティアゴでは日本語書籍を売っているお店は皆無だったような気がしますし、取り寄せればかなりの金額だったのかもしれません。5年前のジャカルタでも日本語書籍よりも洋書の方が入手が容易だったような気がします。

私が残して帰国した文庫本や新書がジャカルタの日本人の間で読み継がれているかどうかは気にかからないでもありませんが、少なくとも、日本国内でも入手が困難だった深田祐介さんの『神鷲商人』(新潮文庫)だけは現地の人には国内よりもよく読まれているのではないかと想像しています。なお、念のためですが、「神鷲」と書いて「ガルーダ」と振り仮名が振ってあります。ご存じの通り、スカルノ初代インドネシア大統領の第3夫人だったデビ夫人に関するする小説です。私が持っていたのは1990年くらいの発行の新潮文庫版ですが、今では文春文庫からも出ているようです。

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2008年5月24日 (土)

小学校の運動会に行く

今日も、五月晴れとまでは言わないものの、朝からまずまずいいお天気でした。気温は昨日ほどは上がりませんでした。お天気は下り坂で、もうすぐ雨が降り出しそうです。でも、先ほど終わった小学校の運動会は、2時半過ぎに結果発表と優勝旗の授与までは雨の影響もなく、滞りなく行われました。ホントによかったです。

今日は小学校の運動会でした。お天気が心配されましたが、何とか運動会が終わるまでは雨の影響は出ませんでした。我が家の2人の男の子は今年は赤組です。昨年は2人とも白組だったような気がします。昨年は源氏で、今年は平家といったところです。午前中に2人とも徒競走がありました。しかし、私の位置取りが悪くて、おにいちゃんのゴールの瞬間はヨソの子のブラインドに入ってしまいました。でも、我が家が運動系の家系ではないことは子供達は理解していますし、おにいちゃんも気にしていませんでした。徒競走のほか、午前中には下の子の棒引きとおにいちゃんの組体操がありました。我が家の子供達が通う小学校は青山という都会のど真ん中にありますから、グランドは土ではなくてアンツーカーになっています。ですから、今日のように陽射しが弱くてもかなりグランドの表面が熱くなるので、おにいちゃんはテーピングをして裸足で組体操に取り組んでいました。
昼食はお天気が不安だったので、最初から体育館と決めて、私がレジャーシートを持って並んで場所を確保します。体育館といっても、繰返しになりますが、都会のど真ん中の小学校ですから、地下にしつらえてあったりします。なお、ついでながら、プールもあるんですが、今日みたいな日はフタをして暗渠のようにしてあって、人工芝の上を歩けるようになっています。誰でも軽く想像できるんですが、とんでもなく地価が高いので、いろいろと工夫がしてあるんだと思います。
午後からの競技は、おにいちゃんが騎馬戦、下の子がマスゲームでヨサコイ・ソーランを踊りました。最後の締めくくりは、全員参加の大玉ころがしです。この小学校の運動会の名物だそうです。下の写真の通りです。直前まで赤組はかなりの差で白組に負けていたんですが、最後のこの大玉ころがしで大逆転を果たして、900-893 の僅差で赤組が勝ちました。小学校の一大イベントの運動会で親子ともに疲れ切った一日でした。

小学校の運動会

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今日は小学校の運動会

今日も、朝からは陽射しもあって、まずまずいいお天気で始まりました。NHK の8時前の天気予報によれば、気温が昨日ほど上がらないのはいいんですが、お天気は下り坂だそうで、昼過ぎからは雨らしいので少し心配です。何とか、運動会の間、3時過ぎくらいまでもって欲しいと思います。折りたたみ傘は必要かもしれません。

今日は我が家の子供達の通う小学校の運動会です。子供達はもうとっくに出かけました。女房のお弁当ももうすぐ出来上がるようです。私も我が家の子供達の出番に間に合うように出かけたいと思います。今年は我が家の子供達は2人とも赤組です。

がんばれ赤組!

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2008年5月23日 (金)

エネルギーと食料価格上昇のリスクをどう考えるか?

今日も、朝からいいお天気の五月晴れでした。気温もグングン上がりました。最高気温は30度近くまで上がったんではないでしょうか。

原油価格の推移

とうもろこし価格の推移

グラフは上の方が米国のニューヨーク市場の原油価格で、下の方がシカゴ市場のとうもろこし価格の最近2年間の推移です。"Wall Street Journal" のホームページから取りました。直近は昨日の終り値ベースだと思います。単位は原油がバレル当たりドルで、とうもろこしはブッシェル当たりセントです。今さら、私が指摘するまでもないんですが、グラフの通り、昨年年央ないし10-12月期あたりからエネルギーと食料をはじめとする商品市況が急上昇しています。原油価格なんかはここ2-3週間で加速しているようにすら見えます。日本の足元の景気が低迷して、物価が上昇している大きな要因です。
この商品市況について、私も最近時点では少し意見を変えつつあります。少し前までは新興国の需要にサポートされた価格上昇であるとして、5月9日付けのエントリーでは "Wall Street Journal" が実施した "Economic Forecasting Survey" の結果を引用したりして論じていたんですが、さすがに、ここ2-3週間の特に原油の値動きはバブリーであると評価せざるを得ません。5月9日のエントリーでも、エコノミストのコメントとして、"In last 6 months: speculation." なんかを紹介していたんですが、やっぱり、私もバブリーな値動きを認めざるを得ないと考え初めています。もっとも、すべてが投機というわけでもなく、基本的には新興国の実需に支えられつつ、その値動きを投機筋が増幅しているというのが真実に近いと思います。
とすると、政策対応としてファンドを規制するという方向になるかどうかは別にして、心配なのは価格の上昇とともに急落も問題を生じる可能性があります。まず、価格がこのまま上昇すれば、現在の所得移転がさらに進んで日本経済のマイナス要因となることは明らかです。実は、今日の講演会で、所得移転は企業と消費者がどのように負担させられているかについて質問が出て、講師の人が、通常観察される平均的な労働分配率ではなく、限界的な労働分配率に従うと答えていました。限界的な労働分配率が100%であれば企業がすべて負担し、逆に、0%であれば労働者がすべて負担することになるとの回答でした。私も価格転嫁が進まないとの前提の下ではその通りだと思います。その場で即答できるのがエラいと思ってしまいました。私なら一晩考えるかもしれません。それはともかく、エネルギーや食料の価格が上昇すれば所得移転が生じて、日本などの輸入国で経済がスランプになる方向に作用します。しかし、エネルギーや食料の価格が急落すれば、ジワジワと下落するんではなくて急落すれば、商品市況に資金をつぎ込んでいる金融機関の中にはピンチに陥るところが出て来ます。サブプライム・ローンを原資産にした証券に資金をつぎ込んでいた金融機関と構図はまったく同じです。3月のベア・スターンズ証券の事実上の公的資本注入による救済によりシステミック・リスクは回避されたと私は考えていますが、原油や穀物などの商品市況でサブプライム・ローン問題と同じことが起こらないとも限りません。

いずれにせよ、やっかいな商品市況の急上昇なんですが、原油でいうとバレル125ドルあたりで調整局面に入る可能性を私は考えていました。その後、さらにペースを落として価格上昇するにせよ、下落に転ずるにせよ、2-3四半期くらいの調整期間があればベストではないかと思わないでもないんですが、調整に入るきっかけも見当たりません。米国の利上げなんかが調整に入る格好のきっかけになりそうな気もしますが、当面、米国が利上げするとは考えにくいのも事実です。商品市況が上がったままでは輸入国が所得移転をこうむりますし、上がったあげくに急落すれば金融面の混乱を生じかねません。繰返しになりますが、バブリーな価格の急上昇だけにやっかいな商品市況の動向です。

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2008年5月22日 (木)

貿易統計から先行きの経済見通しを考える

今日も、朝からいいお天気の五月晴れでした。気温もかなり上がりました。今週と来週は役所では背広なんですが、さ来週からは6月に入りますのでクールビズが始まります。このくらいの気候が続くと、そろそろ半袖が恋しいです。

名人戦の投了図本題に入る前に、昨夜、将棋の第66期名人戦七番勝負の第4局が95手で終了し、挑戦者の羽生二冠が森内名人を破り、対戦成績を3勝1敗としました。左の投了図は共同主催の毎日新聞のサイトから拝借しています。第1局こそ森内名人が先勝しましたが、第2局以降は挑戦者の羽生二冠が3連勝です。七番勝負ですから、まさに、羽生二冠が名人位に王手をかけたわけです。次の第5局は6月に入ってから甲府で開催されるそうです。羽生二冠はすでに名人位を4期務めていますので、今回、名人位に就けば5期となり、引退後に永世名人を名乗ることが出来ます。現在、名人位にある森内名人はすでに名人位に6期就いていますから、第18世の永世名人を名乗ることが予定されており、もしも、羽生二冠が名人位に返り咲けば第19世となるのかもしれません。資格取得と引退のどちらの時点で何世と数えるのか、私はよく知りません。先に永世名人の資格を取得した方が順番が早そうな気がしますが、先に引退した方が大きい数字の永世名人を名乗って、後から引退した方が小さい数字の永世名人なのも少し奇異に感じないでもありません。特に、森内名人と羽生二冠は同い年のようですから少し微妙です。まあ、どうでもいいことかもしれません。

輸出貿易指数の推移

さて、本題に戻って、今日発表された貿易統計速報については、貿易収支がほぼ半減と大幅に減少したんですが、輸出は強い数字が出たような印象を私は持っています。先月も取り上げた記憶がありますが、輸出指数の前年同月比伸び率は上の表の通りです。まず、輸出よりも貿易収支に着目し過ぎている偏りはあるんですが、日経新聞のサイトからヘッドラインの統計に関する記事を引用すると以下の通りです。

財務省が22日朝発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた輸出超過額(貿易黒字)は前年同月比46.3%減の4850億円となった。高級車を中心に自動車輸出が伸びたものの、原粗油の輸入通関価格が1バレルあたり100.7ドルと過去最高を更新するなど原油高が引き続き影響した。
輸出額は4.0%増の6兆8956億円と4月としては過去最高。主にロシアやサウジアラビア向けに高級車が伸びた一方、半導体等電子部品や二輪自動車が減少した。輸入額は11.9%増の6兆4106億円と7カ月連続で増加した。原粗油は55%増、液化天然ガスも65.8%増加した。

輸入との差引きの貿易収支については、これほど原材料の商品市況が高騰しているんですから、貿易収支半減に驚かないわけではないですが、生産や消費に必要な輸入を行っているとすれば、あり得る事態かもしれません。しかし、上の引用で言うと、後の方のパラの輸出に私は注目しています。引用した記事にもある通り、輸出は金額で+4.0%増、上の表にあるように数量で+9.9%増となっています。単月の統計で判断するのはムリがありますが、先月の統計では輸出の増勢が鈍化し始めた可能性が示唆されていた一方で、今月の数字はそれを否定しているようにも見えます。

輸出と鉱工業生産

景気転換点を探る場合、繰返しになりますが、日本では景気サイクルの先頭を走る鉱工業生産と、さらに、生産に先行するかもしれない輸出がキーポイントになると私は考えています。その輸出と生産をプロットしたのが上のグラフです。赤い棒グラフが鉱工業生産の前年同月比伸び率でパーセント表示の左目盛りです。青い折れ線グラフが輸出数量の前年同月比で右目盛りです。再び、単月の統計で判断は出来ないものの、3月は生産と輸出のどちらもが下に振れましたが、4月の鉱工業生産統計はまだ発表されていないものの、今日発表された4月の輸出数量は持ち直しつつあると見ることも出来ます。
いずれにせよ、景気転換点を探る上で、私がが何度かこのブログでも主張しているように、秋口以降の消費に不透明感があるとしても、消費から景気が転換して景気後退局面に入ることは日本の場合は考えにくいと思いますから、GDP のコンポーネントで注目すべきは設備投資とそれに先行するかもしれない輸出だと私は考えています。さらに、設備投資を考える際には輸出だけでなく、企業業績も考慮する必要があります。もちろん、金利水準の大きな変動がないと仮定した場合です。新聞などのメディアでも報道されているように、商品市況の上昇を受けた原材料高から、今年の企業業績については軒並み減益が予想されていて、商品市況がさらに上昇すれば10%近い減益になる可能性も排除できません。今日発表された貿易統計でもその一端は伺い知ることが出来ます。先日発表された機械受注は設備投資の先行指標と考えられるんですが、内閣府は基調判断を「足元は弱含んでいる」に下方修正しました。どうも、控えめに言っても、今年の設備投資は弱そうな雰囲気が漂っています。しかし、今日の貿易統計を見る限り、設備投資につながる部分が大きくて、生産を下支えするであろう輸出は堅調なように見えます。問題は輸入の方で、商品市況の上昇に起因する原材料高が企業収益を圧迫しています。堅調な輸出と価格上昇の激しい輸入のどちらの影響力が大きいかによって、ある程度、設備投資や今度の景気動向にも影響が出るんではないかと私は考えています。

各機関の経済見通し

ということで、最後に、上の表は各機関の今年度と来年度の経済見通しの一覧表です。朝日新聞のサイトから引用しています。大雑把に言って、今年度・来年度ともに潜在成長率のレンジの下限近傍の数字が並んでいるように見えますし、特に、今年度高いところは来年度に落ち、逆は逆であると見ているような気がしないでもありません。私もこの14機関すべての経済見通しを見たわけでないんですが、私が見た範囲だけでも、2機関が昨年末から景気後退局面入りしている可能性が高いとリポートしているのが注目点だと思います。ニッセイ基礎研と、上の表にはないんですが、三菱UFJ証券です。現時点で利用可能な経済指標を見る限り、足元ですでに景気後退局面入りしていると、多くのエコノミストを納得させるに足る明確なエビデンスは見当たりませんが、もう少し時間がたってから歴史的に振り返れば、昨年10-12月期をピークにすでに景気後退局面に入っていると判定される可能性は否定できないと私も考えています。

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2008年5月21日 (水)

親の関心と子供の興味

今日は、朝からいいお天気の五月晴れでした。気温もかなり上がりました。もっとも、蒸し暑かった昨日もかなり気温は上がったらしいです。この週末には、我が家の子供達の通う小学校で運動会がありますので、ぜひとも、いいお天気が続いて欲しいです。

昨日から将棋の第66期名人戦七番勝負の第4局が名古屋のウェスティンナゴヤキャッスルで始まっています。今さら言うまでもありませんが、森内名人に挑戦するのは羽生二冠です。私がこのエントリーをアップする午後8時の時点ではまだ対局が続いているんではないかと思います。5月9日に第3局が終わったのは午後9時半過ぎだったと記憶しています。将棋はまったくカラッ下手で興味もなかった私が、突然、このブログで将棋の名人戦の話題を取り上げたのは4月24日付けのエントリーで第2局を話題にしたのが最初で、続いて、5月10日付けのエントリーでは第3局に触れたりしています。ひとえに、下の子が将棋に興味を持ち始めたからと言えます。要するに、子供の関心事項に親の方が影響されているわけです。ついでに言えば、このブログで最初から取り上げていて、カテゴリーも設けているポケモンも似たようなもんです。実は、私が大学を卒業して東京の役所に勤め始めたころに、私の母親が熱心に私の勤務する役所に関する新聞記事を読んでいて、帰省した折に大笑いした記憶があるんですが、小学生の子供を相手に私も似たようなことをしているわけです。
もちろん、一般的には、子供の関心事項が親に影響するよりも、親の興味が子供の関心を誘うことの方が多いんではないかと推察されます。我が家では私の意図的な作戦もあって、子供達、特に下の子が着々と阪神ファンに育って来ているような気がします。今シーズンは特に開幕から調子がいいので、阪神の試合をテレビ観戦することが多いんですが、下の子なんかはチラリと画面を見ては「勝ってる。勝ってる。」などと、阪神サイドの見方をしていたりします。話を少し変えて、下の子は寝相が悪いのか、朝起きた時に髪の毛が逆立っていることが多く、平日は、小学校に行く時に制帽をかぶりますので矯正されるんですが、段々と暑い季節になって来ていることもあり、週末用にタイガースの野球帽でも買ってやろうかと考えたりしています。勉強で忙しいおにいちゃんは難しいかもしれませんが、タイガースの調子がこのままよければ、夏くらいまでに、下の子だけでも、出来ればおにいちゃんもいっしょに、一気に阪神ファンに育て上げよう かと考えないでもありません。

名人戦の封じ手最後に、私は将棋に関する知識がなかったものですから、封じ手というのを知りませんでした。そのままスンナリと読んで、攻められている時の防御の一手くらいに考えていたんですが、名人戦に関する報道を見て私の認識が間違っていることに気付きました。封じ手とは、対局の中断時に有利不利が出ないよう、次の手をあらかじめ決めておく方法だそうです。昨日は森内名人が32手目を封じて立会人の桐山清澄九段に渡して、今朝は桐山九段がそれを開けて確認したりしていたんだと思います。確かに、名人戦のように、2日に及んで中断のある持ち時間制の対局においては、延々と次の一手を考え続けられるので、中断前に指し終わった方が不利になる可能性が高く、合理的な方法だと知りました。
第66期名人戦七番勝負第4局の結果は明日の朝刊で拝見したいと思います。

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2008年5月20日 (火)

消費税引上げは必要か?

今日は、朝のうちは激しい雨が降りました。またまた台風が近づいて来ているようで、風も強くてカサを差してもムダなくらいの降りでした。昼前には雨が止んで蒸し暑くなりました。

基礎年金を全額税方式にした場合の試算昨日、社会保障国民会議の所得確保・保障分科会が開催され、「公的年金制度に関する定量的なシミュレーション結果」について議論がなされました。左の表は朝日新聞の今朝の朝刊に掲載されていたものを引用していますが、どのような試算をしても2050年度には消費税に換算して10%を超える税率が必要であるとされています。私もシミュレーション結果について大雑把にリポートを拝見しましたが、マクロ経済に関する前提の置き方により2050年度の数字なんかは大きな差が生じる可能性は否定出来ないものの、少なくとも、厚生労働省や財務省の主張を通すために大きく不自然な前提を置いているようには見えませんでした。控えめに言っても、将来がこの姿になる可能性は排除できません。まず、図表を引用した朝日新聞のサイトから最初の2パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

政府の社会保障国民会議は19日、基礎年金の財源をすべて税で賄った場合、09年度に9.5-18%まで消費税を引き上げる必要があるとの試算を公表した。保険料負担は減るが、増税との差し引きで年金受給者や会社員世帯では負担増となる一方、厚生年金の拠出金がなくなる企業の負担は減る。
基礎年金を巡っては、保険料と税を併用する現行の「保険方式」を見直し、全額税で賄う「税方式」に改めるべきだとの考えが、民主党や経済界のほか、自民党の一部にもある。税方式に伴う負担のあり方を具体的に示した今回の試算は、今後の年金制度の議論に影響を与えそうだ。

このところ、米国が景気後退に突入したりして、短期的な景気動向に私の関心も集まっていたりしたんですが、比較的短期の2-3年くらいのタイムスパンの景気循環は中央銀行が金融政策により対応し、より長期の社会保障などの制度設計が政府の本来の役割です。しかし、昨年の年金問題は事務ミスの要素が強かったものの、今年の後期高齢者医療制度を見ていると、日本の高齢者はハッキリと負担の増加を拒否しているように私は受け止めています。いつかのエントリーで、日本の高齢者は selfish ではなく、応分の負担は受け入れる可能性が高いと書きましたが、私の認識間違いでした。もしも、高齢者が負担の受入れを拒否するのであれば、別の財源を考える必要があるのは当然です。しかも、時間的な余裕は少なくなりつつあります。すなわち、いわゆる団塊の世代は1946-48年生まれですから、今年中に全員が60歳か60歳を超えます。10年後には70歳なのは小学生でも計算できます。おそらく、財政の大きな部分を占めている年金や医療・介護の制度についてサステイナビリティを考える時間的な余裕は10年も残されていません
最近、日本の高齢者が selfish であるかどうかとともに、もうひとつ、財政のサステイナビリティについても考えを変えつつあります。2年ほど前のエントリーで財政がサステイナブルでなくなるとどうなるかを考えた際のエントリーでは、一気に国債が売れなくなって金利が急上昇することは考えにくく、プレミアムを要求される一定の期間があるハズで、ひょっとしたら5年くらいあるかもしれないと書きましたが、最近、いろんなエコノミストとお話していて、逆に、sudden death かもしれないと考え始めています。幸田真音さんの『日本国債』の世界です。確かに、金融資産市場の調整スピードがかなり速いのは事実です。もっとも、そんな世界が見通し得る近い将来に起こるとは私も考えていませんし、無用の不安を煽るつもりもありません。取りあえず、考えを修正しつつあり、5年は悠長に過ぎると考えているだけです。

今回の後期高齢者医療制度で私が一番印象的だったのは、先ほども書いた通り、日本の高齢者は負担の増加を拒否する姿勢をハッキリと示したことです。これは私にはかなりショックでした。私は日本の財政の配分がかなり高齢者に偏っており、それをひとつの遠因として少子化対策も考えるべきだと思っていて、考えようによっては、カギカッコ付きで「高齢者に冷たい態度」を意識的に取って来たりしたんですが、いっそう、その傾向が強まってしまうのは少し困ったことだと受け止めています。私の専門外ですが、現在の内閣支持率の低下の一部は後期高齢者医療制度に起因しているとの分析もあります。繰返しになりますが、高齢者が負担を拒否するのであれば、別の財源が必要です。

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2008年5月19日 (月)

東京人のエコジレンマは解決されるか?

今日は、朝のうちはまずまずいいお天気だったんですが、だんだんと時刻が進むにつれて雲が広がり、夜になって雨が降り出しました。明日は朝から雨が降るとの天気予報です。

今日の読売新聞の夕刊に博報堂生活総合研究所の「世界8都市・環境生活調査」の結果が取り上げられています。調査結果自体は博報堂生活総研のホームページを見ると5月14日に発表されています。まず、少し長くなりますが、読売新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

世界8都市に暮らす人たちの8割が地球温暖化への危機感を抱いているが、東京では便利な生活を犠牲にしたくないと4割が考えていることが、博報堂生活総合研究所の調査でわかった。
同研究所では、世界各国の環境問題に対する意識と行動を探ろうと今年3月、東京、ニューヨーク、パリ、ミラノなど世界8都市に住む2600人を対象にアンケートした。
その結果、「環境保護のために手間やコストをかけても貢献したい」(88%)、「自分は地球環境を守る責任があると思う」(83%)など、8都市平均で8割以上が環境に配慮する意識を持つことがわかった。
東京は、地球温暖化への危機感は88%、経済発展よりも環境保護を優先すべきは90%と8都市の中でもトップだった。しかし、地球環境に配慮した行動が日常的な習慣になっているとしたのは、ミラノで90%、パリ86%だったが、東京は58%で最下位。高い意識の反面、行動が伴っていないことがわかった。
温暖化防止のため便利な生活を犠牲にしたくないと答えたのも42%で最多。ミラノ16%、パリ19%などと比べ突出している。同研究所では、東京の人は高い意識と、長年の便利な生活を犠牲にしたくないとの“エコジレンマ”に悩んでいることが浮き彫りになった、と分析している。

博報堂生活総合研究所「世界8都市・環境生活調査」

上の図表は、調査結果から私が特徴的と考えるものをいくつかピックアップしました。大雑把に言って、読売新聞の引用の通り、他の世界の大都市に比較して、東京の人は意識は高いが行動が伴っておらず、現在の快適な生活を犠牲にするのには抵抗がある、ということになりそうな気がします。それを、博報堂生活総研は「エコジレンマ」と呼んでいるわけです。地球環境問題については私は専門外ですが、典型的な外部経済の問題だと捉えています。市場は短期の価格付けには極めて効率的なんですが、超長期の問題である地球環境問題については多くを解決してくれません。ですから、カーボン・タックスに代表されるような何らかの手法により、市場価格に対して人為的な歪みを導入して、地球環境を保護する必要があると多くの人が考えているんだと思います。しかし、問題があるのは、私が指摘するまでもなく、市場の失敗はあるにせよ、政府の失敗はもっとあることです。例えば、つい先日のガソリン暫定税率の扱いに関しても、カーボン・タックスになぞらえた主張も見られましたが、さりとて、政府はその税収の多くの部分を道路建設に充当しているわけであり、地球環境保護に向けられている部分は少ないんではないかとの疑問は多くの人が感じているところです。

人々の社会的な行動に何らかのインセンティブを与えて地球環境保護を進めることは政府の課題ですし、エコノミストも大いに知恵を出すべき分野だと思います。少なくとも、私は個々人の意識の問題に還元するのは大嫌いです。

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2008年5月18日 (日)

ボーイスカウトの団総会に出席する

今日も、まずまず五月晴れのいいお天気で気温も上がりました。でも、お天気は周期的に変化し、休み明けにはまた雨が降るとの天気予報です。

今日は午後から下の子が活動しているボーイスカウトの団総会に出席しました。その前段があって、お天気がよくなって、ややエネルギーを持て余し気味の下の子と午前中にバドミントンをします。団地の中でやりますから、さすがにネットはないんですが、適当なところにラインを決めて、どちらに落ちるかでポイント制とします。50ポイント先取でセットの勝ちとしています。サービスの順番は特に決めていません。下の子はポイントを取りたくなると、サービスを取ってバシッとシャトルコックを下に打ち付けてポイントを稼ぎます。ところが、落ちたところではなく、最終的にシャトルコックが止まったところで判断しますので、相手方、つまり私にはかなり不利な判定になります。ラインの向こう側の下の子のコートに打ち付けられて落ちても、最終的にラインを超えて私の方のコートに転がって来れば下の子のポイントになるわけです。私は大人ですからそこまでは出来ず、バドミントンでは下の子にいつも負けます。
さて、本題のボーイスカウトの団総会ですが、会計報告や活動方針報告などの一連の総会の議事を終えて、団委員長から活動に関するご意見やご要望があれば、ということでしたので、我が家の下の子はエネルギーがあり余っているので、都会のど真ん中の団なので難しいとは思うものの、野外で自然と触れ合う体育会的な活動にしてもらいたいと申し上げておきました。すぐ前にカブ隊の隊長さんが座っていたので、活動内容について批判めいたことを申し上げるのは気が引けて口ごもってしまったりしたんですが、一応、午前中のバドミントンの経験から、また、常日ごろ、下の子が話題にしている内容を咀嚼して要望として発言しておきました。その後の隊ごとの集まりで、我が家の下の子は小学4年生にしてはしっかりしていて、今はシカなんですが、その下のウサギの面倒見もよいとカブ隊の隊長さんからほめていただきました。

今日は、ボーイスカウトの団総会の後、急な用件でつい先ほどまで外出していて、甲子園の東京ヤクルト戦を見逃しました。ネットで調べると、久保田投手に続いて、とうとう、ウィリアムス投手までホームランを打たれて負けたとのことでした。私は今年のスタートダッシュがいいのはキャンプが成功したからだと思っているんですが、ひょっとしたら、ここ2-3年のリリーフ陣の負担は想像以上にきつかったのかもしれません。ジャイアンツの上原投手も先発に転向してからサッパリですし、我が阪神のリリーフ陣も少し心配です。

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2008年5月17日 (土)

川端賞受賞の田中慎弥「蛹」(『新潮』2007年8月号収録)を読む

今日も、まずまず五月晴れのいいお天気でした。気温も上がりました。でも、夕方から一天にわかにかき曇り、少し雨が落ちて来ましたが、カサを差すほどではありませんでした。明日くらいまで東京ではいいお天気が続くようですが、お天気は周期的に変化し、来週にもまた雨が降るとの天気予報です。

『新潮』2007年8月号先日、第34回川端康成文学賞の発表がありました。受賞したのは『新潮』2007年2月号に収録されていた稲葉真弓さんの「海松 (ミル)」と同じく『新潮』2007年8月号収録の田中慎弥さんの「蛹」です。左の画像は『新潮』2007年8月号の表紙です。川端賞はよく知られている通り、短編小説に対して与えられる文学賞で、井上ひさしさんなどが選考委員になっています。田中さんは1972年生まれの新進気鋭の作家で、川端賞の最年少の受賞だそうです。故郷の山口県下関市にお住まいのようです。田中さんは『切れた鎖』(新潮社)が昨年の芥川賞候補になり、川端賞とちょうど同じ時期に『切れた鎖』で三島由紀夫賞も受賞でしたので、私も注目していたものですから、日比谷図書館で『新潮』2008年8月号を借りて「蛹」を読んでみました。なお、「蛹」は新潮社から出ている『切れた鎖』にも収録されています。私の感想は少し違いますが、朝日新聞のサイトなんかでは「格差社会の隅から声援」と題して、「『蛹』は、引きこもりの若者が社会に出ようと、もがくさまを描いたとも読める」と評しています。
とっても不思議な小説です。主人公はかぶと虫で人間は出て来ません。父親のかぶと虫の代から書き起こして、幼虫のころから題名の通りの蛹で終わっています。甲虫の本能かもしれませんが、闘う人生を賞賛して植物に対する優越感を示す部分もあります。しかし、蛹になってしまえば、その瞬間は動けないわけですから植物と同じといえなくもありません。もちろん、蛹は成虫になる前の準備段階である一方で、成虫になってしまえば、かぶと虫なんかはひと夏の命です。その昔に、「太く短く」と「細く長く」といった例えで人生を語る人もいたかに記憶していますが、前者がかぶと虫をはじめとする甲虫、後者が植物なのかもしれません。その中で、甲虫であれ何であれ、蛹の時期というのは、決して「細く長く」ではないんですが、植物的な状態になっています。その蛹の状態を通らないと甲虫にはなれない必要不可欠なステップなわけです。私はそういった甲虫の代表であるかぶと虫と植物を対比させるような読み方をしました。ひょっとしたら、引きこもりは植物的な状態に例えることが出来るのかもしれませんが、何らかの成長のための必要不可欠な状態ではありませんし、甲虫の蛹とはほど遠いものであると私は思います。

何となく、いいお天気なのに図書館くらいしか出歩かず、ヒマにしている週末に文学的な時間の過ごし方をした一日でした。

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2008年5月16日 (金)

テレビ観戦を始めると調子を崩すタイガース

今日は、事前の予想に沿った数字とはいえ、1-3月期のGDP統計が発表されたりして、私もエコノミストの端くれですから、めずらしく少し残って仕事をしたりしていたんですが、そのあおりで、すっかりプロ野球観戦を忘れていました。テレビを見始めたのが9時過ぎで、8回ウラの阪神の攻撃中でした。大昔の安田投手を彷彿とさせるような少しメタボな東京ヤクルトのピッチャーがマウンド上でした。名前はよく知りません。3番の新井内野手からの打順だったので少し期待したんですが、結局、ゼロに終わりました。
ネットで調べると、4回までに東京ヤクルト先発の村中投手を打ち込んで、コチラは安藤投手が7回まで零封していたんですが、8回と9回に点を取られて追い上げられて、結局、最後の最後で交代させられてしまいました。レバ・タラになるものの、9回のスリーランがなくて安藤投手が完投していれば完勝だったんですが、後を継いだ江草投手もピリッとしませんでしたし、勝ったにしては、少し後味が悪かった気もしないでもありません。私がテレビを見始めると阪神の選手は緊張して調子を崩したりするんでしょうか。勝ったとはいうものの、余り面白くないシーンを見てしまった気がします。これを逆手に取って、この週末はしっかりとテレビ観戦したいと思います。

この週末も、
かんばれタイガース!

これから入浴しますので、お風呂から上がってからトラックバック先を探したいと思います。

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2008年1-3月期GDP統計をどう見るか?

今日も、朝から少し雲が多かったものの、まずまず五月晴れのいいお天気でした。気温も上がりました。週末くらいまで東京ではいいお天気が続くようです。

2008年1-3月期GDP統計

今朝、内閣府から今年2008年1-3月期の GDP 統計、エコノミストの業界で言うところの1次QEが発表されました。ヘッドラインの実質成長率は前期比で+0.8%、前期比年率で+3.3%と、潜在成長率をはるかに上回る高成長となりました。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が16日発表した2008年1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除く実質で前期比0.8%増、年率換算で3.3%増と3四半期連続でプラス成長となった。アジアや欧州向けの輸出が好調だったほか、物価高の逆風下で個人消費も底堅く推移した。ただ07年度の実質成長率は1.5%と06年度を大きく下回った。原油高や世界経済の減速など、08年度の景気回復には不安材料が山積している。
日経グループのQUICKが民間調査機関に聞いた「コンセンサス・マクロ」(経済予測)による成長率予測の平均値は年率2.6%。速報値はこれを上回り、1%台半ばとされる潜在成長率も大きく上回った。

2008年1-3月期GDP統計・寄与度

少し細かく成長率への寄与度を見ると、上のグラフの通りで、1-3月期には青の消費と赤の外需が大きなプラスの寄与を示したほか、長らくマイナスの寄与を続けて来た白の住宅投資が前期比で+4.6%増となって、久し振りにプラスの寄与を示しています。消費と外需に関しては、先日、5月13日付けのエントリーで示した通りなんですが、住宅投資についてはプラスと出たわけですから、1-3月期は潜在成長率を超えるとの予測を示した多くのシンクタンクの「当たり」ということになるかもしれません。どうでもいいことですが、前期比と前期比年率の両方で、みずほ総研はピッタリ賞でした。もっとも、1-3月期の高成長のウラ側には、昨年10-12月期の成長率が前期比で+0.9%から+0.6%に改定されていることも寄与しています。

2008年1-3月期GDP統計・輸出入デフレータ

今後の先行きに入る前に、私が注目していたのは輸出入のデフレータで、上のグラフの通りとなりました。赤のラインが輸入デフレータで、青が輸出です。1-3月期には、なぜか、輸入デフレータが少し下がったんですが、大雑把な傾向として、輸入デフレータが食糧やエネルギーをはじめとする商品市況の上昇により上がり続けているのに対して、輸出デフレータは昨年年央から下がり始めています。為替レートの変化がすべて転嫁されると仮定すれば、円建ての輸出デフレータが為替による影響を受けることはないんでしょうが、昨年年央以来の円高に対して価格転嫁が進んでいないとすれば、円建て価格を引き下げる動きがあっても不思議ではないと考えられます。原材料価格が上昇しているんですから、輸出価格が下がったりすれば、企業収益を圧迫するのは明らかです。
今後の動向を占う際のポイントは、4月30日付けで鉱工業生産を取り上げたエントリーと同じように、第1に、輸出だと私は考えています。米国の景気後退やこれに伴うアジア向けの輸出がどこまで好調を続けるのか、また、これらの所得要因とともに価格要因となる為替レートがどのように動くのかが注目のポイントだろうと思います。第2に、企業収益です。繰返しになりますが、商品市況の高騰から原材料価格が上昇しているのに対して、製品価格の上昇が伴わない現状では企業収益が圧迫され、雇用者所得はもう諦めの境地にあるのは別にしても、設備投資への影響は見ておく必要があります。昨日、内閣府から発表された機械受注も弱い内容でしたし、日銀短観の3月調査でも設備投資は意外なほど振るわない結果だったと記憶しています。加えて、企業収益が伸びなければ株価の上昇にもつながりません。第3に、やっぱり、GDPの大きな部分を占める消費の動向です。従来からの私の主張ですが、所得のサポートはないものの、年央までは北京オリンピックもあって、消費機会はそれなりにあります。しかし、これも繰返しになりますが、秋口以降はお先真っ暗です。現在の消費は少しムリをして、消費性向を高める形で出ているだけに、どこまでサステイナビリティがあるかどうかは不安が残ります。

個別の需要項目ではないんですが、最後に注意しておきたいのは、この1-3月期は3月になって冴えない指標が増えて来ていることです。例えば、先日の5月13日付けのエントリーで住宅着工統計の息切れを指摘した通りです。2月がうるう年だったので、その反動の面もあるんですが、実は、日米経済ともこれから先が勝負なんだという気がしないでもありません。1-3月期の山が高ければ、4-6月期の谷も深い可能性が残りますし、さらに、年央以降はもっと不透明です。今日、受け取った1次QEのニューズレターのヘッドラインで、「高成長継続だが、危険がいっぱい」と表現した同業者のエコノミストがいましたが、ひょっとしたら、そうなのかもしれません。

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2008年5月15日 (木)

お風呂で逆転シーンを見逃す

今日は年休を取って、下の子を将棋会館道場のビギナーズセミナーに連れて行ったりして、ゆったり過ごしていたんですが、夜になって、7時からの「ポケモン」を見終えた時点で、北陸シリーズの対広島戦に0-2で負けていると確認し、広島相手に負け越したんでは、明日は甲子園に帰りづらいだろうと思っていたりしました。仕方がないので、6回を終えた時点でお風呂に入ったんですが、お風呂から上がってテレビを点けると、8回ウラのマウンドにウィリアムス投手が上がって、バッタバッタと広島打線をなで斬りにしているところでした。あわてて、ネットで調べると、7回表に代打の桧山選手と1番の赤星外野手のヒットで逆転し、8回にも鳥谷遊撃手の犠牲フライで追加点を奪ったようです。いいシーンは全部見逃しましたが、9回表の新井内野手のタイムリーによるダメ押し点だけは見ました。もちろん、最後の藤川投手の締めも見ました。セーブが付かなくても出す方針に変えたんでしょうか?もっとも、ガマンして使い続けて来た久保田投手は、ニッカンスポーツのサイトで確認すると今夜は出してもらえなかったみたいです。今岡内野手とともに心配な選手です。まあ、何はともあれ、北陸で広島相手に2勝1敗ですし、ボーグルソン投手に今シーズンの初勝利もオマケでついて、明日は無事に甲子園に帰って来られそうな気がします。

でも、私は広島よりも東京ヤクルトの方が今シーズンは手ごわそうに思わないでもないので、やっぱり、明日も、
がんばれタイガース!

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下の子と将棋会館道場のビギナーズセミナーに行く

今日は、久し振りに朝から五月晴れのいいお天気でした。気温も上がりました。街中には半袖が復活したように思います。今週の初めころに台風2号が関東南岸に接近して来たこともあって、このところ、冴えないお天気が続いていたものですから、こんなお天気は1週間振りくらいではないかと思ってしまいます。

将棋会館道場のビギナーズセミナーにて詰め将棋を解く下の子

今日は年休を取って、下の子を将棋会館道場のビギナーズセミナーに連れて行きます。自転車のタンデムで出かけます。行きはよいよいの下り坂だったんですが、帰りは上り坂に加えて帰宅の通勤ラッシュの時間帯に重なったものですから、自転車でスイスイというわけにはいきませんでした。前回、ビギナーズセミナーに下の子が参加したのは3月27日のエントリーで取り上げましたから、将棋会館の詳細などは重複を避けます。ほぼ2カ月振りくらいになります。今日の講師も天野貴元三段で、前回は十枚落ちで下の子が勝って、天野三段から「次に来る時は、金を付けて八枚落ちでやろう」と言われていましたので、約束の通り、今日は、詰め将棋の解説の後の対局は八枚落ちで対戦します。いろいろとご指導を仰ぎながら、今日も下の子が勝って大得意です。

『将棋1手詰入門ドリル』と『将棋3手詰入門ドリル』

今日は、天野三段から独習用の詰め将棋の本を紹介してもらいました。上の通り、将棋関係のジャーナリストとして有名な椎名龍一さんの『将棋1手詰入門ドリル』と『将棋3手詰入門ドリル』です。将棋会館で売っていたので早速買い求め、私も下の子を待ちながらツラツラと読んでいたんですが、半分くらいは解けるものの、1手詰めでもなかなか難しいのがたくさん収録されています。もっとも、私が下手なだけなのかもしれません。

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2008年5月14日 (水)

エネルギーと食品価格上昇に関する stocktaking

今日は、朝からが降りました。昼ころまでに雨は止みましたが、昼前まで冷たい雨で、午後も陽射しがなくて気温は上がらず、肌寒いのを通り越して、ハッキリ寒かったです。季節が2ヶ月くらい逆戻りしたようでした。

先週5月9日付けの「食料とエネルギーの価格上昇の主たる原因は何か?」で、"Wall Street jouenal" の "Economic Forecasting Survey" の結果を取り上げたエントリーに対して、このブログの読者のコメントで、"New York Times" の興味あるサイトを教えてもらいました。直リンした上のフラッシュ・ファイルの通りなんですが、以下にもリンクを張っておきます。プレイバックのボタンをクリックすると、"New York Times" の記者が英語で年を追って解説してくれます。

典型的に、消費量と価格をカーテシアン座標に落として、年を追ってグラフを書いています。1980年をピークにくるりと輪を描いて価格と消費量が下がっているのが読み取れますし、最近時点では、IT バブル崩壊後の景気後退や NY の 9.11 テロのあった2001年以降は順調に右上がりで、消費量と価格がともに上がっているのも明らかです。もちろん、このグラフの各点は需要曲線と供給曲線の交点を示しているだけであり、最近数年の原油価格の動きは需要曲線だけがシフトしたのであって、供給曲線に沿ったものだと主張するつもりは私には毛頭ありませんが、少なくとも、新興国の経済発展や所得の増加に基づく需要にサポートされた価格上昇ではないかと推察することは出来ます。
それはそうと、今夜のエントリーの主眼は stocktaking = 棚卸しですから、主張し忘れていた重要なポイントを指摘しておきたいと思います。すなわち、エネルギーや食料の価格上昇について、原因の分析が異なれば、当然、政策対応の処方箋も異なるということです。もしも、ファンドがエネルギーや食料に資金をシフトさせているのが主たる原因であると仮定すると、政策対応はファンドの活動を規制することも視野に入れる必要があります。しかし、逆に、新興国の需要にサポートされた価格上昇であるとすると、効率的な資源配分を実現する市場の価格は財の希少性を反映しているわけですから、価格に反映された希少性を考慮して財を使うという、極めて正統的な政策が中心になります。激変緩和の対策は許容されるかもしれませんが、省エネ・省資源や代替財の開発なども視野に入るんではないかと思います。
この視点から、出るべくして出た見方なんでしょうが、為替を円高にすることによりエネルギーや食料品の円建て価格を低く抑えるという意見を見かけました。昨日も1次QEの予想で引用した三菱UFJリサーチ&コンサルティングからのニューズレターに、「日本のスタグフレーション対策」 - 残されているのは円高政策 -と題するコラムがありました。このコラムでは、「原油、穀物、鉱産物などの高騰は途上国経済の拡大による超過需要と過剰流動性による投機的需要に起因している。」と、まあ、それなりの見方は示しつつ、結論として、「即刻実行できるのが円高政策である。」として、「ドル売り介入」をオススメしているように私には読めました。詳しくは、リンクを張ってありますから、直接ご覧下さい。これに対して、今朝の「朝日新聞」朝刊の13面に乗用車メーカーの「円高・原材料高による営業減益分」というグラフが掲げられています。為替と原材料価格とでは変化の比率が違うでしょうから、乱暴な議論だとは承知しているんですが、一目瞭然で、円高による営業減益分が原材料高による減益分よりも大きく見えます。少なくとも、乗用車メーカーをはじめとして、輸出比率がそれなりの比率に達している業界は、ドル売り介入による円高政策の発動があればダメージを受けるんではないか、と私は推察しています。今日の東証の日経平均株価も円安を好感して上げたとの報道も見かけました。

かなり前に、金利を引き上げて利子所得を増やし、消費を活性化させるという、ややトンデモ政策を言い出した人もいたかに記憶していますが、現時点における円高政策の提言は、先日の第66期将棋名人戦七番勝負第3局における森内名人の141手目の▲9八銀並みの「50年に一度」とはいわないまでも、かなりのトンデモ提言だという見方をするエコノミストも少なくなさそうな気がしないでもありません。でも、この先、エコノミストから見ればトンデモな、こういった意見が出る可能性は十分ありえるので気を付けたいと思います。

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2008年5月13日 (火)

金曜日に発表される1-3月期GDP統計は年率3%を超える高成長か?

今日は、朝からが降ったり止んだりでした。台風2号が関東南岸に接近しているらしいです。

今週金曜日5月16日に今年1-3月期のGDP統計が発表されます。エコノミストの業界で1次QEと呼ばれているものです。この統計について、シンクタンクや金融機関各社の予想が出そろいました。金融機関などでは顧客向けに出しているニューズレターで公表する形式の機関もありますし、私もメールなんかに添付してもらっているリポートもあるんですが、今夜のところはネットにPDFファイルなんかで公表している機関に限っています。前回の2月12日付けのエントリーでは成長率の低い順に並べたんですが、今夜の順番は単純にダウンロードしたPDFファイルのファイル名順で、特段の意味はありません。もしも、私のこのブログで上位に並べてほしい機関があれば、ファイル名が上に来るように工夫されるといいでしょう。冗談はさて置き、ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。なお、詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"PDF" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.5%
(+2.1%)
外需に支えられてプラス成長維持
みずほ総研+0.8%
(+3.3%)
2四半期連続で年率3%を超える高成長
三菱UFJ証券+0.2%
(+0.8%)
輸出が増加、うるう年効果で消費の伸びも高まる
第一生命経済研究所+0.8%
(+3.1%)
外需主導で高めの伸びに
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.8%
(+3.4%)
3四半期連続のプラス成長となり、伸び率も前期に続き高い水準
ニッセイ基礎研+0.9%
(+3.8%)
消費、輸出の高い伸びで2四半期連続の高成長

簡単に概観すると、三菱UFJ証券以外は潜在成長率である1.5-2%を超える成長を予測し、そのうち、年率2.1%と見ている日本総研を除く各機関は年率3%を超える高成長を予測しています。三菱UFJ証券のリポートではヒストリカルDIの動向から、昨年11月をピークにしてすでに景気後退局面入りしている可能性が指摘されています。4月30日付けのエントリーで鉱工業生産指数を取り上げた際にも指摘しましたが、私もこの可能性は排除できないと考えています。それはともかく、三菱UFJ証券を除く各機関の予想はかなりの高成長で、押並べて、うるう年効果もあって消費と外需が成長を押し上げたとの見方が主流となっている気がします。これは、三菱UFJ証券についても同じことです。逆に、設備投資はマイナスを記録するとの見方が多くなっています。ですから、違いは住宅投資にあります。みずほ総研や第一生命経済研究所とニッセイ基礎研は前期比年率で2桁の高い伸びを予想している一方で、三菱UFJ証券はまだマイナスが続くとの見方をしていたりします。新規住宅着工戸数を季節調整済の年率で見ると、昨年年央にほぼボトムアウトし、2007年7-9月期80.9万戸から10-12月期には95.5万戸、今年2008年1-3月期は114.2万戸へと順調に回復しているように見えますが、実は、今年に入って、1月118.7万戸から2月115.0万戸、さらに、3月は108.8万戸と、早くも息切れ気味です。この新規住宅着工からラグを伴ってGDPベースの住宅投資に波及しますから、このラグをどのように見込むかでGDPの住宅投資の見方が変わって来ます。

景気転換点との関係を考えると、確かに、三菱UFJ証券の見通しのように、すでに景気後退局面入りしている可能性は排除できないと私も考えていますが、もしも、1-3月期のGDP統計で潜在成長率を上回る結果が出れば、景気転換点を認定するのは難しいだろうと見られます。でも、景気転換点が後ズレした可能性もあり得るんではないかと私は考えています。

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2008年5月12日 (月)

野田稔+ミドルマネジメント研究会『中堅崩壊』(ダイヤモンド社) を読む

今日も、朝からが広がり、陽射しはありませんでした。少し肌寒かったような気がします。台風が接近して来ており、再び、お天気は下り坂のようです。

『中堅崩壊』昨年2007年8月2日付けの「日本経済を支えるのはミドル・マネジメントか、トップ・マネジメントか?」と題するエントリーで取り上げて以来、専門外ながら、私の経営学的な関心として、日本のマネジメントにおける競争力の源泉はトップ・マネジメントか、ミドル・マネジメントか、どちらにあるかを考えていたりしたんですが、最近、本屋さんの店頭で『中堅崩壊』というタイトルの本を見かけましたので、ついつい衝動買いしてしまいました。野村総研ご出身の明治大学の野田稔教授と野田教授の主宰するミドルマネジメント研究会が出しています。副題は「ミドルマネジメント再生への提言」となっています。ただし、この本では、私がミドル・マネジメントとトップ・マネジメントの二分法で論じたのに対して、シニア・マネジメントも入れた三分法となっていたりしますが、豊富なアンケート調査結果なんかも取り入れられており、現在の日本におけるミドル・マネジメントの現状把握と分析に、それなりに役立つものかと期待して購入しました。「それなりに」と書いたのは、私の専門外の経営学的な観点のため、私には必ずしも十分な理解がはかどらなかっただけで、専門分野の違う人には「大いに」であるかもしれません。まず、本書の雰囲気の理解のために目次を掲げると以下の通りです。

  • 第1章 長期不況がもたらしたミドル崩壊の実相
  • 第2章 バブルミドルの焦りと問題意識 - ミドル & ジュニア 1000人アンケート調査結果
  • 第3章 丹羽宇一郎会長が考えるミドル問題の本質
  • 第4章 ミドルマネジメント・エクセレンスに向けた先進事例
  • 第5章 創造するミドルのための新たなキーワード
  • 第6章 ミドルマネジメントに必要なコンピテンシーを探る

結論から言うと、私の求めるものと少し違っていたので、今夜のエントリーでは読書感想文の範囲にこだわらず、私なりにミドル・マネジメントについて論じてみたいと思います。
まず、『中堅崩壊』での取り上げられ方と少し違うんですが、生産要素としての労働については、シニア・マネジメントを取りあえず無視すると、ルーティンをこなすジュニアのプレーヤーや工場のレイバーとイノベーションを企業に取り込もうとするトップ・マネジメントと、その間にルーティンを指揮して、イノベーションをルーティン化・具体化するミドル・マネジメントがいるんだと私は考えています。なお、『中堅崩壊』ではイノベーションという言葉は使われておらず、ミドル・マネジメントがジュニアのプレーヤーの業務を同時に行うプレーイング・マネージャー化していて、多くの業務を抱え込む多重債務者となっているとの分析が提示されています。これはこれで秀逸な分析だと思います。ただし、繰返しになりますが、イノベーションという言葉は使われておらず、「改革」という漠たる概念で置き換えられているように感じました。イノベーションよりも生産フロンティアの拡大に近い概念かもしれません。もっとも、イノベーションもプロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーションに二分されていて、トップ・マネジメントがやるべきなのは前者であって、ミドル・マネジメントは後者を担当しているんだと私は考えています。『中堅崩壊』では年齢による区分が用いられていますが、イノベーションやルーティンに対する役割の違いは、プレーヤーとミドル・マネジメントとトップ・マネジメントの階層の定義に近いと私は考えています。なお、私の使うイノベーションとは経済学用語の技術であり、工学的な製品開発とは違います。生産要素たる資本と労働の組合せを最適化して、利潤、または、場合によっては、売上げを極大化することを指しています。
経済がグローバル化する中で、ルーティンをこなすジュニアや工場のレイバー層は新興国の追上げを受けて、かなり競争力を失っています。逆に、トップ・マネジメントは欧米諸国に水をあけられたままで、産業や規模を横断して外資の導入に極めて消極的です。外資の導入とは外国のマネジメントの導入を意味することを敏感に察しているのでしょう。消去法でもないんですが、日本で競争力を保持し続けているのは、プロセス・インベーションが強いことも傍証として、ミドル・マネジメントであろうと私は考えているわけです。ただし、最近時点ではこういった従来からの構造が急速な変化を生じていることは確かです。
バブル崩壊後の氷河期とか超氷河期とか呼ばれていた就職難の時代を経て、部下のいないミドル・マネジメント層が形成され、今世紀に入ってからのデフレ期から現在に至るまで、というか、いまだにデフレが続いていると考えてもおかしくないと私は感じていますが、業務量の増加したミドル・マネジメント層がお給料が上がらないことも含めて急速に疲弊して来ていることは確かです。同時に、現時点のトップ・マネジメント層がバブル崩壊やデフレの後始末に追われた年代であることも事実です。このような基本認識の下で、ジュニアなプレーヤーや工場のレイバー層が新興国に対して競争力を持つようにするには、給与を切り下げることが困難とすれば、かなり厳しい課題と私は考えています。量的なものを飛び越えた質的なイノベーションによる画期的な生産性の向上が必要となるからです。ミドル・マネジメントが担当するプロセス・イノベーションでは限界があるようにも感じます。何らかの基礎的な分野でのイノベーションが必要になる可能性が高く、ひとつの方法は、私のブログでも主張して来た再度のキャッチアップの実行であり、外資の導入もマネジメントの向上のために視野に入れるべきだと私は考えています。しかし、トップ・マネジメントは極めてこれに消極的です。

この閉塞感に対する解決策として、『中堅崩壊』では、システム面でプロジェティスタ制度を導入すると同時に、この制度的な改革によって内発的動機付けを高めることを提唱しているように見えます。ミドル・マネジメントだけを対象に考える部分均衡的な解決策かもしれませんが、私は評価できないと考えています。残念ながら、より大局的な見方を提示できる解決策を今後とも探したいと思います。控えめに言っても、この本はそんなに私のニーズにはマッチしませんでした。

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2008年5月11日 (日)

図書館に出かけて『名探偵コナン』のコミックを借りる

今日は、朝からでした。昼前には上がりました。雨が上がっても雲が切れず、北風も強くて肌寒かったです。でも、甲子園のプロ野球をテレビ観戦していると、両監督がともにサングラスを着用に及んでいますので、東京でも明日はいいお天気なのかもしれません。

カブ隊に出かける下の子

今日はまたまた近くの図書館に出かけます。下の子がボーイスカウトのカブ隊に出かけるのでいっしょに行きます。お天気がよければ自転車で行きたいところなんですが、雨が降っていましたので地下鉄にします。駅で待っていると、やおら、小田急線直通の箱根行きロマンスカーがやって来ました。下の子とともに写真を撮ってしまいました。単なるミーハーだったりします。私は先月に何かの折に遅くなって、赤坂駅から帰宅する際に見かけたことがあります。地上であればもっと飛ばすのかもしれませんが、地下鉄の中ではそんなにスピードが出していなかったように見受けました。
図書館では何冊か新書を借ります。ついでに、子供達向けに『名探偵コナン』のコミックも借ります。先日、やy家族バラバラながらも、劇場版の映画を見たところです。実は、『名探偵コナン』のコミックの事件は本ごとに独立していなくて、ひとつの巻にいくつか事件が入っていたり、ひとつの事件が次の巻にまたがっている場合があるので、出来るだけ続いている部分を借ります。どうも、図書館の管理が悪いのか、そろっている巻がそんなになく、歯抜けで飛び飛びにしか置いていないんですが、3-4冊でまとまっている部分を何冊か借ります。帰り道は下の子と待合わせをしていたわけでもないんですが、たまたま、私が地下鉄のホームに降りて行くと下の子もいましたので、いっしょに帰宅しました。下の写真は『名探偵コナン』のコミックを読むおにいちゃんです。

『名探偵コナン』のコミックを読むおにいちゃん

お天気が冴えないので余り出かけることもせず、マンガや新書などの軽い読み物でも読みつつ、順調な試合運びの我がタイガースのテレビ観戦を楽しんでいます。ゆったりと過ごしている週末です。

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2008年5月10日 (土)

またまた写真と将棋の文化の話題

今日は、朝からでした。陽射しがなくて気温は上がりませんでした。季節が逆戻りしたような肌寒さでした。街からは半袖が一気に消えたような気がします。

写真展「AERA 創刊20周年記念 坂田栄一郎 LOVE CALL - 時代の肖像 -」今日は午前中にお出かけして、昨日5月9日から6月8日まで、東京駅前の丸の内エリアにおいて開催されている写真展「AERA創刊20周年記念 坂田栄一郎 LOVE CALL - 時代の肖像 -」を見て来ました。写真展のタイトルの通り、"AERA" のカバーフォトを撮り続けている写真家の坂田栄一郎さんの作品を取り上げています。丸の内エリアのアチコチ、具体的には、丸ビルの丸キューブと呼ばれている吹抜けと3階の回廊、行幸通路の地下ギャラリー、新丸ビル3階のアトリウム、そして、丸の内オアゾの○○広場です、なお、最後の「○○広場」は「おおひろば」と読ませるようです。私が実際に今日の午前中に回った順番に並べています。"AERA"の表紙はご存じの通り、フツーに女優さんやモデルさんなんかの女性の顔写真を使っている他の週刊誌と違って、いろんな人の顔写真が登場します。政治家やスポーツ選手、来日したチャンスをとらえて外国人が登場したりもします。例えば、1990年に指揮者レナード・バーンスタイン氏が最後の来日をした時、札幌のパシフィック・ミュージック・フェスティバルの会場でバーンスタイン氏の最後のポートレートを撮影したのは坂田さんであると言われています。そのフォトグラファーの坂田栄一郎さんは私のマイナーなブログで紹介するのもおこがましいくらいの大御所ですが、「ポートレートの名射手」と呼ばれていて、2005年には人物写真などの功績を讃え、「PIERCING THE SKY - 天を射る」で第24回土門拳賞と日本写真協会賞の作家賞をダブル受賞しています。
さて、私が実際に回った順番は先ほどの通りなんですが、丸ビルの丸キューブには写真集の分厚い本も2冊置いてあり、自由に見ることが出来ました。先ほどのパラで触れたバーンスタイン氏(1990年)のポートレートは丸キューブで見ることが出来ます。他にも、現在の小沢一郎民主党代表(1990年)の若いころの写真や米国で民主党の大統領予備選中のヒラリー・クリントン上院議員(2004年)などの写真があります。丸ビル3階の回廊では、当時の小泉純一郎総理大臣(2001年)、ダライ・ラマ14世猊下(2003年)、トリノ・オリンピック直後と推察される荒川静香さん(2006年)などの大きくてカラーのポートレートがありました。もしも、1か所だけ行くのであれば、私は丸ビルをオススメします。行幸通路の地下ギャラリーは枚数的にはもっとも数が多く、軽く100枚は超えているような気がします。でも、すべてモノクロの写真です。東京駅を背にして皇居に向かって左側から年代順に並べてあり、左側を見終わると、今度は右側を皇居側から東京駅に向かって並んでいます。スポーツ関係ではテニスの松岡修三さん(1988年)や阪急のエースだった山田久志さん(1989年)、プロゴルファーの上田桃子さん(2008年)、あるいは、作家では芥川賞作家の金原ひとみさん(2008年)や川上未映子さん(2008年)なんかの写真が見られます。川上さんが芥川賞を受賞したのはつい最近ですから、見慣れた同じ顔なんですが、金原さんは芥川賞を受賞した時から印象が違って見えました。新丸ビル3階のアトリウムは音楽家限定のようで、指揮者の小澤征爾さん(1990年)など8人だけでした。手の届かない高い所に置いてありました。パスするとすれば、新丸ビルだと思います。オアゾの○○広場には柱6本の4面に写真があり、もっとも、そのうちの1面は写真展のポスターですから、計23人のポートレートがありました。サッカーの中田英寿選手(2000年)なんかが見られます。また、柱の写真とは別に、ゲルニカのレプリカの反対側の壁に、向井千秋さん(1989年)や毛利衛さん(1992年)など、日本人宇宙飛行士4人の写真がありました。オアゾには宇宙航空研究開発機構(JAXA)の情報センター JAXA i がありますから、その関係ではないかと思います。
まったくどうでもいいことですが、ひとつだけ不満があります。それは我が阪神タイガースの選手や監督の写真を私が見つけられなかったことです。もちろん、特に、行幸通路の地下ギャラリーなんかは大量の写真があって見逃したのかもしれません。実は、写真展のホームページにはレッドソックスの松坂大輔投手の写真があるんですが、私は見つけられませんでしたから、見逃した可能性も大いにあり、なかったと断言はしないものの、少なくとも見つけられなかったことは事実です。その昔、「週刊朝日」の最後の方に山藤章二さんが描いていたマンガは、山藤さん自身が阪神ファンだったものですから、割と頻繁にタイガース関係者のマンガが出ていたような気がするんですが、やっぱり、同じ朝日でも "AERA" は別物なのかもしれません。今年こそはタイガースがリーグ優勝と日本一になって、我々ファンも大いに盛り上げて、"AERA" の表紙にタイガースの選手や監督がバンバン出るようになって欲しいものです。

名人戦第3局投了図

それから、話題を変えて、第66期将棋名人戦七番勝負第3局が昨日終了しました。朝日新聞と毎日新聞の共同主催なんですが、先のリンクは棋譜の豊富な朝日新聞のサイトに張ってあります。森内名人の先勝で始まった第1局に続いて、第2局は羽生二冠が制した後、第3局では序盤から中盤にかけては森内名人が優勢と言われながら、挑戦者の羽生二冠が141手目の森内名人のミスをついて、50年に1度とも言われる大逆転で勝って、対戦成績を2勝1敗としました。解説をしていた深浦康市王位は終了直前に「なんなんだ、この人は」と絶句したほどの大逆転だったらしいです。「50年に1度」というのも深浦王位が言い出したらしいです。将棋がカラッ下手の私には棋譜を見てもよく分かりません。なお、初めて全国規模で大盤解説会が開催され、多くのファンが楽しんだようです。私は行かなかったんですが、我が家の近くでは、先日、下の子とビギナーズ・セミナーに行った将棋会館道場で鈴木大介八段と船戸陽子女流二段による大盤解説会が開催されていたようです。最後に、朝日新聞のサイトから名人戦第3局に関する記事を引用しておきます。

9日朝から福岡市のJALリゾートシーホークホテル福岡で指し継がれていた第66期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の第3局は午後9時39分、挑戦者の羽生善治二冠(37)が森内俊之名人(37)を164手で破り、シリーズ成績を2勝1敗とした。敗勢の挑戦者が粘りに粘り、歴史に残る大逆転劇を演じた。持ち時間各9時間のうち、残りは名人1分、挑戦者5分。第4局は20、21の両日、名古屋市で。
終了直後、インタビューが始まった。勝った羽生挑戦者の声はかすれ、激戦の興奮からか涙声になる場面も。何度も信じられない逆転を重ねてきた挑戦者だが、今回は奇跡的だった。解説の深浦康市王位は終了直前、「なんなんだこの人は」と絶句。「驚異的な粘りが名人のポカを生み出した。50年に1度です」と総括した。
終始リードしていたのは名人。序盤の強手から最終盤まで万全の押さえ込みの態勢を作り上げ、会心譜になるはずだった。しかし挑戦者の執念の粘りが、141手目の先手9八銀という名人の致命的な大失着を呼んだ。挑戦者の後手8六桂が王手銀取りになり、名人は頭を抱えた。打った銀を直後に取られ、挑戦者の流れに変わった。
大盤解説会は初めて全国規模で開催され、多くのファンが楽しんだ。

写真と将棋の名人戦の組み合わせは、少し前にもこのブログで取り上げたような気がしないでもないんですが、何となく、お天気の冴えない週末にお出かけしましたので、再び文化の話題をお届けします。

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2008年5月 9日 (金)

食料とエネルギーの価格上昇の主たる原因は何か?

今日は、朝からが広がり、そんなに陽射しはなくて朝のうちは少し肌寒かったんですが、午後から気温はそこそこ上がりました。お天気は下り坂で、東京では明日は雨が降るとの天気予報です。

Fundamentals of Inflation

"Wall Street Journal" が "Economic Forecasting Survey" の結果を公表しています。通常のインフレ、成長率 (GDP)、金利の調査項目に加えて、今回の5月調査のイシュー別の Q&A として、食料・エネルギー価格上昇の原因についての設問があります。先月の4月は米国経済が景気後退に入っているかどうかに関する設問でした。結果は上のグラフの通りです。中国やインドの需要を上げるエコノミストが多く、次いで、供給制約が大きな比率を占めています。投機が主因とする意見は、食糧もエネルギーもともに10%余りに過ぎません。まず、"Wall Street Journal" の記事の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

The global surge in food and energy prices is being driven primarily by fundamental market conditions, rather than an investment bubble, say the majority of economists in the latest Wall Street Journal forecasting survey.

私はすでに先月4月25日付けのエントリーで主張している通り、日本にとってはコストプッシュの物価上昇かもしれないんですが、グローバルなコンテクストの中で考えれば、新興国の経済発展や所得水準の上昇に伴う需要に支えられたディマンドプルの物価上昇であり、数年前、中国が WTO に加盟する直前くらいから、直近の時点までの期間において、ひとつの相対価格体系から別の相対価格体系に移行した結果、あるいは、移行しつつある過程ではないかと考えています。移行した結果なのか、移行しつつある過程なのかは、もう少しフォーマルな分析をしないと分かりません。でも、私の直感は今回の "Wall Street Journal" の "Economic Forecasting Survey" の調査結果におけるエコノミストの多数意見とほぼ符合しているんではないかと考えています。
他方、日本国内の論調は陰謀史観に近いと私には見受けられます。例えば、記事の中身は別にしても、「日経ヴェリタス」の最新号なんかは1面のタイトルが、いかにも、米国のサブプライム問題により資金が株や債券といった金融資産市場から穀物や原油などの一次産品市場にシフトしたことが商品市況の大幅な上昇の主要な原因である、との誤解を惹起しかねないように私は心配しています。この「日経ヴェリタス」のタイトルなんかは、今年2月11日付けのエントリーで取り上げたジョージ・メイソン大学のカプラン准教授の "The Myth of the Rational Voter" で "anti-market bias" と称されている、専門的知識に欠ける非エコノミストの偏向した見方に分類されるものかもしれません。まあ、サブプライム証券から逃げ出した資金も市場の中ではあるんですが、"Wall Street Journal" の "Economic Forecasting Survey" のコメントには、"Fundamentally too much demand, too little supply." というのもあったりします。もっとも、"In last 6 months: speculation." なんてコメントもあります。

前回4月25日付けのエントリーでは、私は何の論拠も示さずに、現時点における物価上昇はあくまで相対価格の変化に止まっており、少なくとも日本国内では一般物価水準の上昇にまで及んでいないとの認識を示しましたが、今後は、食料やエネルギーの価格上昇がいつまで、また、どの水準まで続くのかはもちろん、これらの価格上昇が一巡するころ、一定のラグを伴って、一般物価水準がどのような変化を見せるかに注目すべきではないかと考えています。

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2008年5月 8日 (木)

昨夜の東京ドーム巨人戦7回ウラの出来事についての感想

今日も、少し雲が多いものの、朝から五月晴れで気温も上がりました。夕方からさらに雲が広がったような気がします。お天気は下り坂で、この週末には雨が降るとの天気予報です

昨夜の東京ドームでの巨人戦7回ウラの出来事、すなわち、 YouTube のサイトから引用した上のビデオの場面に関してネット上、特に、2ちゃんねるなんかで盛り上がっているようです。おそらく、巨人ファンなんだろうと思いますが、ラミレス選手のホームラン性の当たりを阪神ファンがはたき落としたとかで、憤慨する書込みが多いように見受けました。阪神ファンの反応はさまざまで、言語道断の行為として「阪神ファンとして恥ずかしい」とする意見もあれば、まあ、言葉はともかく、「よくやった」的な論調も見受けられます。今朝のスポーツ紙でも、「神の手」などの活字が躍っており、ラミレス選手の打球はホームランであったとする論調が多いような気がします。
まず、前提として、私のこのブログでは上のビデオを見ても、事実関係については確認しようがありませんが、ホームラン性の打球であったことと、阪神ファンに見える観客がはたき落としたことの2点については、事実確認は断定できないものの、限りなくクロに近いグレーだという気がします。この前提で、2点指摘したいと思います。第1に、これは観客の問題ではなく審判の判定の問題だということです。第2に、従って、事実関係は断定しないものの、疑問のある判定に対するチーム力が勝負の分かれ目となります。以下に詳しく展開します。
第1に、昨夜のように、伝統の一戦と呼ばれる阪神・巨人戦で、かなりの接戦でしたから、興奮した観客があのような行為に及んでも責めるべきではないと私は考えます。明らかに、観客性から飛び出してプレーを妨害したとか、グランドに物を投げ込んだとかであればともかく、あの程度の行為で観客を責めるのは酷だと思います。もちろん、アノ観客に100パーセントの免責を与えようとは思いませんが、むしろ、あの観客の行為の結果に対して審判がどのような判定を下すかが問題であると私は考えます。ホームランと認定することも可能だったでしょうが、昨夜の場合は、観客のはたき落としがなくてもスタンドに達しなかったとの審判団の判断に従って、二塁打との判定を下したわけです。ですから、問題の本質は観客の行為ではなく、審判の判定が誤審だったかどうかであると考えるべきです。教育の一環とも考えられている高校野球と違って、プロ野球はショービジネスとも言えますから、誤審に対して監督が抗議するのはアリですし、広島のブラウン監督の例を引くまでもなく、ショーの一部とさえ考えることも可能です。しかし、ショービジネスを離れてスポーツと捉えれば、事実関係は審判が最終的な判断を下すのが当然です。お金を払って球場にショーを見に来る観客よりも、お給料をもらって判定を下す審判の方により大きな責任が課せられるべきであることは言うまでもありません。
第2に、私の前提からすれば、二塁打との判定は限りなく誤審に近いんですが、これまた、事実関係の断定は避けるものの、勝ち負けのあるスポーツにおいて、こういった何らかのネガティブなアクシデントに対して、これを克服して勝ちに結びつけるか、昨夜のジャイアンツのように、そのままズルズルと負けてしまうかは、チーム力に依存します。昨夜の場合は、その後、ジャイアンツは一死満塁までチャンスを広げながら、ゴンザレス内野手のライト前の当たりで阿部捕手が二塁でフォースアウトになった時点で、判断よくセカンドに投げた葛城外野手が次の8回表の攻撃で試合を決める勝越しのヒットを打つ流れになっていたんではないかと私は考えています。勝負事とはそういうものではないでしょうか。なお、このプロ野球にはめずらしいライトゴロも YouTube のサイトにアップされています。ということで、もう少し大きな舞台で日本シリーズの例を取り上げたいと思います。ひとつめは、1978年の阪急とヤクルトのシリーズです。第7戦のヤクルト大杉選手のホームランについて、阪急の上田監督が猛烈な抗議をし、疑惑のホームランと呼ばれました。結局、阪急はこの第7戦を落としてヤクルトが日本一に輝きます。もうひとつは、我が阪神が西武と対戦した1985年の日本シリーズ第1戦です。審判の判定ではないんですが、先発の松沼(兄)投手の執拗な内角攻めで、現在のタイガース監督の岡田選手がデッドボールを受けて、しばらくホームベース付近で腹ばいで倒れた後に、その次の佐野外野手の第1球で果敢にセカンドに盗塁しました。得点にはつながりませんでしたが、こういった岡田選手個人のガッツや盗塁させた吉田監督の判断といったチーム力は大いに評価すべきで、そのままズルズルと行くのとは大いに違いがあります。最終的に、1985年の日本シリーズでは阪神が西武を下して日本一に輝いたのはご存じの通りで、第1戦のこのプレーはシリーズ全体の流れを決めるのに大きく貢献したんではないかとさえ私は評価しています。なお、どうでもいいことですが、リンク先のビデオには岡田選手のデッドボールや盗塁のシーンは含まれていません。悪しからず。それから、もっとどうでもいいことですが、1985年の日本シリーズのビデオだったら、長崎外野手が1回表にいきなり満塁ホームランを打った第6戦がオススメです。さて、本題に戻って、要するに、頭にデッドボールを食らった直後の打席で、巨人ファンで埋め尽くされていることが容易に想像されるライトスタンドに、はたき落としようのない飛距離で運んだ金本外野手のガッツや力量と、同点に追い付いた直後の一死満塁でライトゴロを記録したジャイアンツとの差が昨夜の勝負を決したと私は考えています。一般論として、やっぱり断定は避けますが、誤審やネガティブなプレーがあったとしても、そのままズルズルと負けてしまうのか、選手とベンチが一体となって克服して勝ちにつなげるのかはチームとしての力量の見せどころなんだという気がします。

もちろん、阪神ファンからの見方ではありますし、ラミレス選手の一打がホームランと判定されて3点入って逆転していたなら、昨夜はジャイアンツが勝っていた確率が高かったであろうこと大いに認めますが、観客の行為を責めるのは酷ですし、最終的な勝ち負けが決まるのは、好ましくない何らかのアクシデントを克服するだけのチーム力があるかどうかではないでしょうか?

今夜もやっぱり、
がんばれタイガース!

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2008年5月 7日 (水)

明日も勝って巨人相手に3タテか?

やっぱり、今のジャイアンツは我がタイガースの敵ではありません。伝統の一戦と呼ぶのも少しおこがましい気がします。競った試合になれば阪神の勝ちでしょう。
7回に同点に追いつかれたものの、タイガースに焦りはなかったように見えました。8回にチャンスになって、私のごひいきの今岡内野手はすでにその前の7回に代打で出ていたものの、バルディリス内野手あたりの右打者の代打かとも思いましたが、そのまま葛城外野手に打たせる岡田監督の采配がズバリ的中といったところでした。もっとも、5番に起用したんですから、そうそう代打もないとは思います。それから、その前の金本外野手のアノ当たりでサードを陥れた新井内野手の走塁も見事でした。金本外野手のレフト前にフラフラ上がったヒットへのコメントは差し控えますが、その前の4点目のホームランはこれまた見事でした。
少しびっくりしたのは、8回裏に江草投手が出て来たことです。昨日のデーゲームで久保田投手が2イニングス投げているとはいえ、当然、8回久保田投手と9回藤川投手で締めくくるんだと思ったんですが、失礼ながら、意外にも江草投手のご指名で、岡田監督の起用に応えて三者三振でした。ここでも岡田監督の采配の妙が見られました。5月3日の中日戦の安藤投手を継いだ9回もこんなもんだったんでしょうか。最後はもちろん、藤川投手です。この間の中日戦ではサヨナラを喫したとはいえ、盤石の安定感があります。最初にも書きましたが、競った試合になれば今の巨人には負けない安心感があります。

やっぱり、明日も勝って3タテでしょう。
がんばれタイガース!

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やっぱり米国の景気後退は軽度で済むのか?

今日も、朝からスッキリと晴れ上がった五月晴れで気温も上がりました。ゴールデンウィークも明けて、通勤電車には人が戻ったような気がします。なお、今日は中国の胡錦濤国家主席が来日していて首脳会談が行われるため、総理大臣官邸近くは厳重な警備体制で、報道陣もワンサカと押し寄せていました。

The Labor Picture in April

Nonfarm Payrolls5月2日に米国の雇用統計が発表されました。右のグラフはすでに5月3日付けのエントリーで取り上げた非農業雇用者数の前月差のグラフを使い回しているんですが、上の画像はいつもの "The New York Times" の "The Labor Picture in April" です。オリジナルの大きさから少しだけ縮小をかけてあります。ヘッドラインの非農業雇用者数は前月比で▲2万人減と1-2月の▲8万人超減から大幅にマイナス幅を縮小しました。市場のコンセンサスでも▲7-8万人減でしたので、これも上回りました。産業別に見ると、製造業と建設業が引き続き大きなマイナスを記録している鉱工業が▲110千人減と1-2月よりもマイナス幅を拡大しているのに対して、非製造業は+90千人増とプラス幅を拡大しています。卸売サービス業や小売サービス業などの商業関係はマイナスを続けていますが、教育・ヘルスケア産業が引き続き高い伸びを維持しているほか、特に、専門・企業サービス業が今年に入ってマイナスを続けていたのが、4月には+39千人増となっているのが目を引きます。また、失業率は3月の5.1%から0.1%ポイント改善して4月には5.0%となりました。これも市場コンセンサスの5.2%を下回りました。この間、労働参加率は66%前後で大きな変動がないわけですから、景気が悪いので一部労働者が労働市場から退出したという動きでもないようです。
日本の景気サイクルは生産を起点として、雇用⇒消費と回ります。もちろん、生産の前に輸出や、その昔には政府の公共投資などが位置する場合もあります。他方、米国の景気サイクルは起点が雇用で、雇用から消費⇒生産とつながります。ですから、景気循環的には日本では生産が、米国では雇用が重要な位置を占めます。これを考えると、米国経済については、今回は景気後退=リセッションに入ったことは明らかだと私は考えているんですが、この4月の雇用統計が今後のトレンドを示していると仮定すれば、ひょっとしたら、リセッションが軽微で終わる可能性を示唆しているのかもしれません。もちろん、4月の単月の統計ですから確たることは言えませんが、今回の雇用統計だけでなく、リベート・チェックによる戻し減税が始まりますし、金利引下げの効果も期待されますから、政策面ではリセッションを軽微なもので終わらせる方向で経済をサポートしているように見えます。少なくとも、市場ではそのように受け止められている気がします。原油価格は WTI がバレル120ドルを突破しましたし、米国の株価はジワジワと上昇して、NY 市場のダウ平均が13,000ドルに達しています。もちろん、マーケットはマクロ経済動向だけで決まるものではありませんが、少なくともサブプライム・ローン問題による金融機関の欠損は米国では山を超え、最近時点では、 UBS などの欧州企業に注目が集まっている気がしないでもありません。
しかし、リセッションが軽微だとしても、指摘しておくべき点が2点あります。第1に、雇用統計の姿がよくないことです。建設業雇用者が大幅に減り続けていて、住宅の価格調整が長引くことを示唆していますし、卸売サービス業や小売サービス業といった商業セクターの雇用減が続いており、消費の現場は回復局面が厳しいことを予想していることが読み取れます。第2に、このブログでも繰返し表明していますが、米国経済がいわゆる V 字型で急回復するとは考えられないことです。これは私の勝手な見方ではなく、例えば、先月4月10日付けのエントリーで取り上げた国際通貨基金 (IMF) の世界経済見通しでも、米国の成長率は今年2008年0.5%、来年2009年0.6%と、一昔前の表現ながら、なべ底を這うような景気展開になることが予測されています。株や債券といった金融資産ではなく、住宅資産の実物資産としての特徴から価格調整が長引くために、消費が本格的な回復を示すまでに時間がかかることが原因です。目先のリセッションは深くはないけれど、その先の回復も力強くないといったところだと思います。

米国の景気後退が軽微であるとしても、回復の力強さがなく時間がかかるのであれば、やっぱり、ある程度のラグを伴って日本経済にも影響を及ぼすことは明らかです。その場合、少し前までのデカップリング論と同じで、新興国への輸出が米国向けの落込みをいかにカバー出来るかが、ちょっとしたポイントになるかもしれません。

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2008年5月 6日 (火)

打ち勝つ野球が出来るようになり始めたタイガース

今日の東京ドームは、少しヒヤリとする場面もなくはなかったですが、結果的にはスコア通りの完勝ではないかと思います。実は、私は少し外出をしていて、今岡内野手のホームランは見逃しましたが、3時に帰宅した時点で4回表の攻撃をしているところでした。面白いように点が入った場面を見ていて楽しかったです。先ほどのエントリーの通り、一家で人生ゲームをしている間に巨人が3点ほど入れたようですが、人生ゲームが終わるとともに、7回表に2点入ってダメ押しでしたので、結局、いい場面ばかり見たような気がします。ナゴヤドームでの対中日3連戦は勝ち試合を見られず、負け試合しかテレビ観戦しなかったもので、少しフラストレーションがあったんですが、今日はスッキリしました。
私が気にかけていた今岡内野手も久し振りに5番サードで先発出場して、いきなり第1打席でホームラン、第2打席で犠牲フライなんですから、まずまず5番の働きとしては合格点ではないでしょうか。一昨日に打ち込まれた久保田投手も今日は2イニング投げて、少し不安定で走者を出しながらも、結果的にはゼロで9回を締めくくっています。何よりも、私がうれしいのは打線が好調になって来たことです。一昔前の万年最下位のころは、なかなか打線が点を取れないうちに投手陣が崩れて負けるという、お決まりのパターンがあったんですが、特に最近は先発投手陣がしっかりと踏ん張って試合を作って行くうちに打線が点を取って、少ないリードをリリーフ陣が守り切るという勝ちパターンが出来ていますから、打線が昨日や今日のように、そこそこ点を取れば万全の勝ちパターンだと思います。一昨日のような投手戦も見ごたえがありますが、私のようなシロートには点を取り合う打撃戦も面白いものです。いずれにせよ、中日相手ならともかく、主力の欠けた巨人相手なら今の阪神は負けそうな気がしません。今岡内野手が徐々に調子を上げているように見えますし、今日は藤川投手も温存したんですから、明日と明後日も勝って3タテを目指して欲しいと思います。

明日も、
がんばれタイガース!

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ゴールデンウィーク最終日はゆったり過ごして人生ゲームで遊ぶ

今日も、久し振りに朝からスッキリと晴れ上がった五月晴れで気温も上がりました。街中は半袖の人がドッと繰り出しているように見受けられます。

一家で人生ゲーム

ゴールデンウィーク最終日の今日は、私が少し外出しただけで、一家でゆったり過ごします。なぜか、春休みに遊ぶのを忘れていたので、今日は一家で人生ゲームを楽しみます。我が家は平均して1ヶ月に1回くらいの割合で人生ゲームをしているような気がします。今日は医者でスタートした下の子が途中の転職ゾーンで政治家になって、ブッ千切りのトップでした。2着はタレントで稼いだおにいちゃんで、プログラマーから始めて、下の子が転職した後の医者になった女房が3着に入り、一貫してサラリーマンだった私がドン尻でした。今日はフリーターはいませんでした。子供達には人生ゲームを通して、職業選択の重要性を学んで欲しいと思っているんですが、サラリーマンがドン尻なのは少し疑問に思わないでもありません。まあ、私の運が悪かったということなんでしょう。一家そろってやる人生ゲームはいつでも楽しいです。

なお、4時半過ぎの時点で東京ドームでは我が阪神が巨人相手に順調な戦いを進めています。このまま勝利で終われば、別途、虎ブロをアップしたいと思います。

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2008年5月 5日 (月)

下の子と清水公園に行ってアスレチックで遊ぶ

今日も、朝からが広がって冴えないお天気でした。夜に入って雨が降り出しました。でも、昨日よりも気温は上がったような気がします。今日は私と下の子がいっしょに出かけたんですが、どちらも半袖でした。なお、ゴールデンウィーク最終日の明日はいいお天気らしいです。

清水公園園内マップ

今日は、下の子と千葉県野田市にある清水公園に行きました。引き続き、おにいちゃんは勉強が忙しくて出かけられません。下の子のお目当てはもちろんフィールドアスレチックです。聞いた話によると、日本最大のアスレチックは秋田県立中央公園の青少年教育ゾーンにあるフィールドアスレチック広場だそうで、140ポイントあるらしいんですが、清水公園は100ポイントあります。関東最大級だろうと思います。その他に、我が家が行ったことがあるのは75ポイントの船橋アンデルセン公園、40ポイントある市川ありのみコース、45ポイントの平和の森公園なんかがあります。それから、下の子が昨年の小学校の遠足で行った横浜つくし野コースは50ポイントあるそうです。いろいろと昨夜のうちに調べてリンクを張っておきました。お出かけのご参考に。

清水公園アスレチックのアリ地獄を走る下の子

清水公園のアスレチックはすごい人出でした。入場制限がかかって、30分ほど待たされます。中でも行列待ちをしなければならないほどでした。先に、清水公園のアスレチックは100ポイントと書きましたが、ファミリーコース40ポイント、冒険コース40ポイント、水上コース20ポイントに分かれています。我が家の下の子はファミリーコースに挑戦します。どうしてかというと、ファミリーコースの16番目がアリ地獄だからです。本人も十分に理解しているんですが、我が家の下の子はアリ地獄は苦手なものの大好きです。何を差し置いてもアリ地獄に挑戦したいらしいです。逆に、アリ地獄のないアスレチックには行きたがりません。ここで解説ですが、アリ地獄とは上の写真でも部分的にお分かりかと思いますが、すり鉢状のフィールドを一定方向、今日の清水公園の場合は反時計回りに走って駆け上がってアリ地獄から抜け出そうとする競技です。とっても混んでいて、午後から始めた上に途中で小雨が降ったりして、全部の40ポイントは回り切れませんでした。特に、今日は月曜日ですから、4月15日付けのエントリーで取り上げた「デルトラクエスト」の放送が6時半からありますので、5時の閉園の少し前で切り上げてしまいました。それでも楽しいアスレチックでした。

清水公園アスレチックで遊ぶ下の子

6時過ぎに帰宅してネットでチェックすると、阪神は中日相手に先発の中田投手を早々と攻略して、1回表に打者一巡で7点を取っての楽勝のようでした。私がテレビ観戦していない日に限ってタイガース打線が爆発するようです。

それはそれとして、明日の東京ドームも、
がんばれタイガース!

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2008年5月 4日 (日)

ゆったりした休日にプロ野球をテレビ観戦する

今日は、朝からが広がって夕方まで陽射しがなく、そんなに気温は上がりませんでした。例年でしたら、このゴールデンウィーク後半の季節は半袖なんでしょうが、私は今日は長袖を着用に及んでしまいました。おかげで、午後からは少し暑かったです。

今日は特段の外出予定もなく、午後からナゴヤドームの対中日戦のプロ野球をテレビ観戦します。なかなかの投手戦でした。両先発投手について、少なくとも点を取られないことに関しては、我が阪神の岩田投手が中日の吉見投手を上回っていたんですが、今日はめずらしく我がタイガースの盤石のリリーフ陣が打ち込まれました。久保田投手が同点にされて、藤川投手がサヨナラ・ホームランですから、これでは勝ち目がありません。今まではリリーフ陣に助けられて来たんですから、こんな試合もあって仕方ないかもしれません。吉見投手相手ですから、そんなに点は取れない覚悟はしておくべきで、それでも2点取った打線はまずまずだという気がします。しかし、勝っておくべき試合だったと思います。中日相手にこのような落とし方をすると、最後の最後に効いて来る気がしないでもありません。
余談として、赤星外野手はどうしてしまったんでしょうか?昨日の試合はテレビ観戦しませんでしたが、新聞を見ると4三振を記録しているようで、今日の第1打席も三振していました。一時は絶好調だったような気がしたんですが、少し心配ではあります。代打で出て来た今岡内野手も早く調子を取り戻して欲しいもんです。余談の最後に、バルディリス選手を初めて見ました。昨日まで黒人か白人かも知らなかったんですが、タイガースでは久し振りの黒人選手だという気がしないでもありません。でも、初出場から数えた日数では、フォード外野手よりも早くに白人黒人の区別がついたように思います。どうでもいいことです。ついでながら、バルディリス選手がどこを守るのかは今でも知らなかったりします。

ガンプラを作り終えた下の子

上の写真は、阪神タイガースとは何の関係もなく、ガンプラを作り終えた下の子です。ジオン公国軍のパラス・アテネだそうです。普通のタイプに比べてかなり大きいです。かなり時間もかかった気がします。集中力を養うのにはいいような気がします。

本題に戻って、明日こそ、
がんばれタイガース!

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2008年5月 3日 (土)

お詫びと訂正

先ほどのエントリーの最後で、今日午後のナゴヤドームでの阪神・中日戦について、「安藤投手の完投で中日に完勝」と書きましたが、先ほど、7時からの NHK ニュースの最後のスポーツで「安藤投手が8回まで1点に抑え…」と言っていましたので、気になってネットで調べると、確かに、最終回は江草投手に交代して三者三振で最後を締めたようです。
特に、大きな不都合があったとは思わないんですが、取りあえず、事実誤認であったことは確かですから、お詫びと訂正をします。

ついでに、
がんばれタイガース!

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下の子と名探偵コナンの映画を見た後、麻布中学・高校文化祭に行く

Nonfarm Payrollsゴールデンウィーク後半の初日となる土曜日の今日は、朝からが降りました。午後には雨は上がりましたが、なかなか雲は切れず、夕方まで陽射しはありませんでした。昨日と同じでそこそこ気温は上がったようで、少し蒸し暑い気もしました。右のグラフの通り、昨日、米国の雇用統計が発表され、4月の非農業雇用者数は▲2万人の減少にとどまりました、ということくらいは知っているんですが、必要に応じて、ゴールデンウィークが明けてから詳しく取り上げるかどうか決めることにして、取りあえず、今日のところは休日モードです。

『名探偵コナン 戦慄の楽譜』今日は下の子と名探偵コナンの映画を見に行きました。『名探偵コナン 戦慄の楽譜』です。「楽譜」は「フルスコア」と読ませています。「名探偵コナン」の劇場版映画としては12作目です。なお、今日のエントリーにネタバレはないように書くつもりです。おにいちゃんと女房は先日見てしまいましたから、私と下の子だけです。我が家では昨年まではゴールデンウィークの映画と言えば「クレヨンしんちゃん」だったものですから、「名探偵コナン」の映画はテレビで放送されたものを除いて劇場では初めて見ます。かなり前に『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』をテレビで見た記憶があります。ビデオを借りたのかもしれません。記憶は不確かです。なお、左上のポスターはこのブログの4月21日のエントリーで「ゴールデンウィークの子供向け映画のレビュー」と題して映画を取り上げた際の使い回しです。クリックすると映画のホームページが開きます。アニメですから画像が命ではあるんですが、音楽関係のタイトルにしているだけあって、サウンドもなかなか凝っていました。でも、毎週月曜日に日テレで放送しているアニメといっしょでプロットはかなり難解で、ハッキリ言えば、少しムリがあるような気がしないでもありませんでした。完全防音・防火とはいえ、ホールの中と外とでここまで完璧に遮断されるものかどうか、普通の人が爆弾や銃器にあそこまで詳しいものかどうか、やや疑問が残らないでもありません。小学校の上級生以上向きという意見もあり得ます。我が家の下の子は小学4年生ですから、少し難しいかナと思わないでもなかったんですが、本人はよく分ったと言っています。一応、「名探偵コナン」としては初めて見た劇場版の映画ですから、今までの12作すべてをリストにすると以下の通りです。

  • 1997年 時計じかけの摩天楼
  • 1998年 14番目の標的 (ターゲット)
  • 1999年 世紀末の魔術師
  • 2000年 瞳の中の暗殺者
  • 2001年 天国へのカウントダウン
  • 2002年 ベイカー街 (ストリート) の亡霊
  • 2003年 迷宮の十字路 (クロスロード)
  • 2004年 銀翼の奇術師 (マジシャン)
  • 2005年 水平線上の陰謀 (ストラテジー)
  • 2006年 探偵たちの鎮魂歌 (レクイエム)
  • 2007年 紺碧の棺 (ジョリー・ロジャー)
  • 2008年 戦慄の楽譜 (フルスコア)

「名探偵コナン」の劇場版映画の場合、特に最近作はいずれかの漢字をカタカナ英語で読ませることが多いのに気付きます。ただし、見ていないので確たることは言えませんが、昨年の「ジョリー・ロジャー」なんかは「棺」の漢字に振るのは少し疑問があったりします。と言うのは、普通、「ジリー・ロジャー」と言えば、どくろをあしらった海賊旗ではないかと思わないでもないからです。今年の「フルスコア」も本来は指揮者の持っている総譜のことでしょうから、まったく指揮者が出て来ない今回の映画に「フルスコア」はいかがなものか、という気がしないでもありません。まあ、どうでもいいことです。

麻布中学・高校文化祭にて下の子

映画を見て昼食の後は、麻布中学・高校の文化祭に行きました。東京メトロ日比谷線に乗って広尾の駅に着いたころには雨が止んでいました。私は京都出身ですから麻布中学・高校には行ったことがないので、地図の確認などもあって、昨夜、ホームページを拝見していると、金髪にしている生徒が文化祭実行委員長だったりしたので、「御三家」の一角をなす著名な進学校だという意識があったものですから少しびっくりしたりしました。もっとも、東京近辺の「御三家」がどこを差すのかは私は正確には知りません。私のホームグラウンドである霞が関の官庁街では麻布-東大の公務員もいっぱいいるんですが、当然ながら、金髪にしている人は見かけたことがありません。まあ、時代が違うんでしょう。私も中高6年間一貫の男子単学校の出身ですが、男ばっかりでムサいところもあるものの、学園祭なんかはド派手にやったりした記憶があります。私の出身校もそこそこの進学校でしたから、今日の麻布中学・高校の文化祭と同じで女子高生・女子中学生なんかもいっぱい来ていたりしました。どうでもいい話です。

麻布中学・高校文化祭の将棋部にて下の子

下の子といっしょにいろいろな催しを回ったんですが、特に希望があって、将棋部に行きます。麻布生との4枚落ちの対局に挑戦します。私はすぐにコロリと負けるんだろうと想像していたんですが、それがなかなか負けません。30分まではいかないものの、かなり粘りました。最後は負けましたが、小学4年生にしては十分な実力だと思います。もっとも、私は先日4月24日に将棋の名人戦第2局を取り上げたエントリーでも書いた通り、将棋はカラッ下手ですので、単に親バカなのでそう感じただけかもしれません。将棋部の他にも、オセロ、囲碁、チェスなどのボードゲームの部屋もありました。ついでながら、鉄道研究会の「スーパー鉄ヲタ外伝」にも行きました。ジオラマにシャア専用ザクのガンプラが置いてあって、下の子は感激していました。でも、ウチの子が最も印象的だったのは LEGO 展だったそうです。ガンプラとの共通点を見出したのかもしれません。

勉強で忙しいおにいちゃんに代わって、小学4年生の下の子と遊んで来ました。今日のナゴヤドームでの試合は安藤投手の完投で中日に完勝したようです。結構な試合を見られなかったのは残念ですが、タイガースの勝利を見逃した犠牲以上に楽しかったお出かけでした。

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2008年5月 2日 (金)

カンガルーカップで現役復帰したクルム伊達公子選手

今日は、朝からが広がり、朝夕にパラパラと雨が降りました。カサを差す人と差さない人に分れるくらいのホンの細かい雨でした。陽射しはなかったんですが、外を自転車で走っていると、そこそこ蒸し暑かったように感じました。

カンガルーカップテニスファンならご存じの方も多いかと思いますが、岐阜県で開催されているカンガルーカップが大きな注目を集めています。賞金総額は $50,000 と標準的なツアー下部トーナメントながら、言うまでもなく、クルム伊達公子選手が現役復帰して勝ち進んでいるからです。ameblo で開設している伊達選手の公式ブログ "Always Smile" でも、連日のように試合結果がアップされていて、最近のエントリーでは「今日も勝ちました。2回戦の相手は17歳でした。」とか、私くらいの年齢に達すると何とも言えない複雑な感想を持ってしまいます。私も昨年6月28日付けのエントリーで全英オープンを取り上げた際に書いたように、昔から伊達選手のファンでした。今日はトーナメントの第1シードである中村藍子選手に競り勝って準決勝に進出したということです。3時間近い熱戦だったと報じられています。まず、今日の試合結果について、asahi.com のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

女子テニスのツアー下部大会、カンガルーカップ国際女子オープン(岐阜)は2日、準々決勝が行われ、シングルスで予選から挑んだ元世界ランク4位のクルム伊達公子(37)が、第1シードの中村藍子(24)を7-6、4-6、6-3で破って準決勝進出を決めた。中村は昨年の全日本選手権覇者で世界ランク80位(国内3位)。伊達は11年半ぶりの現役復帰後、シングルス6連勝となった。

クルム伊達公子選手と中村藍子選手右の写真はどこかのサイトから失敬したもので、試合前に伊達選手と中村選手が並んでの記念写真のようです。それにしても、日本の新聞の通例とはいえ、人物名称に必ずと言っていいほどカッコ書きで年齢を書き添えるのは、この場合、ちょっと皮肉な書き方に見られてしまう恐れがあるかもしれません。24歳の中村選手からすれば、10年以上も前に引退した伊達選手は伝説のプレーヤーかもしれないと思ったりしてしまいました。なお、ナナメに見る私のクセなんですが、新聞などではカンガルーカップが盛んに取り上げられている一方で、私も時折拝見している日本テニス協会公式 blog では、男子の錦織選手が世界ランク100位内に入ったとか、女子のフェドカップの結果なんかが最近のエントリーで取り上げられていますが、さすがに、カンガルーカップはツアー下部トーナメントということで、まったく無視されています。ある意味で当然です。少し前から、私は森田あゆみ選手のファンになりつつあったんですが、伊達選手が現役復帰してツアーにも加わるんであれば、やっぱり、伊達選手を応援しようかという気にならないでもありません。でも、たぶん、10歳ほど若いヒンギス選手が現役復帰したものの、昨年2007年11月2日のエントリーでも取り上げましたが、わけのわからないドーピング疑惑で再びサッサと引退してしまいましたから、このような前例を見ていると、大丈夫だとは思うものの、伊達選手にもキワモノに手を出すようなムリはして欲しくない気もします。また、視点を変えれば、アッサリではないにしても、伊達選手に負け続けている現役テニスプレーヤーはもっとがんばって欲しい気もしないでもありません。いろいろと複雑な思いです。

明日からゴールデンウィーク後半の部が始まる方も少なくない気がしますが、私は今日から年休を取って早々とゴールデンウィークの後半に突入しました。だからというわけでもなく、軽い話題で済ませようと考えていたんですが、伊達選手の現役復帰だけでなく、トーナメントで勝ち進む姿を見て、何となく複雑なエントリーになってしまいました。

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2008年5月 1日 (木)

日米金融政策当局の動向を占う

今日から5月に入りました。朝から文字通り五月晴れのいいお天気でした。昨日と同じように気温も朝からグングン上がって、我が家の下の子なんかは半袖で小学校に行ったりしています。

Eking Out Growth昨日、米国の1-3月期GDP統計が発表されました。左のグラフの通りです。前期比年率で0.6%成長と、直近の市場コンセンサスの0.5%とほぼ一致しました。結果として、昨年10-12月期と同じ数字で潜在成長率を大きく下回る成長率ですから、日本のメディアの報道では低成長が続いているとの基調だったんですが、少し前まではマイナス成長を予想する向きも少なくなかったので、私はまずまずの数字ではないかと受け止めています。目先については、4-6月期にマイナス成長を記録する可能性が残るものの、7-9月期には財政政策の発動や金融政策がラグを伴いつつ効果を発揮することなどから、大きくリバウンドする可能性が指摘されています。ですから、巷間よく言われる2四半期連続のマイナス成長による景気後退=リセッションは、当面、免れる可能性も出て来ました。でも、私自身は米国の住宅資産価格の調整は今年いっぱいでは終わらない可能性も十分あると予想しており、7-9月期に続いて今年10-12月期以降も米国景気が、いわゆる V 字回復するとは考えていません。
Fed-Funds Targetこういった景気情勢を受けて、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) が昨日開催した連邦公開市場委員会 (FOMC) では政策金利である FF レートを25ベーシス引き下げて、2.0%とすることを決めました。右のグラフの通りです。しかし、前回3月18日の FOMC と同じで、ダラス連銀フィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀プロッサー総裁が金利据置きを主張して反対票を投じています。今回の FOMC のステートメントでは、75ベーシス引き下げた前回と比較して、基本的な景気認識は、前回3月18日のの"Growth in consumer spending has slowed and labor markets have softened." から今回4月30日には "Household and business spending has been subdued and labor markets have softened further." と、発表した時期に合わせて "further" が加わっただけですが、前回の "However, downside risks to growth remain." との表現が今回は抜け落ちており、さらに、前回は第4パラの主語が "Today’s policy action" との表現だったんですが、今回は "The substantial easing of monetary policy to date" に変化しています。単に、時制を考慮しただけでなく、昨年2007年5月29日付けのエントリーで「エコノミストの文学表現」を取り上げましたが、微妙な表現ながらも、そろそろ利下げの休止を模索する言い振りではないかと受け止められています。一次産品価格の上昇の下で、米国は日本と物価情勢が大きく異なり、インフレ抑制を重視した反対票が2票あったことも事実です。

日銀展望リポート

他方、日本でも昨日の4月30日に日銀が「展望リポート」の基本的見解部分を、今日の午後に全文を発表しました。上の表は今年度から来年度にかけての日銀政策委員の大勢の経済見通しです。成長率見通しを下げて、インフレの予想が上がっています。ミニ・スタグフレーション的な見通しとなっています。中身に入る前に、今回の「展望リポート」の新機軸は「リスク・バランス・チャート」と称して、実質GDPと消費者物価の事前予測の確率分布を明示したことです。このブログでも2年前の2006年7月24日付けのエントリーで「事前の確率分布と事後の実現値の確率」と題して、事後の確率は当たったか当たらないかの0と1しかないものの、事前の予測は本来的には確率分布であり、ピンポイントの予想はあり得ないと主張したことがありますが、ひょっとしたら、お読みいただいたのかもしれません。冗談はさて置き、この「リスク・バランス・チャート」では成長率についても物価についても下振れの確率分布が fat tail であることが示されています。
本題に戻って、中身については報道されている通り、基本的な景気認識は「拡大」から「減速」に修正されました。これに従って、金融政策運営は、昨年10月には「金利水準は引き上げていく方向にある」と明記されていたものが、今回は「現在のように不確実性が極めて高い状況のもとで、先行きの金融政策運営について予め特定の方向性を持つことは適当ではない」と明記し、前回の「徐々に金利水準の調整を行う」に対して、今回は「機動的に金融政策運営を行っていく方針」に大きく変化しました。金利引上げの大方針が撤回され、昨年2007年12月26日のエントリーで取り上げた日本総研の山田さんの「日銀は『金利正常化の停止』宣言を」との主張に沿った政策運営の変更ともいえます。より詳しくは、日銀のホームページから「展望リポート」に当たるのが一番ですが、私なんかは怠け者ですから、みずほ総研の「日銀『展望リポート (2008/04)』の評価」と題するリポートの6ページ目で代用していたりします。

結論として、大方のエコノミストが主張する通り、日米両国の金融政策当局は当面金利水準を据え置くことが予想されます。日銀は金利引下げの選択肢を取るべきだと私自身は考えていますが、現実的には、ここ半年から年内いっぱいくらいは、何らかの景気動向に関する新たなエビデンスが出ない限り、加えて、週刊誌ネタのような突発的な外生変数の変化、例えば、原油価格がバレル200ドルに向かって猛烈に上昇するとか、北京オリンピック後に中国経済が大きな変調を来たすとか、などがない限り、金利は据置きとなることが予想されます。ここまでは当たり前と言うか、大方の予想の範囲内なんですが、これに加えて、私は為替の方向性に微妙な変化が生じる可能性を指摘しておきたいと思います。と言うのは、最近の為替動向は、このブログの昨年2007年6月25日付けの「国際決済銀行 (BIS) の年次報告書における円安警戒の論点は何か?」と題するエントリーで指摘したように、経常収支動向よりも金利に敏感に反応します。日本で利上げのモメンタムが失われ、米国で利下げのモメンタムがなくなりつつあるわけですから、ユーロという巨大なプレーヤーを無視するのは適当ではないかもしれませんが、少なくとも円ドル間での為替動向は円安ドル高の方向性に変化する可能性が高まります。これはひょっとしたら日本が景気後退を回避する上で追い風になる可能性があることを最後に指摘しておきたいと思います。

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