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2008年5月14日 (水)

エネルギーと食品価格上昇に関する stocktaking

今日は、朝からが降りました。昼ころまでに雨は止みましたが、昼前まで冷たい雨で、午後も陽射しがなくて気温は上がらず、肌寒いのを通り越して、ハッキリ寒かったです。季節が2ヶ月くらい逆戻りしたようでした。

先週5月9日付けの「食料とエネルギーの価格上昇の主たる原因は何か?」で、"Wall Street jouenal" の "Economic Forecasting Survey" の結果を取り上げたエントリーに対して、このブログの読者のコメントで、"New York Times" の興味あるサイトを教えてもらいました。直リンした上のフラッシュ・ファイルの通りなんですが、以下にもリンクを張っておきます。プレイバックのボタンをクリックすると、"New York Times" の記者が英語で年を追って解説してくれます。

典型的に、消費量と価格をカーテシアン座標に落として、年を追ってグラフを書いています。1980年をピークにくるりと輪を描いて価格と消費量が下がっているのが読み取れますし、最近時点では、IT バブル崩壊後の景気後退や NY の 9.11 テロのあった2001年以降は順調に右上がりで、消費量と価格がともに上がっているのも明らかです。もちろん、このグラフの各点は需要曲線と供給曲線の交点を示しているだけであり、最近数年の原油価格の動きは需要曲線だけがシフトしたのであって、供給曲線に沿ったものだと主張するつもりは私には毛頭ありませんが、少なくとも、新興国の経済発展や所得の増加に基づく需要にサポートされた価格上昇ではないかと推察することは出来ます。
それはそうと、今夜のエントリーの主眼は stocktaking = 棚卸しですから、主張し忘れていた重要なポイントを指摘しておきたいと思います。すなわち、エネルギーや食料の価格上昇について、原因の分析が異なれば、当然、政策対応の処方箋も異なるということです。もしも、ファンドがエネルギーや食料に資金をシフトさせているのが主たる原因であると仮定すると、政策対応はファンドの活動を規制することも視野に入れる必要があります。しかし、逆に、新興国の需要にサポートされた価格上昇であるとすると、効率的な資源配分を実現する市場の価格は財の希少性を反映しているわけですから、価格に反映された希少性を考慮して財を使うという、極めて正統的な政策が中心になります。激変緩和の対策は許容されるかもしれませんが、省エネ・省資源や代替財の開発なども視野に入るんではないかと思います。
この視点から、出るべくして出た見方なんでしょうが、為替を円高にすることによりエネルギーや食料品の円建て価格を低く抑えるという意見を見かけました。昨日も1次QEの予想で引用した三菱UFJリサーチ&コンサルティングからのニューズレターに、「日本のスタグフレーション対策」 - 残されているのは円高政策 -と題するコラムがありました。このコラムでは、「原油、穀物、鉱産物などの高騰は途上国経済の拡大による超過需要と過剰流動性による投機的需要に起因している。」と、まあ、それなりの見方は示しつつ、結論として、「即刻実行できるのが円高政策である。」として、「ドル売り介入」をオススメしているように私には読めました。詳しくは、リンクを張ってありますから、直接ご覧下さい。これに対して、今朝の「朝日新聞」朝刊の13面に乗用車メーカーの「円高・原材料高による営業減益分」というグラフが掲げられています。為替と原材料価格とでは変化の比率が違うでしょうから、乱暴な議論だとは承知しているんですが、一目瞭然で、円高による営業減益分が原材料高による減益分よりも大きく見えます。少なくとも、乗用車メーカーをはじめとして、輸出比率がそれなりの比率に達している業界は、ドル売り介入による円高政策の発動があればダメージを受けるんではないか、と私は推察しています。今日の東証の日経平均株価も円安を好感して上げたとの報道も見かけました。

かなり前に、金利を引き上げて利子所得を増やし、消費を活性化させるという、ややトンデモ政策を言い出した人もいたかに記憶していますが、現時点における円高政策の提言は、先日の第66期将棋名人戦七番勝負第3局における森内名人の141手目の▲9八銀並みの「50年に一度」とはいわないまでも、かなりのトンデモ提言だという見方をするエコノミストも少なくなさそうな気がしないでもありません。でも、この先、エコノミストから見ればトンデモな、こういった意見が出る可能性は十分ありえるので気を付けたいと思います。

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