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2008年6月11日 (水)

四半期別GDPの1-3月期2次速報と4月の機械受注から景気の先行きを考える

今日は、梅雨の中休みが続いていて、朝から雲が広がりましたが、午後からは陽射しもあり、気温も上がりました。梅雨の季節らしく、湿度が高くて蒸し暑かったです。役所のオフィスでは7月かららしいんですが、我が家ではそろそろエアコンを解禁しようと考えています。

世銀 GDF 2008 の経済見通し

まず、今夜のエントリーのタイトルにはないんですが、世界銀行が "Grobal Development Finance 2008" を発表しました。この GDF 2008 では世界経済の成長率が2007年の3.7%から2008年には2.7%に減速すると見通されており、同時に、途上国では2007年の7.8%成長から2008年には6.5%に減速するものの、引き続き、先進国よりも高い成長率を実現すると見込まれています。上のグラフの通りです。米国経済や日本経済が途上国への輸出によって景気後退局面を免れるかどうかは別にして、途上国経済が高成長により世界経済の全面的な減速を回避できるという意味ではデカップリングが成立していると解釈することも可能です。でも、上のグラフに見られる通り、今世紀に入ってから途上国の成長率は先進国をかなり上回っているとはいえ、ある程度の連動性は見られます。その意味ではデカップリングは控えめに言っても完全ではないのは明らかです。詳しくは上のリンクに譲ります。

需要項目2007/
1-3
2007/
4-6
2007/
7-9
2007/
10-12
2008/1-3
1次QE2次QE
実質GDP+1.1▲0.6+0.2+0.7+0.8+1.0
     民間消費+0.7▲0.9▲0.3+0.3+0.5+0.7
     民間住宅▲1.6▲4.5▲8.0▲9.2+4.6+4.6
     民間設備+0.6▲2.5+0.8+1.2▲0.9+0.2
     民間在庫 *+0.2▲0.2▲0.1+0.1▲0.1▲0.1
     公的需要+0.7▲0.4▲0.3+0.9▲0.4▲0.2
     外需 *+0.4+0.1+0.5+0.3+0.5+0.5
名目GDP+0.8▲0.8+0.1▲0.1+0.4+0.5
雇用者所得▲0.4+0.4+0.1+0.2+0.6+0.6
GDPデフレータ▲0.6▲0.5▲0.6▲1.3▲1.4▲1.5

タイトル通り、今夜の本題に入りますと、今日、内閣府から四半期別GDP速報の1-3月期2次速報が発表されました。エコノミストの業界で2次QEと呼ばれているものです。需要項目別の数字は上の表の通りです。基本的に下の3行を除いて、実質の季節調整済み前期比のパーセント表示ですが、アスタリスクを付けた民間在庫と外需だけは寄与度表示になっています。下の名目GDPと雇用者所得は季節調整済みの前期比のパーセント表示で、最後のGDPデフレータだけは前年同期比のパーセントです。なお、注意はしているつもりですが、転記ミスがあるかもしれませんので、完全性は保障しかねます。ご容赦下さい。正確性を期す向きは上のリンクから直接データを取るようにオススメします。
マーケットの予想通り、設備投資を主因として1次QEから少し上方改定されています。設備投資以外の需要項目は小幅改定ばかりで、大きな修正はなかったように私には見受けられました。ですから、我が同業者のエコノミストの中には経済見通しを改定しないと宣言した人もいたりします。それにしても、昨年10-12月期、今年1-3月期と潜在成長率水準をやや上回る成長が続いていますので、単純に逆の見方をすれば、ongoing の4-6月期は大幅に減速したり、場合によっては、マイナス成長になる可能性が高まった気がします。4-6月期のすべてのデータが出そろったわけではありませんが、特に、鉱工業生産や貿易統計は4-6月期の大幅減速やマイナス成長を示唆していると私は考えています。消費がどこまで下支えするかがポイントだという気がします。消費が減速するようだと4-6月期はマイナス成長となる確率が高まると考えられます。

成長率の寄与度の推移

今回も、4月から始まる財政年度で少し長めの寄与度のグラフを書いてみました。上のグラフの通りです。一見して、特徴として指摘できるのは、第1に、2007年度はとうとう設備投資の寄与度がゼロになったことです。要するに、2006年度まで高い伸びを続けてきたんですが、2007年度は設備投資の伸び率がゼロだったわけです。そろそろ、設備投資が何らかの転換点に差しかかっているのかもしれません。第2に、外需の寄与度が大きくなっていることです。私は内需主導の成長が「いい成長」で、外需主導の成長が「悪い成長」だとはまったく思いませんし、必ずしも、外需に頼るのは不安定だとも思いません。しかし、ここ数年の景気拡大が外需に支えられて来たのは事実ですし、グローバル化の恩恵を受けたセクターや企業が経済成長を牽引して来たのは明らかです。その逆を見れば、グローバル化を進められなかったセクターや地域に格差のしわ寄せが生じている可能性もあります。第3に、公的需要が2007年度に久し振りにプラスに転じたことです。詳細は承知しませんが、評判の悪い「バラマキ」がすでに始まっているのかもしれません。

機械受注の推移

最後に、昨日、内閣府から発表された4月の機械受注統計について、上のパラで第1に指摘した設備投資動向に関連して見ておきたいと思います。グラフは上の通りです。コア機械受注と呼ばれている船舶と電力を除く民需です。縦軸の単位はグラフを書く都合から1兆円となっていて、青いラインが季節調整済みの各月の統計で、赤いのが後方6ヶ月移動平均です。影が付いているのは景気後退期です。季節調整済みの単月でピークを付けた1-2四半期後に景気後退局面に入っているのが見て取れると思います。機械受注がピークを付けたのは、1990年11月、1997年2月、2000年8月となっていて、すべて、その4ヵ月後に景気後退局面に入っています。今回のピークは上のグラフで右端の方で上に飛び出している2点、すなわち、2006年6月と2008年1月を指摘できると思います。後者であれば、今年年央からの景気後退局面入りが示唆されている可能性があります。いずれにせよ、広く認識されているように、機械受注は設備投資の先行指標であり、設備投資が2007年度に伸び率ゼロだったことを考えあわせると、今回の景気減速局面が設備投資の不振から景気後退につながる可能性は決して小さくないと私は考えています。

教科書的に考えても景気循環にはいくつかの波があります。消費は少なくとも大きく循環しないと考えられている一方で、在庫投資・設備投資や建設投資には循環が見られます。ですから、景気循環を主導するのはフローの消費ではなく、ストックを形成する何らかの形の投資です。2004年後半から2005年にかけての景気減速期は、2004年度+6.8%増、2005年+6.7%増の高い設備投資の伸びによって景気後退を回避しただけに、今回の景気減速期に設備投資が循環的に減少する局面にあるとすれば、あるいは、循環的な減少ではなくても、今日、日銀が発表した5月の国内企業物価が前年同月比で27年振りに4.7%の高い上昇率になったことに象徴されているように、商品市況の高騰から企業収益が圧迫されて設備投資が伸びなければ、足元の現時点で景気後退局面に入っていなくても、景気減速からそのまま後退局面に入る可能性は2004-05年よりも高いと考えるべきです。

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