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2008年8月 8日 (金)

来週発表の4-6月期GDP速報(1次QE)はマイナス成長確定か?

昨日の閣僚会議に提出された月例経済報告で政府は景気判断を「弱含み」に下方修正し、事実上、景気後退局面に入ったことを認めたと受け取られています。当然です。私も昨年9月の2007年4-6月期2次QEあたりから景気局面に注目して来ましたが、いろいろと紆余曲折を経て、昨年10-12月期をピークに景気後退局面に入ったとの結論を固めています。
さて、タイトルの今年4-6月期の1次QEに入る前に、今日、内閣府から景気ウォッチャー調査が発表されましたので、グラフのみ取り上げておきます。下の通りです。なお、影を付けた部分はいつもの通り景気後退期です。前回の景気後退局面は景気ウォッチャーの DI が45近辺でしたから、単純にこれを当てはめると昨年年央の景気転換ということになります。もっとも、これは単純に過ぎるような気がします。

景気ウォッチャー調査

さて、本題に入って、来週の水曜日8月13日に内閣府から4-6月期のGDP速報(1次QE)が発表されます。ヘッドラインの実質成長率は、うるう年効果もあって1-3月期が高成長を記録した後ですから、多くのエコノミストがマイナス成長を見込んでいると思います。私も昨年10-12月期をピークに日本経済はすでに景気後退局面に入っていると考えていますし、今回の1次QEはそれを裏付けるマイナス成長は確実だと見込んでいます。まず、私の参照している各機関の予測は以下の通りです。今は大学教授をやっているものの、私はもともとが役人ですから順序を気にするんですが、一応、前回の5月13日付けのエントリーと同じで pdf 形式のファイル名の順番にしてあります。特に意味はありません。なお、詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名に pdf 形式のリポートへのリンクを張ってあります。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲0.6%
(▲2.6%)
内・外需の減少により大幅なマイナス成長に
みずほ総研▲0.8%
(▲3.1%)
内需・輸出がともに落ち込み、4四半期ぶりのマイナス成長
三菱UFJ証券▲0.5%
(▲2.0%)
実質成長率は前期比年率▲2.0%に
第一生命経済研究所▲0.8%
(▲3.2%)
前期比年率▲3.2%を予想
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.4%
(▲1.7%)
4四半期ぶりのナイマス成長
ニッセイ基礎研▲0.7%
(▲2.9%)
前期比▲0.7%(年率▲2.9%)を予測

私が見た範囲でも、パッとしたヘッドラインはなく、要するに、個人消費も設備投資も輸出もほとんど全ての需要項目がマイナスを記録して、当然ながら全体のGDPもマイナス成長という見通しが多くなっています。見通し作成機関によって少し差があるのは住宅投資で、住宅基準法ショックから脱して、1-3月期に+4.6%増となったのに続いて、4-6月期も引き続きプラスと見込んでいる機関と、すでに息切れが激しく4-6月期はマイナスと見込んでいる機関に分かれます。同じマイナス成長でもマイナス幅の小さい三菱UFJ証券や三菱UFJリサーチ&コンサルティングは4-6月期の住宅投資をプラスと見込んでいるのに対して、マイナス幅の大きい順に、第一生命経済研究所・みずほ総研・ニッセイ基礎研などは住宅投資のマイナス幅も大きく見込んでいます。繰返しになりますが、この住宅投資を除けば、主要なGDPコンポーネントは軒並みマイナスが予想されています。
どうしてマイナス成長なのかといえば、交易条件の悪化に伴う所得の流出が原因です。直感的には消費税の増税が実施されたのと同じ効果といえます。賃金が上昇しない中で、国際商品市況の高騰により物価が上昇し、実質所得が減少しているわけです。これは家計も企業も同じことです。4-6月期の企業決算も発表が始まっていますが、昨年度まで史上最高益を上げていた反動もあるんでしょうが、減益の企業が目に付くのは報道されている通りです。家計については我々の生活実感の通りです。さらに、金融市場の混乱から米国経済も景気後退局面にあり、外需も振るいません。外需がマイナスになるとすれば、ほぼ3年振り11四半期振りのことです。住宅投資がプラスになるかマイナスになるかは微妙なところですが、少なくとも、近い将来にはマイナスに転じる可能性が十分あります。在庫はしばらくプラスを記録する可能性がありますが、これは売残りによる後向きの在庫の積上りである可能性が高いと私は考えています。これら機関の見通しが正しいとすれば、典型的に、景気後退局面の兆候が強く示唆される結果だといえます。
従って、先行きの見通しについては、以下の3点が注目です。第1に、消費者物価の上昇による実質所得の動向です。日本の労働市場から見て、消費者物価の上昇が賃金につながるルートはほぼ存在せず、もしも、この局面で賃金が上昇してもホームメードインフレになるだけですから、物価動向に注目すべきです。消費に大きく影響します。でも、私はこれは比較的楽観しています。第2に、海外経済動向です。輸出への影響の大きい項目です。米国をはじめとして欧州も含めて、今回の景気後退ないし景気減速局面は浅いながらも長引くと私は考えています。第3に、最も重要なのが全ての元凶ともいえる商品市況の動向です。原油価格などは少し落ち着いて来たように見受けられますが、穀物はまだ高値が続くようですし、消費者物価への影響は言うに及ばず、企業収益が圧迫され続けるようでしたら、設備投資の減少につながります。
最後に、ニッセイ基礎研のリポートだけが取り上げているんですが、私なりの注目点として、1-3月期の設備投資の改定方向が気がかりです。1-3月期の設備投資は2次QEで+0.2%増となっているんですが、年度が明けて4-6月期の1次QEでは季節調整が改定されますから、何らかのデータ改定があります。もしも、ギリギリのプラスだった1-3月期の設備投資がマイナスに改定され、さらに、4-6月期の設備投資もマイナスを続ければ、昨年10-12月期をピークに足元では景気後退局面に入っているとの、私と同じ認識のエコノミストがますます増加するんではないかと予想しています。それと同時に経済対策を求める意見も強くなるんではないかと考えられます。

もうすぐ1時間ほどで北京オリンピックの開会式です。甲子園の高校野球はすでに始まっていますし、プロ野球は少し休み休みになるようですが、お盆の前後にかけてスポーツ観戦の機会が増える季節かもしれません。

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