少し長崎経済について調べる
一昨日の土曜日のエントリーにも書きましたが、アチコチに挨拶回りする中で、特にメディアなんかは、やっぱり、私が大学で教える予定の日本経済論よりも、長崎や九州ローカルの経済情報のニーズが大きい傾向がハッキリして来たように思います。東京の役所で少し前までの景気拡大局面を引っ張って来た大企業製造業のフィルターで経済を見て来た私には、九州ローカルや、ましてや長崎経済はめっぽう暗いんですが、少しは勉強してみることにしました。
まず、上は九州各県の1人当たり県民所得です。データがやや古いんですが、2005年度の計数です。一応、これでも利用可能な最新データだったりします。赤い横線は九州の平均値です。単位は千円です。ですから、福岡、佐賀、大分あたりは平均を超えており、我が長崎はかなり平均を下回るといったところです。ものすごく大雑把な計算をすると、1人当たり県民所得が250万円として、平均的に世帯主が働いていて専業主婦で子供2人の4人家族だとすると、1人当たり250万円を4倍して1000万円、労働分配率を適当に70%とすると、一家の平均的な税前所得は年間で700万円くらいになります。大雑把な計算ですが、ほぼ実感通りといったところのような気がします。
次に、九州各県の消費者物価指数です。2005年度を100として2007年度、昨年度の指数です。すなわち、この2年間でどのくらい物価が上昇したかが分かります。ここでも赤い横線は九州の平均です。ほぼ100となっています。やっぱり、我が長崎県は成績が悪いのが見て取れ、ここ2年間の平均的な消費者物価上昇率は九州でもっとも高くなっています。もっとも、国民生活の観点からは物価上昇率もさることながら、物価水準そのものが問題になるんですが、そういったデータがありませんから、一応、消費者物価の上昇率で代替しています。ひょっとしたら、我が長崎は物価水準が低くて、全国や九州の平均水準に収斂しつつある過程なのかもしれません。
最後に、長崎と全国の失業率の推移です。四半期データで公表されています。青い折れ線グラフが全国で赤が長崎です。下の方の棒グラフは長崎と全国の失業率の乖離幅です。プラスなら全国の失業率の方が高くて、マイナスであれば全国が長崎より低い設定にしてあります。大雑把に、失業率が上昇する期間は全国の方が高く、すなわち、早く上昇し、逆に、失業率が低下する局面では長崎の方が高くて、やっぱり、全国の失業率の低下の方が長崎に先行する結果となっているのが見て取れると思います。何度もこのブログで表明しましたが、景気というものは日本では都市圏から地方圏へ、大企業から中小企業へ、企業から家計に波及する傾向があり、失業率を見る限りでは、長崎は全国に遅行しているわけですから、都市圏と地方圏に分けると長崎は平均よりも地方圏に入ると言えます。これも実感にマッチした結果だという気がします。
適当にデータを拾ってグラフを書いてみましたが、長崎は九州平均よりもやや所得が低く、ここ2年間は物価上昇率が高く、典型的な地方圏経済として失業率は全国平均に遅行するような印象を受けます。でも、これぐらいのことであれば、気の利いた学生でも何とか出来そうな気がします。
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