消費者物価は日銀の「物価安定の理解」を2か月連続で超えたが…
本日、総務省統計局から消費者物価指数が発表されました。8月全国のコア CPI が前年同月比上昇率で+2.4%と前月と変わりありませんでした。マーケットの事前予想にジャストミートしました。9月中旬東京都区部は同じく+1.7%でした。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
総務省が26日発表した8月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の激しい生鮮食品を除くベースで102.6と、前年同月に比べて2.4%上がった。上昇率は前月と同じで、消費税率の引き上げで物価がかさ上げされた1997年10月以来の高水準。ガソリンや食料品の価格が高止まりし、消費者心理の悪化を招いている。
CPIが前年同月を上回ったのは11カ月連続。消費増税の影響があった時期を除くと、7月と8月の上昇率は92年6月以来の高さだ。日銀が物価安定の目安とする「0-2%」も2カ月続けて上回った。
上のグラフは全国のコア消費者物価の前年同月比上昇率を示しています。青い折れ線が生鮮食品を除く総合のコア CPI、赤が食料とエネルギーを除く欧米流のコアコア CPI、そして、積上げ棒グラフがコア CPI の前年同月比上昇率に対する寄与度で、緑色が食料、黄色がエネルギー、水色がその他です。黄色のエネルギーの寄与度がわずかながら、7月から8月にかけて少し低下したのが読み取れると思います。水色の食料とエネルギーを除くその他も寄与度を下げていて、これらを生鮮食品以外の食料がカバーしてしまった形で、8月の全国コア CPI 前年同月比上昇率は7月と同じ2.4%でした。レギュラーガソリンが7週連続で下げていることに表れているように、商品市況は下げつつあるんですが、かなり直に輸入価格が反映されるエネルギーと違って、いまだに加工食品などはラグを伴って上昇を続けているようです。特に、全国8月は菓子類と外食費が上昇しました。
上のグラフは、先月から取り上げ始めた全国と東京都区部のコア CPI の前年同月比上昇率です。東京都区部では9月中旬の統計でコア CPI が8月に比べてやや上昇しました。このまま加速度的に上昇率を高めるとは誰も考えていないんですが、一応、東京都区部を詳しく見ると被服費の上昇が目立っています。季節もの衣料といわれています。これ以上の詳しい情報はないんですが、原油価格などの商品価格がいよいよ被服にまで波及したのか、それとも、何か突発的な要因が作用したのか、はたまた、季節ものの品目入替えによる統計上のイタズラなのか、いずれにせよ、教養娯楽費までいかないものの、被服費は食費よりは家計の中でも所得や価格に従って柔軟に調整できるため、価格に敏感だと私は考えていましたので、大きな謎であることは確かです。柔軟に対応できる項目だけに、少なくとも洋服などの価格転嫁がさらに進むとは私は考えてません。場合によっては、9-10月くらいまで全国でもコア CPI が高止まる可能性があるものの、もっとも単純には、商品価格が7月ピークの後、昨日取り上げた輸入物価が8月ピークで、消費者物価が9-10月ピークという蓋然性は相変わらず高いような気がします。ここまで単純でなくても、そろそろ消費者物価上昇率のピークが近いことは確かだろうと思います。
全国のコア CPI 2%超えがリポートされた先月は、日銀に「物価安定の理解」を超えたものですから、少しは私も我が国金融政策当局の動向に注目しないでもなかったんですが、先々週から始まった米国発の金融市場の大混乱の中で、またまた日銀が金利を引き上げるハードルが高くなったような気がします。
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