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2008年9月25日 (木)

やっぱり8月貿易収支は赤字に転落

本日、財務省から貿易統計が発表されました。ヘッドラインの貿易収支は▲3240億円の赤字となり、8月としては26年振りの赤字に転落しました。季節要因からお正月の1月に輸出が少なくて貿易収支が赤字になるのはめずらしいことではないんですが、8月は25年間黒字を続けてきたようです。市場のコンセンサスをやや上回る赤字で内容も悪く、米国向け輸出が減少しているだけでなく、欧州やアジア向けの輸出もプラスながら伸びが鈍化しています。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

財務省が25日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)では、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が3240億円の赤字となった。貿易赤字は正月の影響で輸出額が減る1月を除けば、1982年11月以来約26年ぶり。原油や石炭など資源価格が高騰し、輸入額が膨らんだことが主因。対米輸出が前年同月比21.8%もの大幅減となるなど、輸出額の停滞も響いた。
82年の貿易赤字は日米貿易摩擦による輸出減が背景。今回の場合、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の深刻化などを受けた世界経済の減速に伴う輸出のもたつきに、資源高が追い打ちをかける構図といえる。
輸出総額は7兆559億円となり、前年同月比0.3%増とほぼ横ばいだった。モノの動き全体を示す輸出数量指数は前年同月比3.1%減と2カ月ぶりに減少した。下げ幅は2005年2月以来の大きさを記録した。輸出総額の増加分は、価格の伸びに支えられている面が大きい。

輸出入と貿易収支の推移

ヘッドラインの輸出入と貿易収支のグラフは上の通りです。今までほぼ一貫して上にあった青い折れ線が輸出額、その下の赤い折れ線が輸入額、下の緑色の棒グラフが貿易収支です。単位はいずれも左軸で金額ベースの10億円です。季節調整がかかっていませんので、グラフがジグザグで季節要因は見られるんですが、今年に入って貿易収支が大きく減少して来ているのが見て取れると思います。

貿易指数の推移

最近1年間の輸出入を数量指数と価格指数に分けてリポートしたのが上の表です。まず、輸出については価格指数は大きな変動がなく、ややラグを伴いながら為替レートに沿った動きなんですが、数量指数は2月のうるう年効果で大きくジャンプしているのを除けば、今年に入ってからは傾向的に減少しています。先月7月のスパイクはアジア向け鉱物性燃料か何かの特殊要因があったと考えるべきです。今後、金融市場の混乱が続く米国経済の停滞がはっきりすると、我が国の輸出数量もマイナス基調になる可能性が高いと私は考えています。特に、8月の統計は米国向け輸出数量が前年同月比で▲19.1%減、同じベースで欧州向けが+3.3%増、アジア向けが+0.8%増と、軒並み大きく減速しています。最終需要地である米国や欧州の景気後退・減速を受けて、我が国からのアジア向け輸出も減少に転ずる可能性も大いにあります。というのは、産業別に見ても、今度は金額ベースの前年同月比で、一般機械が前年比▲2.9%減、電気機器が▲4.8%減、輸送用機械も▲6.1%減と、主力輸出産業が軒並み減少に転じました。要するに、仕向け地別で見ても、産業別で見ても、輸出は大きく減速ないし減少に転じつつあります。今後、世界経済の減速や後退とともにこの傾向は強まるものと考えるべきです。
他方、輸入は8月の価格指数が前年同月比でとうとう20%を超えましたが、着実に輸入数量は低下して来ていて、8月は前年同月比でマイナスになりました。景気後退の影響で国内需要が振るわないのに加えて、輸入価格が高騰したことの影響も現れ始めたと私は考えています。何らかの代替財にシフトしている可能性があり、この傾向は続くのではないかと見られます。

輸出入価格指数と交易条件の推移

上のグラフは最近12カ月の輸入価格指数=赤い折れ線グラフ、輸出価格指数=青い折れ線、そして、輸出価格指数を輸入価格指数で除した交易条件指数=緑色の折れ線を示しています。なぜか、今月の8月統計の発表分から従来の2000年基準ではなく、2005年基準に基準年が変更になりましたので、現時点では私はそれ以前の統計データとの接続ができていません。さすがに、同業者のエコノミストのリポートを拝見していると、何とか苦労して接続しているようですが、そんなにさかのぼらない最近12カ月のグラフを見ても、4-5月以降に急速に輸入価格が上昇し、交易条件がジリジリと悪化しているのが見て取れます。しかし、市場の相場動向からしても、輸入価格はこの8月データがピークの可能性が十分あります。よく知られている通り、輸出価格は fob ですから国内価格がほぼ直ちに反映されるのに対して、輸入価格は cif ですから、タンカーで中東から原油を運ぶとすれば1ヶ月くらいのラグがあり得ます。今後、資源価格が低下していけば、まず、輸入価格が低下し、全国の8月消費者物価は明日発表されますが、次に、国内物価も鎮静化に向かう可能性が大きいと考えられます。

8月の貿易統計は内外ともに景気が後退ないし減速している世界経済の現状をよく表していると私は考えています。先行きについても需要や数量面では決して楽観的にはなれません。アジアをはじめとする新興国向けの輸出が我が国景気をどこまで下支えするかが重要なポイントだったんですが、デカップリング論は成り立ちそうもありません。しかし、価格面から見ると、ピークは8月輸入価格だったという可能性は十分あり得ます。

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