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2008年9月 2日 (火)

福田総理大臣の辞任表明に関する第一印象

昨夜9時半からの記者会見で福田総理大臣が辞職を表明しました。突然の辞任と受け止められています。私が見た範囲でも、"Wall Street Journal" も "Financial Times" も "abruptly" と表現していたりしました。いろんなメディアで報道されているので、特に引用などはしませんが、日経新聞が pdf ファイルで号外を出していましたので、直リンを張っておきます。

まあ、日本のような大国の総理大臣その人が辞任表明したんですから、それなりの覚悟をもって辞職されるんだろうと思います。でも、国民としては、総理大臣に就任した1年前の覚悟はどうだったのかと問いかけたくなるのも分かります。エコノミストとしても、経済対策の最後の詰めはまだですし、消費者庁の設置構想は実現されるのかどうか、概算要求を締め切ったばかりの予算編成作業はどうなるのか、といった疑問が残ります。普通には、インド洋の給油法案や解散・総選挙なども気にかかります。それにしても、1年前の安倍前総理大臣の辞任劇の再現を見るような気分の国民も多いんではないでしょうか。8月に内閣改造をして、早速、農水大臣に疑惑が発覚して、9月に臨時国会が召集されたり本格論戦が始まったりする直前の辞任です。これまた、昨年と同じように、当初の次期自民党総裁・総理大臣候補は麻生幹事長だったりします。昨年は現在の福田総理大臣にひっくり返されましたが、今年はどうなんでしょうか?
私の場合は昨年9月の時点とは地理的な位置も職業上の関係も大きく異なっていますので、何となく、昨夜の総理大臣記者会見で最後に記者が質問した「ひとごと」の趣だったりします。昨年9月は国家公務員の本省の参事官として、まあ、地理的にもプロ野球の強肩外野手ではムリかもしれませんが、プロゴルファーなら楽勝でツーオンしそうな距離で仕事していましたが、今では、その福田総理大臣名で辞職を承認する辞令をいただいて、1000キロ離れた長崎の地で大学教授をしていたりします。もっとも、現在は「ひとごと」ながら、そのうち近い将来に大学での任期を終えれば国家公務員として役所に戻ることとなり、総理大臣は国家公務員からすれば究極のボスですから、エコノミストとしての分析結果や信念は別にして、軽率な政治的発言は控えたいと思います。
小島祥一『なぜ日本の政治経済は混迷するのか』そこで思い出したのが、小島祥一『なぜ日本の政治経済は混迷するのか』(岩波書店)という本です。昨年、1年半ほど前に読んだ記憶があります。日米経済摩擦やバブル崩壊とその後の長期低迷などについて「同じことの繰り返し」をキーワードに、第1章と第2章のタイトルである「循環する政治経済ゲーム」について論じています。もちろん、書籍メディアですから、昨年や今回の総理大臣辞任劇を取り上げているわけではありませんし、すべての国民にスンナリと理解できる種類の本ではないでしょうから特にオススメの本だとも思いませんが、争点を微妙にズラしつつ与党の支配が続くメカニズムや総論賛成と各論反対で決定・実行が困難になる民主主義システムについて独自の観点からの論考が、何らかの意味で参考になるかもしれません。

これから様々な情報が明らかにされるのかもしれませんが、東京の行政の中枢から遠く離れて長崎に単身赴任し「ひとごと」になりながらも、主権を有するという意味で責任ある国民として、いろいろな疑問の残る福田総理大臣の辞任表明の第一印象をアップしておきます。

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