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2008年10月31日 (金)

日米いくつかの統計指標を見る

昨日から今朝にかけて、日米でいくつかの統計指標が発表されました。特に大きなサプライズはなかったように思いますが、一応、簡単に概観しておきたいと思います。

米国経済成長率

まず、7-9月期の米国GDP統計が発表されました。上のグラフは最近の実質GDP成長率を年率で表示しています。青がGDPで、赤が個人消費です。いずれも季節調整済み系列の前期比年率表示となっています。ヘッドラインの実質GDP成長率が▲0.3%のマイナス、個人消費は▲3.1%減となりました。市場の事前コンセンサスは成長率が▲0.5%くらいでしたので、ややこれを上回ったといえますが、大きなサプライズではありません。個人消費だけで成長率への寄与度が▲2.3%もあり、さらに、設備投資もマイナスに転じました。主要な需要項目の中でプラスを記録したのは政府支出と輸出だけでした。現時点での速報値で成長率がマイナスで、誰の目にも明らかなように、月を追うごとに景気後退色が強まっているんですから、来月発表される7-9月期のGDP統計の改定値は下方修正されることが明らかですし、10-12月期の成長率も7-9月期に続いてマイナスとなる可能性が非常に高いと私は受け止めています。要するに、今年前半にはリセッション判定に腰の重かった NBER も、2四半期連続のマイナス成長については、少なくとも、景気後退の暫定リストにファイルすることは確実です。

消費者物価上昇率

次は、消費者物価 (CPI) です。上のグラフはすべて月次の前年号月比で、折れ線3本は、青が全国の生成食品を除く、いわゆるコア CPI、赤が全国の食料とエネルギーを除く、欧米流のコア CPI、あるいは、コアコア CPI、灰色の折れ線は東京都区部のコア CPI です。棒グラフの方は全国のコア CPI の寄与度を示しており、緑色が生鮮食品を除く食料、黄色がエネルギー、水色がその他です。9月の全国コア CPI 上昇率は+2.3%と、前月より0.1%ポイント低下しました。消費者物価は7-9月期にほぼピークアウトしたと考えられます。原油価格などの商品市況次第ながら、現在の市況を前提とすれば、おそらく、10月のコア CPI は前年同月比で2%程度、年末には2%を割り込むことがほぼ確実です。さらに、来年年央には再びコア CPI がマイナスに突入する可能性も十分あります。

雇用統計

最後の指標は雇用統計です。家計を対象とした総務省の失業率統計と、ハローワークや事業所を対象とした厚生労働省の有効求人倍率などが主たるものです。上には3つのグラフを並べてあります。すべて月次ベースの季節調整済み系列です。かげを付けた期間は景気後退期で、いつもの通り、直近は昨年10月をピークと仮置きしています。一番上のグラフが赤い折れ線の失業率と青の有効求人倍率です。失業率はパーセント単位で左目盛、有効求人倍率は倍の単位で右目盛りです。9月のヘッドラインは失業率が4.0%と前月より0.2%ポイント改善し、逆に、有効求人倍率は0.84倍と前月より0.02ポイント悪化しました。基本的に労働市場は需給緩和の方向なんですが、失業率が低下したのは就職を諦めて労働市場から退出した人数が前月差で▲20万人と、雇用者の減少幅である▲14万人を上回ったためです。これを図示したのが真ん中のグラフで、労働力人口が青の折れ線で左目盛の単位は万人、雇用者数は緑色のラインで右目盛りの単位は同じく万人です。今世紀に入ってからは人口減少局面の中で、景気拡大期でもジワジワと労働力人口が減少し、特に、景気後退局面では減り方のスロープが急角度になっています。最後に一番下のグラフは景気動向指数で先行系列に採用されている新規求人数です。単位は同じく万人です。現在の景気後退局面に入る前から、長らく減少を続けているのが見て取れます。

日銀「展望リポート」の大勢見通し

統計データを離れて、今日の日銀の金融政策決定会合について、ほぼ、昨夜のエントリーで私が予想したラインに沿って決定が下されたと思います。当座預金への付利を3月までとすることにより政策金利の下限を制約し、何が何でも3月まではゼロ金利には入らないという強い決意が示されたとはいえ、逆に、やや硬直的な気もします。今の時期に4-5カ月先までの金融情勢を的確に見通せるようなエコノミストは少ないんではないでしょうか。決定時刻が1時58分にズレ込んだことと、4-4 のスプリット・ディシジョンだったこと、何よりも、通常の25ベーシスではなく20ベーシスに刻んだことが少し意外だったような気がしますが、大筋では昨夜のエントリーで書き尽くしましたので、今夜のところは、上の表の通り、「展望リポート」に示された経済見通しを掲げて終わりにします。商品市況が現状の水準を続ければ来年度のコア消費者物価上昇率はマイナスであろうと私は予測しているんですが、同じ考えの方が政策委員にもいるようで安心しました。

今月第2週ほどではありませんでしたが、今週も東証の日経平均株価がバブル後最安値を付けたこともあり、メディアの取材なんかも入って、私自身は割合と大忙しでした。ですから、昨日のドラフト会議で我が阪神が指名した選手もよく知らなかったりします。この3連休でゆっくり骨休めをしたいと思います。みなさんもよい週末を!

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