金融市場崩壊はコンドラチェフ・サイクルの底なのか?
先月9月15日付けで「未曾有の金融危機の始まりか?」と題するエントリーをアップしましたが、やっぱり、そうなのかもしれません。下の画像2点は最近の金融市場をよく暗示的に表現していると考えて、"The Economist" の最新号から取っています。上の方の地球がまっさかさまに落ちていく画像は "Saving the system" というタイトルの記事から、また、救命ロープをつかめずに水に沈んでいく下の画像は、その名も "Lifelines" というタイトルの記事から、それぞれ引用しています。金融市場はほとんど崩壊状態に近いように見受けられます。
次に、今日の夕刻に東証の株式市場が引けた時点での世界の主要株式市場の直近営業日の株価の推移を示しているのが下のグラフです。日付と時刻は GMT です。これも、"The Economist" の "World markets: stocks and shares data" から引用しています。直近営業日1日の間の推移ですから、東証だけが本日で、欧米の市場は昨日になっています。緑色の欧州3市場はグラフは昨日、数字は本日の取引開始前になっていますが、昨日の段階では株価の下落率を見る限り、▲1.5-▲2%を超えるくらいの下げで日米ほどではないんですが、今日に入って引き続き下げているようです。東証の日経225は今日も10%近く下げました。要するに時差の関係で、欧州で大引け直前にバタバタと下げたのが NY では取引開始直後の下げに相当し、NY で大引け直前に下げたのが今日の東京市場でのの取引開始直後の株価崩壊状態に近い下げにつながっているわけです。東証は大和生命の破綻という国内要因もあって取引開始直後の30分余りで1000円余り大きく下げて、その後は下げ渋りました。先日の欧米6中銀の協調利下げの時のように、日経新聞が PDF ファイルの号外を出しました。さすがにここまで下げると後場に入って買いが入り、ジリジリと値を上げたように見えます。本日の終り値は8276円43銭で、昨日比▲881円06銭下げました。円ドルの為替相場も100円を割り込んで推移しています。日経225のバブル崩壊後の最安値は2003年4月28日の7607円88銭ですから、かなり近づいた気がします。今日1日で900円近く下げましたから、近々、5年半振りに最安値を更新したりするのかもしれません。でも、取りあえず、明日からは3連休です。欧米の月曜日のマーケットを見た後で、火曜日から東京市場を開くのは精神的にとっても落ちつけるような気がします。ハッピー・マンデーのひとつの効用かもしれません。
私の専門分野は旧態依然たる景気循環論で、学会は景気循環学会に属していたりするんですが、10年ほど前には、1998-99年の世紀末に2年連続でマイナス成長を記録したり、今世紀初頭のデフレ期なんかでも、コンドラチェフ・サイクルの底だったのではないか、との議論をした記憶があります。しかし、2005年年央以降の株式市場の好調さから忘れられていましたが、さすがに経済学で認識されている中では最も長い波動を有するサイクルだけに、この10年間くらい、少なくとも日本経済はずっと底を這っているのかもしれません。それとも、ひょっとしたら、日本経済からラグを伴って世界経済が底になり、その影響で再び日本経済が景気を悪化させている可能性もあります。もちろん、理論的に解明されているわけでもなく、実証的に明確な形で確立されたサイクルではないんですが、ここまで大きな経済変動が生ずると何らかの未解明な要素を入れたくなるのが人情というものです。私も力不足ながら、何らかのアカデミックな貢献が出来るように少し考えたいと思わなくもありません。
昨日今日と、私と同じように少しフライングした同僚教授と生協の学食で昼食をともにしているんですが、さすがに経済学部だけあって、話題は金融市場のことで持切りです。でも、同僚教授の心配のひとつに、現在の3年生の就職というのがあります。さすがに終身雇用制はかなり崩れつつあるとはいうものの、日本では学卒時に就職できないと企業内の OJT に加われず、大きなハンディを持ったまま職業生活を送らねばならない可能性がありますので、確かに、大学関係者としては心配の種なのかもしれません。
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