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2008年10月27日 (月)

今回の景気後退局面で長崎が厳しい点

今日、東証の日経平均株価は2003年4月ののバブル後最安値をあっさりと割り込み、金曜日の終値と比較して486円18銭安の7162円90銭で引けました。1982年10月7日以来26年振りの安値だそうです。昨日のエントリーの最後のパラで書いた通りでした。私は株式相場には全く不案内ながら、そろそろ反転してもおかしくないと思いつつも、まったく、相場は反転の兆しすら見せません。

ということで、目を長崎に転ずると、これまた、長崎経済には株式相場並みに不案内ながら、直感的に考えられる長崎に厳しい要素をいくつか上げることが出来ると思います。私は「狼が来た」タイプの危機を煽るような発言はしない方のエコノミストのつもりなんですが、詳しくないながらも、長崎経済については心配の種は尽きません。第1に、長崎の観光産業にとって、円レートが対米ドルで上昇している以上に、対韓国ウォンで円高が進行していることが厳しい点として上げられます。韓国からの観光客が長崎でどれほどを占めるかは知らないんですが、直感的に、東京や京都と比べて段違いに韓国に近い分、日本の平均的な水準よりも韓国からの観光客の比率が長崎では高そうな気がします。下のグラフは韓国ウォンと米ドルの最近3ヶ月間の対円レートについて WEB 上のサービスでグラフを描いたもので、青い折れ線がドル相場、赤が韓国ウォン相場です。右軸は韓国ウォン100ウォン当たりの円レートです。米ドル相場のスケールが不明なんですが、簡単に計算したところ、最近3カ月の対円レートは、米ドルが15%弱下げているのに対して、韓国ウォンは40%近く下げています。逆方向で韓国人観光客から見ると、長崎旅行は3カ月で2倍近くにハネ上がったことになります。これでは韓国からの観光客が増えるハズもありません。

韓国ウォンの為替レート

第2に、極めて個別長崎だけの事情なんですが、県内で AIG のコールセンターの行方が注目されています。しかし、少なくとも、今まで AIG が一体的に運営して来たのと同じ規模で存続する可能性は小さいと考えるべきです。米国の AIG 本社が連邦準備制度理事会 (FED) からつなぎ融資を受け、2年間で返済とされた時点で AIG は分割され、切り売りされる運命が決まったわけですから、すでに、日本国内でも生保事業の売却が報じられている通りで、売却先によっては大幅なコールセンター業務の縮小もあり得ます。場合によっては、数年後にはすっかりなくなっている可能性すらあります。もっとも、私が周囲の長崎の人を観察する限りにおいては、物腰も穏やかで言葉もていねいですから、ある意味で、コールセンター業務に比較優位がありそうな気がしないでもありません。AIG の売却先がこの点を評価すれば、コールセンター業務のかなりの部分が長崎に残る可能性はありますが、すべてが丸ごと残るとまで期待するのは楽観的に過ぎると思います。
第3に、金融関係では、10月1日と2日に日銀短観を取り上げた際に、資金繰り判断 DI と金融機関の貸出態度判断 DI ともに、全国より九州、九州より長崎で金融面が苦しいと判断されていると紹介しましたが、もしも、全国的に見てわずかな貸渋りであったとしても、長崎県内に限界企業の比率が高いのであれば、長崎には厳しい要素となる可能性があります。
第4に、県内の造船や半導体などの輸出産業については、円高の進行で採算性が悪化するのは言うまでもありませんが、全国平均と比較して長崎だけが厳しいというわけではないと考えられます。ただし、造船などで受注残がまだ大きいと強気に報じられていましたが、ここまで為替レートが動くと、受注した通貨によっては、例えば、米ドル建てで受注しているとすれば、採算が悪化する可能性も否定できません。もちろん、受注残のある時点まではいいかもしれないんですが、その先は不透明きわまりありません。
第5に、流通、特に小売りに関しては、このような大きな変化が生じている時期には消費者の嗜好も大きく変化する可能性があり、その流れに長崎の小売業が価格や品ぞろえの点でマッチ出来るかどうかが疑問です。すなわち、全国的な展開をしている流通業では消費者の嗜好の変化も捉えやすいし、嗜好の変化に従った価格設定や品ぞろえも可能なんですが、個人経営商店の比率が高い地方都市ではこれが困難になる可能性があります。例えば、昨年12月に SMBC コンサルティングが発表した2007年のヒット商品番付ではプレミアム商品が堂々の東の大関で入り、景気回復最終盤を実感したんですが、この先はデフレ期ほどではないにしても単価の安い商品に消費者のニーズがシフトする可能性もあり、このような流れにいわゆるパパママストアが乗れるのかどうか、少し疑問を感じないでもありませんし、長崎が典型的な地方都市で、パパママストアの比率が全国平均と比較して高いとすれば、少し厳しい点と考えられなくもありません。

昨日のエントリーと同じで、最後に少し予言めいたことを上げると、明日からの FED の公開市場委員会 (FOMC) において、米国単独の大幅金利引下げがあり得ると考えています。場合によっては、日銀のゼロ金利政策に近いかもしれません。でも、昨日の最後のパラよりも可能性は格段に落ちます。

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