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2008年11月28日 (金)

本日発表された経済指標について

今日は、月末最終営業日の閣議日ということもあって、いくつかの経済指標が発表されました。今夜のエントリーではその中から鉱工業生産、消費者物価、そして、失業率などの労働統計を取り上げたいと思います。失業率は下がりましたが、その他の指標は典型的に景気後退期の特徴を示すものだと私は考えています。まず、これらの経済指標について、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産指数
経済産業省が28日発表した10月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は102.3となり、前月に比べて3.1%低下した。11月以降も生産の減少が続く見通し。世界的な景気減速を背景に自動車などの内外需が急速に減退し、在庫も増えている。景気後退局面の下で生産・在庫調整が長引く可能性が強まってきた。
10月の鉱工業生産の低下幅は事前の市場予測(2.6%)を上回った。経産省は鉱工業生産の基調判断を「低下傾向」とし、前月の「緩やかな低下傾向」から2カ月連続で下方修正した。
消費者物価
総務省が28日発表した10月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合が102.4と、前年同月比1.9%上昇した。上昇は13カ月連続。項目別で価格の上昇幅が大きかったのは光熱・水道(8.0%上昇)だった。生鮮食品を含む総合では102.6と、1.7%上昇した。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(1.9%上昇)と同じだった。
同時に発表した11月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で101.4と、前年同月比1.1%上昇した。
失業率
総務省が28日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は3.7%となり、前月に比べ0.3ポイント低下した。完全失業者数は前年同月比16万人減の255万人となり、7カ月ぶりに減少した。また就業者数は6388万人となり、前年同月より36万人減少、9カ月連続の減少となった。
完全失業率を男女別にみると、男性が前月比0.2ポイント低下の3.9%、女性が0.4ポイント低下の3.5%だった。また完全失業者のうち、勤務先の人員整理や倒産などで失業した「勤め先都合」は61万人、「自己都合」は97万人だった。
有効求人倍率
雇用情勢の悪化が鮮明になってきた。厚生労働省が28日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は0.80倍と、前月を0.04倍下回った。前月比で下がるのは9カ月連続で、2004年5月以来、4年5カ月ぶりの低水準となる。統計上の理由から総務省が同日発表した10月の完全失業率(同)は3.7%と前月より0.3ポイント改善したものの、厚労省は「雇用情勢は下降局面にある」(職業安定局)と判断している。
有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)で職を探している人1人あたりに何件の求人があるかを示す指標だ。10月は職を求める有効求職者数が2%増えた一方、企業の求人が2.1%減り、倍率が下がった。有効求人倍率の1倍割れは11カ月連続で、1倍割れの道府県も39に拡大した。

まず、鉱工業生産指数です。下のグラフの通り、10月の季節調整済み前月比は▲3.1%の低下となりました。先月の指標発表時の10月29日付けのエントリーで、今回の鉱工業生産指数の下がり方のスロープは前回の IT バブル崩壊後に比べて緩やかと見えるものの、これから先、急激な低下局面が控えている可能性が高いと指摘した通り、今月の発表を見る限り、その通りの推移を示していると感じざるを得ません。さらに、製造工業予測指数では11月が前月比▲6.4%、12月も▲2.9%のそれぞれ低下とされていて、これをそのまま鉱工業生産に当てはめると10-12月期は前期比で何と▲8.6%の低下と過去最大の減産となり、年内のうちに鉱工業生産は急激な低下を続けることが予想されています。しかも、10月単月の結果ですが、出荷が▲3.1%減となったため、在庫は+1.7%増と売行き不振に起因する後ろ向きの在庫積上がりが見られます。今月は四半期の計数がないので先月に示したような在庫循環図は書きませんでしたが、出荷・在庫バランスは第2象限の中ほどに達しているように直感的に感じています。世界的な景気後退・減速が続くと、在庫調整には1年くらいかかっても不思議ではありません。一昨日、11月26日付けのエントリーで強調した通り、来年前半の最も暗い闇に向かって進んでいるような気がしてなりません。なお、下のグラフは2005年を100とする指数で、青の折れ線が月次、赤が四半期のそれぞれ季節調整済みの鉱工業生産指数です。影を付けた部分は景気後退期で、直近はいつものように昨年10月をピークと仮置きしています。

鉱工業生産の推移

次に、消費者物価指数です。これも下のグラフの通り、10月の全国の生鮮食品を除くコア消費者物価は前年同月比で+1.9%の上昇にとどまりました。私は今年の年末には+2%を切ると考えていましたが、私の想定よりも急ピッチでエネルギー価格が低下しています。国内需要の減退もあって、コア CPI は完全にピークアウトしました。同業者エコノミストの中には、年内にもコア消費者物価の前年同月比が1%を切ると予想する向きもあり、私もその可能性は十分だと考え直すようになりました。しかし、黄色の棒グラフのエネルギーの寄与度はかなり落ちましたがまだプラスですし、緑色の食料は徐々にプラスの寄与度を大きくして来ていて、10月には寄与度で1%を超えました。原油に比べて穀物などが高止まりしていることをうかがわせます。しかし、この食料の寄与度の上昇も来年年央までで、その後は日本の物価はマイナスとなり、再びデフレに陥ることは従来から私が指摘している通りです。なお、下のグラフはすべて前年同月比のパーセント表示で、青の折れ線が全国のコア消費者物価、赤が同じく全国のコアコア、すなわち、生鮮食品に加えて食料とエネルギーを除く消費者物価、灰色が東京都区部のコア消費者物価です。棒グラフは全国のコア消費者物価に対する寄与度で、黄色がエネルギー、緑色が食料、水色が残差のその他です。

消費者物価の推移

最後に労働統計です。グラフが3パネル並べてあります。いずれも季節調整値です。一番上のパネルがもっともよく参照される失業率と有効求人倍率で、赤の折れ線グラフが失業率、左軸の単位はパーセントです。青が有効求人倍率で、右軸の単位は倍です。2番目のパネルのグラフは労働力人口と雇用者数の推移で、黒の折れ線が労働力人口、左軸の単位は万人です。緑色は雇用者数で右軸の単位は同じく万人です。一番下のパネルのグラフは先行指標となっている新規求人数で、単位はやっぱり万人です。影を付けた部分は鉱工業生産指数のグラフと同じく景気後退期で、直近の仮置きも同じです。

労働統計の推移

10月の失業率は3.7%と前月から0.3%ポイント改善しました。逆に、有効求人倍率は0.80倍と0.04ポイント悪化しました。逆方向に動いているんですが、明らかに、有効求人倍率の動きの方が景気動向を正確に反映しています。と言うのは、もともと、人口減少社会に入って労働力人口が増加しなくなっているところに加えて、景気後退局面に入ってから、職探しを諦めたと想像される人たちが大量に労働市場から退出していることが失業率低下の大きな要因と考えられるからです。真ん中のパネルのグラフを見ても、雇用者数が横ばいの中で、労働力人口が減り続けているのが見て取れます。しかも、この雇用者数の横ばい傾向もかなり曲者で、企業規模別非農林雇用者数の季節調整値を見ると、500人以上の事業所で9月に前月比▲20万人減、10月に▲62万人減と減少した一方で、30-499人の事業所では、9月に+22万人増、10月に+55万人増と増加しています。これを大企業におけるダウンサイジングと捉えるか、リストラと呼ぶべきかは分析するエコノミストの感性にもよるんですが、労働需給が緩和に向かっていることは明らかです。一番下のパネルの新規求人者数も月を追うごとに減少を続けていて、私も大学の教員として、これから卒業する学生諸君の就職がかなり心配になって来ています。厚生労働省の記者発表によれば、11月25日時点で来年3月の新規学校卒業者の採用内定取消しは331人と7年振りの高水準になっており、特に、大学生が302人を占めています。

私は従来から今回の景気後退局面は浅くて長いと考えて来たんですが、今日の発表にある鉱工業生産などを見る限り、深さも相当なもんだと考えを改めつつあります。消費者物価も、私のようなリフレ派のエコノミストが主張する2%のラインをあっさりと割り込んで、冗談めかして言えば、やや惜しい気もしないでもありません。来年前半の大底や年央から始まるデフレの時期に何が起こるかが今から怖い気もします。

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