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2008年12月18日 (木)

我が国景気のピークは2007年11月と勝手に認定

12月3日付けのエントリーで取り上げたように、NBER は米国の景気のピークを昨年12月と認定しました。その1週間後の12月10日のエントリーで、日本でも来年1月29日に内閣府が景気動向指数研究会を開催して景気の山の判定を行う旨を、チラリと触れたところですが、私も大いに触発されて、極めて短期間のやっつけでペーパーを仕上げました。一応、授業以外の研究でも大学教授らしいこともしていたりします。私の大学の研究室のホームページにアップしてあります。年度末くらいに刊行される本学の研究所年報に掲載される予定です。タイトルはそのまんまなんですが、「今次景気循環のピークに関する考察 - 状態空間モデルを用いた産出ギャップによるアプローチ」としました。分かる人にしか分からないんですが、産出ギャップを状態空間表現してカルマン・フィルターで解いています。これだけで理解できれば、もうそれ以上に聞く必要もないでしょうし、これで理解できなければ、理解するまでにかなり時間を要します。でも、これで終わっては余りにも不親切なので、少し解説すると、割と単純に、univariate な Hodrick-Prescott フィルターに対して、賃金と産出の2変数に基づく bivariate な状態空間モデルです。フィリップス・カーブで賃金と失業率の関係を表現し、さらに、失業率と産出の関係をオークン係数で表現することにより、賃金と産出をつないで産出ギャップを状態空間表現したモデルを理論的に構築し、推計できる形に解析的に変形した後に、カルマン・フィルターを使って最尤法で itarative に解いています。推計結果は以下のグラフの通りです。Hodrick-Prescott フィルターの結果と状態空間モデルの結果が合わせてプロットしてあります。左軸の単位は、大雑把に、現実と潜在の鉱工業生産指数の前年同月比伸び率の乖離幅の decimal です。いつもの通り、影を付けた部分は景気後退期です。

産出ギャップの推計結果

まず、月次のデータですので推計結果がギザギザするのは仕方ありません。それから、ペーパーではいろいろとカレンダーのせいにして言い訳しています。賃金は冬季賞与は12月支給が圧倒的なんですが、夏季賞与は年によっては6月と7月で比率が違うこともありますし、今年の2月がうるう年でジャンプしている可能性もあります。そのあたりが推計結果が美しくない原因です。でも、何とか無理やりに、2007年12月から産出ギャップがマイナスを記録しましたので、2007年11月を景気の山と認定しています。しかし、最大の疑問は、そもそも産出ギャップの符号が景気循環の山谷に対応しているかどうかが疑わしい点です。よく知られたように、私のペーパーなんかよりもずっと権威のある内閣府や日銀で算出されたGDPギャップは2005年くらいまでマイナスのままだったりしました。例えば、シカゴ連銀が公表している CFNAI のように負値の閾値 (critical value) が存在するのかもしれません。いずれにせよ、繰返しになりますが、私の大学の研究室のホームページにアップしてありますから、ご興味ある方はこのブログのサイドにある私の大学の研究室へのリンクをたどれば、pdf ファイルがダウンロード出来ると思います。言うまでもありませんが、私は全くオススメしません。

Time: Person of the Year

最後に、12月6日のエントリーで取り上げた "Time" 誌の "Person of the Year" が発表されました。言うまでもなく、米国大統領選挙のあった今年の顔は、上の通り、オバマ米国次期大統領です。なお、画像は共同通信の 47NEWS のサイトから引用しています。

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