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2009年1月 9日 (金)

景気動向指数に見る景気後退の長さと深さ

本日の午後、内閣府から昨年2008年11月の景気動向指数の速報値が発表されました。季節調整済みの一致指数は前月比で▲2.8ポイントも低下して、94.9となりました。11月の鉱工業生産まではいきませんが、かなり大きな落込み幅を記録したといえます。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインなどに関する記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が9日午後発表した11月の景気動向指数(速報)によると、景気合成指数(CI)の一致指数は前月比2.8ポイント低下の94.9だった。鉱工業生産指数や有効求人倍率など指数を構成する経済指標の多くが悪化し、落ち込み幅は過去2番目の大きさ。過去最大の落ち込みとなった8月、過去3番目の低下だった10月に続き、景気の急速な悪化が浮き彫りとなった。内閣府は同指数の基調を先月と同じ「悪化を示している」と判断した。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前に比べて改善した指標が占める割合で示すDIも低迷。一致DIは3カ月連続で0%だった。

景気動向指数 (CI) の一致指数は昨年後半になって、8月、10月、11月と落込み幅としてはワーストスリーが並んでいます。もっとも、8月の場合は、私には原因不明ながら、7月に大きく輸出がジャンプした反動も加わっていますから、実体的には10月や11月の落ち込みが大きいと感じられるのは当然です。いつものグラフを書くと以下の通りです。赤い折れ線が先行指数で、青が一致指数です。影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の景気のピークについては、私自身の研究成果により2007年11月としていたところ、最近の報道により、内閣府が10月ピークと判断しているとの情報に接し、やっぱり、2007年10月をピークに仮置きしています。今月29日の景気動向指数研究会で何らかの結論が出るハズです。

景気動向指数

直感的に見ても明らかなように、先行指数も一致指数も、まだまだ、1次微分が負で2次微分も負、というカンジで、底に向かって突き進んでいる途中です。理論的には、一致指数の1次微分がゼロになった時点が大雑把に景気の底なんでしょうが、底は依然として見えません。一致指数の前に先行指数の1次微分がゼロになるハズなんですが、それすら見通せる段階ではないような気がします。一応、昨年2008年10-12月期から今年の前半くらいが景気後退期の中でも最も暗い闇で、来年年初から前半くらいには景気が底を打つというのが直感的に考えてエコノミストの大雑把なコンセンサスではないかと思いますが、現実的に見ても、まだ1年くらいは先の話です。少なくとも、歴史的に見た過去の景気後退局面と比較しても、かなり長くて深いことは確かなようです。下の表は昨年2008年12月9日付けのエントリーで取り上げたものを少し変更したんですが、一致指数の山と谷を取っています。バブル崩壊後の景気後退局面では3年近くにわたって、▲23.6ポイント下落しました。現時点で、ongoing の景気後退期は1年を過ぎており、もう1年たつと2年ということになります。最後の行の谷は2008年11月時点のものであり、表にあるよりもさらに景気後退局面が長くて、下落幅が大きいであろうことは疑問の余地がありません。バブル崩壊後の景気後退局面と比較するのは時期尚早でしょうが、少なくとも、過去2回の景気後退局面よりは長くて深いであろうことはかなり確度が高いと考えるべきです。

下落幅
(下落期間)
1991年1月 103.51993年12月 79.9▲23.6
(2年11か月)
1997年5月 95.81998年12月 84.0▲11.8
(1年7か月)
2000年12月 95.42002年1月 84.0▲11.4
(1年1ヶ月)
2007年10月 105.52008年11月 94.9▲10.6
(1年1ヶ月)

表には取り上げませんでしたが、先行指数は2006年5月の104.4のピークから、2008年11月81.5まで、すでに2年6か月の間に▲22.9と、ほぼバブル崩壊後の景気後退局面に匹敵する下落幅と下落期間を示しています。バブル崩壊後の一致指数と先行指数は、一見しても、かなりシェイプが違うので、単純な比較は出来ませんが、現在の景気後退局面はバブル崩壊後の不況と同等の長さと深さである可能性も排除できません。

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